DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門

インプレッションを計測する | DSP/RTB入門書特別公開 #4

クリックだけでなくインプレッションも含めて計測する方法として、第三者配信というシステムが利用できる。
横山 隆治、菅原 健一、楳田 良輝 2012/7/23(月) 8:00 |
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DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門
DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門
この記事は、書籍『DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門』の内容の一部を、Web担の読者向けに特別に公開しているものです。今回は、Chapter 4-4 「インプレッションを計測する」の内容をお届けします。

これまで述べたように、クリックだけではなくインプレッションも含めて計測することは、極めて重要である。その方法として、第三者配信というシステムが利用できる。

第1章でもふれたが、ここではマーケティング施策の運用の視点から、より具体的に第三者配信の活用を解説する。

第三者配信

インプレッションの測定は既存の広告解析ではできない。前述のとおり、既存の広告解析システムでは広告配信後、ユーザーが広告をクリックして初めて広告解析システムに情報が来る。つまり仕組み上、インプレッションの情報を知ることができないのである。

これを解決する仕組みを第三者配信という。広告の配信を媒体に代わって第三者配信システムが行うのである。どういうことかと言うと、通常、媒体を使った広告配信というのは広告画像とリンク先のURL情報を媒体に入稿する。画像とリンク先情報を使って媒体は該当の広告枠にその広告(画像とリンク)を表示する。第三者配信システムを使うと媒体に代わり、第三者配信システムが広告枠に画像とリンクを表示するのである。

媒体には画像とリンクの代わりに広告配信タグを入稿する。タグというのはHTMLやJavaScriptで記述されているソースコードである。インターネットの媒体はHTMLで表示しているので、広告枠に外部のソースコードを記述することで、そこだけ第三者配信システムから表示することができるのである。

図4-4-1 広告主(代理店)が媒体入稿をする場合
図4-4-1 広告主(代理店)が媒体入稿をする場合
図4-4-2 広告主(代理店)が第三者配信を経由して媒体入稿をする場合
図4-4-2 広告主(代理店)が第三者配信を経由して媒体入稿をする場合

これにより、広告の画像表示もクリックの動作も第三者配信システムで行っているので、インプレッション、クリックともにカウントすることが可能となる。このように広告主が第三者配信システムを導入すると、媒体ごとの入稿管理が楽になり、システム上で配信の管理・運用が可能となるのである。仮に画像が変更になった場合も広告主側が第三者配信システム上で画像を差し替えればよい。

日本で第三者配信システムを利用する場合は、世界で利用されているMediaMind Technologiesや、国産ではFringe81社の「iogous*mark」がある。

図4-4-3 第三者配信経由の入稿の場合の広告表示の仕方
図4-4-3 第三者配信経由の入稿の場合の広告表示の仕方

また、媒体へは画像ではなくタグでの入稿となる。たいていの媒体が第三者配信システムを利用したタグ入稿を許可しているが、Yahoo! Japanやその他の媒体では第三者配信システムでのタグ入稿が許可されていない。しかし、インプレッションから得られる情報は広告主には必須の情報となっており、多くの広告主が第三者配信システムを利用しているため、今後より多くの媒体が第三者配信システムからのタグ入稿を許可せざるを得ない状況になると想定される。

ちなみにDSPはむしろ純広媒体と違い、第三者配信を歓迎しているところが多いと感じる。DSPはインプレッションのバイイングプラットフォームとして特化しており、画像の管理は外部の第三者配信ベンダーに任せる傾向にある。

媒体を横断したレポート

第三者配信システムを利用するメリットはほかにもある。1つは媒体を横断した統一のカウントと統一のレポート作成だ。複数媒体に入稿している場合、すべての媒体にタグで入稿することで第三者配信システムからの一括広告配信や集計が可能になる。そのため媒体ごとの計測基準などの違いがなく統一指標での一括レポートが可能である。画像やリンクの入稿では広告主側でデータを取得することができないため、各媒体社からのレポートを見るしかなかった。複数の媒体へ出稿しているとそのレポート内容やインプレッション、クリックのカウント方法など少しずつ各社の仕様が異なり、計測方法に違いが出てしまう。しかもレポート自体を比較するためには人力で各媒体社からのレポートを1つにまとめる必要があった。第三者配信システムを使いタグ入稿をすることで広告配信自体を第三者配信システムで行うため、媒体社と同じ情報を得ることができる。媒体ごとの集計やレポートも第三者配信システムが一括で行うことができるので前述のような各社の集計の違いなどもない。

図4-4-4 今まてのレポート抽出
図4-4-4 今まてのレポート抽出
図4-4-5 第三者配信でのレポート抽出
図4-4-5 第三者配信でのレポート抽出

媒体ごとの比較

2つ目は媒体ごとの比較ができることである。インプレッションとクリックの情報を取得できるとわかるのはCTRだけではない。インプレッション情報が取得できると複数媒体でのユーザー重複率などがわかる。たとえば媒体A、B、Cの3つに広告を配信したところ、どれくらいのユーザーが重複したのかわかる。ユーザーが極端に重複するような媒体同士であれば、価格が安いほうを選んでもよいかもしれない。もしくは離れている場合はCV件数やクリックの反応を見てどちらか良いほうに絞り込んでもよいかもしれない。このように今までは異なる媒体のユーザーの重複はわからなかったが、配信を第三者配信システムで統一することで知ることができる。

媒体の比較方法は重複率以外にもある。たとえば1000万インプレッションの純広媒体を3つ買ったとする。この各媒体の広告到達のユニークブラウザー(UB)数を知ることができるのである。媒体Aは1000万インプレッションでUBが200万だった。つまり200万ブラウザー(≒人)に到達した。平均フリークエンシーは5回である。1000万インプレッションの内訳は200万人に平均5回広告を表示したことになる。一方、媒体Bは1000万インプレッションでUBが10万だった。そうすると平均フリークエンシーは100回になる。例なのであえて極端に書いているが、自社の商品を多くの人に見てもらいたい場合は媒体Aを選択するだろうし、少数に何度も見てもらいたい場合は媒体Bを見てほしいと思うだろう。このように、媒体のレポートでは明らかにならないものも第三者配信では把握できるのである。

クリエイティブの最適化

3つ目は広告画像の配信を最適化できることである。従来は広告画像を媒体に入稿していたので媒体での広告配信時の画像は1つであった。効果が悪いので別の画像に切り替えたいなどの要望はメールでやり取り(何回までと決まっている媒体もある)して切り替え用の画像を送り、数営業日経過した後に画像が切り替わっていた。第三者配信システムを使えば、効果が悪かった場合は媒体に依頼することなく広告主側や代理店が第三者配信システム上で切り替えを行うことができるのである。

第三者配信システムであれば効果が悪い時に切り替えるのではなく、最初から複数画像を登録し、ローテーションで画像を交互に配信することもできるし、最初の数日は画像4種類を均等に配信し、それ以降は効果の良かった画像だけを配信することができる。切り替えは、もちろん画像だけでなくリンク先の変更も可能である。このように今までの媒体出稿は実施前に画像とリンク先を渡し、実施中はただ見守り、実施後にレポートをもらうという最適化のできない配信であったが、第三者配信を使えば実施前にタグで入稿し、実施中は効果を見ながら画像やリンク先を切り替えるということが可能となった。

グローバルフリークエンシーとシーケンス配信

4つ目はグローバルフリークエンシーとシーケンス配信である。2つ目で話したように、第三者配信システムは広告画像を集中管理しているため、媒体を横断してユーザーごとに何回表示したかの評価ができる。つまり、とあるユーザーは媒体Aで10回、媒体Bで3回接触したというデータも取得できるのである。これをグローバルフリークエンシーと呼ぶ。グローバルフリークエンシーは媒体全体でのフリークエンシーを知ることができる指標である。このデータを見ると、媒体ごとに規則性がないように思われたフリークエンシー情報も、実は「CVした人は平均5回以上は広告を見てからCVしている」などがわかるのである。

このように自社の商品がCVに至るまでだいたい何回以上広告を露出すべきかを知ることは非常に重要である。最低でも10回は広告を表示しないとCVまで至らないのであれば、1~9回のフリークエンシーのユーザーがCVしていないのは仕方がない。いかにその1~9回のユーザーに追加で広告を表示するかを考えたほうがよい。これにはDSPを使ったリターゲティング広告が効果的で、対象のユーザーに追加で広告を表示することで足りない分を補うことが可能である。純広媒体に第三者配信システムを使うだけでは、課題を発見することはできても、それを補うことはできない。DSPではそこを補完することが可能である。

そしてシークエンス配信では表示した回数によって広告画像を切り替えることが可能である。たとえば1~5回は認知、6~10回は商品訴求、それ以降は他の商品を表示するなどフリークエンシーによって切り替えることが可能となる。第三者配信ですべての広告配信を管理し、誰に何回接触できたか、また何回から効果が上がって、何回から効果が下がるかを把握しているからこそ、シークエンス配信が生きてくるのである。しかしシークエンス配信はあくまでも配信回数によって画像(訴求内容)を切り替える手法なので、平均的なユーザー以外は逆に精度が落ちる可能性がある。たとえば最初の5回はバナーAが効果的でそれ以降はバナーBが効果的であるとわかったとしても、あくまでも平均的なユーザーにとっての効果だったのであり、ユーザーによっては10回表示しないと認知効果が得られない場合もある。やはりサイトの中のオーディエンスデータを積極的に活用して、サイト未訪問者には認知バナー、サイト訪問経験がある場合は商品訴求バナーといったように、ユーザーのステータス(状態)を把握して広告配信を行うほうが、人それぞれに配信を合わせることができるので効果が上がっていくのである。

DMPの活用

このようにブランドが管轄しているサイトでユーザーがどんな行動をして、何に興味があるかを知ることはとても効果があるものの、アクセス解析ではそれができないのが現状である。

筆者がプランニングを行う場合はDMPと呼ばれるオーディエンス管理のプラットフォームをブランドのサイトに入れて内部オーディエンスデータを管理している。

このDMPは一般的には外部オーディエンスデータを管理するためのサービスであるため、これは本来の使い方とは少し異なる。使い勝手にも若干制限があるため、今後この領域の専門的なサービスが現れてくることが期待される。

このように第三者配信を使い、インプレッション計測を行うことで従来取れなかったデータが取れるようになり、見えなかった情報を把握することができるとともに、そのデータを元にDSPで効果的な配信を行うことができるようになる。

DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門
  • 著者:横山 隆治/菅原 健一/楳田 良輝
  • 発行:株式会社インプレスR&D
  • ISBN:978-4-86478-001-8
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DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門
ビッグデータ時代に実現する「枠」から「人」への広告革命

マス広告だけで物やサービスが売れた時代は終わり、いまや企業はネット広告やソーシャルメディアなど多様なチャネルで顧客とのコミュニケーションを続けることが求められている。本書は「枠」(掲載面)ではなく、「人」を特定して配信するターゲティング広告の最新テクノロジーDSP/RTBの基本的な仕組みと、それを活用したオーディエンスターゲティングの実践方法を解説した初めての本。受け手の反応を見ながら1配信ずつ最適化するDSP/RTBを中核に、顧客の反応を最大限に活かすビッグデータ時代のマーケティングを学ぶことができる。

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