有名サイト、かってに解析!

アクセス解析的な視点でのチェックポイント

ページ

アクセス解析的な視点でのチェックポイント

最後にアクセス解析的な視点で見るべきポイントをまとめておこう。

  1. トップページについて

    現状把握には、まずクリックマップのようなツールで、トップページからのリンクはどこが多いのかということを把握したい。新着情報などはあまりクリックされていないように思えるがどうだろうか。

    また、コンテンツが大量にあるわけではないので、コンテンツの種類、来訪者の種類など複数の軸で誘導するようなリンク構造にするのが有効な気がした。できれば同一訪問内で閲覧するコンテンツを調べて、親和性の高いコンテンツをグルーピングするような見せ方ができればと思う。

    グローバルナビゲーションに関しては、マウスオーバーすると第2階層が表示されるようになると、いちいちクリックして次のページを確認する手間も省けるし、行きたいページへ直接誘導することも可能になるだろう。

    あとは「ドームスケジュール」などのラベルが分かりやすいかどうかという点が気になる。これは他のページでもそうだと思うが、何かのタスクを与えて実際にやってもらうユーザーテストを行うことで、分かりにくい表現などをピックアップしていくとよいのではないか

    細かい点では、文字の大きさの変更や、別言語への翻訳などの割合がどの程度あるのか、他国からのアクセスがどのくらいあるのかは把握しておきたい。外国からの観光というのは、観光施設で無視できないポイントになるだろう。

    また、トップページを含めてindex.htmlというファイル名付きでも無しでもアクセスできるので、同一コンテンツでURLが複数存在する問題があったのは気になった。本来はリダイレクトなどで、URLは1つに集約した方が、検索エンジン最適化上もアクセス解析でも楽だろう

  2. サッカー一般利用のページ

    このページでは、「利用案内」「利用料金」「利用規約」のコンテンツが同じURL内で処理されている点が気になった。アクセス解析ツールによっては、どのコンテンツが見られているのかを判別できない可能性もあり、どのコンテンツを見ているのかがきちんとわかるように計測する工夫を凝らしたい

連載全体のまとめ:Webサイトの問題点をどのように考えていくべきか?

今回はコンテンツのボリュームが膨大だったわけではないので、見るべきポイントはそれほど多くなかったが、今までの連載も振り返って、改めてどのようにWebサイトの問題点を考えていくべきかというのを、連載を終えるにあたり、簡単にまとめておきたい。

賢明な読者はお気づきだと思うが、この連載では、基本的に何か突拍子もない理論を振りかざしてきたつもりもないし、目を見張るようなテクニックを駆使したこともない。ごく当たり前の話しかしてこなかった。当たり前の視点からでも様々な問題点を発見していくことができると感じていただけたら幸いである。

個々のWebサイトの事情を知っていれば、もちろんもっと有効な手段を提供できたかもしれないが、本連載では、そういった個々の特別な事情や数字は未知であるという前提で話を展開してきた。

しかし第三者としてWebサイトを見てきても、様々な問題がありそうなことは容易に想像できた。皆さんも、第三者の視点で、自分のサイトをぜひ振り返っていただきたいと思う。私がやったアプローチはそれほど多くはない。ポイントは3つに絞れる。

まずユーザーのことを想像する

Webサイトは様々な人たちが訪問する。しかし、ある程度典型的なユーザー像は何種類か想定できるはずだ。ペルソナなどといった専門用語を持ち出すまでもなく、こんな人が来ている、こんな人が来てほしいというユーザー像はWebサイト運営者なら持っているはずだ。ではその人たちにとって、例えば、トップページは分かりやすく出来ているか、よく訪れそうな入口ページは分かりやすく出来ているか、そういうことを想像してWebサイトを作っているか。つまり、実際のデータを活用しているかということだ。

データから分かりにくいこともある

一方で、データはすべてを明らかにしてくれるわけではない。もちろん、アンケートの調査結果が時として回答者の理想像を語っているに過ぎない場合があるということに比較すれば、アクセス解析データはユーザーの自然な行動の集積なので、より正直だ。しかしデータは時として膨大で、例えば無限に発散する経路の分析をしても問題点が簡単に見つかるわけではない。

そんな時に有効なのは、A/Bテストのように、ある成果を達成する確率の優劣で判断するという方法だ。これは定量的な手法でどちらが優れているのかを相対的に検証する方法である。

またもう1つ有効なのはユーザーテストで、定量的ではないが、定性的な手法で主要な問題点を浮き彫りにする手法だ。5人の被験者にあるタスクを行ってもらって出てきたエラーで、全エラーの85%が発見できるともいう。

アクセス解析以外の定量的、定性的調査についてもお薦めしてきたが、様々な手法を使ってWebサイトの改善に活用してほしいと思う。

仮説検証型のアプローチ

最後に仮説検証型のアプローチをお薦めしたい。上記の2つの前提とも言えるのだが、最終的にはWebサイト運営者自身が、何らかの問題意識を持っているということが大事だ。問題意識を持っていれば、こうした方がいいのではないか、なぜならこうだと思うからという仮説が自然に浮かんでくるだろう。

問題意識を持っていれば、改善案をぶつけるA/Bテストだってできるし、データもそういう目で比較検討することができるようになるはずだ。Webサイトは1日にしてならず。つねに「現在のWebサイトは、最高の状態に比べれば仮の姿でしかない」ということをベースに、どうしたらもっとよくできるかということを意識しながら、できることからコツコツと、日々着実にWebサイトを少しずつ良くしていっていただければと思う。

◇◇◇

毎週・木曜9時の「有名サイト、かってに解析!」は、定期連載としては、今回でいったん終了します。みなさんのご愛顧に感謝いたします(編集部)。

ページ

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

アクセシビリティ
広義には、障害者、高齢者を含むすべての人間が、同じレベルでサービスや機器、施設を ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]