編集長ブログ―安田英久
マーケットインが顧客のニーズ志向でプロダクトアウトはそうじゃない? そんなバカな

「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の一般的な定義は少し違うのではないかと。
※2013-03-20 記事タイトルを初出時点から変更しました。

今日は、「マーケットイン」と「プロダクトアウト」という言葉について、一般的にいわれている定義が少し違うのではないかという話を。

結論から言うと、「マーケットイン」も「プロダクトアウト」も、どちらも顧客のニーズをベースにしており、違いは「顕在化したニーズ」に対応する手法か、「顕在化していないニーズ」に刺しに行くものかという点だと考えているのです。


「マーケットイン」と「プロダクトアウト」の意味として一般的にいわれているのはこんな感じではないでしょうか。

  • マーケットイン ―― 顧客が求めるもの・必要とするものを提供する方針

  • プロダクトアウト ―― 作り手が良いと判断したものを提供する方針

しかし、私はこの定義の「プロダクトアウト」はおかしいのではないかと思うのです。企業が顧客のニーズを把握せずに、自分たちの都合だけで製品やサービスを企画して提供するなんてことは、(常識で考えると)有り得ません。

あるとすれば、それは「プロダクトアウト」なんて呼び方ではなく、「企業が思い込みで作るもの」扱いですよね。そして、その製品やサービスが市場に受け容れられるかどうかは運です。


この2つの言葉は対極にあるものではなく、次のように切り口が違うものだと私は考えています。

  • マーケットイン ―― 顧客の顕在化したニーズに応えるもの。「こういうのがあればいいな」と顧客が求めるものを提供する方針

  • プロダクトアウト ―― 顧客がもっているが顕在化していないニーズに応えるもの。「いまは想像できないかもしれないけど、これがあればあなたの生活(仕事)がこんな風に変わりますよ、それってあなたのもっているこういうニーズを別の切り口から満たすものですよね」という企画の方針。

言い換えれば、前者は顧客の事前期待に応えるもので、後者は顧客の事前期待をはるかに超えるか良い意味で裏切るものですね。

プロダクトアウトの典型だといわれるウォークマンは、ニーズなしに製品ありきで作られたのでしょうか。そうではないですよね。大きなラジカセを持ち歩いてでも音楽をそばにおいておきたいニーズがあり、それをより良い形で満たすために作り出した製品ですよね。

iPhoneはジョブズの脳味噌だけで作られたのでしょうか。そうではないですよね。インターネットをもっとパーソナルで常にそばにあるデバイスで利用できるといいというニーズがあり、さらに、既存の入力インターフェイスは直観的でなくわかりづらいので敬遠しがちだというニーズに応えて生み出したものですよね。

いまのグーグルのようなロボット型検索エンジンはどうでしょうか。「情報を探す」というニーズは大いに存在して、その解決手段を、既存の枠組みから離れてより良い形で模索したものですよね。


この考え方での「マーケットイン」と「プロダクトアウト」、どちらも顧客のニーズをもとにしていることには違いはありませんが、マーケティングはやはり違ってきます。

たとえばリサーチ。このプロダクトアウトは顧客のニーズをベースにしていますが、実物ができるまでユーザーは「それが欲しい」と考えもしていないので、直接的なリサーチは役に立ちません。ニーズを掘り下げて、各種の顕在ニーズやその背景に共通する潜在的な要素をあぶりだす必要があります。

またできた製品のマーケティングも違ってきます。前者は知ってもらえれば購買や契約につなげやすいですが、後者はそのプロダクトが顧客にどんなメリットを提供するのかを理解してもらうフェーズが必要になりますから。


MBAの学校やマーケティングの教科書でどう教えているのかは知りませんが、マーケットインでもプロダクトアウトでも、「顧客のニーズに応える(つまり顧客に何らかの形での価値を提供する)」ことは当然であり、それを満たしたうえでならば、ぜひ「自社の強みを活かす」べきだと思います。

まぁ、それを企業として実行し続けるのが難しいんですけどね。

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