Googleアナリティクス セグメント100選

バズったコンテンツで集客したユーザーが、どれぐらい定着してるのか確認するには? (第43回)

ソーシャルメディアからバズったコンテンツにやって来た新規ユーザーが、その後サイトの顧客としてどれぐらい定着しているのかを確認する方法を解説する。

ソーシャルメディアからバズったコンテンツに集客した新規ユーザーの定着率を確認して、その後のコンテンツ制作の方向性を決めるのに役立てたい

サイトによってはブログやTwitter、Facebookなど各種ソーシャルメディアから多くのユーザーが来訪することだろう。しかし面白いタイトルやユニークなコンテンツなどで集客できたとしても、それはビジネスには何の役にも立たない、一時的なアクセス増をもたらしただけかもしれない。

たとえば以前にご紹介したこちらのサイトの例では、バズった記事から他のコンテンツへの回遊はまったくなく、実質的に直帰率が100%という惨憺たる結果だった。

ほとんどのユーザーはせっかちだ。目的以外のコンテンツまで見てもらおうというのが甘いのかもしれない。しかし、そのときに回遊してくれないとしても、実はサイトを覚えていて、結果としてサイトの常連客になってくれているユーザーが少しぐらいはいるのではないか?

ソーシャルからの来訪が、意外にもサイトに定着してくれるきっかけになっているのかもしれない。一度来てくれたユーザーのその後の行動を分析することで、そんな期待が裏付けられないかを検証することが今回のテーマだ。そこで今回は次のセグメントを紹介しよう。

  • 新規セッションで特定のランディング ページから閲覧を開始したユーザー

セグメントで集客元のソーシャルメディアを絞り込む条件にしていないのは、今や各種ソーシャルメディアも多数あり、「デフォルト チャネル グループ」の分類の1つである「Social」を使ったり、参照元を個々に指定してもカバーしきれない場合もあるからだ。むしろ瞬間的に話題になったコンテンツが閲覧開始になったセッションという条件にした方がカバーしやすいだろうという考え方によるものだ。

「デフォルト チャネル グループ」の分類の1つである「Social」を使ったセグメントで、ソーシャルメディアから来訪したユーザーの行動からニーズを推測し、集客施策やサイト改善に役立てたい場合は、以前に紹介したこちらのセグメントを使ってみてほしい。

ソーシャルメディアから来訪したユーザーがどれぐらいサイトに定着しているか分析できるようにするための方法

標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。

まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。

図1:「+セグメント」をクリックする

「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。

図2:セグメント機能(グリッド表示)
注:一覧表示(図2青枠部分)を選択している場合や、自分ですでにカスタムセグメントを作成している場合などでは、図2と同じ見え方にはならない。

新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「条件」図3青枠部分)を選択しよう。図3はその「条件」を選択した画面だ。

図3:「条件」分類のセグメントの画面

今回のセグメントの条件指定は、図3緑枠部分で行う。

今回作成したいセグメントは「新規セッションで特定のランディング ページから閲覧を開始したユーザー」だ。図4のように条件指定しよう。

図4:「新規セッションで特定のランディング ページから閲覧を開始したユーザー」セグメントの設定内容

まずはユーザーベースのセグメントを作りたいので一番上は

  • 「フィルタ」「ユーザー」「含める」図4赤枠部分)

と指定する。そして、新規セッションの指定は、

  • 「ユーザー タイプ」「完全一致」「New Visitor」

図4青枠部分)と指定する。

もう1つの条件と掛け合わせるために、同じ行の右端にある「AND」図4緑枠部分)をクリックする。その下に現れた条件指定部分で

  • 「ランディング ページ」「完全一致」「特定のページ」(図4黒枠部分)

とすれば、「特定のランディング ページから閲覧を開始した」条件を指定できる。なお、「特定のページ」の部分は、ソーシャルメディアで話題になったページを指定するので、変動する。具体的には、/abc/sample.htmlのように指定する。

これでセグメントの名前を「ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザー」とでも名付けて、「保存」ボタン(図3黒枠部分)をクリックする。これで新規セグメントの作成作業は終了だ。

バズったコンテンツに来訪した新規ユーザーの、訪問頻度と閲覧深度を確認するには?

次にこのセグメントの活用方法を見ていこう。まずは[ユーザー]>[サマリー]レポートに新規作成したこのセグメントを掛けた(図5赤枠部分)レポートを見よう。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
  3. メニューが開くので、[サマリー]をクリックする
  4. 「ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザー」セグメントを「適用」する
図5:[ユーザー]>[サマリー]レポートに該当セグメントを掛けた画面

この例では、確かに1月上旬に該当ページが閲覧開始ページになった新規訪問のアクセスが急増している(図5青枠部分)のが確認できる。これが今回ソーシャルからバズったコンテンツ閲覧だったのだが、それ以外の時期にはあまりセッション(訪問)がないように見える。つまり、バズったコンテンツをきっかけにサイトに来訪したユーザーは、その後ほとんどサイトには訪問して来てくれていないということだ。

ソーシャルからのアクセスアップは、ユーザーベースにしても、やはり一過性のものだったのだろうか。ただ、グラフを見た印象だけだと見誤る場合もある。冒頭で紹介した以前の記事で作成したセッションベースのセグメントもあるので、そのセグメントも同時に掛けて比較してみよう。それが図6だ。

図6:[ユーザー]>[サマリー]レポートに該当セグメントの2つを掛けた画面

上部の折れ線グラフを見る限り、やはり「一見さんは顧客にはなりえないんだ」とガッカリする姿が目に浮かぶが、グラフの比較は難しく、意外と直観とは異なる様相を示していることがある。実際には数値の方も確認していくのが王道だ。

ユーザー数、セッション数、ページビュー数の絶対値はマスクを掛けてわからない状態にしているが、ここで見るべきポイントは「訪問頻度」と「閲覧深度」の2つの数字だ。

訪問頻度の計算方法

訪問頻度は、1人のユーザーが平均何回このサイトを訪問したかの指標で、Google アナリティクスでは標準には提供していないので、手で計算する。計算方法は「セッション数÷ユーザー数」だ。

図6の「ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザー」セグメントの数字(図6青枠部分)で「セッション数÷ユーザー数」を計算すると、1.56回/人だった。意外と2回以上訪問している人が多そうだということがわかった。同セグメントを掛けた数字のリピーター比率も35.9%(図6緑枠部分)とそこそこあることからもうなずける。

閲覧深度の確認方法

もう1つの指標「閲覧深度」はGoogle アナリティクスの「ページ/セッション」を見る。これは、1訪問あたりの平均閲覧ページ数なので、どれくらいサイト内を回遊したかの目安になる。

「ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザー」セグメントでは回遊度が上がって平均1.71(図6黒枠部分の上)だった。バズった初回訪問での回遊は1.11(図6黒枠部分の下)だったので、2回目以降の訪問では複数ページを閲覧していることが多いということがわかる。

バズったコンテンツに来訪した新規ユーザーの、その後の訪問回数を確認するには?

これを裏付けるレポートも確認しておこう。[ユーザー]>[行動]>[リピートの回数や間隔]レポートに「ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザー」セグメントを掛けたのが図7だ。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
  3. メニューが開くので、[行動][リピートの回数や間隔]を順にクリックする
  4. 「ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザー」セグメントを「適用」する
図7:[ユーザー]>[行動]>[リピートの回数や間隔]レポートに該当セグメントを掛けた画面

この1か月だけでも、最大8回訪問してくれたユーザーまでいた(図7赤枠部分)こともわかったし、2回目と3回目の訪問では、平均2ページ以上閲覧してくれている(図7青枠部分)ことも確認できた。

バズったコンテンツに来訪した新規ユーザーの、再訪問時の流入経路を確認するには?

続いて見るのは、[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポートだ。図8はこのレポートに該当セグメントの2つを掛けた(図8赤枠部分)ものだ。初回はソーシャルメディアからの流入が主であったが、再訪問時の手段は検索だったりなどの変化が起きていないか、確認してみたい。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
  3. メニューが開くので、[すべてのトラフィック][参照元/メディア]を順にクリックする
  4. 「ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザー」「ソーシャルでバズったコンテンツへの新規訪問」セグメントを「適用」する
図8:[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポートに該当セグメントを掛けた画面(下部)

具体的には、セッション数のギャップが多い「参照元/メディア」(図8青枠部分)はどこかを探してみよう。そこが再訪問のきっかけになっているということなので、何か集客施策のヒントになるようなポイントはないだろうか。また再訪問の訪問の質はどうか、直帰率など別の指標(図8緑枠部分)もあわせて見ながら特徴を把握しよう。

バズったコンテンツに来訪した新規ユーザーが、その後の訪問でどのページを閲覧してくれていたか確認するには?

最後に、初回訪問でバズったコンテンツで生じたせっかくの訪問を次に活かせたかどうかを見るために、[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに該当セグメントを2つ掛けて(図9赤枠部分)みよう。それが図9だ。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[行動]をクリックする
  3. メニューが開くので、[サイト コンテンツ][すべてのページ]を順にクリックする
  4. 「ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザー」「ソーシャルでバズったコンテンツへの新規訪問」セグメントを「適用」する
図9:[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに該当セグメントを掛けた画面(上部)

これを見て筆者は一瞬自分の目を疑った。今まで見てきたデータから想像できない光景が広がっているからだ。なぜなら、図5図6で目にしていた1つのピークしかない折れ線グラフに3つのピークが現れているからだ。そう、若干数のヘビーユーザーの仕業で、全体を押し上げているように見えていたということなのだ。

これは別のレポートで確認できる。[ユーザー]>[行動]>[ユーザーのロイヤリティ]レポートに該当セグメントを掛けたレポートを見ると、ヘビーユーザーがいるのが確認できた。

操作手順
  1. 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
  3. メニューが開くので、[行動][ユーザーのロイヤリティ]を順にクリックする
  4. 「ソーシャルでバズったコンテンツの新規ユーザー」「ソーシャルでバズったコンテンツへの新規訪問」セグメントを「適用」する
図10:[ユーザー]>[行動]>[ユーザーのロイヤリティ]レポートに該当セグメントを2つ掛けた画面

たとえば図10赤枠部分は1回の訪問で大量のページを見ていたことを示している。こういう閲覧行動があると全体の平均値もグッと上がることがあるので、注意が必要なのだ。

あとはこれを踏まえた上で、図9のレポートの下部のページ閲覧データの明細も見ていこう。こちらは比較する必要はないので、ユーザーベースのセグメントだけを掛けたレポートを見ればよい(図11赤枠部分)。

図11:[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに該当セグメントを掛けた画面(下部)

ソーシャルでバズったコンテンツが一番上なので、それ以外のページの回遊状況(図11青枠部分)を確認して、親和性の高いコンテンツが何だったのかを確認しよう

今回はよくデータを読むと、数少ないヘビーユーザーの行動によって全体がよくなったのが実態だとわかったが、若干のヘビーユーザーを獲得できたことでよしとするのか、平均的に底上げできていないことを嘆くのか、サイトの事情によってこの結果の評価は異なるだろう。


Googleタグマネージャでユニバーサル アナリティクスを実装する方法を詳しく解説する講座(2016/4/19)申し込み受付中。詳細とお申し込みはこちらから

用語集
Googleアナリティクス / グローバルナビゲーション / セグメント / セッション / ソーシャルメディア / ページビュー / 直帰率 / 訪問
この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

インデックス
検索エンジンがWebページをデータベースに保存しているデータベース。データベース ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]