楽して成果につなげる! 複数ソーシャルメディア統合運用術
話題の「Instagram」を企業はどう使う? その答えは「世界観」にあり

Instagramの特徴を分析し、企業がどのように活用するべきか、統合運用の観点から考察します

Instagramは、「世界観」を楽しむ「感性訴求第一」のメディア

メンバーズの小野寺翼と申します。企業のソーシャルメディア運用担当者を対象に、「複数ソーシャルメディアの統合運用」をテーマに連載を担当しております。今回は「Instagram」の企業活用がテーマです。

Instagramをひとことでいえば、“画像や動画を使ったコミュニケーションを軸としたソーシャルメディア”です。スマートフォンで写真・動画を撮影・投稿・閲覧するため、Webサイトではなくスマホアプリが中核となっているのも大きな特徴です(PCブラウザからは閲覧のみ可)。

またスマホ利用が多い若年層、性別では男性よりも女性の人気が高い傾向があります。ジャストシステムによる調査では「10代の女性の半数以上がInstagramを利用している」というデータもあります。

また2015年9月、運営元のFacebook社が公式に、Instagramのユーザー数(月間アクティブユーザー数)を発表しています。それによると、グローバルユーザー数が4億人、日本国内ユーザー数が810万人。公表値で判断すると、グローバルユーザー数がTwitter(3億1600万人)を超えています。

Instagramには、ユーザーが投稿前に撮影した写真の色彩や明るさ、トリミングができる編集機能(フィルタ機能)が搭載されています。ユーザーは、自分の写真にアレンジを加え、独自の「世界観」作りを楽しんでいると思われます。

一方、海外セレブやモデルといった有名人のアカウントが多いのも特徴です。友人だけでなく、有名人のアカウントや好きな企業アカウントをフォローし、その「世界観」を楽しめるのです。お気に入りのアカウントがアップロードするお気に入りの写真を閲覧、さらにはコミュニケーションをとることもできます。

ユーザー視点で、自身の好きな写真を「投稿」「閲覧」「コミュニケーション」して、その世界観を楽しむ。画像の魅力を前提とした「感性訴求第一」のメディアが、Instagramだといえます。

「世界観」を大切にした、国内企業の活用事例

「複数ソーシャルメディア統合運用」という視点を含めつつ、Instagramを上手く活用している国内企業の事例をご紹介します。

事例① BEAMS

「画像による感性訴求」という点で、Instagramはビジュアル訴求の強い商材を持つ企業との相性がよく、アパレルブランドとの相性は特に良好です

その一例として、アパレルブランドの「BEAMS」をご紹介します。

特徴としては、自社の商品写真の紹介に特化している点です。ECサイトに掲載されている商品写真をただ紹介するのではなく、背景画像や見せ方を工夫し、訴求力の強い画像に仕上げている点も特徴です。

また、訴求力が求められるFacebookやTwitterへのリンクのサムネイル画像にも、Instagramにアップした画像を流用。ECサイトの商品ページへの送客に活用しています。

同社のFacebookやTwitterアカウントでは、店舗に関する情報やサイト上の記事の紹介といったさまざまな情報を公開しています。しかし、それに対してInstagramでは、訴求力の強い商品写真の紹介に特化しています。そのことからも、自社ブランドのファンの嗜好、そしてInstagramの世界観を意識しているといえるでしょう。

事例② TOYOTA

自動車メーカーのTOYOTAも、BEAMS同様に、商品写真に限定した商品軸で運用を行っています。

こちらも、Facebook、Twitter、LINEといった他メディアでは、新車種紹介やオフラインのイベント、キャンペーンの紹介といったさまざまな情報を配信していますが、それに対して、Instagramでは商品である「クルマ」の写真紹介にこだわっています。

新車種を紹介する、季節の風景とクルマをあわせる、さらに、インテリアやエクステリアの一部を紹介するなど、さまざまな切り口で「クルマの写真」を掲載。「自動車メーカーのファン」=「クルマ好き」という世界観を大切にしているからこその運用といえます。

事例③ BRUTUS

BEAMSとTOYOTAは商品軸をベースとした運用でしたが、そうではない方向性もあります。

たとえば雑誌「BRUTUS」は、編集者が、新刊掲載記事のロケで訪れた場所で風景を撮影し投稿しています。

雑誌の表紙や誌面の写真をアップするといった、商品軸の写真はいっさいなく、あくまで訴求力の強い風景写真にこだわっています。風景写真とあわせ、テキストでは撮影や編集の裏話を盛り込み、興味を惹かせている点がポイントです。

自社の持つ魅力的な風景写真を上手く活用している事例です。

事例④ REDBULL JAPAN

エナジードリンクでおなじみの「レッドブル」の日本アカウント「REDBULL JAPAN」でも、Instagramを積極的に活用しています。

商品写真よりも、自社が関わるスポーツイベントや音楽ライブといった「オフラインイベント」に関する写真や動画をメインに運用していることが、主な特徴です。

画像や動画を使い、臨場感を持って伝えられるInstagramを活用することで、自社が関わるオフラインの取り組みをブランディングにつなげています。

ハッシュタグでつながり拡がるメディア

Instagram運用において重要なテクニックに、「ハッシュタグの活用」があります。ハッシュタグはTwitterやFacebookにも存在する機能ですが、Instagramでは特に重要な機能といえます。

というのも、Instagramの投稿には、「いいね」や「コメント」こそ存在しますが、FacebookやTwitterでいうところのシェアやリツイートといった伝播につながり得る機能が存在しないからです。ハッシュタグこそが、フォロワー以外のユーザーに気付いてもらえ得る、数少ないきっかけだといえます。

そのためInstagramユーザーは、ハッシュタグをきっかけに好みの写真を見つける傾向が、他メディア以上に強いようです。

ここでハッシュタグの活用事例を紹介します。ジュエリーブランド「Sirena Azzurro(セイレーン アズーロ)」では、自社アカウント(sirena_azzuro)で紹介している指輪の写真に、「#婚約指輪」といったハッシュタグを付けて投稿しています。

こうすることで、婚約指輪に興味をもっているInstagramユーザー、それこそ実際に婚約指輪の購入を検討しているユーザーに届きやすくなります。

「#婚約指輪」だけではなく、「#結婚指輪」「#エンゲージリング」「#マリッジリング」など複数のハッシュタグを付与し、リーチの可能性を広げている点もポイントです。

「#engagering」「#marriagering」など英語のハッシュタグを付けていることから、海外のユーザーへのリーチを意識していると考えます。言葉ではなく画像を軸に伝えるInstagramだからこそのテクニックであり、強みだといえるでしょう。

キャンペーンは、生活者が写真にこだわり発信する「ユーザー参加型」で

冒頭で、「Instagramは生活者が写真にこだわりを持ち、独自の世界観作りを楽しむメディアである」と言及しました。ですので、企業としては、ただ企業が発信するだけではなく、ユーザー参加型のキャンペーンを展開するとよいでしょう。

キャンペーン実施で活躍するのが、先に紹介したハッシュタグです。

ユーザーがキャンペーンに参加する際に、特定の「ハッシュタグ」を指定し付与してもらうことで、次のようなメリットが生まれます。

  • 企業側が、参加ユーザーを認識できる。

  • ユーザー目線で考えても、他の参加者の写真に興味を持ち簡単に見つけられる。

  • APIを使用して外部サイトと連携しやすくなることで、外部のキャンペーンページから画像を投稿してキャンペーンに参加したり、参加者の画像を外部ページに表示することもできる。

※2015年11月以降、プロットフォームポリシー変更により、InstagramのAPI使用の際はFacebook社への申請および承認が必要となりました。

Instagramを活用した、ユーザー参加型のキャンペーン事例として、アンダーウェアを中心としたアパレルブランド「Calvin Klein Underwear」が実施したキャンペーンを紹介します。

ユーザーは専用のキャンペーンページからハッシュタグ「#mycalvins」を付け、写真を投稿することで、参加します。とくに優れた投稿写真は、ページ上で紹介されます。

このキャンペーンの特徴として、一般ユーザーだけでなく、モデルや芸能人といった有名人も参加していることがあります。つまり、モデルや芸能人の写真と並んで、自身の撮影した写真が紹介される可能性があるわけです。

自身の写真にこだわり、独自の世界観作りを楽しむInstagramユーザーであれば、これこそ、最高のインセンティブといえるでしょう。

もう1つ重要なポイントは、Instagramユーザー(生活者)が撮影した写真が、企業ページのコンテンツを作り上げている点です。言い換えれば、企業と生活者による「コンテンツの共創」を実現しているわけです。生活者が撮影した写真が並び、Web上の商品カタログやフォトブックを作り上げている。そんなイメージですね。

Instagramから自社サイトへ誘導! 10月より広告提供がスタート

2015年10月1日より、Instagramもセルフサービス型の広告の提供を開始しました。2015年5月より一部の広告主向けに提供を開始していましたが、これで全広告主が利用できるようになりました。広告の種類は次の3種類です。

  • Instagramリンク →ウェブサイトへの誘導のための広告
  • Instagramモバイルアプリ →モバイルアプリのインストール促進のための広告
  • Instagram動画 →動画の視聴促進のための広告

Instagram動画の例として、土屋鞄製造所のものを見てみてください。ショート動画を紹介しつつ、クリスマスギフト紹介ページへの送客につなげています。

Instagram広告の大きな特徴は、自社サイトへの送客を促進できる「CTA(Call to Action:行動喚起)ボタン」を設置できることです。

  • 詳しくはこちら
  • アプリを利用する
  • 他の動画を視聴

など、目的にあわせたラベルを付けることもできます。

従来、InstagramはFacebookのリンク投稿のような外部送客を目的とした機能をいっさい持ち合わせていませんでした。あくまで、各個人が写真の投稿や閲覧を楽しんでもらうことに特化したメディア。そんな、メディアとしての強いこだわりを感じます。

しかし現在は、広告というビジネス利用限定ではありますが、外部送客という新たな目的での利用が可能となりました。今後の動向に注目していきましょう。

「複数ソーシャルメディア統合運用」を意識した、Instagram運用

ここまで、企業のInstagram運用の事例や現状をまとめましたが、「複数ソーシャルメディア統合運用」という視点を盛り込み、一度整理をしてみましょう。

まず、Instagram運用には、本記事で一貫してお伝えした、Instagramとフォロワーの「世界観」を意識したテーマ設定が必要です。この点が、生活者とのタッチポイントやコミュ二ケーションが重要となるFacebookやTwitterと大きく異なります。

もちろん、忙しいソーシャルメディア担当者視点で考えた場合、複数のソーシャルメディアを効率よく運用したいと考えることでしょう。Instagram運用のためだけに、別途素材を用意するというのは現実的ではないケースも多いでしょう。

それであれば、FacebookやTwitterで発信している情報のなかから、Instagramのテーマにあった画像や動画をピックアップし発信するのがよいかと思います。前半で紹介した事例のように、訴求力の強い商品や風景、イベント写真といったテーマにあった情報をピックアップし、Instagramで発信するという方法は、堅実だといえます。もちろん、他ソーシャルメディアだけでなく、自社サイトや紙媒体で発信した写真や動画素材を再利用するのも手です。

また、Instagramの運用ありきで、他メディアのクリエイティブ向上につなげるという逆の発想もよいでしょう。繰り返しになりますが、Instagramは画像訴求第一のメディアであり、他ソーシャルメディア以上にクリエイティブが重要なメディアです。Instagram運用をきっかけに他ソーシャルメディアで活用する商品や風景写真、先に紹介の事例のようにリンクのサムネイル画像にもこだわってみる。こうして「複数ソーシャルメディア統合運用」全体でみたクリエイティブ向上につなげたいですね。

プラスアルファInstagramならではのテクニックを盛り込む

もちろん、Instagramならではの特性もありますので、それらを踏まえたうえで、以下のようなテクニックや活用法を意識しましょう。

Instagramならではのテクニック
  • ハッシュタグを工夫し、リーチ拡大につなげる。複数タグやグローバルを意識した英語表記も有効。

  • 広告を活用し、自社サイトの送客にも利用する。

  • 自社主催のオフラインイベント開催時には、ハッシュタグを指定し、ユーザー発信を促す。

  • ユーザー参加型の投稿キャンペーンを実施する。

「画像訴求」の世界観を大切に

最後に、繰り返しになりますが、Instagramは、画像による「感性訴求第一」のメディアです。もちろん、商材やサービスによる向き不向きもあります。「複数ソーシャルメディア統合運用」を考えるにあたり、Instagramの持つ「世界観」が自社ビジネスとマッチしない場合は、Instagramを活用しないのも、1つの解です。

本記事では「世界観」というワードの大切さを軸にまとめてみました。企業のInstagram活用を考える場合、この「感性訴求第一」「各個人の写真や動画に対するこだわりを楽しむ場」、この「世界観」を守ることが大前提だと考えるからです。

まずは、オウンドメディアや他のソーシャルメディア運用とあわせて、自社ならではのInstagram活用のテーマ、位置づけを考えてみてください。本記事がその一助となりますように。

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