編集長ブログ―安田英久
社内で意味のあるアクセス解析を進めるための考え方とノウハウ: アクセス解析サミット2011レポート

「データを活かせ!チームを動かせ」と題した大規模イベント「アクセス解析サミット2011」

アクセス解析イニシアチブ(a2i)は、アクセス解析とサイト改善の大規模イベント「アクセス解析サミット2011」を6月2日に川崎市で開催した。今回のテーマは「データを活かせ!チームを動かせ」。アクセス解析を主軸としたウェブ改善最適化の取り組みにおけるデータ活用事例とチーム作りのノウハウを共有する1日として、6つのセッションが行われた。

あいにくの雨模様にもかかわらず、会場の川崎市産業振興会館には200人を超える人がアクセス解析のセミナーを聞きに集まった。

進行はアクセス解析イニシアチブの大内氏と衣袋氏。
大勢の参加者が詰めかけた

会場では、1階の大ホールで一連のセミナーが行われ、午後からはそれに並行して4階の交流スペースで「リスティング三銃士とGoogleアナリティクス 相談コーナー」が開かれていた。こちらもリスティング情報コミュニティ(LIC)のスタッフにセミナー参加者が質問・相談するコーナーとして活用されていた。

データと人、ウェブと組織、最適化のためのデータ活用が語り尽くされたこのイベントの様子をレポートしよう。

サントリーとスバルに聞く ウェブビジネスチャレンジの極意

株式会社ビービット 渡辺 春樹 氏
株式会社ビービット 渡辺 春樹 氏

第1セッションは「サントリーとスバルに聞く、ウェブビジネスチャレンジの極意」として、サントリーホールディングス株式会社の坂井 康文 氏と富士重工業株式会社の鈴木 曜 氏をパネラーに迎え、株式会社ビービットの渡辺 春樹 氏がモデレータとなってのディスカッションが行われた。

サントリーというとハイボールの人気に注目が集まっているが、当初は(ハイボールではなく)ウイスキー自体の認知を高めるためにブロガーイベントを行ったところ、そこでハイボールが人気となったことから、改めてハイボールのためのイベントを企画し、そこからマスメディア展開にもつながっていったのだという。

坂井氏によると、マスメディアでの露出が広がるにつれて、ハイボール関連のブログ記事数も増えてきたのだという。2008年にブロガーイベントを行ったときにスポットで関連ブログ記事数は増えたものの、劇的に大きな動きにはならなかった。しかし、2009年2月以降にテレビをはじめとするメディアでのハイボール露出が増えたところ、それに応じてブログ記事も大々的に伸びていった。

サントリーホールディングス株式会社 坂井 康文 氏
サントリーホールディングス株式会社 坂井 康文 氏

しかし、これは、テレビに比べるとブロガーイベントの効果が低いという意味ではない。「ブロガーイベントはきっかけ作りや種まきの役割となる。一般の人が(テレビなどで)関心を持った時点でウェブ検索をするとヒットする状態を作っておくのに、ブロガーイベントは大きな役割を果たした」(坂井氏)のだという。

サントリーではブロガーイベント自体にマーケ担当者を同行してもらったこともあり、これがきっかけで、ブロガーイベントを大々的に仕掛けておくことの重要性が社内でも認識されたということだ。

鈴木氏は「スバルの販売規模は他の大企業と比べると小さいため、王様の戦略とは異なる」としたうえで、自社のネットマーケティングを解説。

ネットで情報を見たからといってウェブで自動車を購入するわけではないので、ウェブの役割は販売店への誘導、つまりスバルサイトのゴールは、販売店検索、試乗車検索、オンライン見積もりページだ(検索はただ検索するだけでなく検索を完了したかどうかまでチェックしている)。そのため、いちどスバルのサイトを訪問したユーザーにはリターゲティング広告を利用してサイトを再訪してもらい、最終的な来店につながる人を増やしていくようにしているとのこと。

富士重工業株式会社 鈴木 曜 氏
富士重工業株式会社 鈴木 曜 氏

実際のアクセス解析では、「訪問者の行動からその裏にあるマインドを読み取り、ユーザーをセグメント化して、各ユーザーに適切なルートを設計する」(鈴木氏)のだという。たとえば車種別のページでは、作り手側は気合いを入れているスペシャルコンテンツがさほどクリックされていなかったり、特定のPRポイント(たとえば「安心・安全」といった部分)がクリックされていなかったりなどの情報をみて、どういった訴求がユーザーに響いているのか響いていないのかも判断しているのだという。

CMやイベント会場での展示は、一度作ると変えられないが、ウェブはすぐに変更できることがメリットであるとして、「“PDCA”といわず、2サイクルぐらいのスピードで、改善のための修正を高速に回していくことが重要」(鈴木氏)としたうえで、そのためにアクセス解析の情報が重要だということを示した。

鈴木氏によると、「アクセス解析では多くの数字をとれるが、チームではシナリオに応じたわかりやすい数値を示すのが良い」とのこと。それに対して渡辺氏も、自動車のような直接オンラインで購買が発生しない業種では、その延長線上に販売(売上)があるポイント(たとえば販売店検索)をKPIやサイトのゴールとして扱うのが、社内説得には重要だと解説した。

鈴木氏は、既存の考え方に固執してしまっている人を説得するのにアクセス解析の数字をうまく利用しているのだが、「数字だけではなくその先にいる人を見るように社内では強調している」という。そのために、アクセス解析では訪問者のマインドや行動がわかるような数値をとるように努力しているとのこと。

渡辺氏もアクセス解析で大事なのは「データの向こうに人が見える」ことであり、お客さまがどんな人で、何を考えてどう行動しているのか、それがわからなければアクセス解析データを見ても意味がないとしたうえで「だから他業界のアクセス解析データを見ても、あまりわからない。逆にいうと、お客さまを理解している人がアクセス解析を行えば、かなり強力になる」とした。

坂井氏は、社内勉強会として年2回ほど、ウェブ業界のトレンドや競合の動向、そしてアクセス解析の基本などをコンテンツオーナーに理解してもらう場を設けているとのこと。その勉強会で各担当者のモチベーションが上がり、そこから動きが前に進みやすくなるのだという。

坂井氏が「社内で説得するには、“PV”という言葉でもわかりづらいので、“何人見ました”のようなわかりやすい数値にしたり、インターネット視聴率調査のデータをもとに他社と比べたりといった工夫をしています」というように、ネットに詳しくない人に理解してもらうには、やはり苦労と工夫があるようだ。

ほかにも、

フローで見るのはだれにでもできるが、やはりストックで見ていくのが大切
定量と定性を重ね合わせて確認するのが重要
今はソーシャルメディアからお客さまの声がいくらでも集められる。ある程度マーケットとお客様が見えていれば、アクセス解析はあまり悩まずにできるはずである

など、示唆に富むやりとりが展開された70分だった。

日本初上陸! Coremetricsの実力
~Coremetrics LIVE Profileを活用した
ユーザライフサイクル分析とアトリビューション分析について

トランスコスモス株式会社 松田 恵利子 氏
トランスコスモス株式会社 松田 恵利子 氏

続いて、トランスコスモス株式会社の松田 恵利子氏が、アクセス業界でも注目の集まる、日本では新顔だが老舗の高機能アクセス解析サービス「Coremetrics(コアメトリクス)」を解説した。

松田氏によると、昔のアクセス解析はセッション中心の視点。しかし2009年ごろから最適化のためのアクセス解析が浮上してきて、セッション中心の分析に加えてユーザー視点での分析になってきたのだという。

Coremetricsは、あらゆる行動履歴をユーザーごとに格納するデータウェアハウス「LIVE Profile」という技術がキーとなるアクセス解析ツール。LIVE Profileでは流入元、アクセス情報、購入情報を、ユーザーに紐づけて記録していく。そのため、セグメント分析がやりやすく、「これこれこういうセグメントのユーザーに絞ってデータを見る」といった切り分けが、よりスムーズに正確にできるのだという。

松田氏は、ユーザーごとのLIVE Profileデータを元にしたユーザー行動の分析や、アトリビューション(間接効果)分析を通じて、Coremetricsの機能やサイト解析や改善施策への適用例を解説した。

ベネッセ現場担当者の取り組み
~「組み合わせ」で見えてくるサイト改善の糸口

株式会社ユーザーローカル 渡邊 和行 氏
株式会社ユーザーローカル 渡邊 和行 氏

昼食を挟んで午後のセッションでは、まず株式会社ユーザーローカルの渡邉 和行氏が同社のアクセス解析サービス「ユーザーインサイト」の機能やフィロソフィを解説。意志決定をスムーズにスピーディに進める助けとなったり、ユーザーの行動や属性を視覚化したりするためのツールだ。

昨今増えているソーシャルメディアからのアクセスを解析する方法論として、自社サイトへの流入を計測するだけでなく、ソーシャルメディア内での状況も併せて把握する必要があるとし、ユーザーインサイトでそうした分析を行えることを紹介。

たとえば某メディアでは一般の読者の年齢層は40代が中心であるにもかかわらず、Twitter経由でアクセスしてくる読者は30代が多くネット利用度が高いなど、そうしたソーシャルメディアユーザーの特性を分析できる。また、Twitter上で、そのメディア名と併せてどんな単語が発言されているかを分析することで、どんな記事どんなトピックにユーザーが反応しているかを調べる例などを紹介した。

続いて、株式会社ベネッセコーポレーションの川崎 洋氏が、ベネッセでの事例や解析手法を紹介した。

株式会社ベネッセコーポレーション 川崎 洋 氏
株式会社ベネッセコーポレーション 川崎 洋 氏

川崎氏は、アクセス解析の前にユーザー行動を実際に観察して「あたり」をつけるようにしているのだという。そのために、実際のユーザーに利用してもらってその様子を観察する「ユーザーテスト」を事前に行うのだという。

たとえば、あるユーザーは、いつも使っているメディアサイトのレコメンドシステムで出ていた商品が気になり販売サイトに行った。その場では購入には至らなかったが、のちほど気になって販売サイトに行こうとしたものの、販売サイトではなくいつものメディアサイトのほうに行ってしまい、うまくレコメンドが表示されずに商品ページへ戻れなかった例などがあるのだという。ほかにも、販売サイトへいけてもログインができない(メディアサイトのほうのログイン情報を入れてしまう)、商品をショッピングカートに入れたあとに他のものを買おうとしても、うまく情報を探せないなども観察された。

こうした定性情報をもとにアクセス解析でデータを見ていくほかに、他の担当者にもユーザーテストの様子を観察してもらうのだという。アクセス解析の数字をもとに正論で進めても、他の担当者が感情的に反発してうまく進まないことも多いため、いっしょにユーザーテストの状況を観察してもらうことで、自分の目でお客さまの生の姿を見て納得してもらうといった社内説得手法なども紹介した。

短い時間ではあったが、

1つのツールにこだわらずに複数のツールを使いA/Bテストにはまた別のツールを使う
データドリブンの組織を作るには地道な啓蒙活動が必要。さらに社内サポート窓口を設置し、Web主管部門でツールの費用をまとめて払うようにして各部門の費用負担をゼロにすることで、社内でアクセス解析ツールを利用する人を増やした
答えはお客さまの中にある

などの言葉が印象的だった。

ECナビ ウェブ最適化の取り組み A/Bテストから会社が動いた

午後2セッション目は、株式会社ECナビの春元 和正 氏によるA/Bテストによる最適化のセッション。

春元氏はWeb担当者Forumでも「U会話入門」として記事を執筆いただいているが、「日本で一番、数値で語れるエンジニアやデザイナーがいるスゴい組織を作る」としてECナビで立ち上げたUIO戦略室での活動やそのフィロソフィーを解説した。

春元氏によると、A/Bテストといってもただテストをするだけではなく、アクセス解析のデータで得たユーザー理解をもとに仮説を立てて、それを検証するのがA/Bテストなのだという。

春元氏も多くのツールを利用してテストを実施したが、ある時点でたどり着いた答は、これまでのセッションでも語られているのと同じく「人を見ること」が重要であるという点。アクセス解析とサイト改善で大切なのはテクノロジーではなくサイコロジーであり、技術を見るのではなく人を見て理解すること、そこから仮説を立てていくことでA/Bテストの価値が高まるのだという。

株式会社ECナビ 春元 和正 氏
株式会社ECナビ 春元 和正 氏

『個客』視点の行動分析がウェブビジネスを変える!

続いてのセッションは、株式会社コンフォート・マーケティングの内野 明彦 氏による「個客」の追求に関するセッション。

内野氏は、

  • アクセス解析をどれだけしても、なかなかユーザーの顔が見えてこない
  • なかなか成果があがらない

といったことから、アクセス解析をすることに費用対効果があるのかという疑問が出てきてしまうことを指摘。そうした疑問に対して、現状のアクセス解析でよくあるデータの読み方とは異なる「個客」にフォーカスしたデータ分析の手法が解決策となるという。

株式会社コンフォート・マーケティング 内野 明彦 氏
株式会社コンフォート・マーケティング 内野 明彦 氏

アクセス解析で全体データを見ると、購入前の初回訪問の人も、購入前に何回かサイトを訪れている人も、購入後に納期を確認するためにサイトを見に来る人もごちゃまぜになっており、さらに訪問経路(どこからサイトにきたのか)も全部混在させた、すべてまとめた「平均データ」として提示されることが問題なのだという。

内野氏は、そうした混在平均データをそのまま見るのではなく「どんなモチベーションで何回目にどういう状態で訪問した人なのかを把握する『個客』分析が必要」だと強調した。

これまでのアクセス解析では、タテ方向(セッション単位の視点)で分析しているが、そうではなくヨコ方向(個客単位の視点)で分析する必要があるというのだ。コンバージョンしたユーザーの行動を分析したいのならば、解析時には、まずコンバージョンしたユーザーを抽出し、その人が過去にサイトでの行動(購入前の検討をどうしていたか、訪問後にどんな行動をしたのか)をさかのぼって調べなければいけない。

その分析方法として、内野氏は初回訪問時の流入を分析したり、流入後の行動を調べることを提示。サイト内でどんな行動をしたか、その後にどんな経路で訪問するようになったか(初回は自然検索から流入したが、その後リスティング広告から訪問するようになったなど)といった手法を解説し、その例を示した。

また、内野氏は「コンテンツアトリビューション分析」として、どのページを見た人がその後どういった行動をして、どのコンテンツを見た人がコンバージョンに至る傾向があるかを分析する手法を紹介。ここで、コンバージョンに至った人がよく見ているコンテンツを調べることで、たとえば「FAQを見ている人はコンバージョンする可能性が高い」といったことがわかる。そうしたコンテンツを調べると、購入者目線では非常に重要なものであり、そこへの誘導を強めればコンバージョンが強化されるという流れを紹介した。

こうした個客の行動分析をすることで、ウェブマーケティングの全体最適化ができるようになっていくのだと内野氏。たとえば、検索エンジンの自然検索から流入した人が、一度の訪問ではコンバージョンせず、その後直接訪問を何度かしてからコンバージョンに至るような場合を考えてみる。こうしたユーザーの行動を理解していると、「SEO担当者は、初回訪問を作り出す」「コンテンツ担当者は、SEOで来た人がその後サイトを何度か訪問してコンバージョンするようにサイトのコンテンツを改善する」といった役割を明確にできる。しかし、こうしたユーザー行動を把握できていないと、「SEO担当者はコンバージョンを生んでいない」と判断されてしまうようになるのだという。

Webマーケッター瞳が探るウェブビジネス現場の研究
「データドリブンなチームを目指せ」

最終セッションはパネルディスカッション。Web担でもおなじみの「Webマーケッター瞳」の原案・監修者であるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の村上 佳代 氏をモデレータに、ヤフー株式会社の久保井 純 氏と、ギルト・グループ株式会社の清水 誠 氏で、「データドリブンなチーム」のための事例を紹介し、意見が交わされた。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 村上 佳代 氏
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 村上 佳代 氏(「Webマーケッター瞳」原案・監修)
ヤフー株式会社 久保井 純 氏、ギルト・グループ株式会社 清水 誠 氏
ヤフー株式会社 久保井 純 氏(左)
ギルト・グループ株式会社 清水 誠 氏(右)

清水氏によると、「データドリブン」といっても大げさに考える必要はなく、「データありきで考えたり決めたりしよう」ぐらいの意味合いで考えてほしいとしたものの、アクセス解析のコンテキストでの実践としては「データ、つまり数字がとれる」に加えて「ウェブ以外のビジネス領域のデータ(オフラインとかも)と統合する」といったあたりがポイントになると指摘する。

CRMやDBマーケティングでは、会員獲得済みの顧客IDを中心に物事を進める。しかしウェブのアクセス解析では顧客IDはない。どうするのかというと、アクセス解析ツールでクッキーに保存した、各解析ツール特有のビジターIDがキーになるのだという。清水氏は「だから、あるアクセス解析ツールのビジターIDを他のツールでも共有していくというやり方はどうか」と提案。そうした手法は、各解析ツールの仕様を理解していれば、JavaScriptで実装できるため、全アクセス解析ツールで同じビジターIDを共有できるようになるのだという。

続いて「可視化できるデータ」として、「オンライン←→オフライン」「定量←→定性」という軸に、さまざまな種類のデータをプロットして提示した。

アクセス解析に意識を向けていると気がつかないが、「こうしたさまざまなデータがすでにライフログ的に存在しているため、こうしたデータをつなげていくことになるのではないか」(村上氏)という。

この後、各社の取り組みや苦労話が披露された。多くの部分はオフレコの、盛りだくさんの話題となったが、差し支えなさそうな部分をいくつか紹介していこう。

アクセス解析としては、アクションにつなげられるようにするのが重要だが、実は「何を知るべきか、それを知るのは意外と難しい」もの。さらに、どういったデータをどの粒度で取得するのかも、実際にやってみると難しいものだというのがわかるのだという。細かくデータをとりすぎても解析に時間がかかったり重かったりするし、粗くとったデータをあとから細かく分けることはできないからだ。

だから、解析ツールをサイトでどのように使うか(どんなデータを取得してどう分析するのか)は、実は非常に重要なのだという。企業規模にもよるが、そのために解析ツールのベンダーなどからコンサルティングを受けるのは、プロのノウハウを得ることで設計の時間やリソースを短縮できるし、社内の説得に外部の人の意見が通りやすいといった点でもメリットがあると指摘した。もちろん、コンサルで得たノウハウを社内で再利用できるようにするのも重要だ。

アクセス解析ツールの導入に関して発生する社内のハードルをクリアしていくには、場合によっては、アクセス解析の導入案件として対応・処理するのではなく、ガバナンスとして社内にフローや文化を作っていくことで解決する方向も提案された。

たとえば、アクセス解析を推進するには、上層部の人を推進役にして、さらに補佐担当者も任命しておくのだという。上層部の人間が推進役としてかかわることで社内にその動きが明確になると同時に、とはいえ上層部の人間は実際には細かいことを検討したり決定したりできるわけではないので、補佐担当者が実働を担うのだという。そうした「牽引役」として上層部の人に動いてもらうために、社内的なガバナンスの策定が効いてくるのだという。

社内で解析ツールの実施状況を評価制度に盛り込むことに関しても語られた。ただし、その評価のポイントとしては、まずは高度なものではなく、「解析ツールの管理画面へのログイン回数」「解析ツール上の指標での目標値を企画書に記載した回数」「A/Bテストの実施回数」といった簡単なものから始めることで、やれば評価がプラスされる制度、「やらなきゃ」という流れを生む制度にしていくのがいいだろうという話題が興味深かった。

こうした評価は、比較したり優劣をつけたりするものではなく、アクセス解析をやれば組織内や部署内でその人が評価されるような、そういったものにするのが成功の秘訣なのだという。

また、成功事例が社内で共有されると、それをみた他の部署が「うちもやろう」とモチベーションが上がっていく。経営者も喜ぶような情報をいかに提供するかが大切だという意見も出された。

まとめとして「組織的に推進・啓蒙・サポートする」ことの価値に言及。アクセス解析などから生まれる「データ」を経営課題とリンクさせることで、経営者も納得する。そうして経営者を巻き込んでいくことで、データドリブンな流れが加速され戻らなくなるのだという。経営層というのはもともと意味のあるデータには抗えないもの。経営層が理解でき、腑に落ちるかたちでデータを共有し、データをもとにした意志決定を進めていけば、まっとうな経営者ならばそこに反対するどころか、喜んで協力してくれるはずだという。

人というのはメリットを体感すると自然に受け入れるもの。ガバナンスというと押しつけたり上から目線になったりするが、そうではなく必然性を作り出していくことで物事がうまく進むようになるのだとした。

セッションではWebマーケッター瞳の書籍『マンガでわかるWebマーケティング』の紹介も

まだまだアクセス解析はこれからの分野なので、PDCAという言葉やべき論にこだわらず、暗中模索や試行錯誤、ダメ元でやってみるべし」というまとめでパネルディスカッションが締めくくられ、丸一日のアクセス解析サミットが終了した。

単なるツールの使い方や「アクセス解析」に留まらず、何のためのアクセス解析なのか、組織内でどうやればアクセス解析の価値を浸透させて高めていけるのか、その実例やノウハウが凝縮された1日だった。

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