【レポート】Web担当者Forumミーティング 2011 Autumn
花王が展開する「はじめてママのくらし応援コミュニティ」顧客とのキズナづくりとは? | 花王

花王が2004年から取り組むソーシャルメディア活用を事例とともに紹介した基調講演をレポート
Web担当者Forum ミーティング2011 Autumn

セミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2011 Autumn」(2011年11月8日開催)の講演をレポートする。他のセッションのレポートはこちらから。

「Web担当者Forum ミーティング2011 Autumn」の開幕基調講演に登壇したのは、花王株式会社 作成センター Web作成部 Web企画グループの板橋万里子氏。ソーシャルメディアマーケティング黎明期からの同社の取り組みや苦労した点を、惜しみなく披露してくれた。

ソーシャルメディアだけを活用する顧客もいる

花王株式会社 板橋 万里子氏
花王株式会社
作成センター Web作成部
Web企画グループ
板橋 万里子氏

日本を代表する消費財メーカーの1社である花王。同社はインターネット黎明期の1995年にWebサイトを開設するなど、インターネットを用いたマーケティング活動に積極的に取り組む企業としても知られている。

基調講演に登壇した板橋氏は、「ソーシャルメディア」という言葉が浸透していなかった2004年に、子育て中の母親を対象とするコミュニティサイト「GO GO pika★pika MAMA」(以下、ピカママ)を企画・立案。それから7年以上にわたり、ピカママの運営に携わり続けている。花王がいち早くソーシャルメディアを活用してきた理由は単純で、多くの顧客が現実にソーシャルメディアを使っているからだと板橋氏は話す。冒頭に説明したとおり、花王はインターネットの活用には極めて積極的な企業だ。しかし、そんな花王の社内でも「インターネットを使うのは一部の人」と認識されることがあるという。

現実には多くの方がインターネットを利用しており、なかにはFacebookやmixiなどソーシャルメディアだけの中だけで完結してしまうお客様もいらっしゃいます。だから花王でもソーシャルメディアを活用していかなければいけませんと、社内に向けて発信しています

ピカママサイトの設計
2004年にオープンしたピカママサイトの設計

企業が声を発するだけでなく、お客様からの声を取り入れていく

事例として取り上げられたピカママは、同じ月齢の赤ちゃんを育てる母親同士が集い、育児などに関するさまざまな情報や意見を交換するコミュニティサイトだ。コミュニティには、花王が3人のモデレータを配置し、月齢に応じた話題を提供しながら活性化を図っている。開設から1年間で5,000人の会員を集め、現在は3万2,000人もの会員数に育っているが、最初はコミュニティサイトとして立ち上げたわけではなかったと、板橋氏は打ち明ける。

はじめは『家事の伝承と、花王製品とのキズナづくり』を目的に、ママ目線でさまざまな情報を提供するサイトでした。しかし、花王として提供できる情報には限界があります。離乳食に関するものなど、弊社の商品とは直接関連のない情報も提供してきましたが、完璧な育児情報には成り得ないため、やはり違うのではないかという結論に達しました。そこで足りない情報はお客様のクチコミで補ってもらおうと考えたのです。花王は育児ネタを語り合える“場”を提供しようということで、試しにコミュニティをつくってみたのです

赤ちゃんを生んで2ヶ月くらいまではコミュニケーションが少ないが、育児に慣れてくると、徐々に母親同士の会話も増えていく傾向があるそうだ。その結果、人気ドラマのタイトルなど、子育てにあまり関係なさそうな検索キーワードからも流入増加が見られるようになった。顧客との接点を増やすという目的においても、ピカママは一定の効果を上げている。

手応えをつかんだ板橋氏は2007年、洗濯用洗剤「ハミングフレア 毎日ふんわりエッセンス」のコミュニティ「聞いて!聞いて!私のお洗濯」をピカママ内に設置した。これまでは、宣伝色を極力なくすためにあえて製品に関する話題を投げかけてこなかったが、運営から2年が過ぎると、ユーザーから製品について話をする場がほしいという意見が聞こえてきたからだ。「製品を語るコミュニティが受け入れられるのか、受容性を確認したかった」というが、実際に設置してみるとコミュニティには多くの会員が参加するようになり、参加者の発言率は66%、閲覧のみで休眠していたユーザーが再び参加するなど、ピカママ全体が活性化するという意外な効果があったという。

板橋氏は、製品の感想を語る「言葉」が、コミュニティ内と外部メディアでは異なる点も面白いと話す。「ブロガー施策としてサンプル配布した場合には『きれいになった』など、製品の“効能”についての言及が多く出ました。しかしコミュニティの中では、『赤ちゃんがにこっとして私も幸せになりました』といった情緒的で、家族の情景を表す言葉がたくさん出てきたのです

また、ブログ施策と比較しコミュニティ内ではネガティブな発言が少ない傾向にあり、製品に対してのネガティブな発言を、ほかの会員がフォローしたケースも見られ、いわゆる“炎上”には、つながらなかったそうだ。

このほか2009年には、おしりふき「メリーズブランド」の改良品について語ってもらう、3ヶ月の期間限定コミュニティ「するりんキレイラボ」を開設。このケースでは、担当した女性社員が妊娠中の“プレママ”だったこともあり、母親として先輩の多くの会員から、応援の言葉がかけられた。

ユーザー同士の交流だけでなく、ユーザーとマーケティング担当者が交流する機会も、コミュニティによって生み出された。3ヶ月間で約1万訪問、花王サイト内で2万6,000PVを創出したという。また、ユーザーとの絆を象徴するエピソードとして、マタニティ用品の展示会に出展した際に、ユーザーが担当者に会いに訪れたことなども紹介された。

ソーシャルメディアに参加する前に目的を考えることが大事

最後に板橋氏は、7年以上コミュニティサイトを運営してきた経験に基づいて、ソーシャルメディアに参加しないリスクと、参加するリスクを次のように説明してくれた。

ソーシャルメディアに参加しないことのリスク

  • 競合他社が先に関係性を強化してしまう
  • 消費者のホンネを取り違えてしまう
  • 変化したマーケティング環境に対応できない

ソーシャルメディアに参加することのリスク

  • 炎上するリスク→組織体制を見直す必要がある
  • 対応に手間がかかる
  • 成果がでるまでに時間がかかる

そのうえで板橋氏は、「企業や製品がソーシャルメディアに参加するかどうかは、目的次第」だと話す。「何をしたいかほとんど決まっていなくて、とにかくTwitterを使いたい、Facebookを使いたいと相談されることもあります。しかし、ソーシャルメディアを使ったからといって、すぐに拡散して成果につながるわけではありません。向くブランド、向かないブランドもあります」。

たとえば、花王では男性用育毛剤を提供しているが、デリケートな頭髪の悩みについて、ピカママと同様に活発なコミュニケーションがされるとは限らない。そのため、板橋氏は社内でTwitterの活用相談があった際には、自分ならその話題をツイートするのか、Twitterを自ら経験したうえで、ブランドと相性が良いのか考えてみることを話しているという。

板橋氏は「大事なのは、何が目的でどうやってお客様とコミュニケーションを取るか。その目的をまずきちんと考えることが最も重要だと思います」と最後に話し、講演を締め括った。

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