企業ホームページ運営の心得
AKB48とSEOが証明するランキングの罠、Web担当者に必要な視点

ランキングは販促にも活用できる
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の367

ランキングの罠

今年の6月3日の朝日新聞1面に名前が載りました。幸いにも容疑者ではなく「ITジャーナリスト」として。ネット通販の商品が届かない、というトラブルの急増の理由がランキングにあると指摘したものです。

ネット通販で商品が届かないトラブルが急増しており、2013年度、国民生活センターに寄せられた相談件数は15,364件に上ります。これは、2012年度(5,262件)の実に3倍。詐欺目的など悪質なものを除いても、指定日に届かないといったクレームが増えているのです。

ネットは「Winner Take ALL(勝者独占)」の世界で、勝者に富が集中し、成功が更なる成功を引き寄せます。「ランキング」の「1位」にも同じ効果があり、結果的にキャパシティを超えた注文が入ることで対応が後手に回り、トラブルに至ったという見立てです。

そしてこれは記事になっていませんでしたが、ランキングの「真実」についても記者に語りました。その真実を私は「ランキングの罠」と呼んでいます。

1位と2位の差

Web担当者に馴染みの深いランキングと言えば「検索結果」です。集計により差はありますが、

検索結果の1位と2位のクリック数は雲泥の差

というのはSEOにおける常識です。クリック数には10倍以上の開きがあるという説もあり、検索結果の1ページ目と2ページ目では勝負にすらなりません。ランキングにも同じ傾向が見られます。

日本人はランキングが大好きです。江戸時代には、相撲の番付表を模した各種ランキングが発表されており「料理屋」や「うまいもの」といった「グルメランキング」から、「江戸・大坂・京都・自慢」と「観光地ランキング」までありました。さらに「橋」や「川」まで番付していたのですから筋金入りです。

江戸時代からの伝統

日本人のランキング好きには諸説ありますが、国民性が強く関係していると見ています。日本では、嘘をつかないことが美徳とされており、大々的に発表されるランキングに対して、真実や事実だという前提で接する人が大半だからです。そしてこれが「ランキングの罠」の仕掛けになります。

ランキングとは、ある条件における順序や順位の一覧ですが、品質を担保するものではありません。これを2つの事例から明らかにします。

まずは「検索結果」です。グーグルの検索結果1位のサイトで期待した情報が得られず、2位以下に貴重な情報を見つけることは珍しいことではありませんし、1位の商品が競合他社より優れているとは限りません。悪評によって1位になる例もあります。つまり、検索結果とは「グーグル基準」における、検索ランキングでしかないのです。

AKB48のランキング

もう1つの例は「オリコンランキング」です。2014年の上半期のオリコンランキングが、ネット上でちょっとした話題になっていました。ガジェット通信の見出しを引用します。

2014年上半期のCD売り上げがヤバ過ぎると話題に! 18位までがAKBとジャニーズ関連で独占

ランキングをAKB48グループとジャニーズ関連が独占しているのですが、「ほとんどの人が曲を知らない」と指摘する記事です。

AKBのCDには「握手券」や、総選挙の「投票権」が付与され、複数購入が常態化しています。「週刊文春」によれば指原莉乃に4,600票を投じたファンもいます。つまり、「売上枚数=購入人数」ではないのです。

そして、オリコンは嘘をついていません。当初は全国300店のCD(レコード)販売店に電話をかけて集計しており、ランキングの出発点は、「レコード売り上げ」を口頭で尋ねていた「売上」だからです。そもそも曲の優劣、認知度を示すランキングではないのです。

ランキングは錯覚を利用する

かつて、オリコンランキングといえば、多くの人が口ずさむ「流行歌」と同義でした。オリコンが集計を始めた当初は、レコードの売上枚数と認知度に強い相関関係があったからです。しかし、ジャケット写真を差し替えたり、生写真を封入したりした「特別版」を、オリコンは同一曲としてカウントしました。その結果、オリコンは「タレントグッズの流通総額」となったのです。

しかし、いまだに「流行歌」の印象を否定はしません。これが「ランキングの罠」。つまりは「錯覚」の利用です。検索結果と同じく、発表を素直に受け入れる国民性を利用し、ランキングの意味するところをわざわざ解説しないことにより誤認させるのです。オリコンを批判しているのではなく、マーケティングにおいての「常套手段」であり、朝日新聞の記者が記事にできなかった理由かもしれません。

よく見かけるランキングは「売上」を基準にしています。それでは「売上」は品質を担保するのでしょうか。これも答えはノーです。売上を支えるのは品質よりも「広告宣伝」であり、仕入れ値の割引やキャンペーンといった「販促」の影響が大きいからです。マーケティングの世界では常識ですが、逆説的にこれを証明するのが

クチコミだけで売れた

という話題です。珍しい現象だけがニュースになります。

炎上マーケティングの実際

Webに置き換えれば、PV数が「良質なコンテンツ」を意味しないことと同じです。俗に「炎上マーケティング」と呼ばれる、批判や非難が集まるようなコンテンツを作れば、PVを集めるのは簡単だからです。それを次のように喧伝し、錯覚を狙います。

1,000万PVを集めた話題のコンテンツ

確かに「話題」にはなっていますが、その「話題の中身」はどうかということです。これは「いいね!」や「リツイート」にも共通します。

マーケティングにおけるランキングとは、オリコンにおける「流行歌」と「流通総額」といった、異なる意味の集計を重ねることで錯覚させる手法です。統計的手法を用いていますが、マーケティング的なランキングには、各企業の思惑が潜んでいます。まず、Web担当者はこの前提条件を理解する必要があります。なぜなら、すでに述べたように日本人はランキング好きだから。つまり販促に利用できるということで、ランキングは操作できます。次回はその手口、もとい手法については細かく紹介します。もちろん、善用するために。

ちなみにAKB48の「総選挙」も、「一人一票」の原則が存在しないので、民主主義における「選挙」の要件を満たしていません。

今回のポイント

日本人は江戸時代からランキング好き

ランキングは統計学ではない

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