企業ホームページ運営の心得
セグメントの先に広がる最強コンテンツへの道(客の声・後編)

Webには紙面という制限がなく、客の声をいくつでも掲載できる
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の372

Webだから最強のコンテンツに

チラシやDM、店頭での接客において、すべてのお客の目的を満たすコンテンツを用意することは不可能です。チラシやDMには「紙面」という物理限界があり、きめ細かい対応を目指すほど煩雑になるという構造的矛盾を抱えているからです。臨機応変に対応できる店頭での接客は、理想論では実現可能ながらも、スタッフの質に左右されるという現実がまっています。

これらと比較したとき、Webにおける「客の声」の優位性がくっきりと浮かび上がってきます。事実上、物理限界がないWebには、無限のコンテンツ掲載が可能で、セグメント化を徹底しておけば、お客が勝手に希望するコンテンツを選択してくれるからです。コンテンツを見つけてもらうためのSEOなども重要ですが、このWebの特性が「客の声」を最強のコンテンツにしているといえるでしょう。

そしてその「最強」への一歩はセグメント化にある、というのが前回の話。そして今回は「セグメント化」の具体的な方法と、より「最強」へと近づける方法を紹介します。

その似て非なるもの

前回も触れたように「客の声」と「クチコミ」は異なります。両者の違いを理解することは、客の声のセグメント化において重要です。

「クチコミ」を「バイラルマーケティング」と称し、Web特有の施策として、特にSNSが登場してからの現象のように語るWeb関係者もいますが、販促においては古典です。ただし、クチコミは次の2つのうち、いずれかの条件が満たされたときにだけ効果を発揮するマーケティングアプローチです。

  1. 極めて優れた「商品・サービス」をもっている
  2. 「オピニオンリーダー」や「有名人」に語らせる

1つ目について説明は不要でしょう。飛び抜けたポテンシャルを世間が放っておきません。ただし、極めてまれな事例です。優れた「商品・サービス」は前提条件であり、話題を集めるにはプロモーションなどの仕掛けも重要になります。

クチコミの正体

ソーシャルメディア黎明期の「クチコミ伝説」の多くは、2つ目の例によって生み出されています。

Twitterの普及期、そのクチコミ効果が喧伝された飲食店も、Web業界の著名人が「拡散」したことで創造された物語です。また、ある著名ブロガーは、クチコミを起こす方法として、有名ブロガーを起用すると広言しています。方法論として異論はありませんが、再現性に乏しく、「クチコミ」が方法論として一般化しない本当の理由です。

「クチコミ」と「客の声」は、どちらも店やサービスについての感想ですが、似て非なるもの。「クチコミ」は、

客から客へ

の声であるのに対し、

客から店へ

の「客の声」です。2つは告げる対象が異なります。つまり、友だちや知人に語る「客の声」がクチコミで、「客の声」におけるセグメントの1つということです。

結論ありきの客の声

いよいよ「セグメント化」に踏み込みたいところですが、肝心の「客の声」を最初から多く持っている企業はほとんどありません。漫然と「客の声」が集まるのを待っていては、成功は運任せです。スタート時の「客の声」は自ら集めるものです。

中身が見える透明な募金箱の場合、幾ばくかの小銭とお札をあらかじめいれておくと、それが呼び水となり、募金が集まりやすくなるといわれています。「客の声」も同じです。はじめにコチラが「セグメント化された客の声」を用意することで、同意見や対する意見が寄せられるようになります。

具体的には「何を伝えたいか」、すなわち「セグメント化」したい事例によって内容は変わります。スタート時には「結論ありき」で社員や友人、妻や恋人といった「関係者」の声を求めます。「やらせ」との境界は、実際の感想を集めるところにあります。

客の声の極意

前回、例としてあげた食事制限と、筋トレによりボディメイクを目指す「ライザップ」がテレビCMを始めた当初、成功事例として紹介していたのは、ふくよかで妙齢な「女性スタッフ」でした。スポーツマンではない一般人で、この場合は「普通の主婦」というセグメントを狙ったのでしょう。あまり語られないことですが、「客の声」をコンテンツとして活用するには、集める努力も不可欠なのです。

「客の声」が寄せられるようになってからが、セグメント化の本番です。ここでは思考実験として、「Web担当者Forum」で考えてみます。Webの実務に関する情報提供サイトですから、

SEO、LPO、CMSなどの技術的な記事が勉強になった

というものから、

(情報を得て)自信がついた、(同)転職に成功した、(同)起業を決意した

と、メンタルからキャリア形成までの感想が1人の読者から寄せられることもあるでしょう。

心を鬼にする

わざわざ寄せてくれた「客の声」です。余すところなく使いたいところ。しかし、「最強のコンテンツ」にするためには心を鬼にします。

使えない箇所はバッサリ捨てる

ことがセグメント化の要諦です。もちろん、お客の許可を取った上で(※募集時に編集する旨を告知するのもアリ)ですが、SEOならSEOにフォーカスし、起業なら独立物語にエピソードを絞り込みます。SEOとLPOが連動していてもSEOについてだけ、1つのテーマだけを語らせます。「客の声」の読者とは、客の声の主より知識が乏しく、複数のトピックが盛り込まれても理解できないものだからです。

多岐にわたる豊富なエピソードが寄せられたなら、「分割」してそれぞれのセグメントで紹介しても良いでしょう。前回指摘したように、訪問者は自分に関係する「客の声」しか見ない傾向が強いので、複数のセグメントにまたがり活躍する「客の声」があっても、それを見つけるユーザーはまれです。

最後に「客の声」を「最強」とするのが「加筆」です。なぜなら「客の声」はユーザー視点でつづられるが故に、「説明不足」になるものだからです。それを補います。セールスポイントをアピールしつつ。その結果、ユーザーとWeb担当者、売り手と買い手の思惑が融合します。これが「最強」への道を開きます。

今回のポイント

クチコミは客の声のセグメント

ひとつの「声」はひとつのテーマ(単語)に絞る

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