企業ホームページ運営の心得
ネット炎上版しくじり先生「青春基地」に学ぶ

「青春基地」の炎上騒動をしくじり先生に教訓を学びます
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の443

青春の蹉跌

KenTannenbaum/iStock/Thinkstock

テレビ朝日「しくじり先生 俺みたいになるな!!」とは、かつての成功者が転落の過程で学んだことを語る人気番組です。バラエティ番組なので笑いがメインですが、他山の石とすべきエピソードが数多く紹介されています。

そして先日、Webサイトにおける「しくじり先生」のような、壮大な失敗をやらかしたのが「青春基地」(現在は休止)です。

現役大学生が代表を務める「青春基地」は、「想定外の未来をつくる!10代のメディア」と掲げ、大学教授やメディア関係者がアドバイザーとして参画します。メディアで紹介されるなど、その船出は揚々としたものでしたが、昨年11月のオープンからわずか2か月で無期限休止の案内だけを残し、すべての記事を非公開としました。

このサイトの「しくじり」は、多くの教訓をWeb担当者に与えてくれる先生です。

総ツッコミで燃えた

「青春基地」はメディアを標榜し、「10代のメディア」と掲げたとおり、中高生が各界の有名人に直接取材することを特色としていました。そして1月末、120万を超えるフォロワーをもつ、あるTwitterアカウントの「中の人」への取材記事が公開された直後から盛大に炎上します。

この「中の人」は、他人の発言を盗用する「パクツイ(パクリツイート)」の常習と疑惑がもたれ、たびたび批判されていました。そんな中の人を高校生記者が取材し、中の人が「クリエイター」の立場から語ったことで、「パクツイだろ」と総ツッコミで炎上します。

批判は「中の人」に対してでしたが、そんな人物への取材を許可し、発言をそのまま掲載したサイトの運営側も批判されます。運営側は批判に対し、記事の継続公開は高校生記者の意思を尊重したものとしながら、未成年である記者の使用責任、監督責任への言及のない釈明によって2度目の炎上へ。

責任の所在を曖昧にすると、炎上はさらに加速するという教訓です。また、それが事実だとしても、企業や団体が関与するトラブルに、個人の責任のみで説明を試みる行為は、燃えさかる炎に爆竹を投げ込むごとき振る舞いです。

SNS時代の新ネット物理法則

週末を跨いでも収まらぬ騒動に、高校生記者本人の「言葉」をそのまま掲載します。公開された「言葉」には、記者は騒動発覚当初から、記事の取り下げを申し出ており、反対していたのは編集部サイドであること、執筆者である記者と十分なやり取りをすることなく、強引にことが進められていたことが書かれていました。当然のように3度目の炎上。そしてサイトの無期限休止で4度目の炎上へ。

打つ手がすべて裏目にでるコントのような展開ですが、最大の「しくじり」はサイトの停止です。いまどきのWebでは「魚拓」と呼ばれるコンテンツの保存が迅速に行われます。Twitterなら「Together」、Webサイトなら「archive.is」、またスナップショットなどで保存し拡散されます。

サイトの閉鎖やコンテンツを削除すると拡散される

SNS時代の新ネット物理法則といってもいいでしょう。この法則が発動する理由は「悪事を暴く」という一方的な正義感や、隠されると見たくなる覗き見根性と、レアな情報に触れているという錯覚などが考えられます。状況によっては、「削除」が有効なケースもありますが、炎上直後の削除は文字通り「火に油を注ぐ」といっていいでしょう。最終的にはサイトを閉鎖するにしても、一定期間は公開すべきです。

大人の存在

この「しくじり」で首をかしげるのは「大人」の不存在です。「青春基地」は大学のゼミから生まれています。ゼミの教授は、IT議員として名を馳せた人物で、ネットで存在感を発揮する有名人のアドバイザーもいます。ところが、彼らが鎮火にあたった形跡は、公式見解として見えてきません。当該ツイートもどこか他人事です。

炎上の炎に薪をくべる連中にとって、この手の有名人の存在は、反社会組織の業界用語における「ケツ持ち(トラブル処理)」と同じ。だから「お手並み拝見」と攻撃が執拗になった面は否めません。ちゃんと面倒を見られないのであれば、名を貸さぬのも大人の態度だと私は考えます。

また「青春基地」は大手新聞でも紹介されており、取材した記者に相談することもできたでしょう。なにより、主催者の大学生は慶応大学SFC所属で、ここは「楽天」の黎明期から名前が登場する「日本IT起業家予備校」とも呼べる存在。OB人脈をたどれば、適切なアドバイスをしてくれる「大人」に出会えたことでしょう。

インターネットカルチャーとは

炎上の渦中にいると、世界のすべてが「敵」に見えてしまいます。しかし、炎上の外側には、「炎上に参加しない圧倒的大多数の人」がいるものです。自分の手に負えなくなったときは、アドバイスをくれる「大人」を探すべきだということです。「大人」を「専門家」に読み替えれば、一般企業のWeb担当者に通じます。

「青春基地」のコンセプトは、大学生らが中高生に「メディアの作り方」を体験させることにあったようです。しかし、いささかネット利用の年長者として苦言を呈するなら、年令、性別、国籍さえも越えた、フラットな立場から一緒に創りあげるのがインターネットカルチャーで、草の根BBSがSNSに代わっても本質は同じです。大学生が中高生に、上から目線で指導するという構造そのものに無理があったのではないでしょうか。

「青春基地」がすべきこと

総括すれば、2度目、3度目の炎上ともに、パクツイ当人への批判を除けば、編集部への批判でした。「青春基地」は批判を整理して、釈明するなり謝罪すべきだったのです。そして、いまならまだ間に合います。サイトを再開すべきです。なぜなら、これもネットの新物理法則の1つ。

悪名は実績の上書きで消す

高校生記者の当該記事はもちろん、本人の言葉とされる「説明文」もしっかりと書き下ろされたオリジナル。埋もれさせるには惜しい才能です。また、大学生の代表にしても、「反省」を明示した上での活動再開なら、支持するネット民も少なくないでしょう。再チャレンジに期待しています。みな、「しくじり」を繰り返し、そして時々、成功するのがインターネットの世界なのですから。

今回のポイント

炎上直後の削除はタブー

炎上中でも世界は、特にネット以外には味方がいる

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