Web制作・運用現場のための「課題解決」の教科書
Webサイトを効率よく運用するための「マニュアル」「帳票」「管理表」サンプルと事例集

適切なマニュアル・帳票・管理表を持つことで、Webサイトのコンテンツを効率よく、かつ精度高く運用できます
神保直樹(メンバーズ) 2015/4/9(木) 7:00 tweet102このエントリーをはてなブックマークに追加 印刷用

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書籍から、3-2. 「Webサイトを効率よく運用するためのルールドキュメント」の内容をお届けします。

前半は効率よく運用していくための「マニュアル」「帳票」「管理表(一覧表)」について、後半は実際にコンテンツ運用で使われているルールドキュメントを解説します。

Webサイトを効率よく運用していくためのドキュメントとは、いわゆる「マニュアル」「帳票」「管理表(一覧表)」のことです。適切なマニュアル・帳票・管理表を持つことにより、Webサイトのコンテンツを効率よく、かつ精度高く運用することができます。

ここでは、まず大きなWebサイト全体の運営の話をしてから、コンテンツの運用管理に絞って、マニュアル・帳票・管理表を見ていきましょう。

3-2-1 Webサイトの運営に使うドキュメント

Webサイトの運営管理に使うドキュメントは、全体のルールと業務別のルールに整理できる

Webサイトの運営管理に使うドキュメントは、図3-2-1のような体系で整理することができます。

図3-2-1 運営管理のルールは、Webサイト運営全体のルールと、業務別のルールに整理できる。業務別のルールはさらに、業務の成果物(モノ)の品質や仕様に関するルールと、業務の仕事のやり方・工程・手続きに関するルールの2つに分けられる。

(1)Webサイトの運営全体に関するルール(運営ガイドライン)

「私たちはなぜWebサイトを運営するのか」というWebサイト運営の目的・理念と、Webサイト関連業務の全体像を共有するためのドキュメントです。運営チーム全体の意識あわせを行うこと、サイト運営にかかる業務全体を管理していくことが、このドキュメントの策定目的です。

掲載内容は大きく4つで、1つ目は「サイト運営の目的・理念」です。「Webサイト運営チームが企業の中でどんな責任を果たすか」、いわゆるミッションが書かれることもあります。事例を載せることはできませんが、「当社最高の営業マン」「ファーストコンタクトポイント」「災害時の情報発信の最後の砦」などのキーワードを見たことがあります。

2つ目は「管理対象サイトの全体像」で、複数のWebサイトを管理する場合は、サイトのフォーメーションや使い分け、各サイトで使えるドメイン・システム・インフラに関するルールも掲載されます。3つ目は「サイトの運営体制」で、「広報部がWebマスターを務める、その役割は●●」など、職務分掌が定義されます。4つ目は「業務体系とドキュメント一覧」で、全ての業務と、その業務を行う際に参照すべきドキュメントが定義されます。

(2)個別業務に関するルール

コンテンツ運用業務、解析・効果検証業務など、業務別のルールドキュメントです。細かく見ると、さらに業務の成果物(モノ)の品質や仕様に関するルールと、業務の仕事のやり方・工程・手続きに関するルールの2つに分かれます。例えば、コンテンツ運用業務の成果物(モノ)に関するルールとは、既に取り上げたユーザビリティ・アクセシビリティガイドラインやコーディングガイドラインのことです。そして、コンテンツ運用業務の仕事に関するルールが、これから取り上げる「運用マニュアル」のことになります。

Webサイトを運営していくには、コンテンツ運用以外の業務も必要

「業務別のルール」という説明で気付かれたかと思いますが、Webサイトを運営していくにはコンテンツ運用以外の業務も必要です。代表的な業務とルールドキュメントは図3-2-2の通りです。

Webサイトの運営業務を、HTMLを作って公開するだけだと思っている人がいますが、大間違いです。個人サイトならともかく、企業のWebサイトはビジネスのために運営されますから、様々なことを管理しなくてはなりません。

誌面の都合上、この後詳しく紹介するのは、コンテンツ運用業務に関するルールドキュメントだけですが、前述のような体系の下で、各種マニュアル・帳票・管理表が機能しているのだということは覚えておいてください。

図3-2-2 コンテンツ運用業務以外の業務別ルールの例

業務 ドキュメント ドキュメントの内容
解析・効果検証業務 KPI・レポート要件定義書 定点観測用のKPI(Key Performance Indicators)や定期レポートの要件を定義したドキュメント。
効果検証マニュアル アクセス解析を行うポイントや、効果検証ツールの設定方法などを記載したマニュアル。解析スタッフより各事業部の担当者が使うことの方が多い。解析ツールが複雑な場合は、タグ発行マニュアルという解析スタッフ用の別マニュアルが作られることもある。
広告・集客業務 広告運用マニュアル 広告運用の手順や成果報告のやり方を書いたマニュアル。広告運用スタッフが使う。
ユーザー応対業務 お客さま応対マニュアル ユーザーからのお問い合わせに対する一次回答マニュアル。応対文例やエスカレーション先が書かれている。主にコミュニケーション担当スタッフが使う。
ソーシャルメディアガイドライン ソーシャルメディア公式チャネルの利用規約、応対方針などを定義したドキュメント。
ソーシャルメディア運用マニュアル ソーシャルメディア公式チャネルの運用に関するマニュアル。投稿・コメントのトーン&マナーや炎上に対する監視・対応などを記載。主にソーシャルメディア運用スタッフが使う。
サイト設立・改廃業務 ドメインガイドライン 新規に開設してよいサイトの条件と、使用できるドメイン・システム・インフラなどに関するルールを記述したガイドライン。
サイト設立規則 サイトを設立・改廃する場合の申請手続き、設定側の処理手続きを記したマニュアル。
Webシステム管理業務 Webシステム管理者マニュアル Webシステム・インフラに関して、仕様書、サポートベンダーなど管理に必要な情報や、その対応手順を掲載したドキュメント。
Webマスター業務(全体統括・管理業務) Webマスターマニュアル 戦略・企画・新技術導入、年間運用計画の策定、共通ファイルの管理、サイトの品質管理、ドキュメント管理、スタッフ教育など、多種多様なWebマスター業務に関するマニュアル。

まとめ

  • Webサイトの運営管理に使うドキュメントは、全体のルールと業務別のルールに整理できる。
  • 業務別のルールはさらに、業務の成果物(モノ)の品質や仕様に関するルールと、業務の仕事のやり方・工程・手続きに関するルールの2つに分けられる。
  • Webサイトを運営して行くには、コンテンツ運用以外の業務も必要。

3-2-2 運用ドキュメントの全体像

コンテンツ運用業務で使うドキュメントは、「マニュアル」「帳票」「管理表」

コンテンツ運用に関するルールドキュメントは、図3-2-3のような体系で整理することができます。

図3-2-3 コンテンツ運用に使うドキュメントは、運用業務の要件を定めた「運用要件定義書」と、実際の運用に使う「マニュアル」「帳票」「管理表」に分類できる。

(1)運用要件定義書

コンテンツ運用の要件(やって欲しいこと)を定義するドキュメントです。具体的には、運用対象となるコンテンツとアプリ(メールフォーム、FAQ、レコメンドなど運用が必要なツールのことです)、サーバー構成や作業場などの運用環境、何を目標に運用して欲しいかという期待成果、運用チームが約束するサービスレベルなどを記載します。

(2)運用マニュアル

コンテンツ運用のやり方を定義するドキュメントです。具体的には、誰がどのタスクをやるか(体制図)、どの順番でタスクを行うか(フロー図)、各タスクはどう進めたら良いか(手順書、狭義のマニュアル)の3つから成り立っています。

(3)帳票

帳票とは、運用プロセスにそって担当者が情報の受け渡しを行うとき、その情報を記入するフォーマットのことです。依頼票、入稿票、チェック票、納品票など、原理的には情報の受け渡しごとに帳票があってもよいのですが、1枚の帳票に複数の記入欄を設けてプロセスの最後まで使うことが多いようです。

(4)管理表(一覧表)

管理表(一覧表)は、運用プロセス上にあって変化するモノゴトを、一覧管理するためのフォーマットです。案件一覧表やファイルリスト、担当者の連絡先一覧などが該当します。

品質管理のルールドキュメントと比べると少し分かりにくい体系です。「運用要件定義書」で業務としてやるべきことを定め、「マニュアル」「帳票」「管理表」でやり方を定めると考えてください。

運用チームのために運用要件定義書は必ず作ろう

みなさんは運用要件定義書を見たことがあるでしょうか。運用を外注している場合は、ベンダーが必ず運用要件定義書を作ってくる(更新依頼ごとに発注している場合は別)と思いますが、運用を社員で行う場合は作成していないことが多いようです。運用要件定義書がないと、運用チームが際限なく更新を依頼されたり、何を目標に頑張ったらいいか分からなくなったりすることがあります。社内の目標管理制度や職掌制度で代替できているなら良いのですが、そうでない場合はぜひ運用要件定義書を作成することをオススメします。

良い「マニュアル」「帳票」「管理表」は一貫した運用設計から作られる

運用が効率的になるよう運用プロセスを設計することを「運用設計」と呼びます。「マニュアル」「帳票」「管理表」は運用設計のアウトプットです。たいていの場合、リニューアルで運用要件が変わったときや、運用チームを社員から外注ベンダーへ大きく入れ替えたときなどに、運用設計は行われます。

注意して欲しいのは、「マニュアル」「帳票」「管理表」を各部署・部門でバラバラに作っても、運用は効率化しないということです。もちろん、「ツールのこのボタンを押す」というレベルの詳細の詳細を記したマニュアルであれば、各部署・部門で作っても、各個人で作ってもいいでしょう。しかし、枠組・骨子は一貫した運用設計によって作られる必要があります。

「マニュアル」「帳票」「管理表」は運用プロセスを円滑に遂行するためのドキュメント

なぜ、「マニュアル」「帳票」「管理表」は一貫した運用設計により作られる必要があるのでしょうか? それは、これらのドキュメントが、1つの運用プロセスを最初から最後まで通して円滑に遂行するためにあるからです。

「マニュアル」「帳票」「管理表」は、1つの運用プロセスの遂行を分担しながら定義しています。「マニュアル」は毎回変わらない固定の作業手順を定義しています。帳票フォーマットは、毎回変わる情報を抜け漏れなく運べるように、受け渡しする情報を定義しています。管理表は、同じく毎回変わる情報のうち、現場スタッフではなく管理者(統括ディレクターなど)が管理すべき情報を定義しています。

これらがもしバラバラに作られてしまうと、タスクの対応漏れや二重作業が生じるかもしれません。または、情報の受け渡しの抜け漏れや二重記入が出るかもしれません。あるいは、案件自体の管理漏れや二重管理が起きるかもしれません。体制・役割分担を明確にし、適切なフローを組み上げた上で、「マニュアル」「帳票」「管理表」を作成しないと、効率的な運用にはならないのです。

図3-2-4 マニュアル、帳票、管理表は、1つの運用プロセスの遂行を分担しながら定義している。

まとめ

  • コンテンツ運用に使うドキュメントは、運用業務の要件を定めた「運用要件定義書」と、実際の運用に使う「マニュアル」「帳票」「管理表」に分類できる。
  • たとえ社内で運用している場合でも、運用チームのために運用要件定義書は作るべきである。
  • 良い「マニュアル」「帳票」「管理表」は一貫した運用設計から作られる。
  • 「マニュアル」「帳票」「管理表」は、運用プロセスを円滑に遂行するためにある。
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