【レポート】Web担当者Forum ミーティング2013 Spring
アクションにつながるデータ活用の3メソッド「分析」「仮説」「改善」と基本プロセス/アドビ システムズ

アクションにつなげるデータ活用の方法が語られた、アドビ システムズの講演をレポート
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【レポート】Web担当者Forum ミーティング2013 Spring

セミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2013 Spring」(2013年4月24日開催)の講演をレポートする。他のセッションのレポートはこちらから。

アクセスログ解析や広告効果測定など、オンライン上のさまざまなデータを分析してアクションへとつなげる。当たり前のように感じるかもしれないが、実際にデータを十分に活用できている企業は少ないという。Web解析のデータをもとに、社内を巻き込んでアクションを起こし、改善につなげるにはどうすべきか、Webビジネスに10年以上携わる、アドビ システムズの芥川公亮氏が解説した。

データや仮説を社内でシェアすることが、アクションを起こす第一歩

  • 57%の人はマーケティング予算を決める際に、ROI計算をしていない。

    「先月も出稿したから」「出稿費用が安いから」といった理由で決めてしまう。

  • 39%の人は解析ツールで分析したデータを活用できていない。

    ツールの料金や、分析に費やす時間といったコストを回収しようとしていない。

  • 86%の人はコンテンツ掲載の判断をデータに基づいて行っていない。

    紙のカタログなど既存のコンテンツを、Webに落とし込めばいいと判断するケースが多い。

デジタルマーケティングの世界では、アクセスログ解析や広告効果測定をはじめとしたさまざまなデータが活用されている。しかし、実際のアクションにデータが十分に活用されているケースは少ないと、講演の冒頭で芥川氏は会場へと問いかける。

芥川 公亮氏
アドビ システムズ 株式会社
コンサルティング サービス部
コンサルタント
芥川 公亮氏

こうしたデータがあるなかで、みなさん自身はいかがでしょうか。今日はデータをアクションにつなげるためのプロセスとメソッドを、ぜひ持ち帰っていただきたいと思います。

芥川氏はこのように切り出し、まず「プロセス」面で代表的な3つの課題を指摘する。

  1. そもそも分析の仕方がわからないこと

  2. 時間がない(成果が不透明な業務に時間を割けない)こと

  3. 社内の協力が得られないこと

このうち1と2については、分析のための知識を身につけるなり、業務のプライオリティを見直すなりして、Web担当者個人のレベルで改めることができるが、問題は3つ目の「社内の協力が得られないこと」だ。ある程度の規模のWebサイトであれば、何かを変えようとすれば当然、デザイナーや技術者に協力してもらわなければならない。社内のリソースを割くには、上司などの決裁も必要になる。芥川氏は、こうした社内調整の壁を乗り越えられないことが、アクションにつながらない要因になっていると説明する。

この課題を乗り越えるには、データに基づいた改善のための仮説を、社内でシェアすることが大切です。上司、同僚、他部署など多くの人を巻き込みながらインパクトのある仮説を考え、実現手法も含めてディスカッションし、共有する。Web担当者個人で抱え込むのではなく、シェアしながら社内の賛同者を増やしていくことが非常に重要になります。

データとは無関係に思えるアナログ的仕事を行うことも、Web担当者が成果を出すために欠かせない業務だと言えそうだ。

データをアクションにつなげる3ステップ

続いて芥川氏は、データをアクションにつなげるための「メソッド」を、分析、仮説、改善の3つのステップに分けて紹介した。

分析
分析に必須の「ビジネス要件」「集客・回遊・完了」「比較」

まず分析段階でのポイントは、「ビジネス要件」「集客・回遊・完了」「比較」の3つだ。

  • ビジネス要件:売上へのインパクトを考える

ビジネス要件とは、簡単に言えば、設定しているKPIが本当に正しいのかどうか、あらためて考えてみることだと芥川氏は説明する。

芥川 公亮氏

たとえば、売上をKPIに採用しているケースはよくあると思います。ちょうど今、私が担当しているお客さまもそうです。しかし、テストの結果、売上が良かった施策ばかりを採用していると、ヘビーユーザー向けに施策が最適化されてしまうことがよくあります。購買単価が低く、売上貢献度が低い初回購入客向けの施策は、はじかれてしまうのです。結果、売上は伸びても、新規は増えない。ビジネス的にそれでいいのか? という話になります。

このような事態を避けるには、売上を「購入回数」「平均単価」「訪問回数」「コンバージョン率」などの要素に分解し、どこを改善すれば最も売上にインパクトを与えられるかを考え直す必要が生じる。たとえば、「新規の購買単価は低いが、再訪以降は高くなる」「新規のコンバージョン率に問題がある」というデータが得られていれば、新規のコンバージョン率向上が売上アップに貢献することは自明であり、新規獲得のために予算を重点配分しやすくなる。

  • 集客・回遊・完了:キャンペーン結果だけでなく文脈を捉える

    「集客・回遊・完了」とは、集客からコンバージョンに至るまでの動線をよく観察し、「どのページがなぜコンバージョンに貢献しているのか」「どのページがなぜ離脱が多いのか」を考えることだ。キャンペーンの結果を見るだけなく、どのような文脈でそのページが見られているのか(離脱されているのか)を考えることで、改善のための具体的な仮説が見えてくる。

  • 比較:顧客をセグメントごとに切り分けて比較

    「比較」では、単に過去の施策や別のキャンペーンと比べるだけでなく、顧客をセグメントに切り分けて比較することがポイントになる。そのための効果的な方法として、芥川氏は次のようなバブルチャートを紹介してくれた。

アクセス解析データを訪問回数とコンバージョン率に絞り、チャートで比較
アクセス解析データを訪問回数とコンバージョン率に絞り、チャートで比較

このチャートは、Y軸にコンバージョン率を、X軸に訪問回数を取ったもので、バブルのサイズはコンバージョン数を表している。

グラフを見ると、左上に“機会”とありますが、訪問回数は少ないけれどコンバージョン率が高いページがあります。一方で右下の“課題”は、訪問回数は多いけれど、コンバージョン率はあまり高くないページです。課題に位置するページから、機会に位置するページにリンクを貼ってナビゲートするというのが、コンバージョン率向上のためによく行う施策の1つです。

ちなみにこのバブルチャートをつくる際にはデータのゆがみを排除するため、極端に訪問回数が多いトップページや、コンバージョン率が必然的に高くなるカートのページ、サイト内検索などはあらかじめフィルタで取り除いておくことがポイントになる。

仮説
3Cフレームワークで考える

次に仮説段階のメソッドだが、芥川氏はマーケティングの3Cフレームワークである、「customer(顧客)」「competitor(競合)」「company(自社)」という3つの視点から、複眼的に改善につながる仮説を考えることが有効だと説明する。

顧客がどのような課題を抱えているのかという、シチュエーションを考えるのは当然だが、顧客の視点で競合他社サイトを見ることも重要だ。そのうえで、顧客はなぜ自社で商品を買ってくれるのか、なぜ買わないのか、といったことを考えるのだ。

改善
「スピードと効果」と「汎用的な知見」でテスト

そして最後の改善段階では、「スピードと効果」および「汎用的な知見」という2つの評価軸で、テストを行っていくのがお勧めだという。

実施のために開発工程が必要になるなど、難易度の高いテストは通常は実行困難です。ですから、効果の高さと難易度の低さを基準に施策を点数付けし、さらに汎用的な知見を得られるかどうかを加味して、テストを行っていくといいでしょう。

たとえば、XというキャンペーンにおいてA、Bどちらのバナーが有効かというテストは、簡単に実行できるが汎用的な知見を得られるかどうかは疑問だ。したがって、グローバルナビゲーションや購入ボタンのデザイン、サイト内検索など、1回改善をすれば継続的に効果が出て、かつ難易度の低いものから着手するのがいいという。

芥川氏は実際の改善事例として次の3つの事例を紹介した。

  • 商品発見方法の分析からコンバージョンを改善

    サイト内検索からの流入とコンバージョン率に相関性を見いだし、サイト内検索を見つけやすいように大きく表示するようにした。テストの結果、コンバージョン率は5%アップし、テスト後にも継続して分析すると、サイト内検索の利用率と商品閲覧率も向上していた。

  • 仮説をすぐに実行せず、分析を挟んでテスト

    あるECサイトでは、商品一覧ページの画像を大きくした方が、コンバージョン率が上がるという仮説を立てた。一方で、1ページの表示商品点数が少なくなるので購入率が下がる可能性もある。実際にテストをしてみると、多数のユーザーが2ページ目以降に移動しており、7割のユーザーはページを70%までスクロールして閲覧していた。

    声の大きな担当者の仮説をすぐに実行するのではなく、テストの結果を受けて商品画像を大きくしたところ、コンバージョン率が7%アップした。

  • 小さなテストと成功体験で社内の理解を得る

    ランディングページの購入ボタンのデザインをテストし、結果の良いデザインを採用しただけでコンバージョン率が4%上がった。簡単なテストで改善の成果を出してみせるのは、データに対する社内の理解を得られやすくなるという面でも有用。

データを根拠にした仮説を共有し、アクションにつなげる

データをアクションにつなげるためのプロセスとメソッドを事例とともに解説してくれた芥川氏は、講演の最後「データを根拠にした効果が見込める仮説で、社内の賛同者を得て改善につなげてほしい」と、データもとに改善サイクルを回し続けている企業事例を紹介した。

当社のお客さまでトップクラスの企業は、グローバル40人の専任担当者が、毎日、分析・改善を行っています。しかも2年先までテストプランがあるというから驚きます。では平均的にはどの程度のテストを行うかというと、1年間で192パターンです。1回のテストで4パターン実施するとすれば、1週間に1回くらいテストを行っている計算になります。テストや改善を行う習慣をつけ、最低でも月に1回は行うことが最も重要です。本日紹介したメソッドの1割でも2割でも、実際にビジネスの場で使っていただければ幸いです。

データをアクションにつなげるための課題は、分析の経験やリソースだけではない。アクションにつなげていくには、データをもとにした仮説がビジネスにどのようなインパクトを与えるのか、社内で賛同者を得ることも欠かせないのだ。講演で得たメソッドを現場で活用してもらいたいと芥川氏は話し、講演を終えた。

芥川 公亮氏
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