衣袋教授の新・Googleアナリティクス入門講座

【新機能】今までのGAの参照元は何だったの? “本当の参照元”がわかる「直接セッション」の使いどころ

GAのリファラーは長らくブラックボックスだったが、新機能の「直接セッション」を使えば実際のリファラーを確認できるようになった。どう活用するべきかを解説する。

今回は新機能の「直接セッション」について解説する。

Googleアナリティクスで参照元を集計する仕様が少し特殊なことは、連載の第25回でも解説したとおりだ。ひとことで言えば、実際のリファラーがノーリファラー(参照元なし)だった場合、Googleアナリティクスでは1つ前のリファラー情報を代用するといった集計をする。

つまり、そのセッションにおける実際の正確なリファラーは長らくブラックボックスのままだったのだ。それがついに実際のリファラーを普通に確認できる方法が提供されていることがわかった。それが今回解説する「直接セッション」というディメンションだ。

この「直接セッション」は、一部の専門家の間では2017年5月下旬ごろに話題になっていた。グーグルによるアナウンスなどは特になく、いつから提供されているのか正確な時期は確認できないが、ベータ表記でもないので普通にリリースされている機能と考えてよいだろう。

この記事で学べること:
  • 本当のリファラーを表す「直接セッション」がわかる
  • いつもの集計にどのデータを使うべきかがわかる

「直接セッション」はセカンダリディメンションで見られる

「直接セッション」は参照元に関係するディメンションなので、主に「集客」セッションのレポート群で確認できる。[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポートを例に説明しよう(図1)。

このレポートは「どのチャネルから来たのか」を確認するのによく使われるもので、標準では「Default Channel Grouping」ディメンションが表示される(図1赤枠部分)。そして「参照元なし(ノーリファラー)」を意味する値が「Direct」(図1青枠部分)に相当する。

図1:[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポート

図1:[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポート

ややこしいのは、Googleアナリティクスの特殊な集計仕様(第25回を参照)のため、実際のリファラーがノーリファラー(参照元なし)だった場合でも、「Direct」ではない別の値に集計されていることがあり、その内訳が不明だったことだ。つまり図1で「Organic Search」や「Referral」(図1緑枠部分)とあるデータのなかにも、実際にはノーリファラー(参照元なし)だったセッションが含まれていたということだ。

そこで出てくるのが新機能の「直接セッション」だ。このレポートのセカンダリディメンションで「直接セッション」を指定しよう図2赤枠部分)。こうすることで、「Default Channel Grouping」と「直接セッション」の2つのディメンションの組み合わせでデータを見ることができる(図2)。

図2:[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポートにセカンダリディメンションを掛け合わせた

図2:[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポートにセカンダリディメンションを掛け合わせた

「直接セッション」の値は「Yes」と「No」の2種類がある(図2青枠部分)。それぞれ次のことを意味する。

  • 「直接セッション」が「Yes」: 実際のリファラーがノーリファラー(参照元なし)だった場合
  • 「直接セッション」が「No」: 実際のリファラーが『Default Channel Grouping』で表示されているリファラーの場合

言い換えれば、「Default Channel Grouping」が「Direct」以外の項目で「直接セッション」の値が「Yes」の場合、「実際はノーリファラーのセッションだったのに、表記上は過去の参照元を表示していた分」ということになる。

図1図2の例でいえば、図1の「Organic Search」(検索エンジン)には9セッション(図1黒枠部分)表示されていたが「そのうち8セッションが実際のリファラーも検索エンジン(直接セッション=No)で、残りの1セッションは実際はノーリファラーだった(直接セッション=Yes)」ということになる(図2緑枠部分)。

成果を「従来の指標と新しい指標のどちらで評価するのか」問題

「ディメンションが増えた」ということは、「分析の切り口が1つ増えた」ということなので、基本的には歓迎すべきことだ。しかし冒頭にも書いたとおり、もともと集客系の参照元の集計仕様がややこしいものであっただけに、この新しい「直接セッション」を利用した分析は慎重を要する。

問題になりそうなのは、集客別の成果の指標だ。「いつもの報告に使うデータはどちらを使うべきか」で意見が分かれるだろう。変更するにしても、過去からのデータの継続性や、過去データの再評価が必要なのかどうかも議論になるだろう。

[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポートや[参照元 / メディア]レポートで、集客別のコンバージョンを追跡しているような場合、これまでは基本的に各レポートを「量」「質」「成果」を一気通貫で見る方法(第35回を参照)図3)がわかりやすかった。

図3:[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポート

図3:[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポート

しかし、「直接セッション」を見られることを知ってしまった今はそうはいかない。たとえば図3の例では、これまでは「『Organic Search』のコンバージョン率が6.12%で目標値(コンバージョンの価値の合計)が3,000円」と評価していただろう(図3赤枠部分)。

しかし「直接セッション」を掛け合わせて見ると、実際は「『Organic Search』のコンバージョン率が3.03%で目標値が1,000円、表示上は『Organic Search』になっているが実際はノーリファラーのコンバージョン率が12.5%で目標値が2,000円」という本当のことがわかってしまうわけだ図4赤枠部分)。

図4:[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポートにセカンダリディメンションを掛け合わせた図

図4:[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポートにセカンダリディメンションを掛け合わせた図

こういう実態を知ると、「Organic Search」はコンバージョンに直接貢献したのではなく、アシスト貢献だったということが明らかになる。そうすると、「今まで見ていた成果は何だったんだ」という話にもなりかねない。

実はこれまでも「マルチチャネル」を見れば判別できた

実は直接セッションを使わなくても、[コンバージョン]>[マルチチャネル]セクションのレポート群を見れば、図4と同様に直接効果や間接効果を理解することができる。「今までも見ようと思えば見ることはできたんだよ」というグーグルの声が聞こえてくる気がする。

マルチチャネルに関しては本連載でも後日触れるつもりだが、すぐに知りたい方は以前のGoogleアナリティクス入門講座を参考にしてほしい。データとは本来複合的に見るものだ。これまでも工夫次第で実態を理解できないことはなかったのだ。

どういうことか簡単に説明しよう。[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[アシスト コンバージョン]レポートの該当のチャネルの行(図5赤枠部分)の「ラストクリックまたは直接のコンバージョン価値」の値(図5青枠部分)を見ると「1,000円」と表示されている。

図5:[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[アシスト コンバージョン]レポート

図5:[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[アシスト コンバージョン]レポート

図3の「チャネル」レポートで「Organic Search」の価値が3,000円(図3赤枠部分)と表示されていても、コンバージョンした時点では1,000円の価値しかなかったということが「マルチチャネル」レポートを見れば確認できるわけだ(図4赤枠部分内の上の行)。

さらに、「オーガニック検索」が間接効果で、最終的に「ノーリファラー」でコンバージョンしている2件(図6赤枠部分)は、図4でいうところの「Organic Search」の直接セッションが「Yes」の目標完了数「2」に該当していることがわかる(図4赤枠部分内の下の行)。

図6:[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[コンバージョン経路]レポート

図6:[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[コンバージョン経路]レポート

しかし、Googleアナリティクスを熟知している専門家でもない限り、3つも4つもレポートを総合的に見ないと理解できないような指標を正しく判断できるだろうか? ほとんどのユーザーは、[集客]>[すべてのトラフィック]>[チャネル]レポート(図3)で広告などの集客施策を評価しているだろう。

結局、「直接セッション」はどう使っていけばよいのか?

これまでの解説を踏まえると、「直接セッション」が取り扱いに悩むディメンションであるのは理解してもらえただろう。おそらく多くの人がまだ気が付いていない今回の「直接セッション」とは、どのように向き合っていくのがよいのだろうか。

前半で次の2つの問題点を挙げた。

  • いつもの報告に使うデータはどちらを使うべきか?
  • 変更するなら、過去データの再評価や継続性はどうするか?

結論をいうと、Googleアナリティクスに詳しくない管理職に見せるレポートにおいては、過去からのデータの継続性を優先して、こうした新しいディメンションの細かい話は持ち出さない方がよいだろう。

一方で、細かい分析を行っている担当者レベルなら、得られる情報が増えるということは福音でもある。「より成果を上げるために活用できそうな新しい分析軸が増える」ということだからだ。担当者は、積極的に分析に活用するのがよいのではないだろうか。

ただし、「直接セッション」が「こうやればすぐに成果が上がる」といった魔法のディメンションになるかどうかは定かではない。過剰な期待をして無駄な時間を費やさないように注意しながら、試行錯誤するとよいだろう。

「直接セッション」は現時点ではセグメントでは利用できない

ここではセカンダリディメンションから「直接セッション」を利用する方法を紹介したが、セカンダリディメンション以外の場所では「直接セッション」を使えるところと使えないところがあるので、最後にそこに触れよう。あくまで2017年7月上旬時点の情報であり、もしかしたら今後使えるようになるかもしれない。

直接セッションを利用できる
  • 「集客」系を中心にしたレポートのセカンダリディメンション
  • マイレポートのウィジェットのディメンションやフィルタ条件
  • カスタムレポートのディメンション(図7
図7:カスタムレポートのディメンションに「直接セッション」を利用できる
図7:カスタムレポートのディメンションに「直接セッション」を利用できる
直接セッションを利用できない
  • カスタムアラートのディメンション
  • セグメント機能の条件指定項目としてのディメンション(図8
  • ビューのフィルタの条件指定項目のフィールド

図8:セグメント機能の条件指定項目として「直接セッション」は利用できない

図8:セグメント機能の条件指定項目として「直接セッション」は利用できない
◇◇◇

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