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オンラインで見せれば見せるほど売れるコンテンツ

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オンラインで見せれば見せるほど売れるコンテンツ

足立 浩 氏

日本ヴォーグ社の本は、見せれば見せるほど売りにつながる」と足立氏は、断言します。確かに、日本ヴォーグ社の提供している本は、読み物ではなく、カタログと設計図から構成されていて「単品販売ができる構造なので、もともとインターネットにマッチしている」(足立氏)というのも納得です。

高額商品の本で、全ページ見られるようにしたところ、実売につながったという実績があります。高い本は本屋さんに出回らないので、ネットで紹介すると納得をして購入していただけたという現象が起こったんですね。

お客さまにはさまざまなタイプの方がいらっしゃいます。本の中に作りたい物は1点しかないのだからとネットでの単品販売で満足する人も、もちろんいらっしゃいます。逆に、作りたいのは1点だけだけれども本の雰囲気が好きだからと、1冊の世界観をそのまま欲しいと感じる人もいます。お客さまによって、それぞれの場面ごとに感じる価値が違っています。ということは、こちらからの提供のスタイルもさまざまな形があるほうが、お客さまの利便性は高まるはずですよね」(足立氏)

本というパッケージでは満たせなかったお客さまのさまざまなニーズを、インターネットで満たしていく。そういった取り組みを、日本ヴォーグ社のオンライン施策のいたる所で感じることができます。

出版社が書籍で権威づけした“先生”から、
ユーザー代表のオピニオンリーダーの出現へ

ソーシャルメディアの台頭によって「今後のハンドクラフト/手芸のマーケットそのものはかなり変わってくる」と、足立氏は指摘します。個人の情報発信は、この分野にどのような変化をもたらすのでしょうか?

昔は、デザインというものが露出するのは、出版メディアくらいしかありませんでした。出版社がある作家を採用することによって、その作家は先生になる。つまりオーソライズされて認知されることになるという流れでした。いまは状況が全然違っていて、順番が逆になっています。というのも、出版で取り上げる前に(インターネット上で)作家が認知されていて、そこから我々が誰を取り上げるかを考えるということが起こっています」(足立氏)

これまで手芸のデザインというと、出版物でしか見ることができず、出版社がそれを販売することで売上を上げているものでした。それが、インターネット上で、個人によって無料で情報発信されているのが今の状況。情報流通と情報量の両方で大きな変化が起こっているのです。この現実をいかに受け止め、どのような対応をしているのでしょうか?

インターネットで発信をする皆さんとのオフ会を、日本ヴォーグ社が場所を提供して開催しています。その皆さんは、手作り愛好者たちのオピニオンリーダー。この人たちの願いを叶えてあげることは、より多くの皆さんのご要望にお応えすることに気がつきました。

“日本ヴォーグ社が願いを叶える”というと、たとえば、1万種類の中から好きなリボンを選べるように提供するといったことです。それだけ多くの選択肢から好きなリボンを選ぶことは、普通の方ではなかなかできません。それを叶えてあげて、オピニオンリーダーの方が“私ならこのリボンをこんな風に使う”というものを作る。すると、フォロワーがそれに注目して、それと同じリボンを材料として含めたセットを購入するという流れが起こり、そのときは3日間で完売しました」(足立氏)

オピニオンリーダーの要望に応え、日本ヴォーグ社にしかできない価値を提供することで、売れる商品を作ることもできる。そういった新しい取り組みがすでにスタートしています。

ユーザー代表のオピニオンリーダーのウォンツを満たし、商品開発につなげていきたい」(足立氏)と期待が膨らみます。

「手づくりタウン」でユーザーとメーカーのいい関係を

神原 弥奈子 氏

足立氏は、ネット上のオピニオンリーダーについて「情報量が多く、感性も研ぎすまされていて、非常にいいアンテナをお持ちです」と評します。

(オピニオンリーダーたちが)言葉にしていない不満足を見つけて、それを叶えてあげる。これまで世にないモノだったら、それが多くの人のウォンツを満たすことになると思うんです。それを実現する場所として、“手づくりタウン”を成長させていきたい」(足立氏)

オピニオンリーダーの要望を叶える場所としての“手づくりタウン”のもう1つの大きな可能性として、メーカーや生産者との接点を提供し、「いい関係」を築く場所への期待を持っています。

メーカーの企画や商品企画の方の中には、ユーザーが何にどう使うかをあんまり知らずに企画しているケースが見受けられたのですが、ユーザーの代表である作家とメーカーや生産者の方を直接引き合わせると、意外と『メーカーなのにこんなこと知らないのですか?』ということがあるんですよ。

メーカー側の“売れる物を作りたい”ということと、ユーザー側の“欲しい物”がダイレクトにわかり合える場所があれば、Win-Winで本当に欲しかったものが生まれます」(足立氏)

作家と顧客のいい関係を創るメディア。そしてユーザーとメーカーがいい関係になるメディア。“手づくりタウン”のこれからが見えてきます。

ソーシャルメディアでリアルな情報を入手
限られた情報の中での妄想から卒業

日本ヴォーグ社は、作り方を解説する動画をYouTubeで提供したり、Twitterで最新情報を提供したりと、ソーシャルメディアも積極的に活用しています。企業としてソーシャルメディアはどのように考え、取り組まれているのでしょうか?

会社の役割として、情報発信からスタートしています。情報発信の役割を果たす人もいれば、傾聴をするために使うということもやっている人もいますが、自分としては、プッシュするよりも、ユーザーの実態を知るということに価値があると思っています」(足立氏)

ソーシャルメディアでの作家さんの発言のなかから、その方々の生活ぶりがわかってきたという足立氏。確かに、日常の小さなつぶやきやブログから、その人の生活パターンや一日の時間の使い方を知ることができます。ソーシャルメディアを通して「これまでの限られた情報のなかでの妄想から、リアルの情報を入手しながらの妄想にチェンジできた」というのは大きな変化です。

手作りが好きな人たちを対象にしていきたい会社なので、その代表である人たちが、どう思っているのか、どう感じているのか、できれば言われる前に気付いてあげたい。隠れたウォンツを知りたい。それをかなえてあげることが、基本的なマーケティングのペルソナにつながっていくと考えています」(足立氏)

足立氏のソーシャルメディアへの考え方は、あくまでも傾聴の場として活用するということ。オフ会での情報交換やソーシャルでの傾聴など、ユーザーを知る機会が増えていることを企業としてどのように活かしていくのか、楽しみです。

◇◇◇

インターネットの登場によって既存の事業を基本から見直すきっかけになっている企業は多くあると思います。自社の経営資源をいかにインターネットに移植していくか。企業のインターネット担当者には、経営に近い視点が求められています。あるいは経営陣よりも先にインターネットの担当者がその事実に気付くというケースもあるでしょう。

日本ヴォーグ社では、経営トップが「モノじゃなくてコトへ」ということを、全社的にメッセージとして発信しています。モノを得たことで、どういう変化があるのか。どんな満足度を提供するのか。そこまで追求しないとモノが売れないということを、全社で共有していることの背景には、ソーシャルメディア上で、個人で情報発信する人たちとの新しい出会いと、そこから生まれる新しいビジネスチャンスがあると思います。

この新しいビジネスチャンスをどのように活用していくのか。これからの日本ヴォーグ社の取り組みに期待したいです。

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