広告効果測定の現場から

広告効果測定の現場から
アフィリエイトの重複成約を見つけて広告費のムダを減らそうと間接効果測定したら……/新生銀行の事例

広告費のムダを減らすために広告効果測定ツールを導入した新生銀行の事例

広告のなかで、アフィリエイトは重要な手法のひとつ

住宅ローンの資料請求のためなのですが、どうも1件のコンバージョンに対して複数のアフィリエイトサイトが成果とみなされる「重複成約」があるのではないかと。

それを広告効果測定ツールで調べられれば、広告費のムダを減らせると思ったんですよ。

今回の広告効果測定事例
  • 対象サイト新生銀行(B2Cの銀行サイト)
  • コンバージョン: 住宅ローンの資料請求(フォーム)、その後の本契約(オフライン)など
  • 年間広告予算: 非公開
  • 利用広告: アフィリエイト、リスティング広告、バナー広告
  • 利用代理店数: 5社程度
  • 導入ツールウェブアンテナ(株式会社ビービット)

そう話すのは、新生銀行でオンラインマーケティングを担当する松永美生氏。複数の代理店を通じて、純広告、リスティング広告、アフィリエイトなどさまざまな広告を出稿している新生銀行では、それぞれの広告の効果を分析するために、広告効果測定ツールを導入した。

そして、コンバージョン直前の広告接触だけでなく、セッションを超えた間接効果測定でユーザー行動を調べてみたところ……。

新生銀行のマーケティングにおける広告出稿の考え方と、広告効果測定で得られた、想定を超えるユーザー行動に対する知見を、マーケティングチームの松永氏と金澤氏に伺った。

新生銀行のネット広告は
住宅ローンの顧客獲得を中心に展開

新生銀行がネット広告で最も力を入れているのが住宅ローン。そのなかでも特に「借り換え層」が重要なターゲットだという(画面は2011年11月時点の情報)。
株式会社新生銀行
顧客開発部 マーケティングチーム
部長代理 松永 美生 氏

「新生銀行」は、東京に本店を置く普通銀行で、預金や投資信託、各種ローンといった商品を扱っている。全国に約40か所の店舗がある。

新生銀行ウェブサイトでは、個人や法人に向けた商品情報の提供や資料請求、投資家向け情報の発信、ネットバンキング「新生パワーダイレクト」サービスの提供などを行っているが、ネット広告を最も多く利用しているのは「住宅ローン」だ。

弊社では、ネット広告に多くの予算を投じています。商材としては、預金、外貨預金、仕組預金など数はありますが、金額でみると、大きな割合を占めているのは住宅ローンの広告です。

最近では住宅ローンに関心のあるお客さまはネットで調べるケースがほとんどなので、そういった方をターゲットに広告を展開しています。出稿ボリュームとしては、最も多いのがアフィリエイト、次いでリスティング広告、純広告などを展開しています」(松永氏)

広告には基本的に専用のランディングページを用意しており、「広告」→「ランディングページ」→「資料請求」までが1つの流れで、サイト上では資料請求がコンバージョンとなる。それ以降の申し込み促進や商品説明については、コールセンターや住宅ローンの担当スタッフが1対1で対応するという流れだ。

ネット広告の目的は、基本的には新規顧客獲得のためです。すでに住宅ローンのニーズが顕在化しているお客さまに新生銀行の住宅ローンを知っていただくことで、検討候補のなかに入れていただけるようにということです。商品自体は、条件など競合と比べてもご検討いただくに値する内容だと自負していますので、知っていただきさえすれば、コンバージョン(資料請求)まで進んでいただくことは難しくありません」(松永氏)

媒体ごとの資料請求率はもちろん、その後の本契約までも見ており、サイト上でのコンバージョン率は良いがその後の本契約の効率が極端に悪い媒体は候補から外すといった最適化は行っているという。

アフィリエイトの重複成約を把握するために
広告効果測定ツールを導入

新生銀行では、広告効果を測定するために2011年4月からウェブアンテナを利用している。ツール導入の主な目的は、アフィリエイト媒体の重複成約を把握することだった。

広告効果測定ツール
導入前の課題
  • アフィリエイト媒体の重複成約を把握したい
  • 複数の代理店が提供するツールをそれぞれ使うのは面倒

以前は、さまざまな広告の効果を調べるのに、広告代理店が提供するツールを使っていました。しかし、それだと各社のツールにそれぞれログインして調べなければいけないのが面倒だったというのも事実です。

それに加えて、最も重要な広告メディアであるアフィリエイトで、1件のコンバージョンに対して複数のアフィリエイト媒体の成約が付いてしまっている“重複成約”があるのではないかという仮説があり、それを把握したかったのです」(金澤氏)

重複成約とはどういうことだろうか? 住宅ローンを検討しているユーザーは、さまざまな情報をネット上で調べる。その過程で複数のアフィリエイトサイトを経由して何度か新生銀行のサイトを訪問するうちに、さまざまなアフィリエイトサービスのクッキーが付与される。その状態でユーザーがコンバージョンすると、1件のコンバージョンに対して複数のアフィリエイトサイトで「アフィリエイト経由の成約が発生した」とみなされることになる。1つの成果に対して二重(以上)にコストがかかっている状態だと捉えることもできる。

アフィリエイトサイトの重複成約

これまでも広告代理店の提供する効果測定ツールを利用することでコンバージョンしたセッションの参照元は把握できていた。しかし、ユーザーはコンバージョンするまでにさまざまなサイトで情報を調べているはずだ。となると、その過程で複数のアフィリエイトサイト経由で新生銀行のサイトを訪れ、アフィリエイトクッキーが付与されている可能性が高い。

そこで新生銀行では、コンバージョンしたセッションだけでなく、それ以前のセッションも含めてユーザー行動全体を把握できる広告効果測定ツールを導入すれば、重複成約の状況を調べられるのではないかと判断した。それによって「無駄なコストの削減」が可能になるのではないかと考えていたのだという。

間接効果測定でわかった
成果発生までの導線と今後の対策

そこで新生銀行では、広告効果測定ツールとして間接効果も調べられる「ウェブアンテナ」を使い、間接効果を含めて分析した。その結果、直接的な「重複成果の排除によるコスト削減」というよりも、まずは成果発生までの導線がわかったことで、今後の媒体の組み合わせ方が見えてきたほうが効果として大きかったという。

ウェブアンテナでは、成果発生までの過去のタッチポイントがわかるので、お客さまの導線を把握することができます。今回、成果が重複しやすいサイトを調べてみると、思ったよりサイトのタイプや掲載位置が似ていることがわかりました。公式リスティング広告とSEM媒体、SEO比較サイト同士といった具合です。ただ、重複は相乗効果の結果でもありますので、どちらかを切ってしまうというのではなく、まずは管理側で効率化を進めればいいのではないかと考えています。たとえば、報酬形態や契約ASPの調整といったことです」(金澤氏)

間接効果測定でわかった重複アフィリエイトサイトの状況:
新生銀行の住宅ローンネット広告の場合

数字をどう解釈するは、ネットマーケティングにおいて永遠のテーマだ。表面的な数字だけで判断すべきでないケースはよくあるし、この判断をいかに正しく行うかがマーケ担当者の役割と責任でもある。新生銀行におけるウェブアンテナの導入は、正しい判断をするための材料が増えたという意味で、価値があったといえるだろう。

ツール選定のポイントは代理店対応

さて、広告効果測定ツールの話題に戻ろう。

ウェブアンテナ
新生銀行が選んだ広告効果測定ツール
「ウェブアンテナ(WebAntenna)」

(株式会社ビービット)

いくつかある広告効果測定ツールから新生銀行が選んだのは、ビービットの「ウェブアンテナ」。このツールを選んだ理由は、使いやすさと代理店の対応率が高かったことだという。

以前からウェブアンテナのことは知っていて、そのインターフェイスや使い勝手に対する不安はありませんでした。何よりも、付き合いのある代理店さんがすべてウェブアンテナに対応できるということなので、安心して導入できました。導入時のサポートも手厚くしていただいて、ほとんどお任せ状態で導入できましたし、問題も特にありませんでした」(松永氏)

現在、新生銀行では、5社の代理店を利用している。

価格競争がきっかけで利用する代理店を増やしました。ただし、比較できることは重要ですので、1社にすることはありません。同じ案件でも提案内容は違いしますし、強みによって使い分けることも必要ですから。

各代理店には、ウェブアンテナのデータを参考として見てもらっています。代理店のツールの数字とウェブアンテナの数字を比較して、『ここは重複ですね』といった話はしています。ただ、あくまでも参考であり、議論の中心にはしていません。予算の増減をそれで判断することもありません」(松永氏)

純広告やメールマガジンの効果測定にも活用

また、純広告(バナー広告)の効果分析にも、ウェブアンテナの導入は役立っているという。

純広の効果測定に関しては、アフィリエイトやリスティングほど高精度な分析ツールがありませんから、ウェブアンテナはとても参考になります。一般的には、純広告の出稿レポートサイクルは長いため、広告への反応をみてクリエイティブを差し替えようと思っても、レポートが届く頃にはタイミングが遅くなってしまっていることがあります。ウェブアンテナを使えば、純広告の効果も短いサイクルでチェックできますから、それは非常に役立っています」(松永氏)

メールマガジンの効果も一元的に把握できるようになった点も、ウェブアンテナを導入して良かった点です。もちろん以前からメールマガジンのクリック率などを配信ツールのレポートで確認できていましたが、コンバージョンに至るまでのユーザー行動を他の広告と同じ軸で分析できるようになりました

メールマガジンは、既存のお客さまや希望者に対して配信していますが、このコンバージョン率が意外に高いという発見がありました。今まで、効果がわからずに送り続けていたメールだったのですが、広告効果に換算すると非常に大きなインパクトを持つメディアだったことがわかったので、今後はクロスセルの強化のため、より賢く活用したいと考えています」(金澤氏)

新生銀行では、オンラインでの資料請求に至るコンバージョンだけでなく、その後コールセンターなどでの直接のやりとりを経て本契約に至るまでのコンバージョンも見ているという。これは、社内の別システムとして稼働しているCRMのシステムで管理しているのだが、ウェブアンテナのデータをエクスポートしてCRMシステムに取り込むことで、オンラインからオフラインまでを通して分析できるようになっている。

導入コストに見合う「顧客理解促進」という成果

ウェブアンテナを使い始めてから半年以上になるが、広告費に加えてさらに追加出費となる広告効果測定ツールの利用料に関しては、どう考えているのだろうか?

アフィリエイトの重複成約の把握も含めて、ウェブアンテナに期待していたのは『検討材料を得ること』でした。その目的は達成できています。

もちろんウェブアンテナの利用料は追加コストとなりますが、全体の広告予算に対して考えるとまったく問題のない額です。われわれの顧客理解を深めることができましたし、ウェブアンテナなしで同じことを実現しようとすると数日かかります。その人件費を考えると、広告効果測定ツールの追加コストは決して高いとは思いません」(松永氏)

直接原価でみても、担当者の工数(人件費)でみても、利用コストに見合う成果を得られているようだ。ウェブアンテナの使いやすいインターフェイスも、その費用対効果に良い影響を与えているのだろう。

ウェブアンテナの管理画面はかなりシンプル。高機能アクセス解析ツールのような「大量のデータに圧倒される」ことはなく、ビジネス寄りの人でもわかりやすい。

ちなみに、担当者の作業工数という側面からの意見としては、「ウェブアンテナの管理画面からアフィリエイトの成約承認ができるとさらに良い」という声が出た。アフィリエイトの成約承認は手間がかかる作業なので、効果測定からそのまま承認できるとスムーズなのだという。

半年間で蓄積されたデータを基にデータ分析を掘り下げたい

松永氏と金澤氏は、今後は半年間で蓄積されたウェブアンテナのデータを活かして、さらに深い分析をしていきたいという。

アシスト効果(間接効果)では、過去10回までのサイトが記録されますが、そこでお客さまがどういう行動をしているのか、コンバージョンに寄与したのはどのサイトかといった分析は、非常に有益になるはずです」(松永氏)

あとはやはり、重複成約サイトの評価を掘り下げていきたいです。重複が必ずしも無駄ではないという前提で、たとえば最終コンバージョンになっていたら、その点を評価するという捉え方ですね」(金澤氏)

顧客開発部 マーケティングチームの金澤氏(左)と松永氏(右)
広告効果測定ツール「WebAntenna(ウェブアンテナ)」
  • サービス名: WebAntenna(ウェブアンテナ)

  • 提供企業名: 株式会社ビービット

  • サービス提供形式: SaaS/ASP型

  • 価格: 月額費用3万円~50万円程度
    ※広告クリック回数とPV数に応じた従量課金
    ※ソーシャルメディアからの流入を分析する「全ての流入計測」やSEOのための「自然検索の計測」などの機能はオプションで月額5万円(他のオプション利用により割り引きあり)

  • 導入実績: 大手企業を中心に300社以上あり(ウェブアンテナ本体)
    ※ウェブアンテナサイトの「導入の実績」ページを参照

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