【レポート】Web担当者Forumミーティング 2011 Autumn

PDCAの成功事例に学ぶ! Web戦略を成功に導くマネジメント手法 | ビービット

仮説・実験型のマーケティングを提案する株式会社ビービット 武井由紀子氏の講演をレポート。
Web担当者Forum ミーティング2011 Autumn

セミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2011 Autumn」(2011年11月8日開催)の講演をレポートする。他のセッションのレポートはこちらから。

午前中のセッション終了後は、Web担当者Forum ミーティングで初の試みとなるランチセッションが開催された。参加者にはサンドイッチとお茶が用意され、軽い食事を取りながら聴講するというスタイルだ。登壇したのは、仮説・実験型のマーケティングを提案する株式会社ビービット 取締役の武井由紀子氏。講演会場はランチタイムにもかかわらず、学習意欲の旺盛な参加者でほぼ満席となる盛況ぶりだった。

半期で170%以上の出荷数量増加に貢献したA&E型マーケティングとは

株式会社ビービット 武井 由紀子氏
株式会社ビービット
取締役
武井 由紀子氏

株式会社ビービットは、徹底したユーザー心理分析により、成果創出を実現するデジタルマーケティング企業だ。プロジェクト単位で支援を行うコンサルティング業務と、継続的・長期的なPDCAサイクルの基盤づくりの2つを事業の柱としている。前者は大手企業を中心に約200社、後者は効果測定ツール「ウェブアンテナ」の提供を通じて300社以上の支援実績がある。

今回のランチセッションのテーマとなったのは、後者の「継続的・長期的なPDCAサイクルの基盤づくり」。日々のマーケティング業務でどこに着目して、どう行動すれば成果を上げられるのか、という内容だ。幅広い業務に追われがちなWebマーケティング担当者にとっては、示唆に富むセッションになった。

結論から言えば、武井氏が提唱するのは「Assumption & Experiments(仮説・実験)型」(以下、A&E型)のマーケティング業務だ。

デジタルマーケティングは、クリエイティブの才能のみに依存せず、リアルタイムに得られるデータに基づいてロジカルに施策を企画・実践できるのが特長だ。しかしその一方で、データの収集・分析業務が、本来は優先的に取り組むべきマーケティング業務の時間を奪い、PDCAサイクルが停滞しがちというデメリットもある。このような、データの収集・分析を前提とする「Analytics型マーケティング」のデメリットを解消するのが、A&E型のマーケティング手法だと武井氏は力説する。

A&E型のマーケティング業務では、データ収集・分析の前にまず仮説を立てます。その仮説に基づいて実験を行い、その実験の結果をデータで確認します。施策の結果どうなったかというデータだけをシンプルに見ればいいので、解析の専門家でなくてもデータをチェックでき、短時間でPDCAを回すことができるのです。トライ&ラーンを繰り返すことでノウハウが蓄積され、マーケターの成長が速まります

武井氏は、実際にこのA&E型の業務を全面的にデジタルマーケティングに取り入れ、大きな成果を挙げた事例として、大手飲料メーカーのアルコール飲料のケースを紹介した。この商品は、2010年の上半期に前年比170%以上の出荷数量増加を達成しているが、これに貢献したのが、A&E型マーケティングだ。

弊社の成果検証ツールであるウェブアンテナを活用してA&E型の業務を導入したところ、PDCAのサイクルをそれまでの3ヶ月から1週間に高速化できました。その結果、Webマーケティングの成果は当初の数倍以上となり、現時点ではウェブの実績が最大営業支店を超える実績となっています

A&E型マーケティングを実践するための4つのポイント

セッションの中盤以降、武井氏はA&E型マーケティングの具体的なポイントを解説。「A&E型マーケティングの最も重要な観点は“実験に基づく改善プロセスである”という点」としたうえで、実践のためのプロセスが4つの段階に分けて説明された。

A&E型マーケティングを実践するための4つのプロセス
  1. A1 ゴール定義
    ゴールが曖昧なまま施策を実行せず、最初にビジネスに貢献する数値目標を必ず立てる。
  2. A2 ユーザー定義
    顧客と直接接触する機会などを設け、実在する個人をイメージできるほど、ターゲットとするユーザ像を明確にする。
  3. E3 施策
    失敗してもかまわないので、出稿媒体変更、クリエイティブ修正、サイト改善など、仮説に基づく施策を、「高い頻度」で打ち続ける。年に1度、大規模な施策を実施するより、小さな領域の施策を週次で積み重ねた方が最終的な成果は大きくなる。
  4. E4 検証
    施策の頻度を高めるには検証の高速化が必要だが、実際にはこのプロセスがボトルネックとなり、PDCAが停滞する。そこで細かなデータは切り捨て、シンプルに施策の「結果」だけを見るようにする。

A&E型マーケティングでは、これら4つのプロセスを順番に実施し、できるだけ高速に回転させることが重要になる。ボトルネックになりがちな検証プロセスでは、結果のデータだけをシンプルに見ることが、これまでのデジタルマーケティング施策とは異なる。これらは単にマーケティングのポイントというだけはない。データの山に埋もれがちなWebマーケティング業務を効率化するためのヒントにもなる考え方だろう。

最後に武井氏は、このA&E型マーケティングを、効果的に実践するためのツールとして、ビービットが提供している「ウェブアンテナ」を紹介。施策単位でシンプルに結果を見られ、メンバーと共有できることなどの特長が説明された。ウェブアンテナでは、最初の接触からゴールに至るまでの接触履歴(間接効果)も簡単に見られるそうなので、長期的な効果を狙った施策にも活用できそうだ。

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