ウェブ制作あるある

ウェブ制作あるある――Webリニューアルのコンペ失敗3つの“あるある”とその対策

「コンペ成功のポイント」「こんな制作会社はダメだ!」「こんなコンペは嫌われる!」などの情報も必見!
坂本直樹(トランスコスモス) 2017/1/19(木) 7:00 |
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この記事では、「コンペあるある」として、企業Webサイトリニューアルのコンペでありがちなトラブルを3つ紹介します。そのうえで、トラブルを避け、より良い提案をコンペで引き出すための「コンペ成功のポイント」を3つ解説します。

また記事の後半では、「こんな制作会社はダメだ!」「こんなコンペは嫌われる!」というポイントも解説します。

企業サイトをリニューアルする場合、通常、次のような工程をとります。

  1. 社内ニーズの吸い上げ
  2. RFPの作成
  3. コンペの開催
  4. 発注業者の選定

実際には、このうち「コンペ」がなかなかの曲者で、あるある事例の宝庫といっても過言ではありません。

ウェブサイトのコンペあるあるトップ3
  1. オリエンの場でチグハグな要求が部門ごとに噴出して制作会社さん困り顔 ―― 事前に調整していたはずなのに、後になって社内の各部署から「ああしたい」「こういう事情がある」と追加要求が……。

  2. RFPってなんだ? ググッて見つけた雛形で適当に作ったら大失敗 ―― コンペを経て集まった提案は、てんでバラバラで判断できない。よく見ると、各提案はRFPに沿っている。でも、どれも欲しいものではなかった。もしかして、わからないまま作ったRFPが問題!?

  3. 制作会社に内示を出したのに社長の反対でドンデン返し ―― 時代の変化にあわせて大きくリニューアルするすばらしい提案。しかし、実は前のサイトは社長の肝いり。その内容を否定する企画に、社長がへそを曲げてしまい……。

あるあるケース① オリエンの場でチグハグな要求が部門ごとに噴出して制作会社さん困り顔
社内ニーズの抽出とリニューアルの目的の共有に失敗……

中堅機械メーカーの広報部に所属するサトウさんは、自社ウェブサイトのリニューアルプロジェクト担当となった。サトウさんにとってリニューアルは初めての経験だ。

5年前のリニューアル時の資料を参考にRFPを作成し、既存の制作会社に加えて新規の数社に参加してもらってコンペを開催することにした。

そして、大切なオリエンの当日を迎える。

1社目は、新規の制作会社R社だった。

弊社のリニューアル要件は以上になります。何かご質問はありますか?

ひととおりプロジェクトの要件を説明し終えて制作会社の反応を待つサトウさんは、同席している社内他部署の担当者がザワついているのに気がついた。

まず、海外事業部のスズキさんが口を開いた。

あの~、社内のことで恐縮なのですが、ちょっと失礼します。

スズキさんはR社を気遣ってからサトウさんに言った。

外国語版サイトは、内容はそのままでデザイン変更だけなんですか? 新しく事業所を開いた国もいくつかあるし、かなり変えたいところがあるんだけど……。

え? 先日打ち合わせしたときには……。

先日はデザインの話しかしてなかったから。

……。

制作会社を前にしての急な変更に、サトウさんは戸惑いを隠せなかった。

続いて、情報システム担当のタカハシさんが口を開いた。

あの~、システムの件ですけど、RFPにはCMSの使用は任意で提案となってますが、現状のサイトは自動更新の箇所が結構たくさんあるのですが。

え? 先日サーバーについてお聞きしたときには、そのようなことは聞いてませんよ。

ええ。サーバーについては問題ないけど、CMSについては何も聞かれなかったので。

……。

……。

サトウさんはすでに苦渋の面持ちであったが、そこに営業部のタナカさんが追い討ちをかけた。

あのさ、内容確認の期間が1週間しかないんだけど、この期間で全部チェックするのは難しいんだよね。

あ! そもそもこの時期は大きな展示会があるから、実質的に不可能だ。いま気づいたよ。

サトウさんは、頭を抱えてしまった。確かに、社内での要望ヒアリングに不足があったかもしれない。しかし、海外事業部のスズキさんや営業のタナカさんの言ったことは初耳だ。

しかし、ここで社内事情のディスカッションを続けるのは、R社にも迷惑だ。サトウさんはR社に詫び、新たなRFPを配布することにしてこの場は引き取ってもらった。

あるあるケース② RFPってなんだ? ググッて見つけた雛形で適当に作ったら大失敗
RFPを「提案依頼」で考えてしまい、「評価軸」で考えていなかった……

コバヤシさんの会社は、7年ぶりにウェブサイトをリニューアルすることになった。そうはいっても、コバヤシさんにサイトリニューアルの経験はない。

「こんなときこそ検索だ!」コバヤシさんはサイトリニューアルについてネットで調べたところ、どうやらRFP(Request For Proposal、提案依頼書)というものを作ってコンペを開催するということがわかった。

ネットで見つけたRFPの雛形を元になんとか形にし、上長である広報部のイトウ部長に確認してもらったうえで、5社のウェブ制作会社にコンペ参加を依頼した。

コンペ結果が出揃い、コバヤシさんと部長は、制作会社の選定とその結果を上申するための打ち合わせを行った。しかし、二人は浮かない顔である。

この提案、てんでバラバラで、どう評価したらいいかわからないよね。

やっぱりそう思われますか……。

まず、こっちの2社は、うちが求めているものとかけ離れていて話にならない。

残り3社を見ても、見積価格が下は300万円から上は8,000万円まで。一応RFPの項目ごとに見積り明細が記載されているとはいえ、内容がまちまちで高いのか安いのかよくわからん。

そうですよね。

まあ、8,000万円はないとして、うちの予算感に合うのはP社の2,200万円かな。

しかしP社の提案は以前のサイトに比べて何がどう良くなっているのか、いまいちわからん。

なんていうか、うちが本当に欲しい提案を引き出せていないような気がします。

そうだね。ピンポイントではやりたい内容はあるんだけど……。今の状態だとすべての提案を同じ尺度で計れないから、決めようがない。

改めてすべての提案を見直してみると、各社ともにRFPに忠実な提案をあげており、制作会社側には大きな問題はないといえた。

結局、コバヤシさんは自分たちが「どのような提案を求めているか」「どのような尺度で選定するか」を念頭において依頼内容を再考したうえで、各社に再提案してもらうことにした。

あるあるケース③ 制作会社に内示を出したのに社長の反対でドンデン返し
前任者への気遣いや、決裁権者への誤解ない伝達をうまくできず……

サイトリニューアル担当のワタナベさんは、上司であるヤマモト部長が経営会議から戻ってくるのを待っていた。

リニューアルプロジェクトはすでにかなり進んでおり、社内調整からRFPの作成、コンペ実施、そして発注業者選定まで完了している。あとは、今日の経営会議を経てX社に正式発注するだけだ。

経営会議から戻ってきたヤマモト部長は、なぜか不機嫌そうな様子。ワタナベさんは不安になりながら声をかけた。

ヤマモトさん……経営会議、どうでした?

いや~、参ったよ。X社のリニューアル提案、承認されなかったんだ。

え!? どういうことですか? 先日、X社には口頭で内示しちゃいましたよね。

そうなんだよ。カトウ常務が承認してくれたから問題ないと思ってたらさ、ナカムラ社長が……。

ナカムラ社長は、決断力のあるアクティブな経営者として業界でも知られた存在であった。別の言い方をすればトップダウンで物事を強引に進めるところがあり、社内では恐れられていた。

ああ……いつものですか?

いや、今回はちょっと複雑なんだよ。僕も着任前のことだから知らなかったんだけど、前回のリニューアルはナカムラ社長の肝いりでやってたそうなんだ。

あ……X社の提案は、現状のサイトをかなり否定していましたよね……。

まあ、8年前からはウェブのトレンドもずいぶん変わっているし、むしろ、抜本的に変えてもらわなきゃいけないんだけどね。

それでも、やっぱり気に障ったようで……。

ちょっと誤解してる部分もあるとは思うんだけど。

X社の提案書、かなり分厚かったし、専門的な内容もありましたからね。

当然だけど、社長をはじめ経営層はプランの細かいところまでは見ないから要約版で説明したんだけど、それでも社長の逆鱗に触れてしまったようだ。

まさか、X社の内示を取り消して再度コンペですか?

いや、サイト公開までのスケジュールもあるから、それは避けたいな。

ですよね。X社は提案内容も価格も最適で、予想以上の素晴らしい施策提案もありましたしね。

ヤマモト部長とワタナベさんは、X社に依頼して提案内容を一部変更し、あらためてナカムラ社長への説明を行うことにした。

「あるある」はあなたの社内にも潜んでいる!
コンペを成功させる4つのポイント

前回の「Web制作あるある」では、Web制作の現場でともすればなおざりになりがちな、よくあるトラブルを見ていくことで、それをいかに回避できるかを考えました。

今回の「コンペあるある」も、発注側企業と制作会社が関わるということに違いはありません。ただし、今回はおもに社内側のあるあるが目に付いたと思います。

なぜなら、コンペとは発注側企業にとって「制作会社からいかに優れた提案を引き出すか」が問われる機会だからです。言い換えれば、引き出す側に問題があれば、どんなに優秀な制作会社であっても優れた案を提示するのは不可能である、と言ってよいでしょう。

そういった意味で、今回は制作会社側ではなく、発注側であるあなたの社内に潜む「あるある」なのです。

コンペ成功のポイント①
社内ニーズの抽出とリニューアルの目的の共有

社内ニーズのヒアリングをしていないというのは論外ですが、あるある①のように、たとえ聞き出していたとしても、関係部門から「これは聞いていない」「これもやってほしい」といった意見・要望が、後になって出てくることがあります。

これらは、聞き方の工夫である程度は回避できます。

たとえば、現状のサイトを見せて「どうすればよいでしょう?」というのでは、有効な返答を得るのは難しいでしょう。

そうではなく、「現状のサイトには○○の記述がありませんがどのように扱えばよいでしょうか?」といった具体的かつポイントを絞った聞き方をすれば、相手も具体的に考えてくれます。

また、このような聞き方を複数の項目で行うことにより、一連の質問を類例とすることで、あなたが認識していないニーズを相手に想起させることが可能になります。「それをするならあれもする必要があるかもしれない」という感じです。

こうすることで、見えにくい要望も事前に把握することで、あとになって「なぜ今更」というトラブルを避けられます。

ただし、このような方策を採ったとしても、追加の要望を完全になくすことは困難です。より良いサイトにするために重要なのは、プロジェクトの目的・目標を軸として要望に優先順位を付けることです。

そもそも、サイトリニューアルで制作会社に提案を依頼する際に絶対的に必要なものとして、リニューアルの目的と目標があります。

しかし、それに加えて同じぐらい重要なのものとして、プロジェクトのステークホルダー全員が目的・目標を確実に共有することがあります。

そうすることで、関係各部署の要求に対して優先順位をつけたとしても、それにコンセンサスをとりやすくなります。またその情報はコンペ後の工程にも強く作用して、目的に合致した価値の高いサイトリニューアルを実現しやすくなるはずです。

コンペ成功のポイント②
RFPは「提案依頼」だけでなく「評価軸」で考える

ネットで配布されている雛形をもとにRFPを作成するのは、確かに効率のよい方法だと思います。ただし、ここで注意しなければならないのは、雛形はあくまで雛形であって、あなたのプロジェクトに完全にマッチしているとは限らないということです。

また、それを意識していたとしても、雛形に落とし込んでいくうちに、いつのまにか当初のニーズや依頼内容からズレていってしまいがちです。

では、雛形を活用し、効率と効果を両立するには、どのようなことに気を配ればよいでしょうか?

たとえば、インフラやCMSなどシステムに関する依頼事項は、よほど特殊な事情がない限り雛形を活用しても問題は生じにくいでしょう。

それに対して、企業や製品の理念・ブランド訴求に関することや、ターゲットへのアプローチの仕方に関する箇所は、雛形の利用は最小限に留めるべきでしょう。

というのも、こうしたポイントはBtoBかBtoCといった大きなくくりでもまったく異なります。また、ブランド訴求にどのような表現を採るかといった箇所では、10社あれば10社それぞれに異なる課題とその解決策があるでしょう。こういった分野は極めて定型化しづらいものなので、雛形どおりにはいかないと思うべきでしょう。

つまり、雛形をうまく活用するには、次の2つを明確に分けるのが重要です。

  • 要件を詳細に固めて依頼をする箇所
  • 達成したいことのみを伝えて、どのような手法を採るかは提案側に一任する箇所

前者は雛形を活用し、後者では求める事柄を柔軟に制作会社に伝達する工夫が重要です。ここは、オリエンテーションでの対話が鍵となるポイントでもあります(このような対話に対する制作会社の理解力や応答力、つまり対話力をオリエンテーションの場で評価するのもアリです)。

さらに重要なのは、評価軸と優先度を意識してRFPを作成することです。

あるある事例②のコバヤシさんのケースでは、これを意識していなかったために、バラつきのある提案が上がってきてしまいました。

バラエティに富んだ提案がもらえるのは一見良いことではあります。しかし、てんでバラバラな提案に対して合理的な判断をすることは困難です。合理的な判断をするには、バラエティに富んだ内容であっても、すべて評価軸に沿っている必要があります。

また、こうすることで「なぜその制作会社に発注するのか」ということを決裁権者にきちんと伝えることが可能となります。

“評価軸を意識したRFPの作成”とは、要求事項に対して、次のような点を明確に引き出す内容・項目立てを行うことです。

  • どのように考えるのか(コンセプト)
  • なにをどうやって実施するのか(手法論)
  • その実現性は妥当か(フィジビリティ)

提案する側は、RFPを丹念に読み解き、要求事項を押さえたうえで、その制作会社の独自性・強みを打ち出す提案を目指すでしょう。であるならば、上記のような評価軸による項目立てをすることで、「要求事項への的確な応答および各制作会社独自の提案を引きだすこと」と「評価軸をもとにした判断」の双方が可能となります。

ただし、評価軸をあらかじめ明文化して示すのはあまりお勧めしません。経験上、このような方法で行うと枠にはまった提案がなされがちです(逆に言うと、単に金額で比較・判断したい場合にはこの方法をお勧めします)。

コンペ成功のポイント③
選定後にも落とし穴が!決裁権者への伝達と発注先への内示のタイミング

あるある事例③のヤマモト部長とワタナベさんのケースは、企業で仕事をしている以上、あることです。とくにWebサイトのリニューアルの場合、当然ながら前任者がいるはずなので、前任者への気遣いはある程度必要です。

「前任者が社長だった」というのはかなり稀なケースですが、提案内容を誤解なく決裁権者に伝達するのはとても重要です。

ここでポイントとなるのは、次のことです。

実務でリニューアルプロジェクトに携わるあなたと、プロジェクトを承認する決裁権者では、提案内容をチェックするうえで必要な情報が異なる。

実務で関わる人にとって重要なのは詳細なプランです。

しかし、決裁権者に必要なのは、ひとことで言えば「どのような考えで、どのようなことが行われ、どのくらい投資したら、どのような見返りがあるか」です。

ここで有用なのが「エグゼクティブサマリー」です。

エグゼクティブサマリーは、決裁権者向けに上記の重要な点を軸にプラン全体を要約したものです。通常、A4で5ページ以内、あるいは、プラン全体を俯瞰で見られるようA3で1枚にまとめることもあります。つまり、多忙なエグゼクティブのために、彼らが知りたい情報だけを端的にまとめるということです。

決裁に関わることでいえば、発注業者への内示のタイミングも重要となります。

ヤマモト部長とワタナベさんのケースのように、内示を出した後にプロジェクト撤回の憂き目に遭うのは避けなければなりません。そもそも発注先企業にコンペの成否を知らせるのは、正式に社内承認がおりてからにすべきです(一生懸命提案してくれた制作会社に早くお知らせしたい気持ちはわかりますが)。

したがって、あえて内示という形で発注を知らせるのは、次の2つのケースに留めるべきでしょう。

  • 若干の条件交渉が必要で、その条件がクリアになれば発注することが社内で確約されている場合

  • 決裁権者の承認はおりているが、社内の調達ルールなどの関係で正式発注に時間がかかるといった事務手続きによるケース

こんな制作会社はダメだ!~それでもダメなコンペ参加者はいる~

あなたがどれほど周到な準備のもとにコンペを開催したとしても、ダメな制作会社がコンペに参加してしまうことは避けられません。

ここでは、採用を避けるべき例を挙げてみます。

  1. そもそもRFPの要求事項を満たしていない

    いうまでもなく躊躇せず不採用にすべきです。たとえ部分的にすばらしい内容があったとしても、要求事項への対応に漏れがあるのであれば、そもそもRFPを読み込んでいるのかという基本的な疑念が生じます。

    仮にこのような会社に発注すれば、あなたは常に漏れ抜けのチェックに追われることになるでしょう。

  2. 提案期限を守らない

    論外です。いかに提案内容がすばらしくとも採用は見送りましょう。

  3. ちゃぶ台返しをするが中身がない

    「そもそも目標設定自体に問題がある」「目標を達成するには要求事項を変更する必要がある」など、サイト制作のプロから見ればRFP自体に問題があることもしばしばあります。

    このような場合は、制作会社からのより根本的な提案は、傾聴に値します。

    ただし、制作会社の都合に強引に合わせるためにこのような手法が使われることも、稀にあります。この場合、注意して聞いてみると、「インパクト勝負で内容がない」「実現可能性や持続可能性に乏しい」ものがほとんどです。

    ちゃぶ台返しは、インパクトにとらわれず、注意して扱うべきでしょう。

  4. 小さな会社の共同提案で素性がよくわからない

    得意領域の異なる複数の制作会社・ITベンダーによる共同提案は、よく見受けられます。それぞれの強みを活かしたものであればむしろ歓迎すべきです。

    しかし、「なぜ共同で行うのか」に関していまひとつ合理性が感じられない共同提案は、注意すべきです。

こんなコンペは嫌われる!~制作会社との信頼関係を壊してしまうコンペ~

制作会社を適切に選べて、ちゃんと準備をしていたとしても、コンペの相手は人間です。あなたが制作会社を選ぶのと同じように、制作会社も「お金をもらっても、こことは仕事をしたくないな」と思ってしまうこともあります。

良い提案に加えて、良い関係でその後の仕事を進められるように、次に示す「嫌われる」5つのポイントは避けてください。

  1. そもそも予算・スケジュールが非現実的

    どう考えても非現実的な予算・スケジュールを要求するコンペが、稀にあります。単に相場を知らないという理由でそうなることもあるでしょうし、社内的な事情によることもあるでしょう。しかし、非現実的な要求は制作会社との信頼関係を壊すことになります。

    そうしたコンペに対して無理やり要求に合わせて提案してくる制作会社もあるでしょうが、こうしたプランは往々にして実現不可能です。発注後にスッタモンダするのでは本末転倒です。

    スケジュールや予算に関する一般的な相場というのは確かにあります。一般的な値が想像もつかないというのであればRFPの作成前にRFI(Request For Information)としてコンペ参加予定企業に依頼し、大体の相場観を把握するのもひとつの手です。

  2. やたらに多数の制作会社に声をかける

    たとえば10社にコンペ参加してもらうとします。

    当然ながら1社ずつにオリエンし、1社ずつ提案を聞かなくてはなりません。その後も提案内容を比較検討し、社内からの質問を取りまとめ、最終的な発注先を決定するまでの一連の工程を、一般的には1か月程度の期間で行います。考えただけでもとても大変です。

    どのような提案を受ける必要があるかということを事前にきちんと考え、声をかける企業は3~5社程度に絞るのが効率的です。

    また、コンペでこんな風に言うのはどうでしょうか。

    今回はより良い提案をいただくためにお声掛けする企業を絞り込み、御社を含め3社にしか声をかけていません!

    これなら、コンペに参加する企業のモチベーションも上がるでしょう。

  3. 提出物の要求が過剰

    デザイン案やコンテンツ案をたくさん見たい気持ちはわかります。しかし、デザイン案を10案提出せよ、というのは酷です。

    評価基準さえしっかりしていれば2案~4案程度で十分でしょう。そもそも、量をこなすのに提案側が汲々として質が伴わないのでは元も子もありません。

    また、国内の企業でコンペにおいてプレゼンフィー(コンペフィー)を支払うのは稀ですが、欧米では少額であっても支払うのが慣例です。提案といえども人に動いてもらう限り対価を支払うのは当然、という考え方です。

    いずれにせよ、プレゼンフィーの有無にかかわらず、コンペでは参加企業側で人が動いている(つまり人件費が発生している)ことを理解し、提出物は本当に必要な程度にするのがいいでしょう。

  4. 採用しなかった制作会社のプランを盗用

    言語道断ですが、残念ながらまったくない話ではありません。場合によっては法に触れる可能性もありますが、それ以前にモラルの問題です。

  5. 内示後に過剰な値引き交渉をする

    正式な発注の前に、若干の値引きをしてもらうよう決裁権者から指示を受けることは、しばしばあることです。納期や実施内容の調整など、合理的な内容で価格交渉を行うことは問題ありません。

    ただし、内定していることを盾に不合理な値引き交渉を行うのは禁物です。仮にその値段交渉を飲んでもらえたとしても、その値引きのせいで後工程のどこかに無理が生まれてきて、結局は自分たちに返ってくるのですから。

※Web担編注

こうした「残念なコンペ」をする「残念な発注側」の情報は、制作会社の間でも共有されていると思っておくほうがいいでしょう。

発注側の企業担当者の間で「あの制作会社は良かった・悪かった」という情報交換をしているのと同じことを、制作会社や代理店はしています。

あまりよろしくないコンペを続けていると、積極的に情報交換している優秀な制作会社の協力を得られなくなってしまう……かもしれませんよ。

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