連載事例
SEO内部施策だけで検索エンジンからの来訪が3億PV増加、社内にSEOノウハウも蓄積/pixivのSEO事例
月1回のミーティングを重ね4か月かけて段階的にSEOを実施
依頼先がアイレップに決まってからは、具体的な施策が始まった。プランの内容は、2月から5月までの4か月間で、段階的にサイトの改善を行っていくというものだった。月に1度のミーティングで、アイレップから1か月分の施策を提案して、pixiv側は1か月かけてこれの提案をサイトに反映していくという流れになる。
基本的にアイレップ側は、問題点とその改善方法を提案するのみで、改善案をサイトに反映させる作業はpixiv側が行った。これはSEO案件の一般的なスタイルだ。
「実際に作業を行うのは社内のスタッフですが、アイレップさんからの指示は具体的で的確でしたので、悩むようなことはありませんでした。システム構成やデータベースに関する情報も、聞かれたらその都度答えるという形でした。基本的にはいただく指示にしたがって作業するだけで、基本的に大変なことはなかったです。UIやサイトのデザインに関わる施策については、質を損なわずに効果を上げるため工夫に悩むことはありましたが
」(鈴木氏)
最初のミーティングでは、サイトの現状分析と全体的な改善点が示された。
SEO関連の課題
- 大量にある魅力的なコンテンツが適切にクロール・インデックスされていなかった。
- イラスト中心のため検索エンジンに情報を伝えるテキストコンテンツが少なかった。
pixivの抱えていた最も大きな問題は、膨大にあるコンテンツが適切に検索エンジンにインデックスされていなかったこと。検索エンジンのロボットがサイト内を効率良くクロールできていなかったのだ。
しかしpixivはイラスト主体でテキストが少ないため、正直なところ検索エンジンにとっては評価しづらいタイプのサイトだ。そのなかで、ページのタイトル要素や各イラストに付けられたタグ(カテゴリなどをイラストに付与するキーワード情報)は、少ないながらも貴重なテキスト情報であり、これらをうまく活用することが提案された。
クローラの動線を最適化することでインデックスを促進し、さらにテキストコンテンツをうまく使ってページの内容を検索エンジンに理解させる。それがpixivサイトに対するSEOの基本方針だ。
ちなみに、通常のSEOでは、まずキーワード分析に時間をかけるものだが、pixivではその工程にはほとんど工数をかけなかったのだという。というのも、pixiv上にあるコンテンツのほとんどはユーザーが投稿するものでありタイトルもタグもユーザーが付けることから、分析したキーワードに対応するコンテンツをpixiv側が意図して増やせるかというと、そうはいかないからだ。
また、pixiv側からアイレップ側に提示した条件もあった。「pixivで最優先するのはユーザーの利便性であり、それを損なうようなSEO施策は受け入れられない
」というものだ。
これらを踏まえてアイレップから提案し実行されたSEO施策は、大きく分けると次の3点。それぞれ1か月ほどかけて取り組まれた。
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1か月目ログイン前ページの改善
まず取り組んだのは、非ログイン状態で表示されるページ群の改善だった。
pixivには登録ユーザーがログインしてから使う「ログイン後ページ」と、ユーザー登録していない一般の訪問者(またはログイン前のユーザー)が閲覧する「ログイン前ページ」がある。これまでpixivでは、ユーザーの使い勝手を向上させるためにログイン後にユーザーが使うページの改善に力を入れてきていたが、新規ユーザーが利用するログイン前ページに改善の余地があったのだ。ログイン前のページというと、それはすなわち検索エンジンのロボットが見るページだからだ。また、pixivに登録する前のユーザーが初めて見るページのため新規ユーザーの獲得にも関わる。
まずは、検索エンジンのロボットがページを効率的にクロールできるように、サイト内のリンクを設置していった。その際に、単にサイト内リンクを増やすだけでなく、検索ボリュームが多いであろうキーワード(たとえば放映中の人気アニメ関連など)に重み付けがなされるような仕組みを盛り込んだ(あるキーワードに関するイラストの投稿数が増えると評価が上がり、そのキーワードのリンクが自動的に増えるなど)。クロールの効率化だけでなく、サイト内のリンクを設置することでこれまで見つける事ができなかった作品への導線も確保できる。
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2か月目タグキーワードの整理
イラストページに含まれるテキスト情報には、作品名、作者名、タグなどがあるが、これらの情報がうまく整理できていなかった。同様の内容なのに複数のURLで表示されるなど、検索エンジンから見たときのページの価値が分散していたのだ(重複コンテンツとみなされるおそれもあった)。
そのため、作者が投稿したイラストやタグに対応するイラストなどの一覧ページの標準URLを整備するなどして、これらの問題を改善した。
検索エンジンのクローラが特定のドメイン名に対してクロールするページ分量には限りがあるため、不要なページへのクロールを抑制することで、見てほしいページへのクロールを促進する形だ。もちろん、サイト内リンクのリンク価値が分散することも避けられる効果もある。
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3か月目ピクシブ百科事典(別コンテンツ)の改善
「ピクシブ百科事典」の各ページには、用語の解説のほか、他の用語やタグ、関連するイラストへのリンクが含まれる。pixivの兄弟サイトとして、「ピクシブ百科事典」がある。Wiki形式の用語集サイトであり、コンテンツがテキスト中心でありリンクも多いことから、pixiv本体よりも高いSEO効果が期待できるサイトだった。そこで、このサイトをSEOに活用する施策が進められた。
具体的には、次のような内容だ。
- pixiv本体の各ページから、関連する百科事典ページへのリンクを増やした。
- 以前は編集履歴ページまでもインデックスされていたが、重複コンテンツとみなされるおそれがあるため、余計なページはインデックスされないようにした。
- HTMLタグを整備した。具体的には、Wiki記法で見出しを指定してもHTMLタグとしては太字で出るだけだった部分を、HTMLの<h1>や<h2>として表示されるようにするなどした。
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「pixivニュース」は、関連ニュース記事へのリンクがまとめられたニュースポータル。テキストが多くSEO効果が出やすいページになっている。4か月目pixivニュースの改善
最終月となる4か月目は、pixivサイト内にサブコンテンツ的に掲載されている「pixivニュース」の改善だ。
ピクシブ百科事典の場合と同様にHTMLのマークアップによる論理構造の指定が不十分だった点を改善したり、人気作品を表示するランキングページを調整してサイト内リンクを最適化したりといった、細かい部分を手掛けた。
また、手間がかかり過ぎて4か月では対応しにくい部分の改善が、今後の宿題として提案された。
検索エンジンのクロール増加で想定外のサーバー負荷が発生!
SEOの改善作業は順調に進められたが、1つだけ想定外の事態があったのだという。そのトラブルとは、サーバー負荷の急激な増加だった。
SEOのために内部リンクを増やすなどして検索エンジンロボットの動線を増やしたことから、検索エンジンのクロール量が増えた。それは狙い通りだったのだが、想定以上にロボットのアクセスが多くなり、その結果としてサーバーの負荷が上がってしまったのだ。
「SEOを進めるなかで作品にひも付くページ群を改善しましたが、対象となるのは約2000万ページあります。それ以外にも、ユーザーやタグのページも含めると、クローラがアクセスできる(=インデックスされる)のは3000万ページほどになりました。この影響が想像以上で、ここまでクローラのアクセスが増えるのかという驚きがありました。まさか、そのせいでサイトの動作が遅くなってしまうほどだとは思っていませんでしたからね
」(鈴木氏)
このときには、ログイン前ページでもリファクタリングを施し、1クロールあたりのリクエスト数を減らせるように調整して、クロールを減らすことなく対応したとのことだ。
ちなみに、「インデックスを効率的に増やす」という目的を達成するには、検索エンジン向けのXMLサイトマップを使う方法があるが、今回のプロジェクトでは手を付けなかったのだという。というのも、対象となるURL数が膨大にあるため、うまくいかないおそれや、場合によってはクロールに悪影響が出る可能性があったからだ。
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- かけたコストに見合う成果に加え社内ノウハウの蓄積も
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