Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報
カスタマージャーニーが複雑化した今、SEOもキーワード調査も進化すべきだ(前編)

このモデルを使うことで、SEO担当者は、従来よりもはるかに多くの価値を生み出せるはずだ
Moz(旧SEOmoz) 2015/8/3(月) 7:00 tweet98このエントリーをはてなブックマークに追加 印刷用

単に多くの商用キーワードで検索上位を獲得しようとするよりも、はるかに複雑なSEOモデルを紹介しよう――顧客の意思決定ジャーニーをモデル化し、適切に最適化して、適切な人に適切なタイミングで適切なメッセージを伝え、熾烈な争いがまだ始まってもいないうちに勝利をつかもうとするものだ。

この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、Mozの見解を反映しているとは限らない。

ユーザーの行動や顧客のパーチェスジャーニー(購買に至る過程)は、かつてないほど複雑になっている。

現代の消費者、なかでも検討を要する製品やB2B製品を購入する消費者は特に、さまざまなメディアに目を通して、数多くの検索を行っている。グーグルの報告によると、B2Bで調べ物をするユーザーは、1つのブランドのサイトに落ち着くまでに平均で12回の検索をしているという。製品に関する情報からだけではなく、他の顧客の意見からも裏付けや安心を得ようとしているのだ。

SEO担当者やマーケターは、こうした消費者行動に合わせて、キーワード調査の方法を進化させる必要がある。

多くの業界で、人々の基本的行動は「検索して、クリックし、取引する」というものだ。ただ、ユーザーの検索パターンがもっと複雑化している分野もある。次のような情報を探すようになっているのだ。

  • レビュー
  • 周辺トピック
  • 製品比較
  • さらに、購入後も製品を最大限活用する方法を探している

この記事で述べるのは、単に多くの商用キーワードでトップの位置を獲得するのを目指すよりも、はるかに複雑なSEOモデルだ。具体的に言うと、顧客の意思決定ジャーニーをモデル化し、適切に最適化して、適切な人に適切なタイミングで適切なメッセージを伝え、熾烈な争いがまだ始まってもいないうちに勝利をつかもうとするものだ。

ただし、このモデルを使うことで、現代のSEO担当者はクライアントや組織にとって従来よりもはるかに多くの価値を生み出すこともできる。

検索の価値というと、以前は次のようなシンプルなものだった。

検索の価値 = トラフィック + コンバージョン

しかし検索の価値を次のようにとらえるとどうだろう。

検索の価値 =
 認知
 +ブランディング
 +リストビルディング
 +トラフィック
 +コンバージョン
 +競争での勝利
 +サポートコストの削減
 +アップセル、クロスセル、顧客の成功

これならば、投資を増やし、組織に対してはるかに大きな影響を及ぼすことも正当化できる(さらに、検索担当者にとっては自らの立場を強化し、コンサルティング料金の引き上げることも)。

この記事では、例としてSaaS企業を見ていこう。SaaSとソフトウェアは、僕の体験やクライアント、知識の大部分を占めているからだ。

ただし、この枠組みは多くの業界や分野にも当てはまる。1つの好例として、エバレット・サイズモア氏は、Eコマースでリードジェネレーション戦術を用いることについて、Mozにすばらしい記事を書いている。

購入を検討する場合の検索ジャーニー(ファネルとも呼ばれる)

ユーザーが購入を検討するにあたって、熟考したうえで購入に至る場合の検索ジャーニーを図にすると、たとえば次のようになるだろう。

購入を検討する場合の検索ジャーニー

問題を認識していない
問題の認識
解決策の認知
解決策の比較
購入
実装
顧客の成功

この各段階について考えていこう。

①問題を認識していない状態

これはプロセスの最初期にあたる段階で、潜在顧客には何の動きもない。あなたのことを知らないし、あなたの製品も知らない。それどころか、自分に問題があることさえ認識していない。

そのため、「この段階でSEOができるのだろうか?」と疑問に思うかもしれない。

僕はできると思う。この場合、機会はオーディエンスの開拓にある。つまり、あなたのトピックに関心のあるオーディエンスを構築することにあるのだ(その人はやがて、あなたのことを知って気に入り、信用するようになって、コンバージョンをもたらしてくれるのだ)。

「オーディエンスの開拓」を考えるときは、適切な人々にウェブサイトを訪れてもらうことに重点を置こう。つまり、コンテンツマーケティングとSEOを組み合わせたうえで、そうしたオーディエンスや親近感の構築に着手する、ということだ。

この場合にターゲットとするキーワードは、あなたの製品が頭にあってもなくても、人々が検索するようなキーワードにしたい。これは、検索ボリュームが大きく、競争が低~中程度で、購入意図があまりはっきりしないキーワードを選ぶべきケースだ(これは、ファネルの上位にあって非常にリンクしてもらいやすいコンテンツを置くとよい段階でもある)。

たとえば、ウェブサイト最適化ソフトウェア企業の場合、この段階では、ウェブパフォーマンスの専門家のインタビューや一般的なリソースガイドなど、検索ボリュームのあるキーワードで上位に入るが、まだ特定の顧客の課題に対処するようなものではないコンテンツを用意すればいいだろう。

これを実践している企業の1つMarketo(マルケト)は、マーケティングオートメーションだけではなく、国際展開やイベントマーケティングなど、消費者の関心が特に高いトピックについてガイドを作成している(英語版ガイドはこちら)。Marketoは、ここでいくつかの分野別にガイドを提供しているが、これらのトピックに関心を持つ人がいずれはMarketoのロイヤルティの高いカスタマーになる可能性があることを認識しているのだ。

適切な人々がサイトを訪れるようにし、その人々をパーミッションマーケティング資産に取り込みたい。つまり、次のようなコミュニケーションをできる状態にするのだ。

  1. メールマガジン(これがベストだ)
  2. ソーシャルオーディエンス(悪くはないがメルマガほどではない)
  3. リターゲティング対象者リスト(一般に優先度は最も低い)

現時点でこれをうまくやっている企業の一例がVeroだ。メールマーケティングの解説を通じて、メールマーケティングに関心のある人々を購買ファネルに取り込みながら、認知度の向上や潜在顧客への啓蒙も行って、すばらしい成果を挙げている。

②問題の認識

これは、購買ファネルの次の段階だ。潜在顧客は、問題点を認識しており、情報を探しているが、あなたの取り組みを(あるいは問題解決のために何をするべきかさえ)まだよく理解していない。

これは見逃されがちな機会だ。問題や課題に対応するランディングページやコンテンツを作成すれば、先手が打てる。

ここでやるべきことは、ターゲットオーディエンスの課題を取り上げて、それらをキーワードリストにしてみることだ。

つまり、次のようなことを考えるのだ。

あなたの製品は、どんな問題を解決するのだろうか?

そうした問題は、どのように検索されるだろうか?

これに最適なツールはKeyword Tool IOTerm Explorerなどだが、手順は以下で詳しく説明する。

※Web担編注 Keyword Tool IO、Term Explorer、UberSuggest(後出)のいずれもUIは英語だが日本語を扱えるようだ。
ただしグーグルは8月10日以降オートコンプリートに関する非公開APIへのアクセスを制限するとしており、その後は使えなくなる可能性が高い。

たとえば、ここでもウェブサイトの速度最適化ツールを考えてみると、僕たちは次のような情報を探すだろう。

  • 「遅い Webサイト」
  • 「遅い Webサイト 診断」
  • 「私のWebサイトはなぜ遅いのか?」
  • 「Webサイトを速くする方法」
  • 「Webサイトを速くする」
  • 「私のWebサイトを速くしてほしい」

ほかにも、これらに似たフレーズはあるだろう。

方法

まず、ブレイン・ストーミングして、製品が対処する問題をリストアップすることから始める。

その次に、それらのキーワードをGoogleサジェストなど(あるいはUberSuggestKeyword Tool IOなどのツール)に入力してみよう。

続いて、最適なキーワードをいくつか選び、Term Explorerのキーワード発見エンジンにかけて、さらに候補を広げたい。

その後、(SERPやPPCのおける競争の激しさに基づいて)上位に表示される可能性が高いキーワードを選び、次のように問いかけたい。

この質問にどう対処できるか?

どういったコンテンツ(トピック、アイデア、形式)であれば、オーディエンスの役に立ちながら、ファネルの次の段階へと導けるだろうか?

ランディングページがその答えになる場合もあれば、ブログ記事や無料ツールなどが答えになる場合もある。こういった戦略はすべて、組織のリソース、キーワードの競争の激しさ、そして最終的には費用対効果(ROI)に照らして判断しなければならない。

③解決策の認知

ファネルのこの段階における潜在顧客は、自分に何が必要かを認識している。先ほどの例に戻ると、彼らは「マーケティングオートメーションのソリューション」や「ウェブサイト最適化ソリューション」など、明確に定義できる何かを探している。

これは意味のわからない「アルファベット3文字の略語」を探すようなもので、人々は自分が何を探しているかを認識しており、それを提供できるかどうかはあなた次第だ。

ここで使用するツールについては、従来の「カテゴリ」キーワードをKeyword Tool IOに入力してから、次にTerm Explorerに入力して、より大きなキーワードリストを作り上げたら、十分な検索ボリュームがあるものを確認しよう。

ここでもう1つ考えるべきなのは「修飾語」だ。これは「シンプルなCRMシステム」や「セキュアなウェブホスト」といった説明的なキーワードだ。

製品を解説するドキュメント(だれにとってどんな価値を提供するどんなもので、特徴は何かを示しているもの)から探すのもいいだろう。すぐに見つかる場合もある。

もう1つのやり方は、顧客ロイヤルティを測る指標であるNPS(Net Promoter Score)フィードバックを利用することだ。NPSフィードバックは「顧客の声」を得るためのすばらしい情報源であり、キーワード調査のプロセスに組み込むことができる。

NPSとは

推奨者(プロモーター:NPS 9~10)は、サービスのどんな特徴を気に入っているのか? こういったことは、追求する価値が最も高い修飾語句だ。

さらに、このNPSデータには、他にもポジショニングを探る方法がある。具体的に何に最適化するべきかがはっきりわからない場合は(シンプルな説明では表現しきれないすばらしい製品もある)、推奨者に次のように尋ねてみるといい。

会議で友人に「○○(ブランド名)って何?」と聞かれたら、短い言葉でどう説明しますか?

これは、ランディングページやA/Bテスト、さらにはキーワードターゲティングで使える、すばらしい顧客の声につながるかもしれない。

多くの役割を持つ製品の場合、たとえば「ツール」というよりも「ソリューション」的な性格が強かったり、あるいはツールとしての優れた使用事例が多かったりする場合は、役割ごとに最適化したり、その役割を中心にさらにキーワード調査をしてみるのもいい。

ここで重要なのは、優先順位を付けることだ。きわめて競争の激しいカテゴリキーワードのなかには、あまり価値をもたらさないのに、膨大な時間と費用がかかるだけというキーワードもあるだろう。理想的なのは、そこそこの時間で検索上位に表示させることができて、ビジネスに効果をもたらせるだけの検索ボリュームが得られるキーワードを探し出すことだ。

この記事は、前後編の2回に分けてお届けする。今回は、購入ファネルの「解決策の認知」までを取り上げたが、後編となる次回は、「解決策の比較」から先を見ていく。→後編を読む

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