各社の事例でわかるオウンドメディア運営の「企画」「構築」「成果」ノウハウ

オウンドメディアで山積みの課題を一気に解決! メディアのリニューアルで押さえるべき5つのポイントとは?

課題が山積みなら、リニューアルはメディアを成長させるチャンスです。オウンドメディアのリニューアルで大切な5つのポイントを解説します。
森重湧太(スマートキャンプ) 2017/4/13(木) 7:00 |
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オウンドメディアのここを改善すればもっとよくなるはずなのに……

こんなことを日々考えていませんか?

オウンドメディアを何年も運営していると、いろいろと気になる点が出てきます。それでも、細かな修正ではなく全面リニューアルとなると勇気が必要で、なかなか実施できないものです。

「クラウド時代のビジネスメディア」をコンセプトにした「ボクシルマガジン」は、2016年12月に大幅なリニューアルを行いました。今回は、オウンドメディアのリニューアルについて解説します。

オウンドメディアをリニューアルするときの5つのポイント
  • 社内で問題意識を共有しておく
  • 不安な点は必ず事前に専門家に相談して見通しを立てておく
  • リニューアルの期間とコストを設計する
  • リニューアル時に最新のトレンドを取り入れる
  • 記事の移行作業を実施する

ボクシルマガジンの役割は「見込み顧客の獲得と認知拡大」

ボクシルマガジンは、2015年4月にスタートしたオウンドメディアです。構想は2015年の1~2月あたりなので、2~3か月の短期間で立ち上がりました。

ボクシルマガジン
「クラウド時代のビジネスメディア」がテーマのボクシルマガジン(サイトで見る

本体となる「ボクシル」は法人向けのクラウドサービス比較サイトです。チャットツールや勤怠管理ツールなどをはじめ、多くのクラウドサービスを探せるようになっています。現在は2,500社のサービスが掲載されており、月に4,000件ほどのマッチングが発生しています。

ボクシルマガジンは、クラウドサービス提供企業の見込み顧客の獲得や認知拡大を目的に、ビジネスコラムやクラウドサービスに関する記事を配信しています。記事にサービス名を掲載することで、クラウドサービスに関するキーワードでは安定して検索上位を占めています。

1年半オウンドメディアを運用して浮上してきた問題点とは?

ojogabonitoo/istock/thinkstock
ojogabonitoo/istock/thinkstock

スタートから1年半となる2016年10月、ボクシルマガジンでは大きな課題が浮上していました。それまではWordPressを使って運営していたのですが、本体のサービス基盤であるボクシルとは別の基盤で動いているので、システム上の連携やカスタマイズが難しいという問題があったのです。

たとえば、WordPressで資料請求ボタンをクリックしてもすぐにはコンバージョンせず、一度ボクシル本体のサイトに移動してからでないとデータベースにリクエストを送ることができません。

そうすると離脱率も上がり、コンバージョンが下がるだけでなく、データベースを同一にできないと管理も大変です。WordPressをはじめとした外部のCMSでメディアを運営すると、少なからずこのような問題が起こります。

そこで、ボクシルマガジンのデータベースをボクシル本体と統一することで、記事から直接コンバージョンを発生させる仕組みに変更することにしました。オウンドメディアを集客・マーケティングツールとしてより強化しようという考えです。

現状の問題点と改善できる要素を洗い出して全面リニューアルを決意

仕組みを変更するにあたり、現状のオウンドメディアでさらにユーザーの満足度を上げるための要素をできる限り洗い出しました。アクセス数を増やすだけでなく、コンバージョンの発生しやすいUIにすることが必要です。仕組みだけでなく、より記事の質を上げるために読みやすさやデザインなど表面的なリニューアルも課題に挙がりました。

  • 文字を読みやすくする
  • UIをわかりやすくする
  • 記事の内容をもっと充実させる
  • ビジネスマン向けのデザインにする

洗い出された課題をすべてを満たすために、根本からの大幅なリニューアルを行うことを決断しました。以下はリニューアル前後のボクシルマガジンの画面です。

●リニューアル前

リニューアル前のボクシルマガジン

●リニューアル後

リニューアル後のボクシルマガジン
リニューアル前(左側)から、よりビジネスマン向けを意識してデザインとシステムを全面リニューアルした(右側)

オウンドメディアのリニューアルを行うときの5つのポイント
~計画から実行まで

ここからは、リニューアルを行うときのポイントを5つ解説します。サイトによってポイントは異なりますが、多くのサイトで共通することだと思います。

ポイント1
社内で問題意識を共有しておく

ojogabonitoo/istock/thinkstock
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大幅なリニューアルを行う際は、社内の調整が最初の課題になります。今回は「ここを改善したい」と毎日のように多くの意見が出ている状況で社員全員が現状の問題意識を共有していたため、大きな反対意見はなくスムーズに進めることができました。

リニューアルの結果はどうしても予測不可能な部分がありますが、「リニューアルによって大きな効果が期待できる」ということが全体の認識としてそろっていました。問題意識の共有は、その後の進行にも良い影響を与えます。

ポイント2
不安な点は必ず事前に専門家に相談して見通しを立てておく

リニューアルにあたり心配なことは、次の2点でした。

  • 記事の検索順位が下がるかもしれない
  • 移行の作業負荷がヘビーになるかもしれない

1つ目はSEOに詳しい専門家に相談したところ「内容は変わらないなら、ページの評価も変わらないため問題ない」と回答を得ました。今回はURLが変わるので、リダイレクトの設定を正しく行えばOKであると課題が明確になりました。

2つ目は社内エンジニアに相談しました。その結果「ほとんどのコンテンツはWordPressからデータを書き出して自動で移行できる」ことが判明したため、この心配もほぼクリアされました。

不安な部分は可能な限り事前に見通しを立てておきましょう。技術的な部分は、外部の専門家に相談するのも手です。

ポイント3
リニューアルの期間とコストを設計する

ojogabonitoo/istock/thinkstock
ojogabonitoo/istock/thinkstock

社内調整がついて見通しも立ったら、リニューアルの計画を立てます。想定される作業量を勘案して、今回は社内のみで完結できると判断し次のように決めました。

  • 期間は1か月
  • デザイナー1名とエンジニア1名のチームで実施
  • 自動で移行できなかった場合の修正はインターンシップの学生に依頼

リニューアルでは要因が複雑になるため、「どれだけ伸びるのか」という予想を算出するだけでも相当な時間がかかります。今回は「リニューアルをするべき」という意思が社内で固まっていたので、入念なシミュレーションよりもスピードを重視して計画を立てました。

「リニューアルはお金がかかる」と思いがちですが、進め方によってはそんなことはありません。今回は社内リソースとしては社員2名だけです。詳しくは後述しますが、今回は自動で移行できなかった記事も多くその作業だけインターンシップで来ている学生に協力してもらいました。2人月分の人的コストとインターンシップの時給コストを合わせても100万円かかっていないくらいでしょうか。

リニューアルにかかったコスト
リニューアルにかかったコスト

基本的には「リニューアルを進めること」を優先して、ビフォーアフターで数値を比較して検証する形をとりました。数値の検証については後述します。

ポイント4
リニューアル時に最新のトレンドを取り入れる

ちょうどグーグルが「モバイルフレンドリーなサイトを上位にする」と発表したタイミングだったこともあり、モバイルの見え方もあわせて再設計しました。大規模なリニューアル時は、最新のトレンドに対応するチャンスでもあります。

今回はデザインだけではなく裏側のシステム面も強化したので、こうした普段はなかなかできない改善も一緒に実施しました。リニューアルの際は、どんな仕組みやコンテンツが望ましいとされているかの最新トレンドをきちんとチェックしましょう。

デザインについては、ボクシルマガジンのスタート当初は「ポップで親しみやすいデザイン」を目指していましたが、ターゲットをビジネスマンに定めて大人向けの男性ファッション雑誌のようなテイストでデザインを再設計しました。1年半の運用で、特に利用が多いのは20~40代の男性だということがわかっていたからです。

ポイント5
記事の移行作業を実施する

リニューアル全体を通して一番苦労したのは、記事の移行作業です。WordPressから自社システムへの記事データの移行はある程度は自動化して流し込めましたが、デザインが大幅に変わっているため記事のレイアウトが崩れ、想定以上に人力の作業量が増えてしまいました。

人力で修正する際は、メンバーのHTMLなどの知識が一律にそろっていないと大勢で一斉に取りかかってもうまく進められません。今回はあとからそのことに気付いてHTMLの研修を行いましたが、本来であれば必要な研修はリニューアル前に済ませておくべきだったというのは反省点です。

リニューアルしたあとは必ずビフォーアフターを比較する

ojogabonitoo/istock/thinkstock
ojogabonitoo/istock/thinkstock

今回のリニューアルは「コンセプトチェンジ」と「もろもろの問題を解決すること」が大目的だったので、数字の上下はそこまで厳しくは追っていません。そのなかで唯一注目したのはセッションあたりのPVの増減です。回遊率が上がるようにナビゲーションを追従にしたり、関連記事を表示したり、ランキングを作ったりといった修正の効果が出ているかを測りました。

結果として、リニューアル後はトップページのアクセス数が大きく増えました。数字でいうと90%以上改善し、資料のダウンロード回数も10%以上向上しました

これは、狙いどおりサイト内の回遊が増えて、個別の記事からトップページへの道筋がわかりやすくなったことを意味しています。大幅なデザイン変更でグローバルナビゲーションを改善し、UIを見直したことの効果が数字に表れています。

URLが変わったことに関しては、リダイレクトの設定が上手に機能しました。新しい改善項目の効果もあり、新しいURLの記事も順位が元に戻るかむしろ改善されるといった結果に落ち着いています。

さらに、ダウンロードしてもらいたい資料を大きく打ち出したり、新しくポップアップを出してユーザーにアプローチしたりできるようになり、施策の幅も広がりました。リニューアル前からPVが上がっただけでなく、新しい施策でもコンバージョンが発生しているので、今回のリニューアルは成功だったと考えています。

このように「新たな施策が狙いどおりになっているか」「リニューアル前後で何がどう変化したか」は必ずチェックしましょう。リニューアル後に数字が悪い場合は、急いで原因を探って対応する必要があります。

リニューアルを「するべき」か「しないべき」か。その判断基準は?

オウンドメディアのリニューアルは、それまでに蓄積した資産が大きいほど負荷が高く、実施するには決心が必要です。リニューアルはどんなときに行えばいいのでしょうか?

1つの判断基準は、「ここを直したい」「見づらい」「こういう施策をしたいができない」など、社内でアイデアや改善案が日々生まれて「課題が山積み」になっていると感じたら、リニューアルを検討する時期です。

各課題をまとめて解決するという直接的な効果もありますし、現状が問題だらけであるという事実を社内で共有することもできます。つぎはぎで細かな修正を重ねるよりも、一度まっさらの状態から再構成することでメディア全体を大きく改善することができます。

リニューアル後も新たな挑戦と課題を積み重ねてサイクルを回す

ボクシルマガジンでは、リニューアルした後も新たな取り組みに挑戦しています。今目指しているのは、大きく次の3つです。

  • サイトを認知してもらうためのバズコンテンツを増やす

    サイトの認知を目的に、記事個別の収益性には目をつぶったバズコンテンツを作る取り組みをスタートしました。SNSやソーシャルブックマークサービスでも、コメントにサイト名を書いてシェアしてくれるようになってきています。

  • ビジネスメディアとしてのブランドを確立する

    「ビジネスマンによりわかりやすく、価値のあるクラウドサービスの最新情報を送り届けるメディア」としてブランドを確立することを目指しています。今後はクラウドサービスやSaaSの使用レポートを開始します。

  • ユーザーに価値を提供し、SEOも強固にする

    ボクシルはマッチングプラットフォームとしての役割だけでなく、SEOに強い記事が合わさり成り立っていることが強みです。しかし、SEOのテクニックだけではユーザーに価値を提供できません。ユーザーを第一にした記事を作ることでSEOも強化していきます。

このような取り組みをしつつ、サイトのリニューアルは何度も繰り返すことになると思います。

今回のリニューアルでは「どのランディングページから入ってきてコンバージョンが発生しているのか」といった数字を取得できるような裏側の設定を行いました。新しい記事を配信していくと「この数字が取れていない」「ここは修正した方がいい」といったことに気が付きます。それが「次のリニューアルで大々的に変更した方がいい」という案につながっていきます。

この流れを繰り返し、リニューアルのサイクルを回すことでメディアは大きく成長していきます。現状の自社メディアに複数の課題を感じていたら、リニューアルも検討してみてはいかがでしょうか。

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