【レポート】Web担当者Forumミーティング 2016 Spring

企業Webサイトリニューアル成功のカギを握る「要件定義の方程式」とは?

カギは「ヒアリング」「課題設定」「仮説立案」
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ブランドへのロイヤリティを高めるため、「顧客体験」の重要性が認識され、デジタルマーケティングにおける企業Webサイトの役割はさらに増すばかりだ。しかし、本格的なマーケティング施策を実行するために、サイトリニューアルをどのように進めたらよいかわからないという悩みを持つWeb担当者は多いのでは多いのではないだろうか。リニューアルには「要件定義」がカギになる。

山方 理佳子氏
NECマネジメントパートナー株式会社
マーケットコミュニケーション事業部 第一マーケットコミュニケーション部
シニアプロデューサー
山方 理佳子氏

「Web担当者Forum ミーティング 2016 春」に登壇した、NECマネジメントパートナーの山方氏は、リニューアルプロジェクトの土台となる「要件定義フェーズ」に着目、「企業Webサイトリニューアル、成功の方程式。まずは、要件定義の進め方をしっかり押さえよう!」と題して、「ヒアリング」「課題整理」「ワークショップ」などの手法を用いた「成功の方程式」を解説した。

サイトリニューアルで致命的な後戻りが起きるケースは、99.9%、要件定義の曖昧さが原因

Webサイトのリニューアルを任されたが、複数部門の調整が大変

関係者の合意形成に効果的な方法は?

といった悩みを持つWeb担当者は多いのではないだろうか。

NECマネジメントパートナーで、Webコンサルティングを担当する山方氏は、まず「失敗するWebサイトリニューアルの特徴」として3つの特徴を挙げた。

  1. 目的があいまい

    1つ目が「目的があいまい」なことだ。山方氏によれば、「サイトリニューアルの大半は上司からの命令が多く、Web担当者は目的を把握しないまま命じられているだけになりがち」というものだ。

  2. Web担当者の権限が弱く、施策の優先順位が決められない

    2つ目は、「Web担当者の権限が弱く、施策の優先順位が決められない」ことだ。

  3. 施策は制作会社に丸投げで、情熱がない

    そして、3つ目が、「施策は制作会社に丸投げで、情熱がない」というものだ。

Web担当者の立場はさまざまで、たくさんの業務の一つとして兼務しているケースもあり、サイトリニューアルに注力したくてもできない事情もある

こうした状況を鑑み、失敗しないサイトリニューアルのために必要なことは何か。

山方氏は、「ビジョンを描く」ことの重要性を挙げる。

Web担当者はつい、目の前の問題の解決に目がいってしまいがちだが、一般的に、企業サイトは、リニューアル後の状態で2年から3年の間、運営していくことになる。つまり、企業の成長と合わせてサイトも成長すべき

事業に貢献するWebサイトのビジョンを描くには、「Webの中期計画を考えることも一つの方法」ということだ。

もう一つ重要なことは、「周りを巻き込んで成果を出す」ことだ。山方氏は次のように語る。

Web担当者は一人で何でも抱えるのではなく、社内外の人たちとうまくコミュニケーションをとりながら、プロジェクトを上手にマネジメントしていくことが重要だ

一般的なリニューアルの工程は、下図の通りだ。とくに大規模サイトでは、「ヒアリング」「課題設定」「仮説立案」の要件定義フェーズが成功のカギを握る。

山方氏は次のように指摘する。

プロジェクトで致命的な後戻りが起きるケースの99.9%で、要件定義の曖昧さが原因になっている

そして、そうした後戻りを防ぐため、外部の制作会社を有効に活用することの検討を強くすすめた。つまり、Webサイトリニューアルの進め方を理解して、「自社にあった進め方」をしっかり決めることがWeb担当者に求められてくるのだ。

要件定義のポイント1
キーマンヒアリングでは、「意見を引き出す」「記録に残す」ことを心がける

続いて、山方氏は、具体的な「要件定義フェーズ」のポイントを解説した。1つ目のポイントは「聴く」、すなわち「キーマンヒアリング」だ。

ヒアリングの重要性について、山方氏は、「課題があいまいなときに、背景には問題や悩みがあるはずで、それを明らかにするのに有効」と指摘する。つまり、課題を「見える化」する第一歩がヒアリングであるということだ。

具体的なヒアリングの進め方について、山方氏は、「意見を引き出す」ことと「記録に残す」ことをポイントに挙げた。

単純に質問と答えを繰り返すのではなく、気になる質問については深く聞いていくことが重要だ。また、撮影や録音をしておき、あとで見て振り返ることができるようにすることも大事だ

そのために、同社では、「誰に聴くか」「何を聴くか」という調査と設計に注力しているという。たとえば、同社の最近の事例である、さくらインターネットのケースでは、Web担当者が「企業の良さをもっと伝えたい」という課題を持っていた。

弊社でさまざまな作業を行い、どのような内容をヒアリングするかという打ち合わせを通じ、さくらインターネット様の特長は「スタートアップ企業を支援する文化」にあり、それが他社との差別化ポイントになるとの仮説を得た

その後、サービス責任者と開発トップのキーマンにヒアリングをし、「チャレンジする人に利用してもらいたい」「お客さまと一緒に成長する企業」というキーワードを得て、ブランドのコンセプトを固めることができたという。

要件定義のポイント2
仮説立案はツールを使ってブラッシュアップ

2つ目のポイントは「仮説立案」だ。課題を解決する施策を、仮説に基づき立案していくプロセスだが、山方氏は、仮説立案のためのツールがいくつかあり、目的に応じて使い分けることが大事であると説明した。

山方氏は、「仮説立案とは、あるべき姿とのギャップを埋める作業」と定義する。そこで重要なのは、最初は大まかに仮説を立て、次に、ツールを使って仮説をブラッシュアップしていくことだ。

ユーザーを理解し、ユーザーが必要とする情報をWebサイトに掲載していくことが基本にあるが、そのためには、お客様に自社の何を見てほしいのか、どう見られたいのかという点を深掘りしていくことが欠かせない

ただし、その際には、「決して企業視点ではなく、ユーザー視点に立って考えてみること」が不可欠だということだ。

要件定義のポイント3
合意形成のワークショップは「設計」と「振り返り」が重要

要件定義の3つ目のポイントは「ワークショップ」だ。これは、課題・施策の優先順位を決め、合意形成するプロセスで、関係者が多く、意見がバラバラのときなどに有効だ。

具体的な進め方は、「設計」「事前課題」「ワークショップ」「振り返り」を1セットとし、これをアジャイル的(迅速)に繰り返していく。

ワークショップの設計で一番重要なのは、このワークショップのゴールは何かを決めておくことだ。ワークショップで何を合意形成するのかを決めておかないと、せっかくのワークショップを生かすことができない

そして、ゴールを決め、そのゴールに向かってどう進めていくか、シナリオを設計する。たとえば、限られた時間内で何を検討するか、参加者は誰か、ワークショップは何回実施するかという点を決めていく。

ワークショップは研修ではなく、合意形成し、決めたことを実行に移すために全員で納得する場だ。タイムスケジュールを細かく決め、アジェンダを配り、参加者に合意形成を強く意識させることが重要だ

また、参加者の意識や知識を高め、ワークショップを円滑にすすめるカギとして「事前課題」がある。これは、参加者に対し、事前に「あなたの顧客はどんな方ですか?」「あなたの顧客は何を必要としていますか?」などの課題を与え、ワークショップに参加するまでに考えておいてもらうことだ。

ワークショップにはさまざまな部門から、いろいろな業種・業務の方々が参加する。そこで、参加者がそれぞれの立場で検討できる事前課題を考え、ワークショップの前に配布し、事前に考えてもらう

ワークショップ当日は、3時間程度を目安に、「オープニング」「個人ワーク」「グループワーク」「クロージング」を行う。そして、ワークショップ後の振り返りでは、事前に想定していたゴールへのシナリオとズレがなかったかを点検し、シナリオ通りに進まなかった場合、その原因を振り返っていく。

ワークショップの参加者で共有するレポートには、当日の写真や具体的な発言などを掲載し、弊社の考察を記載する。これを次回のワークショップの前に共有し、さらなる意識づけに活用する

上述のカギに加え、ワークショップを成功させるには、当日のファシリテーターの「場回し」が次のカギを握る。山方氏は、「参加者の本音を引き出し、腹落ちさせ、結論を出すことが大事」と語る。

要件定義のポイント4
要件定義書にコンセプトをまとめる

4つ目のポイントは「要件定義書にまとめる」ことだ。要件定義書は、サイトリニューアルの方針や大枠といったコンセプトをまとめたものだ。

要件定義書は、制作フェーズに移行したときに、予算獲得のための企画書になり、制作会社を決めるコンペの提案依頼書のもとになるもので、リニューアルの目的や実行範囲、誰に何を見せていくか、情報設計の方針、システム構築、運用の方針、予算、期間などが記載される

山方氏によると、要件定義書は「サイトのあるべき姿を定義し、立ち戻る場所」とのことで、「コンセプトを伝えるために、文書ではなく、動画でコンセプトを伝え、イメージを共有する場合もある」ということだ。

山方 理佳子氏
「誰に聴くか」「何を聴くか」

最後に、山方氏は、ビジョンを描き、データを読み解く「仮説立案力」、社内外とのコミュニケーションにより「巻き込む力」、そして熱意、体制、予算といった「実行力」がリニューアルプロジェクトの「成功の方程式」であると総括した。そして、会場のWeb担当者に向け、ぜひサイトリニューアルを成功に導いてほしいとエールを送り、セッションを締めくくった。

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