企業ホームページ運営の心得
SNS時代に沈黙は愚。コンビニ土下座事件に学ぶ危機対応

ネット時代の今、迅速な対応の有無がトラブルの解決を左右します
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の377

バカッター再び

この9月。Web担当者が無視できない、背筋がゾッとする事件が発生しました。

コンビニ土下座恐喝事件

です。容疑者の1人の勤務先が特定され、ネット上に企業名が晒され、誹謗中傷の尾ひれがつけられ拡散していたからです。二次被害を防ぐため、ぼんやりとした表現に留めますが、反社会的勢力と関係のある企業だとする書き込みまでありました。企業に取って大ダメージは避けられません

もし、事件の容疑者があなたの会社の社員だったら。昨年来の「バカッター」騒動を思い出せば、程度の差こそあれ、いつ自分の会社に降り注いでも不思議ではありません。ネット上では、企業の知らぬ間に噂が独り歩きすることが多々あります。非常事態発生時、ダメージを最小限に抑え込むのがWeb担当者の腕の見せ所です。

ネット民の動きは速い

ざっくりと事件の概要を振り返ります。舞台は関西地方のコンビニ。無理な要求を断った店長にインネンをふっかけ、その過程で仲間とともに店長らを軟禁のうえ、店にあるたばこの提供を強要しました。その一部始終をスマホで動画撮影し、動画共有サイトに公開したことが「動かぬ証拠」となり御用となります。

共通の敵を見つけ、団結した「ネット民」は大きな機動力を発揮します。昨年来のバカッター同様、容疑者の身元を割り出し、次々と個人情報を暴いていきます。ネットで情報が暴かれることに怖くなったのか、容疑者が警察に出頭するまでに至りました。

事件を明るみにしたという点で、ネット民の行動はお手柄ではありますが、そもそも容疑者やその関係者がネット上に「個人情報」を晒していたから特定できたのであり、なにより「犯行映像」を公開するに至っては、愚かという評価しか浮かばない事件です。

企業が炎上を知る瞬間

恐喝をするような社員を雇っていたという道義的責任はあるにせよ、「恐喝してはいけません」と毎朝朝礼で訓示する会社は皆無といってよいでしょう。容疑者が勤務していた会社にとっては災難であることに違いありません。

過去の事例からみて、企業が事件発生を知るのは「電凸」のようです。「電凸」とは、「電話」で「凸」(突撃)するというネット用語で、当該企業に直接問いただしたり、クレームをぶつけたりする行為を指します。ただの「いやがらせ」「モンスタークレーマー」だと受け流している間に尾ひれが付き、ネットは炎上し、致命傷になりかねないので注意が必要です。

ネット民はスノーデンではない

電凸を真摯に受け止め、社員が刑事事件に関与していたと判断したとします。しかし、企業が関与している事件でもない限り、警察に問い合わせても勤務先などを答えはしません。

特に事件直後は、警察も背後関係がわからず、容疑者という事件の重要情報を外部に漏らすことはありません。容疑者が家族と同居でもしていれば、そこを頼りに事実関係を特定することも期待できますが、身内が自己防衛として嘘をつくことを責めることはできません。初期対応において、電凸の内容を裏とり(確認)する有効な情報源は「Web」だけといっても過言ではありません。

日本のネット民は、機密情報公開サイトのウィキリークスを公開した凄腕のハッカーでもなければ、元CIAのエドワード・スノーデン氏のような特別な立場にあって情報収集しているわけではありません。電凸があるということは、すなわちどこかで情報が公開されているということです。事例によっても異なりますが、

  • 社員の名前
  • 会社名
  • 会社の電話番号(電凸があった場合)

で検索をかけます。このとき「画像検索」も有効です。今回の土下座事件でも、事実誤認を含みながらも「容疑者相関図」がネット上に出回っていました。

同時に、「話題になっているネットニュース」もチェックします。電凸がはいるということは、いわゆる「祭り」レベルの盛り上がりになっているとみて間違いありません。いわゆる「まとめサイト」を渉猟してみると良いでしょう。

すみやかな対応を心がける

また、ネットの情報に明るい人物に協力を依頼するのも適切な手段の1つです。実際、私の所にも相談が寄せられることがあり、電凸の原因を突き止めて早期解決に導いた案件は少なくありません。今のご時世なら、SNS経由で協力を呼びかけるのも効果的な方法ですし、炎上防止や監視サービスなども登場しています。

本件では会社員が「自首」する前に、相当量の情報が拡散されていました。自首が報じられた当日の午後には、勤務先は容疑者の顔写真入りプロフィールを「削除」していました。しかし、一旦保存された画像の拡散を止めることはできず、なにより「インターネット・アーカイブス」では、いまも容疑者の笑顔を確認できます。会社は翌日になり、ようやく「コメント」をホームページ上に掲載して沈静化を図りましたが、遅きに失した感は否めません。

沈黙は愚

とは、SNS時代の企業Webの心得です。

ご迷惑ではなく、ご心配

先に触れたように、警察は事実関係を教えてはくれません。事件直後は情報が錯綜します。根も葉もない中傷の可能性も捨てきれません。そのなかでの最適解は

実況中継

です。Twitter実況のいわゆる「Tsudaる」の真似をしろというのではありません。その時点で知り得ている情報、会社の判断を逐一公表すべきだということです。

ただいま弊社社員によるトラブルのご報告を各所より頂戴しております。現在、事実関係を調べております。お客様並びに、関係各位にはご心配をおかけしております。概要が判明次第、逐次、本ホームページにてご報告いたします。いましばらくお待ちくださるようお願い申し上げます。

これを代表者名で結びます。事実が特定されないのなら「ご迷惑」ではなく「ご心配」。これもコツの1つ。

ネット民には正義感が強い知りたがりのユーザーが多く、社会正義の実現をなによりとしながらも、一方で、当事者の本音という下世話な情報を欲しています。そこで語られる範囲の「内情」を提供することで、ネット民を味方につける……ことは難しくとも、敵に回すことを回避することができます。

迅速な対応と、適宜の情報公開。これがSNS時代の企業Webにおける危機対応の原則です。

今回のポイント

SNS時代に「沈黙は愚」

確認中ならそれを迅速に公表する

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