【レポート】デジタルマーケターズサミット2017

「グロースハック型」デジタルマーケティング、3つのポイントと実践方法

モニタリングしながら継続的に改善していくためには?
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デジタルマーケティングでは、一度サイトの構築・改善をしたらそれで終わりではなく、目標に向かって改善を繰り返すことが重要だ。

データを活用し、ブランディングとコンバージョン双方の実現に向けた統合デジタルマーケティングをプロデュースする博報堂アイ・スタジオの木内氏と蔡氏は、次のように言う。

改善を繰り返し、個人の主観的判断ではなく、客観的なテスト結果や数字から、効果の高いコミュニケーションをデザインすることが「グロースハック型」なのだ

その実践ポイントを「ユーザ行動データを明確化し、成果を向上させる! 『グロースハック型』のデジタルマーケティング手法と実践方法」と題して、「デジタルマーケターズサミット2017」で語ってくれた。

木内 隆裕氏蔡 復全氏
株式会社 博報堂アイ・スタジオ データドリブンクリエイティブセンター グロースハッカー 木内 隆裕氏(左)と蔡 復全氏(右)

グロースハック型デジタルマーケティングとは

マーケティングの世界では、「グロースハック」という言葉が流行っている。マーケターはグロースハッカーであれという言い方もある。グロースハックとは何か。簡単に言うと、「モニタリングしながら、継続的に改善していく」ことをグロースハックと呼ぶようだ。蔡氏は、定義には大きく分けて次の2つがあると言う。

  • 広義のグロースハック → ビジネス本質の価値となるサービス(製品)を改善すること
  • 狭義のグロースハック → ビジネス本質の価値となるサービス(製品)以外を改善すること

デジタル分野は「狭義のグロースハック」に近い。顧客行動を理解するために最適なツールで解析したうえで、顧客とのコミュニケーション接点をデザインするメディアをうまく使って顧客体験を向上させていく。また、「グロースハックを実践する際に最も重要なポイントは、目標に向けて小さい改善を繰り返すことによって大きな成果を生みだすこと」だという。その時に注意すべきは、次の3点だ。

  • 個人の主観的な枠にはまらない
  • テスト結果の数字が答えである
  • テスト結果から、より効果の高いコミュニケーションをデザインする

よく使われるAARRRモデルが、グロースハックのフレームワークとなる。

  • 獲得(Acquisition)
  • 活性化(Activation)
  • 継続 (Retention)
  • 収益化 (Revenue)
  • 紹介 (Referral)

の5つのステージに分けて、改善箇所を特定し改善を導くというものだ。たとえばECサイトなら、各レベルの指標は次の図のようになる。

図 AARRRの具体的な指標

デジタルマーケティング実践、5つのステップ

実際のグロースハック型デジタルマーケティングは、次の5つのステップで進める。

図 デジタルマーケティング実践フロー

STEP1ゴール定義

サイトの種類に応じて、ゴールとそこに至るファネルを定義し、ファネルごとにKPIを設定する。ゴールは、商品サイトであれば見学予約や資料請求、ECサイトであれば購入、SNSであればフォロワー数やいいね!の数といったように、サイトの種類によって異なる。適切な目標を設定することが最初のフェーズだ。たとえばECサイトで購入完了(コンバージョン)までにトップページ、商品詳細、カートと遷移するなら、それぞれにKPIを設定する。

【KPIの例】
  1. トップページ訪問数
  2. 商品詳細閲覧数
  3. カート投入数
  4. 購入完了数

STEP2現状把握

それぞれのKPIを計測し、パフォーマンスを把握する。たとえば前出「KPIの例」の図におけるKPI①が1000でKPI②が200であれば、直帰率が80%ということだ。

図 現状把握

STEP3プランニング

把握したパフォーマンスからボトルネックを抽出し、改善施策を検討する。図の例では、次のような問題点があり、改善策が考えられる。

KPI①の改善案 → サイト訪問者が少ないので、集客方法に問題がある。改善策としては、オウンド、ペイド、アーンドの活用を検討。

KPI②の改善案 → 直帰率が高いので、トップページに問題がある。離脱防止のためにUIを改善する。

KPI③の改善案 → カート投入率が低く、商品の訴求に問題がある。魅力を訴求できていない場合はコンテンツを改善。

KPI④の改善案 → 購入完了率が低く、フォームのUIに問題がある。フォームのUIを改善。

これらの改善策をすべて実施するのは難しいので、効果のインパクトの高い施策を選定する。この時、イメージや好みで決めるのではなく、それぞれをどのように改善するか、その結果、CVがどの程度向上するかをシミュレーションする。この例では、次のような施策で考えてみよう。

KPI①の改善案で、サイト訪問者を1000から1500にする

KPI②の改善案で、直帰率を80%から50%にする

KPI③の改善案で、フォーム遷移率を50%から75%にする

KPI④の改善案で、フォーム離脱率を90%から80%にする

それぞれの施策を実施した場合の効果を比較し、最も効果の高い施策に取り組む。比較するには、次のような表にしてみる。

図 プランニング

この例では、予約完了(CV)が最も増えるのはKPI②の改善案であるランディングページのUI改善なので、これを優先的に実施すると決定する。当てずっぽうに施策を決めるのではなく、きちんと計算してみることが重要だ

STEP4改善施策実施

コンバージョンに最も貢献できそうな施策がわかったら、テストを繰り返しながら優先的に実施する。このとき、サイトのフルリニューアルや情報設計を大きく見直すといったドラスティックな変更で大きく成果を出すのではなく、小さな改善を繰り返し積み上げることで目標指標の向上を狙うのが重要。たとえば、次の3つの手法がある。

  • ABテスト: 効果の高いクリエイティブやページ要素を検証
  • パーソナライズ: ユーザー属性や行動、環境、流入元などに合わせたページを表示
  • 入力フォーム最適化(EFO): エントリーフォームのテストを繰り返し、離脱を減らす

STEP5効果検証

最後のステップで、結果を評価し次の改善策を検討する。一度やって終わりのリニューアルや施策ではなく、サイクルを回して小さい改善を繰り返すことが重要。得られた知見やノウハウを、次の施策に活かして効果を高める。

KPIを分析して問題点を抽出、改善すべきことが明確に

最後に、このようなステップで成果の出た事例が紹介された。ECサイトをもたない小売店におけるデジタル広告運用の事例では、ビジネスゴールから逆算し、ファネルを設計。各KPIとなるポイントを分析した結果、3つの問題点が明らかになった。それぞれの問題点に対し、次のような改善策を実施。結果、デジタル施策全体のゴールとして設定した店舗検索遷移数が約2.5倍と効果が出ている。

【問題点】
  1. 商品を訴求したバナークリエイティブCTRは良かったが、CVRが低い

    データ分析により、バナークリエイティブとランディングページのデザインの整合性がとれていない場合に離脱が多いとわかった。改善策として、LPのメインビジュアルを変更。バナークリエイティブと同様のデザインにしたところ、CVRが約11から約13%に改善した。

  2. 商品は複数あるが、ある商品は他に比べてバナーのCTRが低い

    サイト来訪者属性を分析すると、商品ターゲットの高年齢層はサイトに来訪していた。いままで来訪していなかったユーザーへアプローチするすることでCTRを向上させること狙い、バナーのクリエイティブを若者向けに変更したところ、CTRが微増した。

  3. 既存ユーザーより若い層へのアプローチを増やしたい

    PCでアクセスするユーザーは年齢層が高いので、広告プランをスマホ中心に変更したところ、若年層のアクセスが約10%から約20%に増加した。

また、株式会社CONNECTITの「スマホで年賀状」アプリでは、ユーザーのステージごとに適したクリエイティブでアプローチした。クリエイティブの改善ではABテストを実施し、パフォーマンス高いクリエイティブを開発。成功のポイントは、次の2点だ。

  • 顧客体験向上のための施策と同時に、顧客行動に合わせて適切なコミュニケーションを設計
  • 短いスパンでテストを実施し、効果の高いクリエイティブを開発することで、施策のパフォーマンスを高めた

いま求められるグロースハック型デジタルマーケティングとは、顧客体験向上に向けて、改善を繰り返すことでデジタルマーケティングの効果を高め、ビジネスを成長させること。実践ポイントをあらためてまとめると、次のとおりだ。

【実践ポイントのまとめ】
  1. 個人の主観的な枠で考えず、数字からユーザー行動を読み解く
  2. 顧客体験向上のための施策と、顧客行動に合わせた適切なコミュニケーションを設計
  3. テスト結果の数字を見て効果の高いクリエイティブを開発し、施策のパフォーマンスを高める

つまり、目標に向けて小さい改善を繰り返すことによって大きな成果を生みだすのがグロースハック実践のポイントだ。ときにビジネス本質の価値となるサービス(製品)の改善にも踏み込んで成果に結びつけてきた博報堂アイ・スタジオのグロースハッカーのセッション内容は、実践する価値があるのではないだろうか。

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