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SEOの教育・研修はアウトソースすべき? 社内でやるべき? メリットとデメリットを比較してみた(後編)

SEO研修をアウトソースする場合の6つのデメリットと、研修の検討で考慮すべき8つのポイントを解説

SEO担当者の育成や教育を「社内で行う」のと「社外にアウトソースする」場合を比較するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。

SEO研修をアウトソースする場合の「メリット」を紹介した前回に続き、後編となる今回は、SEO研修をアウトソースした場合に生じる「デメリット」を見ていこう。また、記事の最後には「SEO研修の検討で考慮すべき8つのポイント」も紹介する。

まず前編を読んでおく

SEO研修アウトソーシングのデメリット

ここまでは、研修をアウトソースする場合のメリットを考察したので、今度は研修を自社内で実施する場合のメリットを考えてみよう。SEO研修のニーズに対応するために外部の業者を利用することに反対すべき理由は何だろうか。

次の6つがある。

アウトソースのデメリット
  1. アウトソーシングの研修に頼るだけでは資産が継承できない。
  2. 研修をアウトソースすると、ビジネスの拡大にうまく対応できないことがある。
  3. アウトソーシングできる研修プログラムには、ベストプラクティスや汎用的なプロセスを重視したものが多い。
  4. 特別なコンテンツが必要な場合は、自社でカリキュラムを作成するほうが確実かもしれない。
  5. 大規模なチーム向けの研修は、コストが高くなることが多い。
  6. 研修教材の利用が制限される場合がある。

アウトソースのデメリット1
アウトソーシングの研修に頼るだけでは資産が継承できない。

注意してほしいが、これはリンク資産の話ではない。ここで言う「資産」とは、たとえて言うなら、家を購入することで得られる資産と、アパートを借りることで得られるものを比べるようなものだ。

家を借りた場合、家賃と引き換えに得られるのは家屋を利用する権利だけで、家の所有権は含まれない。だが、家を購入すれば、最初にかかる労力とコストは大きくなったとしても、家屋そのものを管理(そして所有!)できる。

このたとえ話が、自社研修とアウトソーシングの話にどう当てはまるのか説明しよう。

アウトソーシングに頼るだけということは、他者が所有する教育資産を利用する権利に費用を支払い続けることを意味する。研修を受ける従業員の数を増やしたり、研修期間を何年も続けたりすることが必要な場合には、コストが非常に大きくなる可能性があるのだ。

このような場合、研修を自社内で行えば、初期コストがかさむ可能性はあるものの、得られる「資産」によって長期的には優れた投資となる。

アウトソースのデメリット2
研修をアウトソースすると、ビジネスの拡大にうまく対応できないことがある。

研修の計画は、前もって長期的な視点で立てるようにしよう。

企業が成長を続け、自社サイト向けに最適化されたコンテンツの作成に携わる社員を増やそうと計画しているとしよう。そうしたプランがすでにあるのならば、研修プログラムを内部で作成し、チームの成長に合わせて研修の規模を拡大できるようにするほうが、長期的には優れた投資になる可能性がある。

アウトソースのデメリット3
アウトソーシングできる研修プログラムには、ベストプラクティスや汎用的なプロセスを重視したものが多い。

ほとんどの研修プログラムは、「ベストプラクティス」や一般的な戦略を教えることに力を入れている。

しかし、あなたの会社では、独自のプロセスや方法でSEOを実施しているのならば、外部の講師がその企業の最適化プロセスを従業員に教えることが(不可能ではないにしても)難しい場合がある。独自のプロセスがあるのならば、それに合わせて、独自の用語で、独自のツールを使って教えなければならないからだ。

企業によっては、このことだけでも、すべての研修を社内で作成することを検討する十分な理由となるだろう。

アウトソースのデメリット4
特別なコンテンツが必要な場合は、自社でカリキュラムを作成するほうが確実かもしれない。

独自のプロセスを実施している場合と同じく、必要としているのが特定の領域に関する教育だけの場合も、研修のアウトソーシングがベストの選択肢ではなくなる可能性がある。

たとえば、SEO研修で学ばせたい内容が「モバイル検索エンジン向けコンテンツの最適化」と「高度なリンク構築戦略」だとする。幅広いSEOの教育を学ばせたいわけではない状況だ。

だとすると、この2つのトピックのためだけに他の30種類のコースに費用をかけたくはないだろう。

研修サービス業者によっては、プログラムをカスタマイズして学びたい内容だけを選べるところもあるが、多くの業者は標準的な「パッケージ」の形でプログラムを提供しており、コース全体や各レッスンに含まれる学習内容を柔軟に選べる余地はほぼない。

アウトソースのデメリット5
大規模なチーム向けの研修は、コストが高くなることが多い。

有料の研修プログラムは、研修ビデオを使うものでも、オンライン研修や対面での研修でも、ほぼすべてが「受講人数」ベースの価格になっている。

ということは、1つのチームが複数の研修に参加する必要がある場合や、多くのチームが同じコースを受講する必要がある場合は、研修をアウトソースするとコストがたちまち跳ね上がる可能性がある。

アウトソースのデメリット6
研修教材の利用が制限される場合がある。

SEO研修業者によっては、研修教材の再利用を契約で制限していることがある。つまり、研修の様子を録画したり、スライドをダウンロードしたり、有益な教材をチームに配布したりすることができないのだ。

気に入った学習内容を他の社員と共有することが契約違反になる場合は、自社でSEO研修プログラムを作成して実施することを検討しよう。

それでも外部の業者を利用することを考えるなら、依頼する前にその業者のFAQや契約内容を必ず確認してほしい。

SEO研修をどう行うべきか――検討すべき8つのポイント

SEO研修のニーズにアウトソーシングで対応するメリットは多々あるが、ニーズの性質によっては、メリットと同じくらいデメリットが生じる可能性もある。

自社のチームにとって適切な研修方法を検討するにあたっては、次のような問いの答えを考えることに時間を割くようお勧めしたい。

SEO研修の検討で考慮すべき8つのポイント

  • この研修を今すぐ必要としている人数は? また、1~2年後の人数はどうなるだろうか?

  • 質の高い研修プログラムを作成できる専門家が社内にいるか(または依頼できる専門家がいるか)?

  • 今ある研修プログラムの価格と、自前で作成する場合のコストを比べると、どちらのほうがコストがかかるのか?

  • 研修プログラムを自前で作成する場合、自分たちで作る研修内容の完成度に対して、費やす必要のある時間が多すぎないか?

  • 社員の研修が必要になる時期は? ある程度待てるのか、それともすぐに必要になるのか?

  • 必要なのは、汎用的なSEO研修プログラムか、特定の内容を教えるプログラムか、それとも自社の特殊なプロセスを教えるプログラムか?

  • アウトソーシングできる研修プログラムの内容が価格に見合っているか? どのような内容が含まれているのか?

  • 研修完了時に、一定の技術レベルに達したことを示す修了証や認定証のような証明書を受け取ることは重要か?

もちろん、このような問いの答えを考えたとしても、社内で作成するのと外部の業者に依頼するのとどちらが良いのかに白黒がつくわけではない場合もあるあろう。しかし、それでも、これらを検討しておくことで、決定を多少明確なものにしてくれるだろう。

筆者のレイチェルは、Mozで教育プログラムを統括している。

SEOの研修の一部(またはすべて)をアウトソースすることを考えているなら、Mozアカデミーのオンラインワークショップもチェックしてほしい。

※Web担編注:残念ながら英語のみ。
オンラインマーケティングスキルをMozの研修で劇的アップ
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