編集長ブログ―安田英久

他人はあなたと違う。だからWeb担当者やマーケターには「相手がわかるように伝える」スキルが必要

コーヒーの風味を人が味わえるようにするには水が必要。Webやデジタルの専門的なことも、それをわかりやすく伝えられる人が必要

今日は、デジタルに明るい立場のあなたが、そうではない人たちに理解してもらい、その協力を得て、うまく仕事を進めるために大切な、考え方や姿勢について。

デジタルを活用して仕事を進めようとしているのに、上司や仲間があなたの考えていることをちゃんと理解してくれず、話が通じずに困ったことはありませんか? 自分では「こうすれば良い結果が出るはずだ」と思っているのに、それが理解されなかったり、思ってもいないところでひっかかられたり。

で、思っちゃうんですよね。

ダメだ、この人たち、わかってない。

そもそもデジタルの知識がなさすぎて会話にならない。

でも、他人と一緒に仕事を進めるとき、特に、得意分野や経験のバックグラウンドが違う人たちと一緒に何かをするときには、ちょっと考え方を変えてみるのはいかがでしょうか。

専門家のもっている情報を人に伝える「水」のような役割

最近公開された、あるインタビュー記事で、「これだ!」という非常にわかりやすい表現がありました。「Black Hat」という世界的なイベントをはじめとしてセキュリティ関連のフィールドで活躍しているEl KentaroさんにSecuriTeamがインタビューした記事です。

「あなたの専門分野は?」という質問に対して、Kentaroさんは次のように答えています(編集部で改行を追加しています)。

何の専門家でもないですし、そのことに誇りを持っています。

というのも、私は、優れた人たちがすばらしい研究の成果を発表したり議論したりする際の「情報の受け渡し役」でしかないからです。

と言っても、単に翻訳したり通訳したりするだけではありません。「専門家」の人たちが伝えようとしていることを可能な限りわかりやすく説明すること、それが、セキュリティに明るくない人たちにとっての非専門コンサルタントとしての私が重きをおいていることです。

自分の果たす役割は水のようなものだと思っています。コーヒーの風味を、それを味わうだれかの舌に届ける、なめらかな水です。専門家(コーヒー豆)は、すばらしい情報(味など)をもっています。でもそれ自体は、水がなければ単なる粉であり、人々が理解する(コーヒーとして味わう)のはなかなか難しいものです。そこに、私の役割があるのです。

私は、専門家がコミュニケーションしたり仕事を進めたりするのを助けているだけなのです。そういう意味では、自分のことを「言葉のハッカー」だと思っています。だから、他人とどのようにコミュニケーションするか、どういった言葉を使うかについては、相当意識しています。

これってWeb担当者にとって重要なスキル!

企業内でWeb担当者として活躍している人たちと話していると、同様のことを耳にします。つまり、「知識がない・経験がない人たちでも理解できるように、Webやデジタルのことをかみくだいて説明する能力」がかなり重要だということですね。

もちろん、「自分が優れていること」「高度なことを考えて実行できること」も大切ですよ。でもね、実際には、それに加えて(いや、それ以上に?)「相手にとってわかりやすい言葉や表現に“翻訳”して伝える」能力が大切なのです。

そりゃそうですよね。自分だって、デジタルの仕事をしていなかったら、「クッキー」「リターゲティング」「タグマネージメント」「DMP」「RTB」「DSP」なんて、なんのことかわかってなかったと思います。

だとすると、デジタルに仕事で携わっていなかった人たちが、ちょっとした用語や概念を理解していなくても、何の不思議もありません。

そういう状態の人に「CVRが」「ROASが」「エンゲージメント率が」なんて言っても、わかるはずないですよね。

で、わかるはずがないのに「こんなこともわからないのか」みたいな態度で話されたら、協力しようなんて気もなくなっちゃいますよね。

そもそも、われわれはけっこう長い時間をかけて、Webやネットやマーケティングのことを学んできました。少しずつ段階的に学んできたから、複雑なこともなんとか把握できていますし、新しい概念が出てきても、そのざっくりとした意味合いを何となくでも掴めます。

では、去年までデジタルとは無縁の仕事をしてきた人が、あなたが10年以上かけて少しずつ学んできたことを、1年ですべて同じように理解できると期待するほうが、間違っているような気がしませんか?

他人はあなたと違う――経験も重視することも

また、興味や関心、さらには優先度の具合は、立場によって違います。

私にとっては、Webサイト表示時のHTTPリクエストの本数は気になることですし、文字を見ると字詰めが気になります。猫には反応しますが、最近は犬にはあまり反応しません。売上よりも読者さんの仕事に役立てているかのほうを重視しますし、ウケるよりも信頼してもらえるほうを選びます。

でも、私が営業の立場だったら、おそらくそんなことよりも売上や潜在クライアントへのリーチを重視するでしょう。もしかしたら、本当に重要視するのはクライアントの予算かもしれません。Webや広告のトレンドを知るよりも、営業時のフックになる話題のほうが気になりますから、そうした話題のために日経新聞を読むでしょう。

情シスに所属していたら、サーバーやネットワークの可用性や速度、さらには管理コストをどう下げるかを気にしますし、世の中のセキュリティトレンドをもっと気にするでしょう。

役員だったらまた全然違うでしょうし、人事でも経理でも違うことを重視します。

要は、「他人はあなたと違う」んですよ。経験も、知識も、成功体験も、重視することも、理解していることも、理解できていないことも。

でも、Webやデジタルを事業のなかで活用するには、何らかの専門的なことは必ず出てきます。その専門的なことを理解して認識を同じにしてもらわないと、本当に大切な会話が進められないんですよね。だとすると、それを「相手にとってわかりやすく」説明するスキルが大切なんですね。

だって、相手に協力してもらうことが必要なんですよね? 自分1人では絶対に進められないから仲間と一緒に仕事を進めるんですよね?

じゃぁ、専門用語を並べるのではなく、自分の優れている点を前に押し出すんじゃなく、「相手がわかる」「相手が理解しやすい」ように説明して、「なるほど、よっしゃ手伝ってやるか」と思ってもらうことのほうが、よっぽど大切ですよね。

そして、それをうまくできる人が、本当の意味で「優れたWeb担当者」なんだと思います。

20年前、企業のWeb担当者のほとんどは「変な人」「オタク」でした。だって、Webなんて会社からみたら変なものですし、実際にビジネスへの影響は小さかったんですよね。だからその当時は「わからないやつはわからなくていい」でした。Webの可能性を理解して実験的に取り組む意欲がある人だけがWebに携わってたんですから。

でも、今やWebもモバイルも企業活動にとっては当然のことになっています。だから、企業活動としてちゃんとデジタルに取り組んでいかなければならないし、そうする価値があるんです。だから、「自分ががんばる」ではなく、「組織で進める」ようにしないと進まないんですよね。

そういう意味では、El Kentaroさんのインタビューへの回答が、ほんとうにすばらしい内容だと思います。

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