衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

Googleアナリティクスの導入から、運用、活用まで、正式なサポートがない初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

Googleアナリティクスとは/衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

直帰とは? 直帰率とは?

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直帰とは? 直帰率とは?

さて、このランディングページのレポート(図1を下に再掲)の右端に、「直帰率」という列がある(図1緑枠)。

図1(再掲):[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポートの一部
図1(再掲):[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポートの一部

この「直帰率」の「直帰」というのは、1ページしか閲覧しなかった「訪問」のことだ。つまり、Webサイトの外からやって来たユーザーが、ランディングページだけを閲覧して、すぐに他のサイトに行ってしまったか、Webブラウザを閉じたか、そのページを開いた状態で30分以上が経過したかで、その訪問を終えたということを表している。

そして「直帰率」とは、訪問数全体のうち、直帰となった訪問数の占める割合を示している数値だ。

直帰率=直帰した訪問数÷訪問数

という計算式で計算して、小数第2位の百分率(パーセンテージ)で表す。

計測期間中のサイト全体の直帰率は、[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[ランディング ページ]レポート内のデータ一覧表示部の右上に、「直帰率」として表示されている(図1青枠部分)。図1では62.76%となっている。

サイト全体の直帰率の計算式

このサイト全体の直帰率を計算式で表現すると下記のようになる。

サイト全体の直帰率=サイト全体の直帰した訪問数÷サイト全体の訪問数

たとえば、サイト全体の直帰率は62.76%と表示されているが、これは、サイト全体の直帰した訪問数(4,032回)を、サイト全体の訪問数(6,424回)で割って計算された数値だ(直帰した訪問数はレポートには表示されていない)。

ランディングページ別直帰率の計算式

一方、ランディングページ別に表示されている「直帰率」(図1緑枠部分)は、各ページから閲覧が開始された「訪問」に絞った直帰率のことだ。計算式で表現すると下記のようになる。

各ランディングページの直帰率=そのページをランディングページとする訪問数÷そのページから閲覧が開始された全訪問数

たとえば、ランディングページで1位に表示されているトップページの直帰率は64.80%と表示されているが、これは、直帰した訪問数(974回)を、トップページをランディングページとする全訪問数(1,503回)で割って計算された数値だ(直帰した訪問数はレポートには表示されていない)。

直帰率の注意点:
トラッキングコードをカスタマイズすると直帰率のデータに影響を与える?

ここからは、かなりGoogleアナリティクスを使いこなしている中級者以上の方向けの内容だ。まだ始めたばかりの人や、これから始めようと考えている人には、まだ理解できないかもしれないので、読み流していただいてかまわない。

一般に直帰率は低い方が望ましいとされる。

1ページで完結するコンテンツもあるので断定することはできないが、一般的には、ユーザーのニーズにマッチしてないコンテンツが表示された場合、すぐにサイトから離れてしまう、つまり直帰することになると推測されているからだ。

そのため直帰率は非常に重要な指標の1つとして捉えられる場合が多い。

ただし、Googleアナリティクスのトラッキングコード(JavaScript)をカスタマイズすると、この直帰率のデータに大きな影響を与えてしまう可能性があることに注意してほしい。この点について解説しよう。

カスタマイズの方法によっては、実際には計測対象サイト内のWebページを1ページしか閲覧していない直帰の訪問が、Googleアナリティクスのデータ上では直帰ではないと扱われてしまう場合があるのだ。

そういった影響を与えるカスタマイズの例としては、そのページで外部のページへのリンクをクリックした行為を計測したり、マウスの特定の動きを検出したりするようなトラッキングコードがある。そうしたカスタマイズを行っている場合、原則としてそれらの計測もGoogleアナリティクス上は「1ページ見られた」といった具合に扱われ、直帰にならないことがあるのだ

具体例でお話ししよう。

たとえば、Googleアナリティクスのトラッキングコードをカスタマイズすると、外部のページへのリンクをクリックした行為を計測できる。その方法としては、リンクがクリックされると自動的に、次のいずれかの方法で「クリックされた」情報を追跡することになる。

  • 仮想ページビューを割り当てる方法
  • イベントトラッキング(イベント名を付与する)を利用する方法

前者はクリックという行為が仮想のページのページビューとしてカウントされ、後者は割り当てたイベント名で1イベントがカウントされるというカスタマイズの計測だ。

前者の仮想ページビューを使った場合の具体例で見ていこう。

仮想ページビューを割り当てる場合

ページA閲覧 → ページAにあるリンクをクリック→ 外部のページ
図5:通常の閲覧パターンの例

図5の通常のケースでは、ページAから閲覧が開始され、そこで外部のページへ移動したことになる。この場合はページAがまずページビューとして1カウントされ、直帰したことになるので、ページAをランディングページとした訪問に対して直帰が1回カウントされる。

これに対して、次の図6を見ていただきたい。

ページA閲覧 →リンクをクリック(仮想ページビュー)→ 外部のページ
図6:仮想ページビューが割り当てられた閲覧パターンの例

ページAから閲覧が開始され、そのページAの中にある外部へのリンクのクリックが計測されたケースだ。

ユーザーは、ページAを閲覧して、リンクをクリックして、外部サイトのページへ移動しているわけなので直帰に見える。しかし、クリックに仮想ページビュー(実際にページを見ていないが、ページを見たとしてカウントする設定)が割り当てられているため、Googleアナリティクス上ではクリックが2ページ目の閲覧として計測され、ページAで直帰したことにはならない。つまり図6では、赤字部分がそれぞれ1ページビューとカウントされる。

図6のような、実際は直帰の範疇に入るべき訪問が、直帰としてカウントされないと、結果として直帰率が低く計算される。もし直帰率が異常に低いような場合は、仮想ページビューの割合が高くないかをチェックしてみよう。

イベントトラッキングを利用する場合

イベントトラッキングを利用する場合も基本的には同様だ。リンクにイベントトラッキングが設定されている場合、リンクがクリックされると、ページビューではなくイベントがカウントされるのだが、直帰の扱いに関して言えば、仮想ページビューと同様に、ページビューとして扱われる。

ページA閲覧→リンクをクリック(あるイベント)→ 外部のページ
図7:イベントトラッキングを利用した閲覧パターンの例

図7の例では、太字部分のページAが1ページビュー、「あるイベント」も1イベントとカウントされ、イベントがページ閲覧と同様に扱われるので、ページAでの直帰とはならない

もし直帰率が異常に低いような場合は、仮想ページビューだけでなく、イベントトラッキングの割合はどうかもあわせてチェックしてみよう。

ただし、イベントトラッキングに関してだけは、このような直帰率への影響をなくすようなオプションが2011年10月に追加された。そのオプションを利用すれば図7のようなケースでもページAで直帰したとみなされるようになる。いずれにしても、直帰率のデータを見る際には、このように実態より直帰率を押し下げてしまう計測のカスタマイズが存在することに気をつけよう。

筆者の『ユニバーサルアナリティクス版Googleアナリティクス完全マニュアル(PDF)』が発行されました。

筆者が講義を行うGoogle アナリティクス徹底講座も、定期的に開催しています。 → Google アナリティクス ゼミナール

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