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「グーグルのローカル検索はダメだ」と見捨てられる時代に向けたローカルSEO施策とは(後編)

人々が「グーグルのローカルビジネス検索は、検索結果の質が低い」と見捨てる時代にわれわれは何をすべきか。

ローカル検索における新しい順位決定要因を解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。
前回は、ローカル検索がどのように変化したのか、その現状を見た。今回は、このような変更をグーグルが実施した理由と、その影響について考察してみよう。

グーグルがこの変更を行った理由

グーグルが、距離の近さの検索順位に及ぼす影響力を大きく高め、従来のローカル検索順位決定要因の影響力を弱めた理由は何だろうか。

もちろん、広告の販売をさらに伸ばすためだ。

この変更によってグーグルの広告売上が増える理由は3つ考えられる。

  • オーガニック検索のローカルパックに表示されることが難しくなれば、ビジネスは高価な有料のローカルパックを新たに購入せざるをえない。

  • 以前は、地域名とキーワードの組み合わせ(たとえば「エドモントン 配管業者」)ごとに1つのローカルパックが存在した。今は、地域全体におびただしい数のローカルパックが存在する。グーグルが1マイルごとに新しいパックを作れば、広告を販売できる「インベントリ」は大きく増えることになる。

  • 3パックの検索結果に望んでいるものが表示されない場合、「さらに表示」をクリックすると、ローカル検索画面(Local Finder)が表示される。そしてグーグルは、この画面にデイスプレイ広告を掲載している。

  • (おまけ)広告の新しいローカルパックに「付近の」という表示が出ることにお気づきだろうか。ローカル広告もローカルパック結果も、ビジネスがユーザーの現在地からどれほど近い場所にあるかという点がますます重視されるようになっている。

ただし、今回の変更が広告収入を増やすことのみを目的としているとは思えない。できるだけ近くにあるビジネスを表示した方がユーザー体験を向上できると、グーグルは本心から考えているのではないだろうか。グーグルは以前から、これに関する技術の改善に取り組んできた。

僕の会社のローカル検索担当ディレクターであるニアゴスラフ・ジェコフ氏は、2012年版ローカル検索順位決定要因に関する調査報告書において、最も重視されるローカル検索順位決定要因は検索地点からビジネスまでの距離の近さだったと述べている。そのときの発言を引用しよう。

本当に重要なことは、検索者が今どこにいるのか、そして関連性があると思われる検索結果がどれくらい近くにあるかということだ。ローカルモバイル検索の重要性がさらに高まることで、この順位決定要因がますます重視され、今やNo.1の要因になっていることには疑いの余地がない。

ただし、デスクトップ検索で検索者が意図的に現在地と異なる場所を検索対象としている場合は、重要性は高くない(あるいは意味を持たない)ようだ。

現在の検索結果で興味深いことは、この記事の例でも見られるように、デスクトップ検索でも、距離の近さが大きな検索順位決定要因になっているということだ。グーグルはかなり前から、「モバイルファースト」戦略を進めている。そのため、モバイルとデスクトップのローカル検索結果の処理に違いがなくなっていると考えてもよさそうに思う。両者で異なる結果が表示されるのは、モバイルの方が現在地を正確に把握できるからだ。

さらに、ビル・スロースキー氏が2月13日に投稿した記事によると、グーグルは移動にかかる時間に基づいてある場所の質を判断する技術の特許を取得したという。この特許は、クチコミ(一般ユーザーのものも専門家のものも含む)などの品質測定基準に加え、検索者がそこまで移動するのに必要な時間と距離(費やす時間)という品質測定基準を利用して、ローカル検索結果におけるビジネスの表示順位を決定するというものだ。

以下は特許の明細書からの抜粋だ。

本開示は、特定の場所に関する品質測定基準を決定する手法および装置に適用される。

場合によって、場所の品質測定基準は、ユーザーがその場所を訪れるために費やしてもよいとする時間に基づいて決定されるものと考えられる。たとえば、ある場所に向かうために費やす時間は、その場所に到着するために実際に移動する1つ以上の距離の値と、その場所に到着するために移動してもよいと考える1つ以上の距離の値の比較に基づいて決定される可能性がある。

実際に移動する距離の値は、1人以上のユーザーがその場所に到着するまでにかかる実際の時間を示し、移動してもよいと考える距離の値は、その場所に到着するまでに費やしてもよいと考える時間を示す。

この特許が出願されたのは2013年5月のことだ。ということは、グーグルは少なくとも3~4年前から、この機能を実験してローカル検索に組み込んでいたのかもしれない。この1年間で、Androidユーザーや他のモバイルプラットフォームのGoogleマップユーザーから得られる距離と移動に関するデータは増えている。したがって、この検索順位決定要因が重視されるのは時間の問題だったのかもしれない。

損なわれた検索結果

僕には、距離の近さをこれほど重視することで、ほとんどの業種でかえって検索結果の順位決定の質が大きく低下したように思える。

僕なら、弁護士が近くにいるかどうかなど気にしない。信頼でき、地域で名前が知られていて、よい仕事をしている弁護士を雇いたいと思うだろう。優れた弁護士がいる法律事務所に行くために運転時間が20分増えたところで、まったく問題はない。また、すぐ近くで営業しているピザ屋より、地域で一番のピザ屋を探したいと思うだろう。同じことは、考えうるすべての業種に当てはまる。

例外があるとすれば、ガソリンスタンド、緊急修理サービス、緊急鍵開けサービスくらいだ。

僕の意見では、距離の近さを重視するというグーグルの施策は、ローカル検索結果の質を大きく損なっている。人々が探しているのは、最も質の高いサービスを提供してくれるビジネスであって、最も近くにあるビジネスではない。

これがグーグルのローカル検索結果の標準になるのであれば、人々はビジネスを探すときに別のサイトを使い始めるのではないだろうか。Yelp、TripAdvisor、Avvo、Angie's Listといったサイトだ。僕はすでにそうしている。

ローカル検索順位追跡への影響

ローカル検索順位追跡ツールのほとんどは、場所を地域名で設定する。つまり、地域が中心地点になるわけだ。順位追跡ツールで報告されるローカルパックやローカル検索画面の結果が、ユーザーやクライアントが検索したときに目にするものと異なる可能性は非常に高い。

より正確な結果を得たい場合は、場所を郵便番号で設定できる順位追跡ツールを使う必要がある(ちなみに、WhitesparkのLocal Rank Trackerもある)。

また、順位追跡レポートの内容が、その地域にいるユーザーに表示される内容と完全に一致することは決してないこともわかるだろう。管理すべき変数があまりにも多いからだ。検索者までの正確な距離を順位追跡ツールが正しく把握することはできない。さらに、利用されているデバイス、ブラウザのバージョン、カスタマイズ設定などによって違いが生じるし、時刻によって違いが出る可能性もある。検索結果が1時間ごとに変更されることもあるからだ。

順位追跡レポートは、ローカル検索結果に表示される回数が全体として増えるか減るかを測定するために利用するもので、地域内にいて検索したときに表示される順位とまったく同じものだと考えてはいけない。

ローカルSEO戦略への影響

ローカルSEOの役割はなくならない。それどころか、今や競争はますます激しくなっている。ビジネスがローカル検索結果に表示される可能性は、以前より低くなった。したがって、ローカルオーガニックや最適化の取り組みに乗り出す必要があるのだ。

  • ローカルSEOレポートでトラフィックの減少や検索順位の下降が見られ、この点についてクライアントに説明する必要がある場合、ローカル検索対策の担当者は、この質問に答える新しい情報で武装できるようになった。「それは私のせいではなく、グーグルのせいなのです」と。

    ビジネスが検索結果に表示されるエリアをグーグルが小さくしたので、ローカルパック結果からのトラフィックや流入を減少させる結果になっているのだから。

  • ローカルパックやローカル検索画面にビジネスが表示されるようにするには、最適化の取り組みを強化する必要がある。

  • ローカルオーガニック検索結果に表示される機会(コンテンツやリンク)を増やそう。検索パックに表示されるチャンスは減っても、ローカルオーガニック検索結果であれば、地域全体の検索結果に表示されるチャンスは今もたくさんある。

    現時点でローカルオーガニック検索結果は、検索者の現在地ではなく、地域が基準となっているのだ。このことは、どのような検索語でも確認できている。

  • 「外れ値」に注目しよう。検索者から遠く離れているにもかかわらず、高いローカル検索順位を獲得しているビジネスを調べるのだ。そのビジネスは、他のビジネスよりもグーグルのレーダーに引っかかりやすくするために、コンテンツ、リンク、クチコミ、言及といった点で、どのような取り組みをしているだろうか。

  • ローカル最適化の取り組みをグーグル以外に広げよう。Yelp、BBB、TripAdvisor、Avvo、Angie's Listなどで確実に取り上げてもらえるようにする。その上で、プロファイルを掲載し、最適化を行い、できる限り多くの情報を載せてプロファイルを改善しよう。

    次に、グーグルだけでなく、これらのサイトでクチコミが増えるようにする。ローカルパック結果がどうにも役に立たないものになれば、多くの人々がYelpのトップ10リストなどをチェックし始めるだろう。したがって、そうしたリストに載る必要があるのだ。こういったサイトでは、クチコミが多くなるほどサイト内検索結果の順位が上がる。

    そして、人々が「グーグルのローカルビジネス検索は、検索結果の質が低い」と見捨てるようになったとき、他のサイトで彼らを待ち受ける準備は完了だ。

1つの地域で競合が多いビジネスほど、検索対象範囲が狭められるため、ローカル検索結果に表示される確率は低くなる。だが、がっかりしてはいけない。近隣の人々に自分のビジネスを検索してもらえるチャンスは広がるのだ。そして、取り組みを拡大すれば、ローカル検索によって成長するビジネスはまだたくさんある。

ローカルパック結果で地域が大きく狭められたことに気づいていただろうか。具体例や意見があれば、ぜひコメント欄に書いてほしい。

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