企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用の現場
ソーシャルメディアが当たり前の日常、カタログ通販のセシールがTwitter・Facebookを使う理由

運営のポイントは、担当者が本当に良いと思う商品を自らの言葉で伝える姿勢にある
企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用

いまやソーシャルメディアは消費者にとって日常的な存在になった。消費者の購買行動が変化したいま、カタログ通販の老舗であるセシールでは、インターネット時代の情報行動に合せて、2010年からソーシャルメディアの運用に取り組んでいる。運営のポイントは、担当者が本当に良いと思う商品を自らの言葉で伝える姿勢にある。

ディノス・セシールのセシール事業ディビジョン ネット販売推進部の柴田氏、竹内氏にソーシャルメディア活用の現場について聞いた。

ソーシャルメディアアカウント

お客さまにとってソーシャルメディアが日常的なツールになった

――運用されているソーシャルメディアアカウントを教えてください。

株式会社ディノス・セシール
セシール事業ディビジョン
ネット販売推進部
竹内 陽子氏

竹内Twitterは「セシール公式アカウント」と、10代向けのカタログ「Cupop(キューポップ)」アカウントの2つを運用しています。

Facebookは、セシール公式のFacebookページと、女性ファッションに特化したカタログ「IMAGE(イマージュ)」のページの2つがあります。私が担当しているのは、Twitterの2つのアカウントと、セシール公式のFacebookページになります。

――企業公式のソーシャルメディアを始めたきっかけはどこにありましたか。

竹内2010年の年末から、当時のネット担当者と広報で運用を開始しました。始めたきっかけは、お客様にとってソーシャルメディアが普段から使うツールになったことです。そこで自分たちも、お客様も利用されているソーシャルメディアでつながりたいと考えました。

しかし、そのころは担当者が週に2回くらい投稿するような形で運用していました。社員向けのソーシャルメディアガイドラインができたのもこのころです。

本格的に運用するようになったのが2013年4月。私はそのときから運用を担当するようになりました。たくさんの方にページのファンになってもらい、商品の情報だけでなく、高松本社のある香川県の情報などを幅広く発信していこうと、SNS運営の予算が確保されました。それで日々の投稿に加えてFacebook広告やキャンペーンも積極的に活用するようになりました。

――オウンドメディア「おとなの暮らし新常識」も運用していますが、ソーシャルメディアとの関係はいかがですか。

竹内商品の情報だけでなく、商品に関連した生活情報などを発信してお客さんとつながりたい、ということで、オウンドメディアの運用を始めました。オウンドメディアのコンテンツには、SEOとしての期待もあります※1。ソーシャルメディアは、それらの記事を拡散するツールとして利用しています。

※1 参考:コンテンツSEOで新たな顧客層の獲得に成功! ―カタログ通販の「セシール」(ネットショップ担当者フォーラム)

おとなの暮らし新常識
株式会社ディノス・セシール
セシール事業ディビジョン
ネット販売推進部 ユニットマネージャー
柴田 英幸氏

柴田商品に関連した情報を発信してブランド認知と想起率を上げ、そしてその先の購買にもつなげていきたいという目的で、オウンドメディアもソーシャルメディアも運用しています。

モデルを巻き込んで読者と交流

――ソーシャルメディアの運用は、竹内さんが専任でやられているのでしょうか。

竹内ソーシャルメディアの運用は1人でやっていますが、専任ではありません。普段は商品カテゴリの管理やWebサイト内のキャンペーン企画、ゲームコンテンツの「せしまるすごろく」の運用などが主な業務です。ソーシャルメディアは、1日30分ぐらいの時間で投稿やコメントの返信などをしています。

――10代向けの「Cupop」のTwitterは、どのような形で運用されていますか。

竹内CupopのTwitterは、2014年8月に始めました。以前はガラケー向けのメルマガを配信していましたが、時代が変わりメルマガの登録者もメルマガ経由の売上も横ばいになってきたため、新しいツールを使って情報を届ける必要性を感じて始めました。

Cupopのカタログには、10代に人気のモデルさんが登場します。なかにはTwitterのフォロワーが10万人以上いる方もいるので、当初からモデルさんとうまく交流しながらツイートしたいと考えていました。

実際、モデルさん着用のコーデをシェアすると、ファンの方がリツイートしてくれて、さらにモデルさん本人もリツイートしてくれるという流れがあって、うまく情報が拡散していますね。カタログでは、モデルさんの個性に合わせたコーディネイトをしていますが、そういったファッションは、特にリツイートやいいね!の反応が良いですね。

制作スタッフから撮影中のメイキング動画をもらって、YoutubeのCupop公式チャンネルで動画を共有することもあります。モデルさんがシャッター音に合わせてポージングしている動画は現場の臨場感があって、なかなか見られないコンテンツなので非常に反応が良いですね。

――モデルさんも巻き込んで読者と交流できるのはいいですね。セシール公式アカウントはいかがですか。

竹内セシールのTwitterは、基本Facebookページと同じ投稿をするようにしていますが、ネタになりそうな商品はTwitterにだけ投稿することもあります。それに加えてバーゲンの更新情報を定期的にお知らせしています。

Facebookでは、同じような情報を何度も配信すると反応が悪くなりますが、Twitterであれば定期的なお知らせもしやすいですね。セシールの公式アカウントは、Cupopのように瞬発力のある爆発的な拡散は少ないですが、セールなどの情報をリアルタイムでお知らせできることがいいですね。

――Facebookでは、コメントを丁寧に返していますね。写真で教えてあげたり、コーディネイトの相談にのったり、親身に対応されているのが印象的です。

竹内はい、コメントをいただく方には丁寧に答えるという方針です。気軽だけど丁寧にというスタンスですね。コーディネイトもそうですが、自分で「これがいい」と感じていることを自分の言葉で伝えるのが重要だと思います。毎回商品担当や顧客対応の部署に確認して回答するというやり方だと、スピードも遅くなりますし、堅苦しいやり取りになりますから、基本的に自分の判断で対応しています。

一方で、慎重に対応するべきこと、会社の姿勢を見せるべきところについては、関係者に確認のうえで投稿しています。内容によって、誠実さが求められるところ、気軽にできるところを使い分けています。

――具体的にどんなやり取りがありますか。

竹内たとえば、Twitterで「商品のサイズがなくて買えなかった」というツイートをしている方に、後日バーゲンでそのサイズが出たらお知らせすることがあります。返信で「買いました」と言われるとうれしいですね。こうした個人への細かい対応は、電話のオペレーターなどにはできない、穴を埋めるようなコミュニケーションなので、SNSならではだと思います。

「カタログを請求しました!」「商品が届きました!」とお知らせしてくれる方もいて、そういう反応が直接あるのはうれしいですね。

キャンペーンで非会員のユーザーにアプローチ

――Facebookページは約6万2000件の「いいね!」がありますが、広告は運用されましたか。

竹内2013年~2014年は、いいね! 獲得のための販促予算を使って広告を出したり、キャンペーンを実施しました。Facebookページの規約が変わる前のことですね。

その期間に、担当になった当初の約3000人から6万2000人までファンになってもらうことができました。今も定期的にキャンペーンは実施していますが、ファンを増やすよりもコンテンツを通してきちんと関係を築くというフェーズです。

キャンペーンでは、賞品は自社の商品をプレゼントにすることを原則にしています。セシールの商品に興味を持っている方を集めたかったからです。参加者数を多く集めるだけなら、Amazonのギフト券などの方がいいのかもしれませんが、キャンペーン終了後のいいね! 取り消しが多いと聞きます。賞品を自社商品にしたためか、キャンペーン終了後にファンが減ってしまうという現象はありませんでした。

当選者の方には賞品と一緒にカタログをお送りしているのですが、カウントしてみたら2年半で約500冊お送りしていました。キャンペーン経由のファンは、95%以上が非会員なので、これまで接点がなかった方へのアプローチにもなっています。1回の当選者の数は多くありませんが、積み重ねることで成果につながっていくことを期待しています

――Facebookでも商品を紹介されていますが、どのように選んでいますか。

竹内まず、商品の偏りがないようにすること、そして自分が「これは良い」と本気で思ったものを紹介することです。やはり自分が本当に良いと思うものでないと、紹介する文章に気持ちや思いがのらないからです。

また、下着のタイムセール情報などは、「いいね!」しづらいかもしれませんが、実はクリックされているという場合もあるので投稿の質はインサイトを確認しながらさまざまなネタを投稿しています。

だれでも使えるクーポンの情報など、宣伝的な投稿はしつこくならない程度に織り交ぜています。

社内説明では具体的なメリットをわかりやすく伝える

――投稿ネタは事前に決めているのですか。

竹内時間のあるときに投稿案をストックすることはありますが、その日の気温、天気などにあわせて当日決定することが多いですね。美容器具などがテレビで紹介されたという情報が入れば、それにあわせて投稿することもあります。

もちろん、他の事業部の担当者に声をかけて原稿や写真をもらって、それをもとに投稿することもあります。基本的に1人で運用していますが、社内の理解を求めて協力してもらう働きかけは行っています。特にプライベートで積極的にソーシャルメディアを使っている人は発信することに抵抗がないので、そういう人を見つけては積極的に協力をお願いしています。

――他にも社内の巻き込み方のコツがあったら教えてください。

竹内社内の打ち合わせでは、機会さえあればSNSの現状を説明し、プロモーションの一環としてキャンペーンを提案しています。反応が薄い場合でも「SNS公式アカウントのフォロワーには新規顧客のほうが多い」「キャンペーンを通じてセシールの商品を新しい人に知ってもらったり、実際にモニターしてもらうめったにないチャンス」というように、メリットを具体的に伝えると、ほとんど前向きに検討していただいています。

――画像などは自分で用意されていますか。画像作成のコツがあれば教えてください。

竹内ソーシャルメディアの投稿用に撮影したり、デザイナーに依頼できればベストなのでしょうが、費用も時間もかかってしまうので、カタログ素材を使って都度作成しています。気をつけているのは、一瞬で「きれい・かわいい」と思える画像にすること、ソーシャルメディアできれいに見える縦横比ですね。ファッションのコーデ提案なら、サイトの商品画像を使ってアルバム投稿することもあります。

――その他投稿で気をつけていることはありますか。

竹内宣伝ばかりにならないように、セシールならではの情報として「四国のええとこ・ええもん」という穴場スポット紹介や「食べてきましたさぬきうどん」など四国情報を時々混ぜています。

またFacebookページで投稿したものを、オウンドメディアの「おとなの暮らし新常識」の記事コンテンツに再編集するなどして活用しています。

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Posted by 総合通販のセシール(cecile) on 2016年1月20日

ソーシャルメディアがコンバージョンをアシスト

――本格的にソーシャルメディアを運用して2年半ですが、効果はいかがでしょうか。

竹内直接のコンバージョンよりも、お客様と長く関係を築くことを意識しています。まずはソーシャルメディアでセシールを覚えていただき、何かのきっかけがあったときに思い出していただければと思っています。

効果測定では、Google アナリティクスを使って、ソーシャルメディアでの接触後、数日以内にコンバージョンしたら、アシストコンバージョンとして評価していますが、その点では効果が出ていますね。直接のコンバージョンに比較して、3か月の長期で見るとアシストコンバージョンは、5~6倍くらいあります。

また、ソーシャルメディアの情報から一度サイトに来訪してもらえれば、その後はリターゲティング広告でもアプローチできるので、一度セシールを知ってもらって、どこかのタイミングでまた来訪してもらえればうれしいですね。

柴田そもそも、Facebook経由のコンバージョン計測とその評価方法については課題があると考えています。Facebook利用者の多くはスマホアプリを利用されていると思いますが、その場合、投稿からのリンクによるサイト来訪はアプリ内ブラウザになると思います。ただ、ご購入いただく際には、使い慣れているブラウザ、ID・パスワードがキャッシュされている標準ブラウザでサイトを開き直す方が相当数いらっしゃると推測しています。その場合のコンバージョンは、少なくとも社内で通常利用している計測ツールでは、Facebook経由としてはカウントされないという問題があります。

――きちんと計測できたらもっと効果があるかもしれませんね。ソーシャルメディア上のユーザーの声をサービスに活かすことはありますか。

竹内「このデザインで、このサイズが欲しい」というようなサイズの要望は多いですね。また「去年あった丈の長さがない」といったご意見もいただきます。社内でお客様からのご要望を共有するツールがあるので、こうした声はすべて共有して商品担当に届けています。

ソーシャルメディアだからというよりも、メールや電話でのお問い合わせと同じように共有して参考にしています

運用ツールでTwitterとFacebookを分析

――運用ツールとして「つぶやきデスク」を利用されていますが、導入のきっかけは。

竹内最初は無料のツールを利用していましたが、TwitterとFacebookでそれぞれ別のGoogle アナリティクスのトラッキングコードをつけるためにURLを分けて作成する作業が、毎日のことなので煩雑になってきました。

ツールでトラッキングコードを自動的に設定してくれるものはないかと探していたところ、つぶやきデスクを見つけて、採用しました。検討時は、他にも2つのツールを比較しましたがトラッキングコードの振り分けができるのは、つぶやきデスクだけでした。それに料金もリーズナブルでした。

――ツールを使った運用はどのようにしていますか。

竹内毎日の投稿はつぶやきデスク経由です。コメントやツイートを確認するのにも使っていますね。

Twitterは、2つアカウントそれぞれのターゲットユーザーが異なることから、ユーザーがアクティブな時間も違います。つぶやきデスクの分析機能から、ユーザーがアクティブな時間を見つけて、それにあわせて予約投稿しています。

10代のユーザーの場合は、放課後や夕飯が終わってから就寝するまでの時間がアクティブですね。学校の時間はやはり勉強第一ですし、反応も薄いので、昼休みを狙った投稿はしていません。あとは、休日の朝の時間帯に予約投稿しています。

――ソーシャルメディアを始める前と後で、一番の変化はなんでしょうか。

竹内やはり、リアルな声が届くことですね。以前、モニターキャンペーンで「あったかパンツ」をプレゼントしたところ、当選された男性の方から「あったかパンツを履いてゴルフをしたらスコアが上がってうれしい。また買いたい」という声をいただきました。

ソーシャルメディアは自由度があって、双方向のコミュニケーションができるのがメリットです。オペレーターはマニュアルに則って対応するのに対し、ソーシャルメディアはあえてガチガチに決めずに対応することで、正直な感想、コメントが直接いただけています。

柴田ガチガチのガイドラインがなくても、1日30分程度の時間でここまでの運用ができるのは、経験値の高い社員が担当しているからですね。短時間でも裁量を持って運用できていることが自由なコミュニケーションにつながっています。会社というよりも一担当者の思いを伝えられることが強みですね。

――ソーシャルメディアとECサイトの連携では、今後どのような企画がありますか。

柴田お客様が普段のコミュニケーションでメールを使わなくなりつつあります。一方で、日本の人口の45%がLINEを利用しているといわれる状況で、LINEの活用というのはまず検討に挙がる1つではあります。特にLINEビジネスコネクトは、クロスチャネルOne-to-Oneコミュニケーションのシナリオ実行先の1つとして注目しています。

――他の運用者に伝えたいコツは。

竹内ソーシャルメディアの効果を直接コンバージョンで見てしまうと、厳しいという課題はあります。その点でもあまり時間をかけることはできませんが、担当者が継続して楽しみながら自分の言葉で伝えていく姿勢が重要だと思います。今後、ますますOne-to-Oneコミュニケーションが加速していくことを考えると、ソーシャルメディアを通じて、各企業がお客様にとって「気のいい友人」になれるのがソーシャルメディア担当の理想ではないでしょうか。

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