顧客データは誰のもの? 自社で蓄積するからこそ価値がある、プライベートDMPの真髄とは

スクリプトのタグを貼るだけで利用可能。シーセンスのヤン・ヘルゲ・セージフラット氏にプライベートDMPの特長を聞いた

オウンドメディアの読者を増やすため、あるいはECサイトの収益を上げるために、マーケターはさまざまなサービスを使っている。なかでもユーザーとのエンゲージメントを高めるにはDMPの活用が有効だ。しかし、ちょっと待ってほしい。あなたの会社の大切なユーザーデータは、誰が持っているのだろうか?

ユーザーデータを第三者が持っていて本当にいいの?

ヤン・ヘルゲ・セージフラット氏
ヤン・ヘルゲ・セージフラット氏

企業は、自社サイトのコンバージョン率を上げるために、さまざまな工夫をしている。その工夫を的を射たものにするためには、サイト訪問者の「インサイト(本音、欲求)」を知らなければならない。そのために、多くの企業がDMP(データマネジメントプラットフォーム)を活用していることだろう。

DMPというと、DSPが提供している広告向けのサードパーティDMPを思い浮かべるマーケターが多いかもしれない。だが、ここで「顧客データは誰のものか?」ということを一度考え直してみてほしい。

サードパーティー企業がデータを蓄積してそれを利用するオープンDMPでは、どれだけ続けてもユーザーデータは自社に溜まらず、自社の顧客行動で蓄積された顧客行動データも第三者に活用されてしまう。ユーザーデータは、これからの企業のマーケティングにおいて生命線となる。そのデータを、第三者に預けたままで本当にいいのだろうか?

それを解決するのが、オンラインサービスとしてプライベートDMPを提供するシーセンスだ。自社のサイトにスクリプトタグを設置するだけで、サイト訪問者のデータを取得、蓄積、分析し、アクションにつなげることができるようになる。蓄積されたデータは自社だけがアクセスできるので、自社のデータが知らないうちに第三者に使われるということもない

シーセンス創業メンバーの1人でプロダクトマネジメントのExecutive Vice Presidentであるヤン・ヘルゲ・セージフラット氏に話を伺った。

ノルウェーのオスロに本社を置くシーセンスは、2010年にFast Search & Transfer(以下FAST)のメンバーにより設立された。FASTは、検索エンジン周りでは知る人ぞ知る企業だが、現在はマイクロソフトの傘下に入り、主にエンタープライズサーチの分野で高いシェアを誇る。

そのFASTの流れをくむ優秀な人材が設立したのがシーセンスで、データ収集とセグメント生成により、サイト訪問者のインサイトを知るテクノロジーをSaaSで提供している。

リアルタイムに独自のデータからユーザープロファイルを生成

シーセンスのソリューションを利用すると、次のようなことが実現できる。

  • 興味、関心をより深く理解することでオーディエンスとの関係を強化
  • 適切なパーソナライズやセグメント化で訪問者のエクスペリエンス向上
  • 広告やプロモーションを適切に行いデジタル広告の売り上げを向上

シーセンスのDMPソリューションでは、データ収集、セグメント化、アクションといったアプローチが、すべてリアルタイムに動作する。主な機能は次の5つだ。

  • ユーザーのトラッキング
  • データのキャプチャー
  • ユーザープロファイル生成
  • オーディエンスのセグメント化
  • パーソナライズ

シーセンスは、PC、スマートフォン、タブレットなどのマルチデバイス、またWebサイトとアプリなどマルチドメインにわたって膨大なデータをリアルタイムに収集し、また、サイト内のコンテンツを分析しコンテンツプロファイルを生成する。

コンテンツプロファイルからユーザーの興味・関心を抽出し、ユーザープロファイルを生成する。たとえばニュースサイトでは、「どのカテゴリの記事を読んだか」でどの分野に興味があるのかがある程度わかるし、記事の中に出てくる企業名や人名などからも何に興味を持っているかを抽出できる。

ユーザープロファイルは、CRMなど既存のビジネスデータやSNS、アンケートシステムなどのデータとの連係が可能だ。

CRM情報とひもづけて精度の高い独自データを収集可能

ECサイトや一部のメディアサイトなどでログインして利用する場合は、バックエンドの会員情報や購買履歴データなどと連係して、よりユーザープロファイルの精度を上げることができる。ログインしていない場合でも、アノニマスユーザーとしてトラッキングし、あとからCRMの情報を付加することが可能だ。また、次のようにどのデバイスをいつ、どこで使っているかといったコンテキストも抽出できる。

  • 朝の通勤時間帯はスマホを使っているが、昼間はPCを使っている
  • 昼間は千代田区から接続しているが、夜間はさいたま市から接続している

ユーザーがサイト内を回遊するとユーザープロファイルが生成され、その属性を組み合わせてオーディエンスデータをセグメント化する。セグメントごとにコンテンツをパーソナライズすることでユーザーエクスペリエンスが向上し、エンゲージメントやコンバージョン率の向上につながるのだ。

生成したセグメントなどのデータは各種レコメンデーションなどに利用できるほか、「Cxense Insight(シーセンス インサイト)」のダッシュボードから確認したりダウンロードして既存のBIツールやExcelで利用することもできる。

つまり、集めたデータは全部自社のもので、自由に使うことができる。第三者と共有して利用されるオープンDMPと異なる最大のポイントはここにある。

ダッシュボードからリアルタイムにデータを分析

シーセンスのソリューションは、あらゆるソースからデータを収集するエンジンである「Cxense Extraordinary Insight Engine(EIE)」をコアに、次の5つのアプリケーションで構成されている。

  • 分析 - Cxense Insight
  • データ蓄積・オーディエンスセグメントを定義 - Cxense DMP
  • レコメンデーション - Cxense Content
  • 広告配信 - Cxense Advertising
  • 検索 - Cxense Search

「Cxense Insight」がEIEを動かしてサイトの状況をリアルタイムに分析し、「Cxense DMP」が蓄積したユーザーの行動履歴やプロファイルデータに加え、会員情報などのデータを組み合わせてオーディエンスセグメントを定義する。このセグメントをレコメンデーションや広告配信に利用するという仕組みだ。

これを1つのダッシュボードで管理できる。たとえば、編集者なら「どの記事がどのくらい見られているのか」を知りたいだろうし、個々の記事を書いたライターなら「自分の記事がどのくらい消化されたか」見たいだろう。「Cxense Insight」では、それぞれ異なる軸でのトラフィック情報やユーザープロファイル情報を、リアルタイムに切り替えて見ることができる

Cxense Insightのダッシュボード画面。日単位だけでなく1分単位でリアルタイムに情報を見られる
Cxense Insightのダッシュボード画面。日単位だけでなく1分単位でリアルタイムに情報を見られる

管理画面では、フィルタで条件を絞り込んでリアルタイムでセグメントを作ることができる。Googleアナリティクスでビューを作るのと同じような機能だ。たとえば「地域がロンドンで、デバイスがタブレット」のように組み合わせることもできる。ここで作成したセグメントは、「Cxense Content」を使ったWebサイトのパーソナライズや「Cxense Advertising」を使った広告最適化に使える。

自分でルールを作ってレコメンデーションを定義

ASP型のレコメンドエンジンは中身がブラックボックスになっていることが多いが、シーセンスのレコメンドエンジン「Cxense Content」は、ルールに合わせてレコメンデーションを定義できる。管理画面では、ユーザープロファイルをもとにそのユーザーにマッチした記事や商材をレコメンドしたり、サイトのトラフィック情報を見ながらトレンド情報を出したりといった設定が可能だ。

Cxense Contentの管理画面。左側で条件を指定すると、右側にレコメンデーションのプレビューが表示される
Cxense Contentの管理画面。左側で条件を指定すると、右側にレコメンデーションのプレビューが表示される

その他、次のようなルールを駆使して、企業が出したい情報をレコメンデーション枠に掲載できる。

  • コンテキストモード(読んだ記事の関連記事を出す)
  • 協調フィルタリング/コンテキストモード(「これを読んだ人はこれも読んでいます」)
  • 協調フィルタリング/ビヘイビアモード(「あなたと同じような人はこんな記事を読んでいます」)

レコメンデーションの効果を細やかに調整してA/Bテストも可能

また、実施したレコメンデーションがうまく機能しているかどうか確認することも重要だ。ダッシュボードでは、それぞれのレコメンドが表示された回数やクリックされた回数の情報を見ることができる。1つのレコメンド枠に複数のレコメンドを定義して、A/Bテストを実施することも可能だ

Cxense ContentのA/Bテストの画面。複数のレコメンドのテスト結果を一覧で比較することが可能
Cxense ContentのA/Bテストの画面。複数のレコメンドのテスト結果を一覧で比較することが可能

「Cxense Content」の機能はこれだけではない。レコメンド枠にコンテンツを自動配信するだけにとどまらず、次のようなことも可能だ。

  • CMSのトップページをパーソナライズ
  • 自社のEメールマーケティングソリューションと連携してEメールのパーソナライズ
  • DSPとの連携によるリマーケティング広告配信
  • 「編集長のお薦め記事」などのように、一部のレコメンドを手動で出す

メディアサイトだけでなくブランドサイトやECサイトへの導入も進んでいる

ヤン・ヘルゲ・セージフラット氏
ヤン・ヘルゲ・セージフラット氏

シーセンス設立当初は同社のソリューションはメディア企業に多く導入されていたが、最近ではブランドサイトやECサイトでの導入も進んでいる

メディア企業では、ページビューやユーザープロファイルにもとづくレコメンデーションが活用されていたが、ECサイトでは「過去に購入した」「買い物カゴに入れた」などのアクションにもとづくレコメンデーションが活用されている。

今後シーセンスは、「カスタマージャーニー」と「マシンラーニング」の2つにフォーカスしていくという。カスタマージャーニーは、ユーザープロファイルを中心にさまざまなシナリオを考え、リアルタイムでシナリオを切り替えることでコンバージョンにつなげることを目的とする。

また、現在はセグメントを作るには経験やノウハウが必要でそのコンサルティングを行っているが、マシンラーニングの技術を利用して業界別、目的別のテンプレートを作ることも目指している。

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