企業ホームページ運営の心得
スマホ対応のすすめとスマホ化の指標。土建業界に吹くWebの風

スマホ対応を判断するための指標はどのようにもつべきでしょうか。
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の266

スマホの適齢期

今年の夏、ついに「らくらくホン」のスマートフォン版「らくらくスマートフォン」が発売されます。多機能化した「ガラケー」が扱いづらいという利用者の声から、機能を限定して1999年に発売されている「らくらくホン」シリーズが、その応用性の高さ故に利用者を選ぶ「スマホ」で発売される矛盾に、

電卓専用スーパーコンピュータ

の響きを見つけます。

すると、いよいよ重い腰をあげ「スマホサイト」に着手しなければ、と本稿は煽るものではありません。スマホの浸透率は業界や客層で大きく異なり、実質の普及率はいまだ2割という統計もあります。そこから、オーサリングソフトやCMSの「スマホサイト制作機能」が充実するのを待つというのも1つの選択肢です。

それでは自分の会社のサイトはどうすべきか?

こうした疑問に1つの指標を示すのが今回のテーマです。

緊急調査の結論は4という数字

以下「Google Analytics」の利用を前提に進めていきます。

まず、既存サイトにスマホがアクセスしている割合を確認します。Google Analyticsのメニューから、[ユーザー]→[モバイル]→[サマリー]と順番に開き、「訪問数」を確認します。表示されたレポートにある「Yes」の項目がモバイル端末からのアクセスを、「No」の項目がPCからのアクセスを示しています。※1

次に、PC(No)÷モバイル(Yes)と、それぞれの訪問数を電卓で叩きます。その結果が「4.0」を割り込んでいるならスマホ対応は喫緊の課題だといえるでしょう。それは訪問者の2割がスマホになっていることを意味するからです。※2

スマホからPC用のサイトを閲覧すると、画面は小さく、見づらさは否めません。まして、スマホの「らくらくホン」の普及が進めば、「操作に長けた若者」だけではなくネットリテラシーの低い老眼に悩む人生の先輩まで利用するようになるのです。このとき不便なサイトは淘汰されていきます。

※1:「Google Analytics」の「モバイル」の集計には、いわゆる「ガラケー」も含まれますが、弊社の集計において、全訪問者に占める割合は、ガラケー専用サイトがある場合でも3%弱だったので割愛しています。

※2:割合の求め方は「2モバイル(Yes)÷訪問総数×100」

1.2の衝撃

行列ができる焼き肉屋として有名な東京都足立区の「スタミナ苑」の数値を調べると「1.2」でした。つまり約45%がスマホからのアクセスだったのです。足元普及率2割のスマホからのアクセスが、約半数を占めているのです。さらにPCとスマホの平均PVを比較すると「3:2」となり、「PC用サイトが見づらくて脱落している可能性」もあります。その日のうちに「スマホ用サイト」に着手しました。

弊社で集めたデータは分母が揃っておらず、こうした調査はできるかぎり、同規模のサイトで比較するもので、正当な統計調査からすれば「邪道」とお断りしておきますが、先に示した計算で「4.0」を切っている場合、以下の式が成立します。

サイトから見込める利益×2割(0.2)>スマホ化対策費用

スマホ検索のパーソナライズ

あるビジネス系グッズの通販サイトでは「12.0」と、圧倒的にPCからのアクセスが多く、オフィスのPCからアクセスしていると想像できます。この場合のスマホ化対策費用は利益の7.6%。粗利高が1,000万円なら76万円ありますが、10万円なら7,600円。あとは「経営判断」ですが、次の指摘をもって「先行投資」として取り組むのも1つの考えです。ただし、そもそもサイトからの利益がない場合はスマホサイトを作っても解決はできないことをお忘れなく。

先行投資として注目するのは「スマホSEO」という可能性です。物議を醸していますが、個人情報の活用をグーグルは宣言し、検索履歴から通話記録まで保存しようとしています。もちろん、スマホの位置情報も、端末情報も取得しています。すると「スマホ対応サイト」を好むユーザーには、それを優先して表示させる機能を搭載するのは必然です。

たとえば、「スタミナ苑」と検索すると、レイアウトに違いはあってもPCとスマホでは同じ結果が表示されますが、スマホ版ではGoogleプレイスに登録された情報をもとに「電話」アクションのボタンが表示されます。単に「焼肉」と検索してみると、位置情報を取得できるスマホでは近隣の店舗が優先して表示される場合があります。

また、スマホサイトがある場合は、PCサイトをスキップさせて自動的にスマホサイトへ誘導することも可能です。「タッチしたら重いPCサイトだった」と、戻るボタンを押すユーザーを引き止められます。

作ってみたら簡単だった

グーグル自身も「スマホ専用ボット」の存在を、昨年末に公式に認めており、グーグル自身が提供する「ウェブマスタツール」もそれを裏付けます。サイトのクロール状況を確認する「Fetch as Google」には、対象サイトやページを「モバイル:スマートフォン」と指定するオプションがあるのです。いまでこそPCとスマホの検索結果はほぼ同様となっていますが、将来の変更を予感させます。

前述のアクセス調査の結果をもとに、緊急性の高いクライアントをチョイスして、2日間で3つのサイトをスマホ対応にしました。それぞれ原稿執筆の合間……もとい専従はできませんでしたが、結論を述べれば「簡単」です。最新ノウハウを投入して複雑に作り込めばもっと時間はかかりますが、「ナイよりアルが100倍偉い」のがネットの常識です。とにかく公開することに専念すれば、スマホサイトは簡単です。その感覚はこう。

シンプルなPCサイトを作っている

あらたなる業界の可能性

端末ごとの画面サイズ、さらには「iモード」と「EZweb」の違いに気をつけた、

ガラケーサイトの制作

と比較して簡単です。Internet ExplorerとNetscape Navigator(いつの時代でしょ?)、それぞれに最適化をしていたころの労力と比べれば100分の1といってもいいでしょう。さらに通信速度が上がり、多くの利用者が「定額制」を利用しているので、以前ほどデータ容量を気にしなくて済むことも楽な理由です。もちろん、スマホサイトでも画像を小さくすることが推奨されますが、ガラケーのそれや、「テレホーダイ」時代の減色処理に比べれば圧倒的に手間いらず。

さらにこれはおまけです。今回の執筆に当たり、周辺取材をかけてみたところ「土木・建築業界のスマホ化」という可能性を発見しました。弊社が管理する建築系サイトは、先の指標で「6.5」で優先度は低いといえます。しかし、土建築業界の現場での「スマホ率」が高いのです。

土建業界の現場ではPCの代換え品としての需要が高く、作業前後に写真を撮るのが一般的で、その確認用にスマホが重宝するというのです。もちろん「ネットで検索」も。いま、最もスマホサイトを望んでいるのは土木・建築を相手にする業界かもしれません。

今回のポイント

スマホからのアクセスは偏りがある

スマホ対応は費用対効果のチェックから

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