いよいよ「Googleアトリビューション」登場か? Google Marketing Next 2017最新情報まとめ

5月の米国のイベントでGA関連製品の最新情報が発表された。「分析」から「アクション」に進めるための機能強化が中心だ。ポイントをまとめてお伝えする。

米グーグルは、「Google Marketing Next 2017」と「Google I/O 2017」を5月に開催しました。前者はGoogle AdWordsやGoogleアナリティクスなどの広告系プロダクトのカンファレンス、後者は開発者向けのカンファレンスです。そこで、Googleアナリティクスと関連プロダクトに関するアップデートがいくつか発表になりました

本稿では、「Googleアナリティクスと周辺のプロダクトがどう変化していくか」という視点で、新しい情報をとりまとめて解説していきます。

今回のGoogleアナリティクス関連トピックは、ひとことで表すなら「計測データのアクション施策に活用する連携機能がいっそう進んでいく」ことだといえます。従来のように分析だけで止まらずに、アクション側にプラットフォームとして複数のプロダクトをまたいで連携していく、という流れがいっそう鮮明になっています。

※本コラムでの解説は現時点(2017年5月25日)で公開されている情報をもとに、筆者の理解と独自視点での予測も含めて解説したものです。

無料版Googleアトリビューションの登場は
本格的な「ラストクリックCPAからの脱却」に向けた第一歩
新プロダクト近日実装

2017年の新しいプロダクトとして「Googleアトリビューション」が紹介されました。現在でもGoogleアナリティクスのメニュー内でアトリビューション分析は可能ですが、無料版の専用プロダクトとしての登場です。公開されている情報によれば、分析対象のデータは次のとおりです。

  • Googleアナリティクス
  • Google AdWords
  • DoubleClick Search

どちらかといえば検索広告中心のデータソースである印象を受けます。DoubleClick Searchのデータを除けば現在のGoogleアナリティクス(無料版)で行えるアトリビューション分析との違いが見えにくいかもしれません。しかし、今回の新プロダクトの一番の特徴は次の部分です。

分析結果がAdWordsやDoubleClick Searchに連携/共有され、レポーティングやビッティング(入札)に活用できる。

AdWordsではすでに「AdWords スマート自動入札」という機能がローンチされており、これはAdWords計測データによるアトリビューション分析結果と自動入札を連携するものです。つまり、キーワード単位でのデータドリブンアトリビューション分析結果と入札の連携は実現されています。

今回のGoogleアトリビューションは、その計測データソースをGoogleアナリティクスのデータへ拡張し、分析結果の連携もAdWordsだけでなくDoubleClick Searchへと拡張します。より広範囲でのアトリビューション分析とアクションの連携が実現されることになります。

Googleアトリビューションの全体図。左からデータソース、分析、アクション実施を表している
Googleアトリビューションの全体図。左からデータソース、分析、アクション実施を表している(出典:Googleアナリティクス公式ブログ

これまでは、アトリビューション分析の有用性は理解していても、その分析対象範囲の広さや分析後のアクションの難しさがあり、通常の広告運用で普及しているとはいえませんでした。今回、アトリビューション分析結果が広告運用側のツールへ連携されるのであれば、本格的な「ラストクリックCPAからの脱却」に向けた大きな1歩になるといえるでしょう。

分析対象とできるデータソースと、結果データの連携先がグーグルのプロダクトに寄っているため、アトリビューション分析の本来の目的である「広告予算の全体最適」としての公平性を担保するにはまだ及ばないかもしれませんが、「分析にはデータドリブンモデリング(実際のデータを使ったグーグル独自のアルゴリズムによるカスタムモデルング)も利用できる」という記述もあり、「計測→分析→活用プロセスの自動化」にはいっそう期待ができます。

Googleアトリビューションはまだベータ段階でローンチにはまだ数か月かかる見込みのようですが、一刻も早いローンチが期待されます。

Googleアトリビューションは、自動入札機能と組み合わせることで、より良い結果を得るための非常に強力な機能です。新しい、より正確な結果にもとづいて、入札単価を更新したり、チャンネル間で予算を移動したりすることができます。

キーノートセッションのプレゼンター Bill Kee 氏(Group Product Manager Attribution)のコメントYouTube「Google Ads, Analytics and DoubleClick Announcements Keynote」」
参考情報

GoogleオプティマイズとAdWordsが連携!
マーケターが容易に広告のLPOのA/Bテストを実施できるように
機能強化近日実装

Googleオプティマイズ(A/Bテストツール)は、Googleアナリティクス360スイートプロダクトの無料版として昨年すでにローンチ済みの製品で、すでに利用している方も多いのではないかと思います。今回は「GoogleオプティマイズがAdWordsと連携することにより、AdWords側のキャンペーン設定と連動したA/Bテスト設定が可能になる」という紹介がありました。

下図のように、Googleオプティマイズのテスト設定画面でAdWordsのキャンペーン設定内容から「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」が選択できるようになり、個々のキャンペーン設定と連動したLPのテスト設定を容易に行えるようになります。これは、無料版のGoogleオプティマイズでも利用できます。

GoogleオプティマイズでAdWordsの「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」が選択できるようになる
GoogleオプティマイズでAdWordsの「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」が選択できるようになる

Webサイトのパフォーマンス改善のためのテストは、いまや必須の手法としてさまざまなツールが活用されています。しかし、広告効果の最適化施策であるLPOに関しては、広告運用と一体化したプロセスで進められるのが理想ではないでしょうか。

これまでは、個々のキャンペーンごとに作成されるランディングページに計測用のタグを実装し、同時にテストも行うとなればパラメータも複雑になり、ランディングページテストのバリエーションの粒度は限られたものにせざるを得ませんでした。今回の連携によって「キャンペーン」単位だけでなく「広告グループ」や「キーワード」という細かい粒度までテストバリエーションが容易に組めるというのは大きな進歩です。

  • ランディングページのタグ実装(Googleタグマネージャ経由)
  • テストページの制作(Googleオプティマイズのエディタ機能)
  • テスト配信設定(今回のAdWords連携)

上記をすべてマーケターの手によって行えるメリットはかなり大きいのではないでしょうか。連携機能のローンチにはまだ少し時間がかかるようですが、これも待ち遠しい機能です。

参考情報

Googleサーベイ360とAdWordsが連携。
AdWordsリマーケティングリストを使ったユーザー調査が可能に
機能強化日本はまだ先

オンライン調査(アンケート)ツールのGoogleサーベイは以前から存在していましたが、昨年よりGoogleアナリティクス 360 スイートのプロダクトになりました。

無料版の「Googleサーベイ」と高機能版の「Googleサーベイ 360」がありますが、現在のところ日本からは無料版のGoogleサーベイのみが利用可能です(2017年5月時点ではGoogleサーベイ 360は米国とカナダのみ)。今回の紹介内容はGoogleサーベイ 360のみの機能なので、日本での利用はまだ先になります。更新内容をさらっと確認しておきましょう。

Googleサーベイは、自社サイトだけでなくオンラインにいるさまざまなユーザーに対して調査を行える「オンライン調査プラットフォーム」です。調査対象はさまざまな属性や条件で設定可能で、今回はその対象としてAdWordsのリマーケティングリストと連携できるようになります。

調査対象に「Remarketing audiences」を選択できるようになる
調査対象に「Remarketing audiences」を選択できるようになる

これにより、広告の効果改善に生かせそうなサイト上のユーザー行動セグメントを、AdWordsでリマーケティングリスト化して調査を行うことができるようになります。たとえば、次のようなことが可能になります。

  • 特定の広告キャンペーンからの流入ユーザーに意見を聞く
  • 商品購入者に対して購入理由を直接聞いて新しい広告訴求に反映する

調査によって得られた結果は、広告クリエイティブやランディングページの訴求内容などのキャンペーン設計に活用できることが期待できます。

これまでの流れを見ると、AdWordsリマーケティングリストで活用できるようになった機能は、その後Googleアナリティクスのリマーケティングリストでも利用可能になる傾向があります。筆者個人としては、いずれGoogleアナリティクスのリマーケティングリストとの連携も実現することを期待しています。

参考情報

「Firebase Analytics」がGoogleアナリティクスファミリーの
仲間入り。モバイルアプリ分析を強化
名称変更実装済み

最後はマーケター向けのGoogle Marketing Nextではなく、開発者向けカンファレンスであるGoogle I/Oからの発表です。これまで同イベントでGoogleアナリティクス関連のトピックが扱われることはあまりありませんでした。今回はモバイルアプリ開発/マーケティング運用プラットフォームである「Firebase」に大きなアップデートがありました。

Firebaseの一機能である「Facebase Analytics」が、名称を変更して「Firebase 向け Googleアナリティクス(Google Analytics for Firebase)」となりました。これにより、Googleアナリティクスのモバイルアプリ計測は全面的にFirebaseへ移行することになります。

Firebaseが大きく紹介されたのは昨年(2016年)のGoogle I/Oでした。一方でGoogleアナリティクスはすでに「GoogleアナリティクスSDK」というモバイルアプリ計測のためモジュールが提供されており、「モバイルアプリのプラットフォームとしてはFirebaseへ集約される方向なのでは?」と感じながらもGoogleアナリティクスSDKとFirebaseの関係については明確なアナウンスがなされないまま1年が過ぎました。

今回の発表で、「モバイルアプリ計測のプラットフォームはFirebaseに集約されていく」という明確なアナウンスがなされたと見てよいでしょう。実際に、すでにGoogleアナリティクスの新規プロパティ作成画面でモバイルアプリを選択するとFirebaseが表示されるという変更が反映されています。

アプリプロパティ作成後のレポート画面を見ると、従来のGoogleアナリティクスSDKでのレポート画面とは大幅に異なり、Firebase Analyticsから移行していることを実感できます。

Firebase向けGoogleアナリティクスのレポート画面
Firebase向けGoogleアナリティクスのレポート画面

現状はFirebase内のAnalyticsも従来どおりそのまま利用が可能で、計測データはFirebaseとGoogleアナリティクス双方から同じ内容が確認できるという状態です。

「Firebase向けGoogleアナリティクス」では、Firebase Console側での設定によって以下の連携が可能になっており、アプリマーケティングのプラットフォームとしても十分な機能がすでに備わっているといえます。

  • Google Play
  • AdWords
  • DoubleClick
  • AdMob
  • BigQuery

モバイルアプリのプラットフォーム側の進化に対し、ゲームアプリ以外のアプリのマーケティング活用は十分に進んでいるとはいえません。日本では現状多くのアプリがコンテンツをウェブビューで表示しており、ネイティブアプリを対象とするSDKによる計測は実装に高度なカスタマイズを要するなど課題が多くあります。

とはいえ、モバイルデバイスのマーケティング上の存在感はますます大きくなってくることは間違いありません。プラットフォーム側の進化が、ネイティブアプリの利用シーン拡大を促進する役割も担うことを大いに期待したいと思います。

まとめ: 「分析」から「アクション」へのデータ連携がより進む

Googleアナリティクスを取り巻く環境はますます充実しつつあります。特に、計測に関する機能はウェブ、アプリ両方ともかなり完成度が高くなってきています。「計測→分析→アクション」の流れでいえば、従来は「計測→分析」で止まってしまうことが多く、アクションへのシームレスな展開の難しさが大きな課題でした。

ここ1、2年でGoogleアナリティクス関連プロダクトに起きている進化は「分析→アクション」に向けた機能連携が、機械学習の取り込みによってかなり進んできたと強く感じます。

「データドリブンマーケティング」の言葉が表すように、マーケティングを強力にドライブしていくための燃料は「データ」です。そのデータが、シームレスにマーケティング施策に提供されていく姿が見え始めています。

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