Web制作・運用現場のための「課題解決」の教科書
Webサイトのガイドライン6つの事例集+品質チェックマニュアル&チェックシート

適切なガイドラインを持つと、ユーザーが使いやすく、運用しやすく、成果の上がりやすい状態を保てます
神保直樹(メンバーズ) 2015/4/3(金) 7:00 tweet88このエントリーをはてなブックマークに追加 印刷用

ページ

この記事は、書籍『Web制作・運用現場のための「課題解決」の教科書』の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

書籍から、3-1. 「Webサイトの品質管理に使うルールドキュメント」の内容をお届けします。

前半は品質管理に使うルールドキュメントの全体像について、後半は6つのルールドキュメント事例と、品質チェックマニュアル&チェックシートについて解説します。

Webサイトの品質管理に使うルールドキュメントとは、いわゆる「ガイドライン」のことです。適切なガイドラインを持つことにより、Webサイトのコンテンツをユーザーにとって使いやすく、運用しやすく、成果が上がりやすい状態に保つことができます。

あさみ「鈴木先輩、ソーシャルメディア運用ガイドラインの虎の巻、ありがとうございました! あれを見れば、運用に関わるルールや決まりごとが一目瞭然でした。とっても助かりました」

鈴木「役に立ったようで良かったよ。ソーシャルメディアに限らず、運用品質を維持するためのルールを決めておくことは、とても大事だよね」

あさみ「確かにそうですね。普段のWeb制作・運用でも、私が入る前から色々なルールやガイドラインが用意されていました。それが業務のよりどころになっていましたね。でも、どんな種類のガイドラインがあって、何の目的であるのかは、正直あまり理解できていません……」

鈴木「よし、よい機会だ。ガイドラインについて講義しようか」

あさみ「よろしくお願いします!」

3-1-1 品質管理に使うルールドキュメントの全体像

「ガイドライン」とは、Webサイトの品質基準や仕様を定めたドキュメント

様々な企業のガイドライン。ガイドラインにはデザインやコーディングなど、様々なルールが書かれている。必須項目はどの企業でも似通っているが、ルールの細かさや必須以外の項目は企業により異なる(一部画像をぼかしています)。

Webサイトをリニューアルすると、気の利いたWebベンダーであれば「ガイドライン」と呼ばれるドキュメントを一緒に納品してくれます。Webサイトのリニューアルと運用の担当ベンダーが異なるとき、運用ベンダーが欲しがる資料には必ず「ガイドライン」が入っています。ガイドラインとは、Webサイトを更新するときに守ってほしい、Webサイトの品質基準や制作仕様を記述したルールドキュメントで、運用には不可欠な資料になります。

企業のWeb担当者の方は、詳しく中身を見たことがないかもしれませんが、ガイドラインを開いてみると、Webサイトのデザインやコーディングのルールが記述されていることが分かります。企業によっては、文章の用字・用語のルールや、障がい者・高齢者配慮(アクセシビリティ)のルールが記述されていることもあるでしょう。ガイドラインに絶対に欠かせない項目というものはいくつかありますが、どこまで詳細なルールを定めるかは企業ごとに異なっています。

自社のWebサイトの品質は、自分たちで担保する。そのためのガイドライン

HTMLの知識があれば、Webページの更新自体はそれほど難しくありません。何十ページ(場合によっては何百ページ!)にもなるガイドラインは、なぜ必要なのでしょうか? それは、大勢のスタッフ、大勢のステークホルダーがWebサイトの更新に関わる中で、サイトの品質を守っていくためです。

雑誌のインタビューを受けたとき、用字・用語の適切さなど、インタビュー記事の品質は雑誌の編集者が担保してくれます。街角に広告を出稿したとき、法律違反の記載がないかなど、広告のクオリティは広告代理店が担保してくれます。でも、企業のWebサイトでコンテンツを公開したとき、その品質は誰も守ってくれません。自社サイトの品質は、自分達で管理しなくてはならないのです。それには、守りたい品質基準や制作仕様をきちんと決めておく必要があります。

個人のホームページであれば、自分でデザインやコーディングの基準を決めて、自分で守っていけば済みます。品質基準や制作仕様は、その人の頭の中だけにあれば十分です。しかし、企業サイトには大勢のメンバーが関与します。企画のスタッフも制作のスタッフも複数人が関わります。各事業部や広報部、人事部など、依頼側のステークホルダーも多種多様です。全員がルールを守って運用していくためには、ルールはドキュメントとして明示されなくてはならないのです。これが、ガイドラインと呼ばれるドキュメントが必要な理由です。

ガイドラインのルール項目はWebに対する企業姿勢を映す鏡

様々な企業のガイドラインを見ていると、気がつくことがあります。それは、ガイドラインのルール項目が、その企業がWebサイトをビジネス上どう位置づけているか、誰にどんな風にWebサイトを使って欲しいのかという姿勢を反映していることです。

例えば、ECサイトのガイドラインはコピーライティングの品質やSEOに関するルールが手厚くなっています。激しい獲得競争に勝ち抜きたい、自社サイトを買い物場所に選んでもらいたいという思いが伝わってきます。銀行や電力・ガスなど社会インフラとなる企業のサイトでは、アクセシビリティに関するルールが手厚くなっています。自社のサイトを使えない人がいてはならないという、使命感を表しているのでしょう。グループガバナンスを重視する企業のサイトでは、デザイン・コーディング仕様を厳しく統制し、さらに違反ができないようにCMSで実装を縛っています。逆に、最低限のこと以外は各事業部に委ね、成果を競わせているような企業もあります。

ガイドラインでルール化するということは、自社にとって「良いWebサイトとは何か」を定義していることでもあります。ガイドラインを作るというと、ルールを統一することや項目を網羅することに意識が向きがちですが、メンバー全員が「守る意義がある」と感じられるルールを作る方が大切です。それを突き詰めていくと、ガイドラインがWebに対する企業姿勢を示すようになっていくのでしょう。ガイドラインを作るときは、ベンダー任せにせず、自社に必要な品質基準・制作仕様を自分達で考えるようにしたいものです。

品質管理のルールは、品質基準・制作仕様・チェック方法の3タイプ

品質管理に使うルールドキュメントは、図3-1-1のような体系で整理できます。

図3-1-1 品質管理のルールは品質基準、制作仕様、チェック方法の3層構造で整理できる。PC向け、スマートデバイス向け、携帯電話向けで、別々にルールを作ることが多い。

(1)品質基準に関するルール

Webサイトが本当に満たしたい品質を定義します。例えば、特定商取引法や景品表示法を遵守していること、自社のCI(コーポレート・アイデンティティ)やVI(ビジュアル・アイデンティティ)のルールを守っていること、個人情報の漏洩やウイルス感染のリスクがないこと、ユーザーにとって使いやすいこと、障がい者や高齢者に配慮していること、検索エンジンから正しく検索できることなどが、代表的な品質基準です。ちなみに、Webの世界では使いやすさを「ユーザビリティ」、障がい者・高齢者対応を「アクセシビリティ」、検索エンジン対応を「SEO」と呼ぶことがあります。

品質基準に関するルールは、Webサイト用に新しく作るよりも、「Webサイトも既存のルールに準拠する」という形で定義することが多いようです。法律はもちろんですが、ブランドルールも既存のCI・VIガイドラインに準拠するべきですし、Webアクセシビリティに関してはWCAG2.0(日本ではJIS X 8341-3という公的標準に採用)という国際標準ルールがあります。WebユーザビリティやSEOについては、一般に出回っている知見を参考にしつつ、注力するルールを独自で定める必要があるでしょう。

なお、品質基準はWebサイトに関する上位ルールであると同時に、その他のルールを守る理由付けとしても使われます。例えば、「サイトのナビゲーションのデザインをこのように統一する」という制作仕様のルールを守る理由として、「使いやすさのために一貫したナビゲーションを使う」というユーザビリティのルールを挙げることができます。

(2)制作仕様に関するルール

Webサイトの制作時に守るべき仕様を定義します。Webサイトを更新するには、更新するコンテンツの情報整理のフォーマット(コンテンツモデル)、Webページの視覚表現(デザイン)、実装手法(コーディング)を決める必要があります。もちろん、毎回好き勝手な仕様を決めてもいいのですが、(1)の品質基準に関するルールを守ることや、チームでの運用を効率化することを考えると、統一の仕様を決めておくことが合理的です。

いわゆるデザインガイドラインやコーディングガイドライン、原稿開発ガイドラインなどが、ここに含まれています。

(3)チェック方法に関するルール

コンテンツの品質基準や制作仕様のルールが守られていることを担保するための、品質チェック方法を定義します。(1)の品質基準、(2)の制作仕様は、Webサイト・Webページという「モノ・成果物」に関するルールでしたが、ここだけは品質チェックという「タスク・業務」のルールになります。

チェックシート(チェック項目)、チェックツール、チェックプロセス(いつ、誰が、どのチェックを行うか)の3つを定義しておくことが大切です。

まとめ

  • 品質管理に使うルールドキュメントとは、いわゆるガイドラインのこと。Webサイトの品質基準や制作仕様を記述した、運用に不可欠なドキュメントである。
  • ガイドラインに必須のルール項目はあるが、必須以外の項目や各項目のルール記述の細かさは企業ごとに異なる。
  • 自社のWebサイトの品質を、自分達で担保するために、ガイドラインがある。
  • Webサイトで守りたい品質基準・制作仕様は、自分達できちんと考えて決める。
  • 統一性や網羅性より、スタッフ全員が守りたいと思えるメリハリのあるルールにする。
  • 品質管理のルールには、品質基準・制作仕様・チェック方法の3タイプがある。

3-1-2 品質ルールドキュメントの事例紹介

それでは、実際に品質管理に使われているルールドキュメントを見てみましょう。ここではサンプルとなるルールドキュメントの事例を紹介します。自社でガイドラインの過不足を考える場合などに活用してください。

次のページへ

ページ

この記事が役に立ったらシェア!
tweet88このエントリーをはてなブックマークに追加
みんなが読んでるWeb担メルマガで、あなたも最新情報をチェック
  • SEOやアクセス解析のなどノウハウをゲット
  • 事例やインタビューも見逃さない
  • 要チェックのセミナー情報も届く
  • 編集長コラムを一足先に読める
日本赤十字社 東日本大震災 義援金募集
みんなが読んでるWeb担メルマガで、あなたも最新情報をチェック
  • SEOやアクセス解析のなどノウハウをゲット
  • 事例やインタビューも見逃さない
  • 要チェックのセミナー情報も届く
  • 編集長コラムを一足先に読める

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

ソーシャルマーケティング
企業が自社の利益中心にマーケティング活動を行うのではなく、社会全体とのかかわりを ... →用語集へ

連載/特集コーナーから探す

インフォメーション

Web担のメルマガを購読しませんか?
Web担の記事がコンパクトに毎週届くメールマガジン「Web担ウィークリー」は、10万人が読んでいる人気メルマガ。忙しいあなたの情報収集力をアップさせる強い味方で、お得な情報もいち早く入手できます。

Web担に広告を掲載しませんか?
購読者数10万人のメールマガジン広告をはじめとする広告サービスで、御社の認知向上やセミナー集客を強力にお手伝いいたします。

サイトマップ
RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]

GOLD SPONSOR
さくらインターネット株式会社株式会社KDDI ウェブコミュニケーションズ株式会社日本レジストリサービスオープンテキスト株式会社トランスコスモス株式会社株式会社ハイパーボックスDomain Keeper
SPONSOR
株式会社キノトロープ株式会社アイレップ株式会社ニューズ・ツー・ユーシックス・アパート株式会社ウェブアンテナ株式会社サイバーエージェント富士通株式会社Sitecore