『BtoC向けマーケティングオートメーション CCCM入門』 Web担特別公開版
CCCM(クロスチャネルキャンペーン管理) とMA (マーケティングオートメーション) は何が違うのか

BtoBビジネスとBtoCビジネスでのマーケティングの違いとツールの特性で解説

マーケティングオートメーション(MA)とクロスチャネルキャンペーン管理(CCCM)は何が違うのだろうか。BtoBビジネスとBtoCビジネスでのマーケティングの違いとツールの特性で解説する。

このコーナーでは、書籍『CCCM入門』の一部を、許諾を得てWeb版として公開しています。

この記事では、書籍の第1章 「One-to-Oneマーケティングを実現するCCCM」 から、第2節 「製品カテゴリーとしてのCCCM」 の内容をお届けします。

マーケティングオートメーション(MA)

日本では現在、MAという呼称が広く使われているが、BtoCビジネスの人とBtoBビジネスの人とでは、同じMAといってもイメージしている製品群がまったく違うことに注意が必要だ。具体的には、BtoCビジネスの人がイメージするMAは本書でいうCCCMで、BtoBビジネスの人がイメージするMAは製品ジャンルとしての狭義のMAである。狭義のMAは、見込み客を評価しながら最適なコミュニケーションを自動的に行い、確度の高い見込み客へと育成するためのソフトウェアを指す。その場合のゴールは、確度の高い見込み客をSFA(Sales Force Automation)と呼ばれる営業支援システムを通じて営業チームに引き渡すことだ。

したがって、MAはBtoBビジネスでの導入が多く、BtoCビジネスでは耐久消費財や金融・不動産業界などに導入される。検討購買型の、営業担当が販売する商品のマーケティングのためのソフトウェアといえる。

MAを理解するためのキーワードは「見込み客」=「リード(lead)」だ。MAは見込み客の状況を評価し、育成するためのコミュニケーションをOne-to-Oneで行う。例として、法人向け情報セキュリティソフトの販売のために、ウェブサイトから資料をダウンロードした人をフォローするプロセスを考えてみよう。

MAによる資料ダウンロード者のスコアリングとフォロー

ダウンロードされる資料は、情報セキュリティに関する国内企業の取り組み状況をまとめた調査報告書とする。ウェブサイトでこの資料をダウンロードする人の中には、セキュリティソフトの導入を検討している見込み客=リードが含まれているはずだ。MAにはウェブサイト上でフォームを作る機能もあるので、そのデータは直接MAに登録される。

この資料ダウンロード者の中から営業がアプローチすべき確度の高い見込み客を見つけるために、見込み客に「点数」を付けて評価する手法がリードスコアリングである。

リードスコアリングでは、企業規模や業種、アンケートの回答内容、ウェブアクセスログなど複数のデータを総合して見込み客を評価する。たとえば、業種や企業規模が自社のターゲットにマッチしていれば点数が高く、オンラインでの見積もりシミュレーションを利用したり、製品の詳細な仕様や導入プロセスのページにアクセスしたりしていればさらに点数が加算される、といった具合である。

資料ダウンロード者の情報は、スコアと共にSFAの見込み客データに自動的に同期される。スコアが高い一部の見込み客には電話営業チームが電話をかけ、必要な情報をヒアリングして見込みありと判断すれば営業担当者が訪問して営業プロセスに入ることになる。

それ以外の見込み客にはMAのシナリオ実行機能によって自動的にフォローメールなどが送られ、育成(ナーチャリング)のプロセスに入ることになる。ナーチャリングのプロセスでは、見込み客を適切なセグメントに分けて最適な情報提供を行い、自社および自社製品に対する理解や信頼を深めると同時に、その反応によってさらにスコアリングを行う。

ここでMAのセグメント別シナリオ自動実行機能が活用される。

たとえば、資料ダウンロード者にはその直後に3通のフォローメールを1日置きに送信するとしよう。資料ダウンロード時のアンケートで強く関心のある項目としてセキュリティ監視機能にチェックを入れた人には、まずセキュリティ監視に関する導入事例を紹介したEメールを送信する。その人が次回自社サイトに訪問した際には、製品のセキュリティ監視機能を訴求するバナーを大きく表示する。あるいは、企業規模のデータを参照して同等規模の企業の導入事例を紹介することも考えられる。

Eメールには当然、製品カタログの請求や製品デモ申し込み用のリンクも用意されているが、Eメールに反応して導入事例のコンテンツをウェブ上でもいろいろ調べている人には、カタログ請求やデモ申し込みを促すEメールを送信してみる。

Eメールに反応しない見込み客には、以後定期的にニュースレターを送信して情報セキュリティに関する情報提供を行い、自社製品紹介のコンテンツを挿入して反応を見る。

これらのEメールの反応やウェブサイトのアクセス状況はすべてスコアとして加算されていき、一定のスコアを超えると電話営業チームが電話をかけることになる。

このように、Eメールとウェブサイトを使ったコミュニケーションはあらかじめ設計したシナリオに従って自動的に実行される。そのシナリオ設計と実行を担当するのがMAであり、MAは基本的にSFAとセットで使われる。ターゲットのセグメンテーションとコミュニケーションシナリオの設計、そしてチャネルを横断してのコミュニケーションの実行という機能はCCCMと同じだが、MAの場合、コミュニケーションは主に見込み客の育成のために行う。そのため、リードスコアリングなどの見込み客管理機能が重要となる。

CCCMとMAの違い

CCCMとMAの大きな違いは、MAの中核機能である見込み客管理機能がCCCMにおいて必須ではないということだが、そもそもは開発された目的と想定しているターゲットユーザーが違うと理解した方がよい(表1)。CCCMはチャネル横断でのマーケティング施策管理を目的としてBtoCの企業を想定し開発されているが、MAの場合は見込み客の育成を目的としてBtoBの企業を想定し開発されている。

そのため、一般的にMAはCCCMと比べて取り扱う顧客(見込み客)データ数が少ない。CCCMでは顧客データが数百万件に達することは珍しくないが、MAの場合はそれに比べればずっと少ないのが普通である。さらに、CCCMでは今後、スマホアプリのプッシュ通知やLINEなどモバイルを中心としたクロスチャネル対応が重要になり、ウェアラブルデバイスや自動車、家電などIoT(Internet of Things、モノのインターネット)の世界にまで拡大する可能性があるが、MAにおいてはそこまで重視されないだろう。主たるユーザーであるBtoB企業が見込み客である企業担当者とのコミュニケーションで使うチャネルではないからだ。

表1 CCCMとMA

	CCCM	MA
目的	クロスチャネルOne-to-Oneの顧客体験	見込み客の管理・育成
主体対象	既存顧客	見込み客
想定ユーザー	BtoC	BtoB 検討購買商材のBtoC
取り扱いデータ量	大	小
機能の重要度	One-to-One	○	○
	自動化	○	○
スコアリング(評価)	△	○
クロスチャネル対応	○	△

しかし、メール配信システムから進化して見込み客のスコアリング機能を備えているCCCMもあるし、BtoCでの利用を促進するため大規模データの運用に堪えるようにインフラを強化したMAもある。今後、機能が進化する過程でCCCMとMAの境界はさらに曖昧になるだろう。

以上のような事情から、CCCMとMAを峻別する必要はなく厳密な定義も難しいが、そもそも成り立ちが違うソフトウェアがひとくくりにされていることは認識しておいた方がよい。製品の評価においても、CCCMとして評価する場合はチャネル横断での施策管理が重要機能と考えられるし、MAとして評価する場合には見込み客の評価と育成が念頭に置かれることになるはずだ。

本書は上記のような認識の下、主としてBtoCのマーケティングで導入される広い意味でのMAをCCCMと定義して書かれている。加えて、本書中でMAというときは主にBtoBで活用される狭義のMAを指す。

CCCMのさまざまな呼び方

CCCMが備えている基本機能は、大まかに以下の3つに分類することができる。

  • 顧客データの分析とセグメントの設定
  • セグメントごとのキャンペーンシナリオの設計
  • キャンペーンシナリオのクロスチャネルでの実行

したがって、CCCMを機能的に定義すると「顧客データを分析してセグメントを作り、セグメントごとのキャンペーンシナリオを設計してクロスチャネルで実行するためのソフトウェア」といえる。なお「キャンペーン」という言葉は日本とアメリカでは少しニュアンスが違っており、日本語では「マーケティング施策」という意味に近い。

CCCMはほかにも「マルチチャネル・キャンペーン・マネジメント(MCCM)」「キャンペーン・マネジメント・システム(CMS)」もしくは短く「キャンペーンマネジメント(CM)」などとも呼ばれるが、どれが正しい呼び方なのか。

実際はきちんとした定義が存在していないので、どれも間違っているわけではない。日本ではこれまでCMSと呼ばれることが多かったが、この呼び方は本場のアメリカではあまり見られず、CMと短縮していることが多いようだ。

MCCMは、アメリカの大手調査会社であるガートナーが定義する製品ジャンルである。アメリカでは大手調査会社がいろいろな製品を評価するが、代表的な2社であるフォレスター・リサーチとガートナーは、この分野の製品をそれぞれCCCM、MCCMと呼んでいる。基本的にはだいたい同じような意味で使っているが、含まれる製品には少し違いがある。

大手調査会社による製品評価からも、製品分野に関する認識は複雑であることが分かる。

ガートナーの評価レポート「Magic Quadrant for Multichannel Campaign Management」ではMCCMで複数チャネルをまたいだOne-to-Oneコミュニケーションの管理機能を評価しており、その中にはCCCMと同時にEloqua、MarketoといったMAも含まれている。ガートナーはこれとは別に「Magic Quadrant for CRM Lead Management」というレポートも発行しており、その中では見込み客管理の視点からMAを評価している。

一方でフォレスター・リサーチは「The Forrester Wave: Cross-Channel Campaign Management」というレポートでCCCMを評価しているが、MAは評価対象として入っていない。ただし、2012年版と2014年版ではCCCMの中でも評価対象が大きく変化している(後述)。MAについては「The Forrester Wave: Lead-To-Revenue Management Platform Vendors」というレポートで、やはり見込み客管理の視点から評価している。

マーケティング担当者とITベンダーやシステム開発会社などが同じテーブルについて話をするためには、用語の共通認識が欠かせない。しかし現在、マーケティングテクノロジーの領域では製品自体の進化や機能拡張、周辺製品とのインテクレーションが急速に進んでいるため、言葉の定義や評価方法が追い付いていないのが実情である。

  • 著:岡本 泰治、橋野 学
  • 価格:1,600円(Kindle版)、1,814円(オンデマンド印刷版)
  • ASIN:B012CIAYXK
  • 発行:インプレスR&D

BtoC向けマーケティングオートメーション
CCCM入門』

顧客データを分析してセグメントごとにシナリオを設計し、さまざまなチャネルを組み合わせて顧客の行動に応じたコミュニケーションを自動的に行うクロスチャネル・キャンペーン・マネジメントCCCM(シーシーシーエム)。

急成長するマーケティングオートメーション分野のソフトウェアの中でも主にBtoCビジネス向けに高度なパーソナライゼーションを実現するソフトウェアとして注目されています。

本書は、そのCCCMの成り立ちや機能、選定から運用までの実践方法、DMPをはじめとするアドテクノロジーとの連係や主要ベンダー動向まで、使いこなすための知識を網羅したCCCMの教科書です。

単なるEメールの一斉配信やオウンドメディアの発信から一歩抜け出し、顧客の行動に応じたデータドリブンなマーケティングを実現したい人におすすめの一冊です。

本書の詳しい目次やレビューを見てみる

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