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電通レイザーフィッシュが解説! オムニチャネルでできる3つの新しいユーザー体験

ユーザーに対してどんな「価値」を提供できるかが重要になってきている
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テクノロジーの進歩により、ユーザーの行動も変化しており、ユーザーに対してどんな「価値」を提供できるかが重要になってきている。価値を提供するには、ユーザーのニーズに応じたコミュニケーション基盤、新たなユーザー体験を実現するためのプラットフォーム構築などを含めてビジネス展開していくことが求められている。

日本オラクル主催「顧客接点・動向分析・感動体験」をテーマとした「Oracle Customer Experience Summit 2013」が10月23日に開催された。その中から「消費者とブランドをつなぐオムニチャネル実装例」をレポートする。

企業がオムニチャネルをやらねばならない3つの理由

坂田 英宣 氏
電通レイザーフィッシュ

講師は、電通レイザーフィッシュの坂田英宣氏。

登壇した坂田氏は「なぜいま企業はオムニチャネルをやらねばならないのか?」と話し、その課題について3つのポイントを次のように説明した。

  • 大量データ

    まず坂田氏は、世界中で大量のデータが生産されていることを示す。たとえば、YouTubeでは、60秒間に600以上の動画がアップロードされ、写真共有サイトのFlickrでは、60秒間あたりに6,600枚以上の写真がアップロードされ、シェアされているという。このように大量の情報に接する消費者は、情報を取捨選択するというより、情報をブロックするようになるという。

    60秒間に世界中で作成され配信されている情報量

    仮に、消費者が情報をブロックしだすと、従来のコミュニケーション手段であったTVCMや、企業側からメッセージを一方的に発信しても、消費者には届きにくくなると坂田氏は指摘する。そのため、企業は消費者とのかかわり方を変えていかなければ、企業が伝えたいメッセージを消費者にうまく伝えることができなくなり、そもそもメッセージの内容が理解されなくなってきてしまうという。

  • テクノロジー

    スマートフォンの保有率が、特に2008年から著しく伸びてきている。日本の場合は、ガラケーと呼ばれるフィーチャーフォンでもインターネットにつなぐことはできたが、スマートフォンやタブレットの登場により、端末で取得できる情報量が圧倒的に増えた。さらに、スマートフォンやタブレットはパソコンよりも利便性が高く、移動中、外出先、待ち合わせをしているときなど、場所を選ばずに、いつもで情報に触れることができる。

    坂田氏はさらに、企業からすると消費者とスマートフォンやタブレットがあることでコミュニケーションするタッチポイントが増えるメリットはあるが、情報が増えすぎているため、いかに情報をマネジメントするが重要になってきているという。このようにテクノロジー変化が激しいなかを、マーケティングしていくには、従来のマーケティングの方法では、なかなか対応が難しくなってきているともいう。

  • 世代

    オムニチャネルというキーワードで企業に話に行くと、「うちのお客さんはまだスマートフォンやタブレットを使っていないから」とよくいわれます。

    しかし、本当にそうでしょうか。たとえば、スマートフォンやタブレットでオンラインショッピングをしている親を見ている子供たちにとっては、オンラインショッピングが当たり前になり、スマートフォンやタブレットで買い物ができるということを覚えてしまっているのではないでしょうか。

    と述べた坂田氏は、いまだに店舗の売り上げとオンライン店舗の売り上げを競わせて、企業内でシェアの取り合いになっている企業も多いという。しかし、店舗とオンラインを区別したままでは、将来のビジネスを考えたときに、リスクあるのではないだろうかと指摘する。

    オムニチャネルには「チャネル」という単語はついているが、今までのようにオンラインのチャネル、店舗のチャネルといった独立したチャネルではないと考えている。オムニチャネルでどんな価値を提供できるのか、提供したいのか、といったところを考えなければならない。

坂田氏は「なぜいま企業はオムニチャネルをやらねばならないのか?」についてこのように説明したうえで、次にオムニチャネルの実装例を実際の施策を交えながら3つ紹介した。

事例1
ユーザー体験におけるバリアをなくす/ジョンルイス

John Lewis(ジョンルイス)はイギリス全土で39店舗の百貨店を展開。また、Waitrose(ウェイトローズ)と呼ばれる高級スーパーチェーンを280店舗展開。

ウィンドウショッピングをしていて、「この服が欲しい」と思って店舗の中に入っても、目当ての服を見つけられないことはありませんか?

オンラインの場合、キーワードを入れて探していけば、欲しいものがだいたい見つかる。しかし実際の店舗の場合、人に聞くなど、手間のかかることをしなければ見つけられないケースがあった。そこで、ジョンルイスでは、Webサイトの改善、モバイルサイトとアプリケーションの構築、店舗内にWi-Fiを設置などを含めた6つの施策を行った。ここではそのうちの3つを具体的に説明する。

マルチプライシング

マルチプライシング

まず、ジョンルイスでは、マルチプライシングという、実店舗の商品価格よりオンラインショッピングの商品価格の方が安く設定されている。店舗の場合は、定員と話しながら商品を購入するため、その分の金額を上乗せした価格が設定されている。一方、オンラインの場合は、基本的な操作はユーザーに行ってもらうため、当然その分の料金が安くなっているという。

そこで、ジョンルイスでは、他の商品と比較検討して購入できるように、実店舗に置かれている商品にQRコードを付けた。ユーザーは、QRコードをスマートフォンなどで読み込むとオンラインにつながり、価格や商品の細かな特長を調べることができる。ユーザーにとって安くていいものを比較して購入するという、当たり前の購買行動をオープンにできる環境を整えた。

デジタルキヨスク

デジタルキヨスク

次にジョンルイスでは、デジタルキヨスクと呼ばれる、Webサイトとつながっているパソコンを店舗の中に置いた。このデジタルキヨスクを設置したことにより、ユーザーは店舗に行き商品を試着して、価格の安いデジタルキヨスクで購入し、その商品を自宅に送ってもらうというコミュニケーションフローができた。

ジョンルイスでは、そもそも店舗で売るということを前提にしていないという。店舗では、店舗でしかできない体験をしてもらう場であると坂田氏はいう。「購入する場合は、店舗よりも安く買えるオンラインで購入して下さい」という形でユーザーサービスを提供している。

「来店した消費者の約50%が1回試着、商品の実物を見たうえで、このデジタルキヨスクを利用して購買行動が行われたという結果が出た」と話す坂田氏は、店舗とオンラインというセグメントを分けて考えること自体がナンセンスであるという。店舗とオンラインをどう1つに統合して、それを最適なソリューションとして提供するかが、オムニチャネルで考えなければならないことだ。

クリックアンドコレクト

最後は、日本でも、オンラインショッピングの一部で、コンビニ受け取りというサービスが展開されているが、購入したものが届く時間に、自宅で待っていなければならない。日本の場合は、配送時間がきめ細やかに設定されているので、2時間程度、自宅で待っていれば、購入したものが届くが、自分が受け取りたい時間に取りに行くことができれば、もっと便利になるだろうと坂田氏はいう。

ジョンルイスでは、オンライン購入者全体の約30%が、このクリックアンドコレクトと呼ばれる、サービスを利用している。ただし、ジョンルイスとウエイトローズの店舗が住んでいる近くにない場合はこのサービスを受けられない可能性がある。

坂田氏は、このジョンルイスで実現できたことは、ユーザー体験におけるバリアをなくしたことだという。それまでは、店舗は店舗、オンラインはオンラインというように、タテ割にチャネルが並んでいた。その枠組みをなくして、どうすればユーザーのコミュニケーションフローを遮ることなくスムーズに体験してもらうかということで取り組んだ事例なのだ。

事例2
新しい体験を店舗で提供、タブレット端末でTVを操作できる新しいフロア/サムスン

サムスンでは、製品のもたらす価値を正確に伝えたいという課題があった。

従来の販売フロア
メーカーごとにセグメンテーションされている
ブルーゾーン(新しい販売フロア)
大型ディスプレイTVの前に、タブレットが設置

従来の販売フロアに行くと、メーカーごとにセグメンテーションされていて、同じような映像が流れていた。そのため、製品の違いがよくわからず、結局安い価格のものを買ってしまうという消費者の購買行動がみられたと話す坂田氏。

ブルーゾーンと呼ばれる新しい販売フロアでは、大型のディスプレイTVの前に、タブレットが配置されている。このタブレットを使ってTVの操作ができ、自分が見たいシーンに応じた映像を消費者が選んでTVで流すことができる。これは消費者、企業両方にメリットがあるという。

企業にとってのメリットは、どの機能が比較されたのか、どの製品が比較されているのかがタブレット端末からわかる。この消費者の行動データをもとに、どの機能は外せないのか、どの機能だったら外してもいいのか、その機能を外して価格自体を下げた方が製品の売り上げが伸びるのではないか、といった製品開発に活かせる。

消費者にとってのメリットは、パンフレットを取り出して比較したり、定員に説明を求めたりするまでもなく、実際の映像を見て製品を比較できる。

せっかく店舗へ来てくれたユーザーに対してどういった体験をしてもらうかということが重要になってきています。来てくれたユーザーに対して、ゲーム要素のあるエンターテイメントを提供したり、TVの比較のように直感的に使用できるデジタルコンテンツを提供することが重要になってきている。

そして、そこから生まれてくる体験がユーザーの購買行動を促すことにつながっていくと考えています。

事例3
店舗内の体験から店舗外の体験までをトータルでプロデュース/アウディ

アウディのショウルームのリニューアルを全面的に協力した事例。

従来のカーディーラー
実際の車が並んでいて、車の横にファンクションカードが設置
新しいカーディーラー
実際の車があまりなく、大型スクリーンの前にタッチパネルが設置

従来のカーディーラーでは、実際の車が並んでいて、車の横に価格や性能が表示されたプライスカードがある。一方、新しいカーディーラーでは、実際の車があまりなく、大型スクリーンが設置されている。基本的に車を購入するときは、オーダーシートと呼ばれるチェックボックスが付いた紙に、自分が希望するホイール・カラー・オプションなどを選んでいく。

しかしこの従来の方法では、ユーザーは実際の車を見せることができなかった。たとえば、ホイールサイズの違いでどのように車全体が見えるのか、どの色が自分好みなのか、といったことがわからず、結局、価格に目が行き価格重視で選んでしまうという購買行動がみられたと坂田氏は指摘する。

この新しいカーディーラーでは、大型スクリーンの前に置いてあるタッチパネルで、自分たちが選んだホイール・カラー・オプションを奥の大型スクリーンに表示させることができる。表示された車は、360度さまざまな方向から確認でき、エンジンやインテリアなどの内部構造も確認できるという。

また坂田氏は、このカーディーラーを作ったことによって、ビジネス拡大に貢献できたという。つまり、車全体のフォルムを見せることによって、「自分らしさを表現するには、費用がかかるのは仕方がない」と納得して購入してもらえたという。

このデジタルソリューションは、ウェブシステムとCRMが連携していて、店舗内の体験から店舗外の体験までをトータルでプロデュースするコミュニケーションフローが設計されている。購買に至るまでにユーザーがどういう体験をするか、ブランドに対するユーザーのロイヤリティを上げられるかということを一番に考えた方法となっていると坂田氏は話した。

◇◇◇

3つの事例を説明した坂田氏は、講演の最後に次のようにまとめた。

オムニチャネルの定義とは、オムニチャネルはチャネルの概念ではない。ユーザーの購買行動、オンラインでの行動をプロデュースするということです。

チャネルは独立したものではなく1つのソースとして考えるべきである。体験に関しては、店舗が「こんな体験ができますよ」とアピールしていたが、これからオムニチャネルを目指すのであれば、消費者にどういった体験を生み出して、拡散していくのかといったことを考えなければいけない。そのきっかけを、どのように提供すれば、それが爆発的なものになるのかということを考える必要がある。

リテール(小売)に関しては、オンラインで購入してもらおうが、オフラインで購入してもらおうがそのブランドや、お店が好きで購入してもらうことに違いなく、売り上げに貢献してもらっている。つまり、さまざまなチャネルを争わせる必要はない。

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