Web担当者たるもの、かくあるべし 「Web担道」秘伝の書
成長期のWeb事業をさらにドライブするにはPL/BSを活用する <成長期 その1>

Webサイトの成長期にはイノベーションが必要。そのためには経営層を説得する必要があるはずだ

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サイト運営を通じて自己スキルもアップWeb担当者たるもの、かくあるべし 「Web担道」秘伝の書
※中堅Web担当者としての
考え方や、仕事の進め方の
ヒントを、Webサイトの
「立ち上げ期」「成長期」
「安定期」「衰退期」の
ステージ別に解説する。

前回まではWebサイトの立ち上げ期の話だったが、やるべきことは理解している、実際にやってきたというWeb担当者もいるかもしれない。

今回からは、Webサイトの成長期について解説する。多くのWeb担当者は、サイトの成長期に入っても“立ち上げ期”の仕事のやり方を繰り返しになってしまっているケースが多い。成長期に入れば、仕事のやり方や考え方も根本的に変える必要があるのだが、その方法が分からずに立ち上げ期の仕事を繰り返している。それではWebサイトは本質的に成長しない。

そこで今回からは、立ち上げ期とはまた異なる、Webサイトの成長期における考え方と仕事のやり方を解説していく。

Webサイトの成長期にはイノベーションが必要となる。そして、そのためには経営層を説得する必要があるはずだ。そこで、(Web担当者にはなじみがないかもしれないが)「PL」(損益計算書)や「BS」(貸借対照表)を使って経営層に理解してもらう方法を紹介しよう。

「PL」ですか?ああ、春とか夏の常連ですよね?
絶対こいつ分ってねー

Webサイトの成長期は、Web担当者自身が変身することから始まる

(1)Web担当者の最大のリスクは、経営層の期待に応えられないときに発生する

Web担当者として、最大のリスクはなんだろう?

「立ち上げたWebサイトがなくなる」「予算が削られる」……いや、最大のリスクは“クビになること”だろう。そして、そのリスクが現実のものとなってしまう多くのケースは、経営層が期待する売上や利益を出せないまま、ただ時間だけが過ぎている状況で発生する。

Web担当者としてコツコツとヒットを打ち、獲得単価も見極めができ、限られた予算のなかで最大限の成果を出している、そういう方もいるだろう。しかし経営陣は欲深く、「もっと成長するはず」「もっと利益が上がるはず」「しかも早く達成できるはず」と考えている。目標があって、そこから逆算で発想しているので、Web担当者にとっては厳しい状況に陥りやすいのだ。

それならば、ここは考え方を変えて、“命を取られる訳ではない、会社のお金を使って、トコトン色んなことをやってやる!”という攻めの姿勢も大切だ。

(2)変身は、Web担当者の気持ち次第

さらに「成長期」に向けてWeb担当者が変身すべき理由の1つとして、「立ち上げ期」で少ない予算をなんとかやりくりして取り組んできた経験が、成長期には逆に“足かせ”になる可能性があることがある。

本来であればシステム改編や外部企業の力を借りれば飛躍的に伸びる可能性があるのだが、その可能性を説明できないがために、上司から「運用でカバーして」と言われてしまう。「運用でカバー」とは、つまり「人力でやれ」ということであり、それではWebサイトの関係者は疲弊してしまう(しかも、仮にあなた一人しか居なければ、さらに大変だ)。結果、経営陣の期待に応えられず、苦労して立ち上げたWebサイトは時間とともに消滅する流れになってしまう。

だましだましでWebサイトを運営していても、降って湧いてくるチャンスなど、ほとんどない。むしろWeb担当者には他力本願を期待するのではなく、自分で切り開く気概をもってほしい。成長期の心構えとして、こういうマインドセットがとても重要なのである。

投資なくして成長なし

(1)そもそもWebサイトの成長期とは?

「Webサイトの成長期」とは、立ち上げ期に少しずつ成長を遂げてきたWebサイトを、急激に右肩上がりにさせるステージである。立ち上げ期に苦心した獲得単価の精度を上げる延長でもなければ、「運用=人力でなんとかする」というレベルではない。今までの考え方・やり方を変えなければならないステージのことである。

では、どうやって急激な右肩上がりの成長曲線を作るか。答えは「投資」、それしかない。立ち上げ期とは違う金額の投資を経営陣にさせなければいけない。たとえば、立ち上げ期は獲得単価の見極めのために、コツコツとヒットを打ち、最初は100万円の予算が少しずつ増え、500万円ぐらいまで増額できたかもしれない。成長期には、その500万円ではなく、5,000万円の投資をさせるぐらいのことが必要なのだ。

この段階になってくると、Webサイトの成長期とは、サラリーマンとして経営へ参加していることと同じレベルになってくる。「Webサイトは経営に重要である」と経営層に理解させなければならない。

(2)どうやって成長させる?

当たり前のことだが、成長とは利益を増やすことである。そして、「売上」-「経費」=「利益」である。

売上を増加させるには、新規顧客の獲得と、既存顧客へのアップセル/クロスセルの両方が欠かせない。立ち上げ期に見極めた獲得単価の精度をさらに上げながら、新規顧客をさらに獲得する。そして、既存顧客に対しては、ロイヤリティを上げる施策、すなわちCRMが必要だ。CRMの取り組み方の詳細については専門書に譲るが、人力の運用では限界があり、データ分析しない限り上客を作ることはできない。CRMで既存顧客のニーズを分析し、その仮説を新規顧客獲得にも活用する。前回にも述べたが、仮説検証にPDCAサイクルでは時間がかかりすぎる。ここでも、C(Check)→A(Action)の回転を短期間で繰り返すことをお勧めする。

そして、この一連の施策と結果を、誰が見ても全体が分かるように可視化しておく。あなた以外のWebに詳しくない人、つまり経営層でもわかるようにするのだ。さらに言うと、成長期のWeb担当者の仕事は、「作業」ではなく「仕組み作り」である。CRM分析も重要な仕事ではあるが、日々の数値検証や1つ1つのキャンペーン企画などは、部下や外部パートナーに、いつでも任せられるようにすべきだ。

こうしたことかわかるように、Webサイトの成長期には、イノベーション(つまり変革)が必要不可欠になる。もちろん、まったく新しいビジネスモデルを考案するのは容易ではない。しかし、経営層とコミュニケーションしたり社内の他部署と連携したりすることで、新しい顧客層を発見したり、Webサイトの新たな活用方法が見えてきたり、イノベーションの緒を発見したりできるかもしれない。

では、イノベーションとは具体的にどんなものだろうか。

例として、あなたが運送業の立ち上げを命ぜられたとして考えてみよう(Webサイトとは異なるが、例なのでご容赦いただきたい)。少ない予算から、当初は軽四トラック1台で事業を開始し、コツコツとヒットを打ち続けたお陰で軽四トラック3台まで増やした。ここまでが立ち上げ期だ。しかし、この後さらに軽四トラックを5台10台と増やしても、売上が上がると同時に経費もどんどん膨れてしまう。

ではどうするか。

成長期として、4tトラック5台買う、軽トラックを4tトラックにリプレースして、顧客単価を拡大させるだけでなく、許容範囲を広げる。これがイノベーションである。

経営の理想に対して、現状のものだと時間がかかるが、イノベーション(設備投資)を行えば、理想の期間で達成できる。イノベーションとは、飛び道具のようなアイディアを実現することではないのだ。

TIPS<アップセル/クロスセルに重要なCRMの活用>

既存顧客へのアップセル/クロスセルを狙うならばCRMが重要になるのだが、CRMとは奥深いものだ。というのも、CRMはすべてをWebで完結できる訳ではないからだ。

たとえば、カタログ通販企業の場合、すべての売上がWeb経由ということはない。実際、いまだに新規・既存を含め4割~5割の顧客は、カタログを見て電話やFAX、はがきで購入する。一方で、不動産業界などは、ほぼWebサイトで完結する。今でも情報誌やチラシは有力なツールではあるが、成約にいたる集客ではWebサイトへの投資効果は絶大である。

CRMを活用する場合は、その目的と分析対象を明確にして取り組むことが、効果的な結果を生むために重要だ。特に、成長期では、大きなイノベーションを産み出す必要がある。これは、BtoCサービスを提供する企業だけでなく、BtoBを事業領域とする企業も同様である。

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