アズモード宮脇の「現場視点のドメイン選択」
目新しいドメインは悪印象?――コストとリスクヘッジで考える「新gTLD」

新gTLDに飛びつくと、意外なデメリットがそこに待っていることもある
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新ドメインには、“悪印象”を持たれるリスクもありますよ!

「.moe」や「.ninja」、「.xyz」など、変わり種のドメイン名を、自社サイトやイベントサイトに利用してみようかなんて安易に考えているあなた、ちょっと待ってください。そのドメインが将来的にspam認定されてしまう可能性はないですか? 名刺や看板の刷り直しなどのコストは考えていますか? SEO的にリンクの価値も減りますよ? 新gTLDのメリット・デメリットをきちんと認識しましょう。

spam認定されたドメインの不幸

「.cash」や「.cards」というドメインでこんなイメージを持たれたらどうしますか?

前回、「新gTLD」へ「飛びつくリスク」を指摘しました(前回の記事はこちら)。新しいサービスは定着しなかったり、喧伝されるほどの効果がなかったりすることも多く、振り回された結果、徒労に終わる可能性があるということです。

さらに、もうひとつの「飛びつくリスク」があります。それが「イメージ」です。「.jp」のように高い信頼を得たなら問題はありません。「新gTLD」では「.cash」や「.cards」が利用できます。一攫千金を謳うフィッシングサイトや、実在の信販会社を装う人たちに悪用されるかもしれません。もちろん、犯罪者が悪いのであり「新gTLD」に罪はありませんが、根付いた印象を覆すのは困難で、取得したドメインが「悪印象」となるリスクは無視できないのです。

ドメインとは看板であり、信用を意味し、ブランドであり住所です。それが一方的にspam扱いされたときの機会損失は計り知れません。実際にspamメールの温床とされた某TLDは、ドメイン指定による拒否方法がネット上にばらまかれています。誤解を避けるために実例は避けますが、これらはすでに「リスク」ではなく「デメリット」です。

名刺、封筒、パンフレット……ドメインを変えるコストは膨大

名刺、封筒、パンフレット……ドメインが変わると作り直さなければならないものがたくさん!

デメリットはまだあります。現在すでにドメインを取得し、サイトを運営しているなら、「新gTLD」への乗り換えに伴うコスト負担とは、ドメイン取得費用だけではないのです。

例えば、ある会社は諸事情から「ドメイン」の変更を余儀なくされました。その結果として、かなりの出費が必要となってしまいました。名刺、封筒、パンフレット、店舗や社用車に貼るカッティングシートなど、ドメインが記載されているすべてを作り直さなければならなくなったからです。

さらに言えば、情報サイトに掲載したドメインは可能な限り変更したものの、すでに印刷されてしまった情報誌のドメインは変更することができません。そのため、少なくない数のユーザーが旧ドメインにアクセスしたようです。こうした“デメリット”があったことを、旧ドメインにアクセスしたユーザーから、「間違ったサイトにアクセスしてしまった。誤ったドメインが記載されている」というクレームの電話により知ります。ドメインを変えるマイナスの波及効果に気がついたときは手遅れでした。「新gTLD」への乗り換えで発生するコスト負担は、このケースとほぼ同じといって良いでしょう。

ドメイン変更で自動的に15%の損失が発生

15%ものSEO損失を被りながら、ドメイン名を変更するメリットはあるかな?

SEOにおいてのデメリットもあります。本サイトの人気連載「Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報」では、ドメインを変更しても、正しくリダイレクトをすることで、リンクの価値は元の85%を引き継げると教えてくれます。つまり、正しく対処したとしても、15%は損をするということです。先のコスト負担も含めたこれらの損失を大きく上回るメリットが瞬時に思い浮かばないようなら、「新gTLD」への変更により「損」をする可能性が高いと言えます。

「新gTLD」には「.financial」や「.investments」といったものもあり、イベントやキャンペーンサイトに利用しようと考えるWeb担当者もでてくることでしょう。しかし、イベント毎に「新gTLD」を取得すると、前回に触れた「放置ドメインを乗っ取られる」リスクが発生します。また、イベント用ドメインの告知に費やす広告宣伝費、SEOのコストもバカにできません。それよりは、連載第1回で触れたように、信頼感・安心感がつたわるTLDを使って「event-企業名.jp」のような「イベント専用のドメイン」を取得し、恒常的なイベントサイトとしてユーザーにブックマークさせるよう促し、使い回す方が、ユーザビリティと経済合理性の両面から優れているといえるでしょう。

浸透していない「新gTLD」をユーザーに理解させるのは大変

弊社のWebサイトのアドレスは「●●、どっと、ふぁいなんしゃる」です!/えっと、ふぁいなんしゃるってどう打つんだっけ? .f、a、i、n、a……うーん、よくわからないわ。このサイト大丈夫なのかな。最近テレビでよくフィッシングサイトってやってるし……。

旧世紀(20世紀)から、Webとビジネスのふたつの最前線で戦ってきたから気がついた「デメリット」も「新gTLD」にはあります。先の「.financial」を口頭で伝えるためには、「どっと、ふぁいなんしゃる」と言うのではなく、「どっと、えふ、あい、えぬ、えー……」と読み上げなければならないでしょう。ユーザーの誰もが、TOEICで600点以上をとれるわけではないからです。テレビやラジオのアナウンサーが、URLのアルファベットと記号を、一文字ずつ読み上げていたあの時代を思い出します。すでに覚えられている「.com」や「.jp」との最大の違いです。

キーボード入力においても、「.investments」の最後の「s」が欠けるだけでも到達しません。また、聞き覚えのない「新gTLD」を告げられ、不安がるユーザーもいることでしょう。一般人は想像以上に警戒心が強いのです。「.jp」でさえ、一般に認知されるまで、相当の時間を要したのですから。

ガッツリ絡む「新gTLD」の取り扱い

それでは「新gTLD」は不用なのか。白と黒、ノットオアギルティーのような善悪二元論、二抗対立で理解しようとするのはWeb業界の悪弊です。現時点では「飛びつくリスク」が高いとは言え、反対の「乗り遅れるリスク」も少しはあります。先願主義のドメインが故に挽回が困難な状況に陥る可能性も否定しきれません。そこで「リスクヘッジ」として、

本業にガッツリ絡む「新gTLD」は取得

を検討すると良いでしょう。例えば、Web担当者フォーラムを運営する株式会社インプレスは出版社ですから、「impress.cash」は不要でも、「impress.book」なら「ブランド防衛」としての意味と価値が期待できるということです。

ただし、「新gTLD」の野放図な取得は明確に否定します。繰り返しになりますが「飛びつくリスク」があるからです。さらに「新gTLD」は増え続け、拡大するベクトルで、際限は見えません。それぞれの取得費用はわずかでも、塵も積もれば山となり、野放図な防衛的取得は、理論上、無制限に拡大するからです(ただし、事業範囲の広い企業では、ブランド保護のためにやむを得ない場合はあるかもしれませんが)。

次回は、ドメイン選びの「困った!」に現場の視点からどう対応するべきかをお伝えします。

協力:JPRS
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