企業ホームページ運営の心得
ページを開いたらまずスクロール、という意欲を満たすペライチコンテンツ

楽天市場を代表とする縦長の「ペライチ」ページの効果を検証
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の321

技術ありきの間違い

テクノロジーの進化によって常識は書き換えられていきます。かつて、セキュリティ対策として「JavaScript」の使用中止が叫ばれていた時代があったことすら信じられなくないほど、現在のホームページにおいて「jQuery(JavaScriptのライブラリ)」の利用は必須といっても過言ではありません。伸縮自在の「アコーディオン」や、次々と画面を変える「スライドショー」などを活用することで、だらだらと縦スクロールを繰り返すコンテンツが減りました。

一方で、こうした見かけ上の効果を疑問視する声もあります。端的に言えば「効果があるの?」の一言です。現場に近づくほど聞こえてきます。「アコーディオン」はクリック(あるいはロールオーバー)しなければコンテンツの内容を見られませんし、スライドショーはコンテンツの表示順で会議が紛糾することもあります。

結論を述べれば、どちらも正しく、一方に決めつけるのが間違い。目的やコンテンツによって効果は異なり、技術ありきの議論が不毛ということです。そして今回、紹介するのが「ペライチ」です。

効果があるからという事実

ペライチとはペラペラの1枚の略で、何ページにもわたる企画書に対する「薄っぺらな企画」という揶揄と、「シンプルでわかりやすい」という2つのニュアンスで使われます。「ペラ(1枚)」コンテンツの代表と言えば楽天市場です。しつこいぐらいの縦スクロールでもページは1枚、他のページに遷移することなく、すべての情報が1ページに掲載されています。

最近のトレンドからいえば、やや「時代遅れ」でしょうか。不用な情報を見かけ上かくし、必要に応じて表示させた方がまとまったレイアウトになります。しかし、楽天市場はいまだにペライチです。また、通販サイトのランディングページにおいて、ペライチはいまだに幅を効かせています。つまり、売上に効果があるのです。必要に応じてクリックすれば見られる、とは制作者の傲慢で、クリックする場所がわからない訪問者は、

とりあえずスクロール

するからです。

あるリフォーム業者の実例

新しいコンテンツを作り、知り合いの主婦を集めてレビューを行いました。すると「jQuery」をつかったアコーディオンを見落とす人がいることに気がつきます。「Click」と目立つように表示しても、見落としてしまうのです。そしてマウスのホイールをガラガラ回し始めます。画面をぱっと見て望む情報がないと判断したとき、ページの下にあるのではないかと自主的に判断するようです。

ここで「アコーディオン派」は、ユーザビリティの問題と反論するかもしれませんが、クリックするように仕向けるだけのユーザビリティへ取り組んでいては、本末転倒ではないでしょうか。ユーザビリティとは客の使いやすさを求めるものです。ならば、お望み通りにスクロールした先に情報を掲載させる=ペライチ化も、ユーザビリティの1つの形ではないでしょうか。

それならば、と実際の効果を検証します。あるリフォーム会社サイトで塗料による断熱効果をうたうペライチコンテンツを制作しました。お客様の声、設置事例、価格、科学的データといったコンテンツは、いつもなら複数のページに分けます。しかし、先の主婦の事例から1つのページにまとめてみたのです。

検索順位の急上昇

標準的なノートパソコンで10スクロールするぐらいのコンテンツです。作っておいて何ですが、正直「やっちゃった感」がありました。最後まで見るのかという思いは隠しきれません。ところが、先の主婦に見せると、「とりあえずスクロール」でページの最後までたどり着くのです。ページを上げ下げする姿は往年のアップダウンクイズを連想させます。そして訪問者の「目に触れる」という目的においては、ペライチの勝利でした。

さらにこの塗料は、あるメーカーの商品なのですが、ペライチ化して数週間後に商品名での検索結果で1ページ目にランクインします。これは体感値に過ぎませんが、ペンギンアップデート以降、グーグルは独自コンテンツをおもしろがっている風があり、オーソドックスにカテゴリ分けしたコンテンツではなく、あえて情報量を多くしたペライチが独自コンテンツとして評価されているように感じます。

当然ながら商売用コンテンツである以上、販促効果も求められます。詳細は検証が待たれるところですが、情報量は訪問者の利益に合致する確率が高く、間違ったアプローチではないのではないでしょうか。

客が求める答えはあるか

ペライチ化するうえで、最も気をつけなくてはならないのが「順序」です。コンテンツを「説明」と錯覚しているWeb担は少なくありません。しかし、ビジネス用のコンテンツは販売目的です。Webにおいて、「起承転結」のように順序立てて理解を求めるアプローチは間違いと断じます。何らかの課題を抱えてやって来る訪問者が知りたいのは、「結(論)」だからです。

先の断熱塗料を求める訪問者は、断熱効果について知りたいのです。塗料の中に含まれる断熱材の化学式ではありません。サーモグラフィーによる実施テストは採用の決め手になるかもしれませんが、まだ必要ありません。今は自分の家を塗り替えたときの効果効能を求めているのです。

ましてやペライチは、果てしないスクロールを訪問者に要求します。途中で脱落させないために“つかみ”が必要なのです。

科学的アプローチで解決する

主婦の例もSEOも再検証が必要な事例です。マッチポンプではなく、すべてのコンテンツを「ペライチ」にすればうまくいく、と保証することはできないのです。ペライチも1つのアプローチに過ぎず、ある店で色んなおかずを詰め込んだ「幕の内弁当」が売れたからといって、すべての弁当屋で同じように売れるとは限らないように。

ですが幸いなことに、Webではどちらがうまくいくか検証ができます。自社コンテンツに向いている見せ方はどちらか、「ABテスト」で調べます。

Aをペライチ、Bをアコーディオン派として、どちらの販促効果が高いかを確認します。先の断熱塗料のケースでは、滞在時間でペライチに軍配が上がりましたが、すべてのケースに当てはまるものではありません。ですが、可能性の1つとして、最新技術で構築したサイトでイマイチ効果の出ないときに試してみる価値があるアプローチが「ペライチ」です。

今回のポイント

ペライチのコツは結起承転結

ABテストで精度を高める

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