【レポート】Web担当者Forumミーティング 2017 Spring

そのCMS、本当に必要ですか? ナムコ&岩崎電気がCMS「Web Meister」を選んだ理由

Web運営の課題、CMSを入れただけでは解決しない――本当に重要な事って?
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CMS(コンテンツ管理システム)は、ますます高度化するWebサイト運営において、必須のソリューションだ。しかしCMSとて万能ではない。サイトの目的とCMSの機能性が合致してこそ、真に価値ある存在になるという。ナムコと岩崎電気がCMS「Web Meister」を導入した狙いとは?

「Web担当者Forum ミーティング 2017 春」では、「あらためてCMS。BtoB/BtoCウェブマスターの視点から」と題して、CMS「Web Meister」を手がけるサイズの糟谷氏がモデレーターとなり、実際にCMSを導入したユーザー企業のWeb管理者を招いてパネルディスカッションを行った。

(左)株式会社ナムコ AM営業本部 AM施設営業部 ネクストメディアチーム マネージャー松本 圭司 氏
(中央)岩崎電気株式会社 広報宣伝室 新井 隆之氏
(右)株式会社サイズ 代表取締役 糟谷 博陸氏

「サイトの規模拡大」「店舗担当者による情報更新の負荷軽減」といった課題解決のために

登壇者は3名。ひとり目は、業務用光源・照明器具メーカーである岩崎電気の新井氏だ。社内でおもにWeb関係の業務を担当している。

ふたり目は、ゲームセンターやキャラクターのグッズショップ、キャラクターカフェなどのアミューズメント施設の企画運営を手がけるナムコから、松本氏が登壇。社内での担当業務はWebサイト、スマホアプリ、SNSアカウントの運用管理、マーケティングなどだ。

そして三人目、モデレーターの糟谷氏は、CMS「Web Meister(ウェブマイスター)」の開発元である株式会社サイズの代表取締役を務める。

糟谷氏はまず、「リニューアル・CMS導入前の課題」について聞いた。両社ともコンペを通じて「Web Meister」の導入を決めた。

岩崎電気の新井氏は、「サイトの規模拡大」が課題だったと語る。

Webのプロフェッショナルという立場で仕事をしており、国内サイトについては、すべてHTMLを手書きで構築していました。

しかし、海外展開にともなうサイトの規模拡大によって、自前で手書きによる構築、運用に限界を感じたため、CMS選定を開始しました(新井氏)

岩崎電気のWebサイトでは、照明製品・関連部品の製品情報を掲載している。しかし、その数・種類は非常に膨大であった。新井氏は1人かつ手作業でこのWebサイト更新を担当。

当初はそれでも問題がなかったとのことだが、海外の顧客の重要性が上がるなど、サイト運用の周辺環境は変わりつつあった。英語サイトはすでに開設していたものの、ほとんど更新できていないのが実情だったため、ひとまず日本語サイトへのCMS導入を計画し、コンペを実施した。

一方、ナムコの松本氏は「各施設、店舗の担当者の更新性」を課題として挙げる。

自社サイトをみると、スマホ向けサイトとデスクトップ向けサイトが別々に作られていました。店舗の情報はそれぞれの店舗に更新をお願いする体制ですが、店舗によって更新頻度にばらつきがありました。

そこで、情報更新作業をスリム化し、店舗の情報更新がしやすい体制にしたかったのです(松本氏)

ナムコのゲームセンターは全国で約250店舗が営業しており、それぞれ専用のサイトが稼働していた。「週末にイベントを開催します」「新しい景品が入荷しました」などの情報を店舗ごとに発信する体制はすでにあったが、実際にはほとんど活用されていなかった。

店舗によって従業員のITリテラシーが異なるため、Web更新作業のハードルが想像以上に高かったのだ。情報更新が頻繁な店舗とそうでない店舗がでてきてしまっており、その状況を解消しなければならなかった。

CMS導入が「目的」にあらず、「どんなWebサイトにしたいか」が重要

両社は、サイト運用にあたって「更新性の改善」という課題を抱えていた。これを解消する方策として、近年特に広く認知されているのが「CMSの導入」である。HTMLやCSSに関する知識がない人でも手軽にWebサイトの更新ができるCMSを導入することは、もはや1つの潮流となっており、サイトリニューアルにあたって何となくWordPressやMovableTypeを選択する企業も少なくないとされる。

しかし、CMSの導入を「目的化」してしまうのは危険だ。CMSは数多くあるが、中でも知名度の高いWordPressやMovableTypeは、そもそもブログ構成用のプラットフォームであり、ページの構成も時系列が基本。階層型構造の企業サイトを構築するにあたっては、必ずしもベストマッチとは言い切れない。

Webサイトを新規作成ないしリニューアルする上での大前提となるのは「最終的にどんなWebサイトにしたいか」の詳細な検討。その実現に役立つと確信できたら、そこで初めてCMSを選択するのが重要と糟谷氏らは指摘する。例えば、それほど頻繁に更新しないサイトであれば、CMSをあえて導入しないのも1つの考え方だ。

岩﨑電気の新井氏は、コンペの結果、サイズの提案を採用した理由について、以下のように述べた。

コンペの際に作ったRFP(提案依頼書)では、英文サイトの充実を目的に、日本語サイトをCMS化することを記載しました。しかし提案の際に、サイズ社だけは「レスポンシブデザインとHTML 5化によるサイトのリニューアル」を提案してきました。今のサイトを全て変えましょうという提案は他の競合にはなく、魅力的でした(新井氏)

つまり、「部分的なCMS導入」というコンペ要件に対し、サイズはさまざまな検討を重ねた結果、より広範な「サイトリニューアル」を提案した格好になる。

ナムコの松本氏は、「声がけの段階ではあえて課題は示さず、サイトのあるべき姿、将来像だけを示して」提案を待ったという。ここでもやはりCMSは副次的要素で、むしろサイトリニューアル案の中身こそが重要だった。

また、コンペ案の評価者の人選にも配慮した。システム管理者だけでなく、日常的な運用に携わる担当者も評価に加わることで、より実用的なリニューアルを目指した。

実際に運用にあたる担当者の視点から提案内容を吟味してもらったところ、Web Meisterの評価ポイントが最も高かったのです(松本氏)

糟谷氏は、「CMS導入を前提にしたコンペであっても、実際に製品導入の決め手となったのは、サイトの課題をどう解決するかという提案内容」と総括。CMSはあくまでもサイト運営・更新を助ける一助であり、真に重要なのは「Webサイト全体の有り様」だと解説した。

1年目の新入社員が、わずか2日間で約40ページを量産できた

もちろん、岩﨑電気のように課題がハッキリしていて、ページ更新も多いサイトの場合、CMSの利便性は最大化される。新井氏はリニューアルおよびCMS導入の効果として、「レスポンシブ化が大きい」と述べる。

リニューアルプロジェクトの直後に、Googleのモバイルファーストインデックスが発表されました。もし、別のパートナーでCMS化にしか対応していなかったら、リニューアル後にモバイル対応を検討しなければならないところでした(新井氏)

また、リニューアル前の旧サイトでは、手書きで制作していたページが多く、テーブルレイアウトなども特殊だったという。そこで、サイズ側では、テーブルレイアウトをそのままHTMLに変換し、レスポンシブ化できるテンプレート(プラグイン)を開発。こうした柔軟なカスタマイズ性もあいまって、導入はスムーズに進んだ。

また、Web Meisterの特長として、新井氏は「最終的な配信時に静的なHTMLを生成できる点」を挙げる。

CMSがインストールされたWebサーバーからテストサーバーに静的HTMLファイルを配信し、テストサーバー上で確認・承認後に、本番サーバーにHTMLをそのまま公開というワークフローを組むことも可能です(新井氏)

また、操作性は直感的で、「たとえば、1年目の新入社員に、1時間ほど使い方を説明したあと、わずか2日間で約40ページを量産できるほど、Webの専門知識がなくても簡単に使いこなせることができた」と新井氏は説明する。

今後は「静的HTMLの優位性をさらに発揮できるよう、複数のサーバーに対する配信機能があるとさらに便利だ」と機能追加に期待を寄せた。

CMS活用の最大の敵は「心理的ハードル」だった?!

一方、松本氏は、CMS導入が1つの大きな区切りとはしながらも、その後の“啓蒙活動”もまた重要だったと振り返る。CMSは頻繁なWeb更新にうってつけのシステムではあるが、ナムコではこれを実際に操作するのはゲームセンターの従業員。

店頭接客は得意である一方、慣れないCMSの利用にあたってはどうしても「心理的ハードル」があり、なかなか使ってもらえない──特に「最初の一歩」を踏み出してもらえなかったという。

とはいえ「一度CMSを使ってみてもらえれば簡単さ・便利さがわかってもらえる」という確信もあった。そこで簡易版のマニュアルを制作。店頭業務でなにかと多忙な従業員にもCMSの利便性を訴えた。

加えて、店舗関係者によるブロック会議などの開催タイミングに合わせ、CMSの説明会を実施。出席者からの質問にも積極的に答えた。

こういった地道な取り組みが身を結び、利用率・更新頻度の大幅改善に至った。

それまでの1年間、まったくニュースの更新のなかった店舗が、月に20回も更新するようになったのが、最も大きな導入効果でした(松本氏)

CMSの利用度が上がってくれば、導入効果も際立ってくる。CMS導入前は、手動でページを直接編集する「イベント情報」などの特設ページがあったが、導入後は、そうした手動の運用を残しつつ、専門知識のない担当者でも定常的な情報更新を担えるよう、並行運用の体制が整備された。

また、Webリニューアルとほぼ同時にスマホ向け公式無料アプリ「ナムコポイントアプリ」をリリース。このアプリは、アプリを起動したり、全国の店舗に行ってチェックインしたりするとポイントが貯まり、ポイントに応じてサービスが付与されるものだ。

店舗利用を前提とするので、店舗からの情報をお客様にお知らせする必要がありました。しかし、アプリの運用をWebサイトと別にすると、店舗スタッフの情報更新作業の負荷が高まります。そこで、CMSと連動させて、CMSからアプリ向けの情報発信ができるよう整備しました(松本氏)

松本氏もWeb Meisterについて、「専門知識がなくても誰でも容易に使いこなせる点」を高く評価している。「更新担当者が250人もいると、それぞれにスキルやリテラシーが異なる。そこで、直感的な操作性に最も価値を感じている」のだそうだ。

ただ、CMSには多大な導入メリットがある一方で、それを使うのが人間であるという点もまた忘れてはならない───CMS提供側の糟谷氏はそう指摘する。

CMSを導入したからといって、コンテンツが自動生成される訳ではない。あくまでも人が書く内容を考え、操作してはじめてWebが更新される。CMS導入だけを最終目標にせず、「どうCMSを使ってもらうか」「どうすれば更新しやすくなるのか」考え続けることが重要であり、そのためにも利用者サポートは重要だという。

ナムコのケースでは、ログインなどの基本操作を解説する動画マニュアルも制作した。糟谷氏は「動画でわかりやすく操作を説明することで、クライアント企業に対するサポートを手厚くしたい」と、今後の抱負を述べている。

今後はコンテンツの「質」をさらに高める取り組みを

Web Meisterの今後の展望や方向性として、新井氏は「今ある機能に加え、欲しい機能の追加を柔軟に対応いただきたい」と期待を述べた。

“箱”としてのWebサイトはいいものができました。今後は、海外サイトの運営支援に加え、それ以外の事業部のページも増やして、コンテンツの充実を図っていきたいです。我々の業務や課題をよく理解してくれるサイズ社のサポートを得ながら実現していきたいです(新井氏)

松本氏は、「当初の課題であるサイトの更新性向上は実現した」と述べ、今後は「画像やテキストといったコンテンツのクオリティをさらに高めていきたい」と抱負を語った。

弊社のサイトはキャラクターのページが多く、キャラクター目的で検索、来訪するお客様が多いです。そうしたお客様の回遊性をさらに高めるため、お客様の好みにあったコンテンツをレコメンドする機能などを追加したいです(松本氏)

最後に、新井氏は、「CMSは今や、コモディティ化したツール。しかし、全員が使いやすいものにするため、ときにデザイナーが犠牲になるCMSというのも多い。しかし、Web Meisterはデザイナーにとっても使い勝手のよいCMSだ」と述べる。松本氏は「店舗のサイト運用担当者が、これまで積極的に取り組めなかった情報更新作業に、取り組んでくれるようになった。Web Meisterの価値はその一言に尽きる」と締めくくった。

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