衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

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Googleアナリティクスの地域情報はどれぐらい正確なのか?

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Googleアナリティクスの地域情報はどれぐらい正確なのか?

ご覧いただいたように、Googleアナリティクスでは、最も狭い範囲では市区町村レベルで利用地域を割り出している。では、なぜ「渋谷区」や「大阪市」から利用しているということがわかるのだろう? それはGoogle アナリティクスが何をもとに地域情報を割り出しているのかというロジックに依存する。

Google アナリティクスでは、計測対象サイトにアクセスしたユーザーのIPアドレスから「地域」レポートが作成されていると考えられる。つまり、サイト利用者のIPアドレス情報を取得し、その情報を「IPアドレスと地域の対応データベース」に照合して、最終的に「地域」のレポートを作成しているはずだ。

となれば、「IPアドレスと地域の対応データベース」なるものの正確性がどのくらいなのかということが重要な判断基準となる。こうしたデータベースは世の中にいくつもあり、Google アナリティクスがどのデータベースを使っているのかはわからないが、そもそもIPアドレスでどの程度地域を正確に絞り込めるのかという問題をまず押さえておく必要がある。

IPアドレスは各種管理団体がそれぞれのレベルで存在していて、IPアドレスの分配を担当している。まずは国際管理団体「ICANN」が、国/地域ごとにIPアドレスを分配している。そうして分配されたIPアドレスを、さらに国ごとの管理団体が下位のISP(インターネットサービスプロバイダー)に分配するという仕組みになっている。たとえば日本においては、「日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)」がIPアドレス管理指定事業者(ISP)へ切り分け、各ISPは各組織へと割り当てていくといった構造になっている。

このような構造にあるので、国ごとのIPアドレスがどの地域に割り当てられているかというデータベースがあれば、それに照合すればよいということになる。問題はどこまで細かく情報がわかるかという点だろう。

たとえば、日本全国でサービス展開しているISPに対して、ある範囲のIPアドレスが割り当てられたとしても、そのISPでのIPアドレスの利用がどの程度細かく地域別に割り振られているのかによって、都道府県レベルまで正確にわかるのか、市区町村レベルまで正確にわかるのか精度は異なってくる。

日本のIPアドレスのエリア情報データベースとしてはサイバーエリアリサーチが管理するSURFPOINTがあり、市区町村まで判定可能だということだ。

参考:IP Geolocationデータベース SURFPOINTについて

これらの情報を使うことでかなり高い精度でアクセス者の所在地域を判定できるが、とはいえ、利用地域を100%正確に特定することは、IPアドレスの仕組みから考えて不可能だと考えておくのがいいだろう。

たとえば小規模な企業が利用している小さなIPアドレスブロックがどこで使われているかをリアルタイムに100%データベースに反映することは不可能だし、どれだけデータベースが正確でも、企業内からのプロキシを通したアクセスやVPNを通じたアクセスなどでは実際にアクセスしている人の所在地とは異なる場所だと判定されることになる。

ましてGoogle アナリティクスが日本のこういった精緻なデータベースを日本のデータだけに適用しているとは考えにくいので、しょせんその程度の精度であるということを、データ利用の前提として押さえておくべきだろう。

改めて申し上げるが、Google アナリティクスの「地域」レポートに表示される地域の根拠となるデータはIPアドレスであり、GPSのようなピンポイントで居場所の近くを特定するような精度を求めてはいけないということだ。

とはいえ、このレポートが傾向を把握するのには役に立つことに代わりはない。地域特性が重要なWebサイトを運営しているのであれば、ぜひこの「地域」レポートを活用することを考えてほしい。訪問の規模、「訪問別ページビュー」「訪問時の平均滞在時間」「新規訪問の割合」「直帰率」などの訪問者の質を見ること、そして成果に結びついたかどうかは「目標セット」「eコマース」の指標グループのデータを見ればよい。

筆者の『ユニバーサルアナリティクス版Googleアナリティクス完全マニュアル(PDF)』が発行されました。

筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座も、定期的に開催しています。 → Google アナリティクス ゼミナール

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