ソーシャルメディア分析活用講座
ソーシャルメディア分析活用講座「スマートフォン」編――生の声から消費者の欲求を探る

消費者はスマートフォンにどのような欲求を持っているのか、クチコミ分析を行いました。
ソーシャルメディア分析活用講座

ソーシャルメディアがライフスタイルの一部として浸透している昨今、消費者は必ずソーシャルメディア上に「声」を残します。この連載では、そうしたソーシャルメディア上の声をどのように分析し活用すればいいのか、ソーシャルメディアの分析手法と活用法についてデータを交えながら紹介していきます。

今回は話題のスマートフォンについて、消費者がどんな機能に興味を持ち、乗換えへ意欲を持っているのか、スマートフォンのマーケティング担当者になったつもりで分析を行いました。もし、あなたが同じ立場だとしたらどのような活用法を考えるでしょうか、一緒に考えてみてください。

今回の想定担当者
  • スマートフォンのマーケティング担当者
ソーシャルメディア分析の調査概要
  • 調査対象:国内主要ブログ50事業者+独自ドメインブログ(約2億記事)
  • 対象期間:2011年1月3日~10月10日
  • 調査手法:指定キーワードをキーに専用のデータベースから記事を抽出

消費者の声からわかる欲求

分析

スマートフォンはモバイル各社がここ数年の間に驚異的なスピードで開発を進めており、機能・デザイン・性能の進化は目まぐるしいものです。出荷台数も右肩上がりに増加し続け、持っていることが当たり前の時代になりつつあります。今ではキャリア各社の新端末の半数がスマートフォンとなっており、2014年にはスマートフォンの契約数がガラケーを上回るという調査(MM総研)もあります。

図1 消費者の欲求ランキング
順位 欲求の声
1位 変えたい
2位 使いたい
3位 見たい
4位 買いたい
5位 紹介したい
6位 行きたい
7位 替えたい
8位 買い換えたい
9位 持ちたい
10位 利用したい

そんなスマートフォンに対する実際の消費者のクチコミにはどのようなものがあるのでしょうか。そもそも、スマートフォンへのニーズはどの程度あるのか、国内の主要ブログを対象に、ソーシャルメディア上の声を分析してみました。ここでは、消費者の生の声から「欲求」を抽出し、ランキングにしたところ、非常に興味深い結果が得られました(図1)。

考察

収集したソーシャルメディア上の声を分析してみると、スマートフォンに対する購買意欲はもちろんのこと、1位、7位、8位から常に購買意欲を持っていて、他製品と比較検討をしていることが読み取れます。

欲求からから見えた機種変更のターニングポイント

分析

では、具体的にどんな時期に購買意欲が膨れ上がったのか、時系列で追って見てみましょう(図2)。今回は、消費者の欲求「変えたい」を「機種変更欲」ととらえ、スポットを当てていきます(変えたい、替えたい、買い換えたい、買い替えたい、は同義語としてまとめました)。

スマートフォンの「機種変更欲」クチコミ推移(週単位)
図2 スマートフォンの「機種変更欲」クチコミ推移(週単位)

考察

今年の1月から8月にかけてクチコミを見ていくと、震災を除けば「機種変更」という欲求を常に持っていることが見えてきました。そのなかでも5月16日に大きな増加が見られます。そこで、ブログの内容や当時のニュースを探ってみると、これはNTTドコモのスマートフォン(Android端末)の夏モデル発表が影響していることがわかりました。やはり新製品の発表会はとても影響力のあるイベントであることがわかると思います。このように、1つのデータを追うだけでなく他のデータを照らし合わせることも重要です。

ただ、一方でiPhoneについては、特に話題が見られませんでした。これはiPhoneが「スマートフォン」ではなく「iPhone」というブランドを確立したこと、そしてiPhoneを持った消費者はiPhoneに満足しているため、そもそも「機種変更欲」が少ないのではないか、と推測できるのではないでしょうか。

iPhone vs Android

分析

続いて、iPhoneとAndroidを比較しました。スマートフォン市場で確固たるブランドを築いたiPhoneですが、Android端末の普及率も急激に上昇している今、iPhoneとAndroid端末ではいったいどちらに機種変更をしたいと消費者は考えているのでしょうか。実際に「機種変更欲」の傾向を見ていきましょう(図3)。

iPhoneとAndroidにおける「機種変更欲」の推移(週単位)
図3 iPhoneとAndroidにおける「機種変更欲」の推移(週単位)

考察

KDDIからiPhoneが発売されるというニュース記事や、米国でのiPhone 4Sの公式発表にあわせてクチコミが大きく伸びていることから、これらの発表が反響を呼んでいることが一目でわかるかと思います。一方、Android端末への機種変更欲は時期を追うごとに着実に増え、7月にはiPhoneを上回っています。今後もApple社の大きな脅威になっていることは容易に推測することができます。

ソーシャルメディアから見たSWOT分析

分析

ここまでは機種変更欲という切り口でスマートフォンを分析してみましたが、もう少し具体的なアプローチで分析したいと思います。もしも、私がスマートフォンのマーケティング担当であった場合、まず自社製品の強み・弱み、競合製品の特長、など現状を把握するところから進めていくと思います。そこで、企業の戦略や現状分析手法の1つ、SWOT分析(Strength:強み、Weakness:弱み、Opportunity:機会、Threat:脅威)を用いて分析を行いました。いくつかの切り口で、すでに発売されている機種ごとに消費者の反応を比較してみたところ、いくつかの機種に特徴が見えてきました(図4)。

スマートフォン機種別反応調査
図4 スマートフォン機種別反応調査

考察

  • GALAXY S II

    キャッチコピーである「デュアルコアCPU搭載スマートフォン」がインパクトを与えたのか競合製品と比べて消費者の興味がスペックに向いていることがわかります。

  • REGZA Phone

    意外にも「電池」の割合が多く、その要因としてREGZA専用の大容量バッテリーが販売されたことが考えられ、スーマートフォン利用時間に対する消費者の根本的な悩みを少しでも解決しようという動きが反響を呼んでいるようです。

  • G'zOne

    現在発売されているスマートフォンのなかでは、明らかに特徴的な筐体であり、デザインが注目されていることがわかります。また、コンセプトとしても「唯一なるもの」と称していることから、ブランディングも消費者に伝わっているのではないかと推測されます。

  • INFOBAR

    前作から好評であったデザインを受け継ぎ、革新的なUIを搭載した本作は、やはり前作同様にデザイン面が大きな反響を呼んでいることがわかります。

ソーシャルメディアで生の意見を収集

これまでの内容を整理すると、次のようなことがわかりました。

  1. 消費者は常に他製品を比較し、機種変更を検討している
  2. 機種変更欲においてAndroid端末がiPhoneを抜こうとしている
  3. 各社が打ち出した個性的なコンセプトが消費者に伝わっている

これらの結果がソーシャルメディアから容易に抽出できることは、大きな価値だと私は考えています。これまで、消費者の声はアンケートやお客様からの問い合わせ、グループインタビューなどの方法で収集してきました。それは、より具体的な回答を求める場合に有効である一方、小規模で試行錯誤のしにくい欠点がありました。そういった欠点を補うためにソーシャルメディアは「気づき」としての価値を生みだしてくれます。また、消費者の声を大規模に収集することも可能になりました。

顧客満足度が重視される今、ソーシャルメディアで自由気ままに書かれた生の意見・生の欲求を商品企画やキャンペーンに活用することは、今後のマーケティングにとって必要不可欠な手法になり得たと言えるでしょう。

今回の分析はスマートフォンを対象に行いましたが、消費者はスマートフォンにどんな興味を持っているのか、どのメーカーのどんな機種へのニーズが高いのかが見えてきました。こうした消費者の生の声は、店頭で製品ごとにどんなメッセージを押し出していくのが効果的なのかなど、マーケティングへと応用できるのではないでしょうか。

もし、あなたがスマートフォンのマーケティング担当者ならどのような分析を行いますか? 一緒に考えてみてください。

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