編集長ブログ―安田英久
消費者庁「サクラの口コミNG」でも旧来の枠組で根本ルールは変わらず

消費者庁の「口コミでサクラはNGよ」は、残念ながら表層的な事例を追加したに過ぎません。

今日は、ソーシャルメディアや口コミサイトなどを含めて問題になる「マーケティングの倫理」とその規制に関して。

消費者庁が「口コミでサクラはNGよ」と正式に発表したのですが、残念ながら表層的な事例を追加したに過ぎず、根本的な「マーケティングの倫理をイマドキに合わせて定める」ところまでは行っていないようです。

消費者庁は、5月9日に「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を一部改定しました。

今回の改定では口コミサイトでのサクラ口コミの投稿は問題となる事例が追加されています。具体的には、次のようなものが「問題となる事例」に追加されました。

商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼し、自己の供給する商品・サービスに関するサイトの口コミ情報コーナーに口コミを多数書き込ませ、口コミサイト上の評価自体を変動させて、もともと口コミサイト上で当該商品・サービスに対する好意的な評価はさほど多くなかったにもかかわらず、提供する商品・サービスの品質その他の内容について、あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること。

これを受けてニュースサイトなどでは「消費者庁がサクラにNGを出した」というように報じられていますが、残念ながら実際には「ちょろっと事例を足した」レベルであり、根本的には以前と変わっていません。

現時点で消費者庁が示しているのは、あくまでも「景品表示法上の有利誤認・優良誤認などの不当表示」に関するものであり、それがヤラセか自然発生かは問うていないのです。

上記の事例も、問題なのは「あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること」であり、優良誤認にならない(「実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される」ことがない)程度であれば、たとえ業者に口コミを作らせたとしても問題とはならないということになります。

これって、本当にあるべき姿なのでしょうか? 本来定めるべきは、「サクラ・ヤラセに類する、消費者をだます行為」を禁じる(またはそれが明確になる)ことなのではないでしょうか?

「そんな無茶言っても」と思うかもしれませんが、米国では、「広告主による虚偽またはミスリーディングな広告行為はNG」だとする、消費者を欺く広告(優良誤認や有利誤認であるかにかかわらず)を禁止するガイドラインを2009年12月より発効させています。

消費者庁は、前述の資料のなかでこのFTCの件も脚注として言及していますが、その方向にルールを変えていく動きは日本では表面化していないようです。

もちろん日本の法律と米国の法律は異なりますし、根本的に何かを変えるには、大きな力と時間がかかります。法律、法律施行規則、ガイドラインのどの段階でどう変えていくのかなど、庁内で調整しているところなのかもしれません。

前回のコラム「渋谷ヒカリエが教えてくれたWebサイトリニューアルの真髄と覚悟」でも書きましたが、すでに成立している何かを変えるには、大きな覚悟と変革を示すフラッグシップが重要です。

消費者庁の方には、ぜひ、現行法の範囲内での調整に留まらず、日本の「マーケティングの倫理」を明確に示し、現在の消費者の環境に合った他国に誇れるルール作りを進めてもらえればと思います。

そして、マーケティングを担当する人は「現在の法律が現在定めている範囲」だけでなく、「法律が目指すあるべき状態」を見据えた正しい倫理をもって行動していただければと思います。そうすれば、法律が今後変わっていっても不安になることはないですよね。

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