広告効果測定の現場から
広告効果測定の現場から

「売上を上げる法則」は広告効果測定ツールで発見できる/P.G.C.D.の事例

広告効果測定ツールで、意外なチャネルとの親和性やメルマガ効果を発見。ツール導入にかかるコスト以上のメリットがある

さまざまな媒体を使った集客施策全体の費用対効果を見極めて、「売り上げを上げる法則」を見つけて自分たちでコントロールしたい! そこで導入した広告効果測定ツールで、意外なチャネルとの親和性やメルマガ効果を発見しました。ツール導入にかかるコスト以上のメリットがあります。

今回の広告効果測定事例
  • 対象サイトP.G.C.D.公式サイト(B2CのECサイト)
  • PV(ページビュー): 45万PV(月間)
  • UU(ユニークユーザー): 3万5,000UU(月間)
  • コンバージョン: 商品の購入
  • 月間広告予算: 数百万円(うちデジタル広告は20~25%)
  • 利用広告: リスティング広告、バナー広告、アフィリエイト
  • 利用代理店数: 数社
  • 導入ツールウェブアンテナ(株式会社ビービット)

そう話すのは、株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(以下、P.G.C.D.)でマーケティングを担当する村上佳代氏。本誌の人気連載「Webマーケター瞳」の原案と監修を務める人物といえば、ご存知の読者もいるだろう。

顧客の獲得をダイレクトマーケティング中心に行うP.G.C.D.では、ネット広告などによる集客が重要で、その費用対効果をどれだけ高められるかが業績に直結する。そのためには、改善のよりどころとなる詳細なデータと分析が欠かせない。そこで同社が導入したのが広告効果測定ツールだ。

広告代理店からも独自レポートが提出されていたが、それだけでは得られない分析がツールによって得られたという。さらに、メールマガジンが想定以上に売り上げに貢献していたことも発見できた。ツールの選定と導入を中心になって進めた村上氏と小田氏に、導入の経緯と効果について伺った。

Webサイトは銀座目抜き通りにある店舗のようなもの

P.G.C.D. JapanのWebサイト
http://www.pgcd.jp/

「P.G.C.D.」は、洗顔石鹸や美容液などの製造と販売を行うスキンケアメーカーだ。実店舗を持たないダイレクトマーケティングで、唯一の店舗であるWebサイトにさまざまな媒体から集客して購買へつなげることがマーケティングの柱となる。

顧客のほとんどは女性が占め、平均年齢は45歳。製品価格帯は5千~2万円弱と高めだが、メイクよりもスキンケアを重視する層から支持されていると村上氏は説明する。

村上 佳代 氏
株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン
マーケティングソリューション部 部長
コミュニケーションサービス部 部長

唯一の店舗であるWebサイトは、たとえるなら銀座の目抜き通りやパリのシャンゼリゼ通りの店舗のようなものです。ブランドイメージを表現するために、製品ボトルからWebサイトまで、デザインもこだわっています。

将来的には、ECモールや百貨店などへ卸すことも検討していますが、現在はWebサイトへの集客がマーケティングの中心です。

売り上げの中心となる製品はオールインワン美容液と石鹸です。売り上げの40%をオールインワン美容液が占め、それに石鹸を加えると80%になります。比較的高額な部類ですが、お客さまからは高い評価をいただいています。

Yahoo! BEAUTYの「あなたが選ぶ通販コスメ大賞2013」でも、大手の競合製品と並んでランキング上位になっています(村上氏)。

集客の中心はネットだが他の媒体も存在感

雑誌や新聞への広告出稿の一部

P.G.C.D.が行う集客施策は、リスティング広告、バナー広告、アフィリエイトといったネット系に加えて、雑誌、新聞、食材宅配サービスや大手通販など商品に同梱するチラシ、さらに総合通販カタログへの掲載などがある。

新規顧客(製品購入者)の「認知チャネル」と「購入チャネル」の割合は、次のグラフのようになっている。

左:新規購入者の認知チャネル 右:新規購入者の購入チャネル(2014年2月調査)

集客の多くはネットも多いですが、それ以外のチャネルも決して無視できる規模ではない。雑誌や新聞への出稿は固定ではなく、効果を計測しながら判断しているという。

CPO(1受注あたりのコスト)を基本に、リピートしたかどうか、その後定期購入したかどうかといった定着率などで評価して、効率がよい広告だけを続けます。失敗や成功を繰り返しながら、マーケティングの知見を蓄積しているところです。

たとえば、食材宅配サービスを利用するお客さまは、富裕層が多く弊社の製品との親和性が高いとか、同じ百貨店やデパートでも親和性の違いがあるなど、施策をして初めてわかることもあります(村上氏)。

3つの課題を広告効果測定ツールで解決

広告効果測定ツールを導入する前は、次のような3つの課題があった。

  • 代理店からのレポートは評価軸が異なるため互いに比較しづらい
  • 集客施策全体の費用対効果を知りたい
  • メール施策の効果を測定したい
村上佳代氏

さまざまな媒体を使った集客施策を一定の基準で評価し、予算投入や次の展開を判断するために、2013年10月から導入して社内と広告代理店で活用しているのが広告効果測定ツールだ。

導入の目的は前述した3つの課題を解消するためだったが、その背景には企業として「成長のしくみを確立する」という大きなテーマがあったと村上氏は説明する。

広告効果測定ツールは「ウェブアンテナ」というツールを導入しています。ウェブアンテナを導入する以前は、リスティング広告、リターゲティング広告、DSPといった各代理店から個別にレポートを提出してもらっていました。ただ、レポートの評価軸が代理店ごとに異なるため、単月での評価(媒体、獲得数、CPOなど)ということまでは把握できても、他の媒体との比較がしづらいことが課題でした。

現在、年商は10億円弱ですが、将来的に上場を目指すにあたって、これを2倍、3倍にしなければならない。そのためには、売り上げが上がる法則を見出し、自分たちでコントロールする必要がありました。

具体的には、費用対効果を精査し、売り上げが上がる原因を把握し、結果を予測して、どこにお金をかけるべきか数式化するということです。そのためには、同じ基準で各施策の費用対効果を比較する必要がありました。それが広告効果測定ツールを導入した目的です(村上氏)。

広告効果測定ツールを導入したことで、1か月後~半年後、リピート率、定期購入化率など、ライフタイムバリューの評価が可能になった。

広告の種類や媒体、代理店をまたいで比較してみると、独自レポートだけでは見えなかった全体像や真の費用対効果が見えてきます。

たとえば、「新規」と「既存」の売り上げ貢献比率も正確に把握できるようになりました。以前は「初めての方へ」というコピーの広告経由であれば、新規のお客さまとして“みなし”で判断していました。広告効果測定ツールを使って、購入時に新規か既存かどうかを識別したところ、必ずしも仮説どおりではないことがわかりました。

Facebookでも、「新規用」と「既存用」で広告を分けていますが、新規のお客さまが既存用広告から入ってくることもあります。それらが受注単位で正確に把握できるようになりました。どの広告クリエイティブで購入に貢献したかなどがわかりますから、最適化のための改善も正確にできるわけです。(村上氏)。

この他にも、代理店のレポートと広告効果測定ツールの2つの視点があることで、両者の結果がかい離していたら、不具合や事故が発生しているのではないかと、トラブルに気づきやすくなるメリットもあるという。

意外な売り上げ貢献チャネルの発見を機に攻めのCRMへ

広告効果測定ツールの導入によって、顧客に配信しているメールの効果を把握するという課題も、期待どおりの“見える化”によって成功した。注目は、新しい売り上げ貢献の源を発見できたことだ。

広告は新規のお客さまの獲得が目的ですが、一方で既存のお客さまに対する施策としてメールがあります。

社内のさまざまな部署からは、「キャンペーン」「定期ニュースレター」「出荷のお知らせ」など、それぞれの目的でメール配信を行っています。広告効果測定ツールでリンク用URLを生成させ、それをメールに掲載することで、メール経由での売り上げ貢献も部署単位、コンテンツ単位で把握できます。その結果によって、効果が高ければさらに注力しますし、低ければ整理するといった判断ができます。また、効果が数値として見えれば、担当者のモチベーションも高まります。

思わぬ発見となったのが、カスタマーサービス部が送るメールが思いのほか売り上げに貢献していたという事実です。

もともと販促を目的にしたキャンペーンメールであれば、売り上げにつながることは意図したとおりです。ところが、カスタマーサービス部が送るメールは、あくまでもリテンション(既存顧客の維持)が目的でした。

それがデータを眺めてみると、見込み以上に売り上げにつながっていました。プロフィット部門ではなかった部門が実は売り上げに貢献していて、プロフィットセンターになる可能性を秘めていたわけです。広告効果測定ツールを使っていなければ、気づかずにいたでしょう。これは“攻めのCRM”として顧客コミュニケーションを見直すきっかけにもなりました。その結果、カスタマーサービス部からコミュニケーションサービス部に部門名を変更して、私が部長となり、メールマーケティングを積極的に推進しています(村上氏)。

使いやすさとわかりやすさを最重視

広告効果測定ツールの導入は村上氏が強く要望し、小田氏とともに2013年4月ごろから検討を開始し、同年10月にビービットが開発するウェブアンテナを導入した。決め手は何だったのか。

小田 邦生 氏
株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン
コミュニケーションサービス部 部長代理(兼)
マーケティングソリューション部 マネージャー

ウェブアンテナの他に2社ほど候補がありました。ツールを選ぶにあたってもっとも重視した点は、使いやすさとわかりやすさです。社内でさまざまなスタッフが利用することやその教育コストを考えると、高機能でも複雑なツールは検討対象外です。自ずと日本製のツールに絞りこまれ、最終的にウェブアンテナを選択しました(小田氏)。

ウェブアンテナの導入に際しては、システム的な変更はないものの、作業工程が追加される。P.G.C.D.の場合は、ウェブアンテナでURLを生成して広告やメールに張り付ける一工程が増える。

ウェブアンテナを一番使っているのは村上と私で、分析をしたり、社内向けのレポートを作ったりします。メール担当者は数人いますが、URLの生成がメインですので、導入で増えた手間というのはそれほどではありません。

利用コストについては、広告費の一部をウェブアンテナに充てています。これまでお話したように、ネット広告の場合は正確な数字が出るようになり、雑誌や新聞でもある程度の効果を把握できるようになるなど、さまざまなデータが得られるようになりました。

これらのデータは、次の事業展開を考える際の意思決定の根拠、建設的な議論の土台になります。費用対効果を高めることはもちろんですが、ダイレクトマーケティング中心の弊社にとっては、事業計画や経営戦略の判断材料にもなります。その意味では、コスト以上のメリットが得られていると考えています(小田氏)。

本当に大切なことはツールで得られた数字から何を読み解くか

広告効果測定ツールに導入によって、課題を解決し、さらに新しい売り上げ源も見つけたP.G.C.D.は、今後さらに費用対効果の最適化を推し進めていくつもりだ。目指す先には、事業拡大、海外展開、上場がある。その実現の鍵は、「売り上げが上がる法則」を見つけるというマーケティングの挑戦が握っている。

2014年から、男性向け製品を販売したり、セレクトショップを始めたりと、新たな事業展開を進めています。また、主力製品である洗顔石鹸では、フランスで毎年行われるコスメ界のオスカーと呼ばれる「ヴォクトワール賞」をいただきました。そのおかげで、海外からの問い合わせも増えおり、海外販売も始める予定です。ブランドも増えチャネルも拡大中のため、人員面ではWebディレクターも採用活動中です。

また、マーケティング面では、今後、時間をかけて商品を紹介するインフォマーシャルと呼ばれるラジオ広告を試したいと考えています。その他の広告とラジオ広告では、どの程度コンバージョンが変わってくるのか、分析や評価の方法が変わってきますから、それらを見極めたいですね。

そのために広告効果測定ツールを活用して、今後はより長期的な費用対効果も見ていくようにしたいです。ただし、ツールによってさまざまな数字が見えるのは確かですが、それがすべてではありません。雑誌の媒体特性や読者の行動など、定性的な分析や想像力を働かせることで、解釈が可能になります。

数字をいかに読み解いて判断して、意思決定を行うのか。マーケターの1人として、さらに追求していきます(村上氏)。

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