第三者配信アドサーバーに日本一詳しくなるための教科書
媒体社の広告売上をアップさせる、間接効果という評価指標 | 第三者配信その3

第三者配信によって、媒体社は間接コンバージョンを評価指標にできる
第三者配信アドサーバーに日本一詳しくなるための教科書

第2回では、広告主が広告効果を正しく評価するために必要な、間接コンバージョンという評価指標や最適化手法について紹介した。最終回では、媒体社にとって第三者配信アドサーバーがどのような役割を果たすのか解説する。

私は、第三者配信アドサーバーは、広告主はもちろん、媒体社にとっても多大なメリットがあると思っている。広告主にしかメリットがないという考えは、第三者配信アドサーバーが普及した10年くらい前の話だ。

広告商品をフリークエンシー数や間接効果を鑑みて設計しなおす

まず、前回話したように、広告主の商材によってコンバージョンにいたるまでの検討期間は大きく異なり、1ユーザーあたりのフリークエンシー数(1ユーザーあたりの広告表示回数)ももちろん異なる。掲載面も、トップ面を大量に買ってもらったほうが効果が出るのか、トップ面以外の中面を長期に買ってもらった方がいいのか、広告主側のデータを持っていない媒体社にとってはわからない。

一方、米国では媒体社と広告主(第三者配信のデータを持つ広告主)が、どのような配信数や掲載位置にしたら直接コンバージョン、間接コンバージョンが最大化されるのかを共に考えながら、広告価値や単価を最大化してきた歴史がある。これらのデータがあれば、媒体社は業種別に販売方法を工夫したり、業種別のパッケージなどを広告主へ提供したりできる。つまり、このようなデータは、媒体社の広告単価やパフォーマンスを上げるための非常に重要なデータなのだ。そして、これらのデータを持っているのは第三者配信エンジン事業者であって、媒体社ではない。米国において、DoubleClickやAtlasを、広告代理店ではなく、媒体社自らが買収していった理由はここにあるのではないだろうか。

日本では第三者配信アドサーバーと、媒体社アドサーバーと、効果測定システムが完全に分離している。第三者配信アドサーバーは、一握りの広告主以外は使っていないという状況だ。分離しているがゆえ、媒体社が広告効果および単価を上げるヒントを得るためのフィードバックがなされなくなっているのが現実だ。

もう1つ重要なポイントは、媒体社が第三者配信アドサーバーを活用することによって、掲載期間中の直接コンバージョンのみではなく、掲載期間中の間接コンバージョンと、掲載期間終了後の間接コンバージョンまで、掲載した広告の成果すべてを広告主に対して提供できるようになることである。これは媒体社にとっては絶対に主張すべき成果だ。

今までは、間接コンバージョンが広告価値としてまったく評価されていなかった。広告主側で、実際に広告を見た人の成果をすべて追うことができなかったので、広告に影響を受け、検索エンジンの自然検索数が増えても、それが広告の効果なのかはわからなかったのだ。

間接コンバージョンのみならず、間接流入数も忘れてはならない。通常アドネットワークなどの広告は、CPC(クリック課金)で購入されることが主流だ。しかし、実際には広告を見ただけでクリックせずに、後で思い出して検索エンジンやブックマーク経由でアクセスすることがあるため、クリックがなくても流入は発生しているのだ。したがって、CPC100円の広告であっても、流入量すべてを見てみると、実はCPCは100円よりずっと安かった、という事例は非常に多い。媒体社は、広告を掲載することによって、消費者への影響度を高めることができている、ということをより主張すべきだ。第三者配信アドサーバーを使えば、それが可能となる。

間接効果を評価すれば媒体価値は上がる

別に私は「米国万歳!」という思考から第三者配信アドサーバーをオススメしているわけではない。今まで、日本のインターネット広告市場はものすごい勢いで成長してきたのだから、直接コンバージョンだけでも十分売れたし、その方が手離れがよかったというのは重々承知している。しかし、日本のインターネット広告業界もかなり成熟してきた。第三者配信が最初に日本で現れた2000年当時、ネット広告市場は電通の日本の広告費によれば、590億円だったが、2010年は約7700億円と13倍にも伸びている。それだけ成長してきたのだ。第三者配信アドサーバーは、成熟してきた市場を成長させることができるのではないか、と問いかけているのだ。

広告の間接効果がわからないために純広告の出稿に二の足を踏んでいる広告主も、第三者配信アドサーバーを使えば、「純広告のこのメニューは、直接コンバージョンと間接コンバージョンを足すとCPAがつりあい、かなり検索エンジン経由で間接的に効果をあげている。だから出稿を多くしよう」となるのではないだろうか。

バナー広告だけではなく、企画・タイアップ広告のような広告商品であっても、第三者配信を利用すれば、掲載中および掲載終了後の間接コンバージョンまで成果指標として利用できる。現状では、直接コンバージョン数のみで評価されてしまうため、もともと単価の高い企画広告の単価アップが望めない。企画広告はコンテンツが充実しているため、精読率も高く、バナー広告よりもユーザーに影響を与えることは容易に想像がつく。つまり、バナー広告より「間接コンバージョン」がより多く発生する傾向にあるのだ。企画広告は媒体社にとってもバナー広告とならび重要な収入源だ。こちらも、そろそろ直接コンバージョンのみで販売するよりも、間接効果もうたった方が売りやすいのではないだろうか。どのような広告タイプであっても、媒体社にとって第三者配信アドサーバーを積極的に受け入れることに損はない。

第三者配信アドサーバーについて「広告主側向けのサービスだから媒体社は関係ないと位置づけては見誤る」と書いた理由は、このように第三者配信アドサーバーが媒体社にとって有用なものであるためだ。ただし、媒体社にとって重要なのは第三者配信アドサーバー事業者の媒体社へのフィードバック能力と、広告商品開発能力である。単に「情報取らせてください」で終わり、「あとは何もやりません」では決して共存共栄できないし、普及もしないだろう。

第三者配信の広告はノーチェック?

事前の掲載可否確認ができないので怖い

米国製の第三者配信アドサーバーは、自由度が高く、広告主側で効果を見ながら、自由にクリエイティブを差し替えることができるが、日本では掲載基準が厳しいため、この配信方法は商習慣にあわない。これについては、第三者配信アドサーバーと媒体社とのオペレーションをしっかり整理することで解決できる。たとえば、弊社Fringe81社の場合は、広告を差し替えしたい場合は弊社が媒体社に掲載可否確認をとり、そのうえで配信することにしている。我々も各媒体社の掲載可否基準や禁止事項は十分わかっているので、無理なバナー広告を配信しようとは決して思わないし、フィルタリングできる。

「ユニークユーザー数やフリークエンシー数が広告主にわかってしまう」というのも、無用な心配だ。なぜなら、広告主ごとに最適なフリークエンシー数は異なるからだ。特定の数値が多いからダメ、ということはないのだ。

たとえば、同一期間内に何度も接触した方が効果の良い商材と、短期間で一度だけの出会いが多い方が良い商材(ユニークユーザーが多ければよい)と、長期間の接触が必要な商材、それぞれ最適なユニークユーザー数とフリークエンシー数は違う。すべての広告主に一律で広告枠を設計する現状よりも、第三者配信アドサーバーを活用して、より多くのデータを手に入れて新広告商品を作る方が、確実に売上は伸びる。別にすべての広告主に対してカスタマイズすべきだというわけではない。主要広告主5業種程度で大丈夫だ。それすらもめんどうくさい、というのではしかたないが、間接コンバージョン数をしっかり主張できる方が、販売にメリットがあるはずだ。

媒体社アドサーバーだけでは実現できないのか

媒体社アドサーバーに、コンバージョントラッキングの仕組みがあれば確かに可能だ。しかし、広告主は1媒体にだけ継続して出稿するものではない。広告配信タグの埋め込みまで媒体社がすべてやることも可能だが、どうしても広告主にとっては負担になってしまう。広告主にとっては第三者配信アドサーバー事業者でひとまとめになっている方が、双方にメリットがあるのだ。

このように、現在の成熟期を迎えつつある日本のインターネット広告市場で媒体社の広告単価をあげていくためには、第三者配信アドサーバーは1つの手段として有効なものではないか、と私は思う。

DSP、アドエクスチェンジ時代の第三者配信アドサーバーの使い方

第三者配信アドサーバーは純広告枠の管理と配信のみに限定で、DSP(デマンドサイドプラットフォーム)やアドエクスチェンジ(広告取引市場)が普及すると使えない、という考え方も一般的かもしれない。これも実際には異なる。実際には、純広告枠も、アドネットワーク枠も、アドエクスチェンジを通した広告枠も、DSP経由も、すべて第三者配信アドサーバーが利用されている。管理上も、オペレーション上も簡単である。

DSPでも、アドエクスチェンジ単体でも、確かに広告配信は可能である。実際に、A~Dまで、4つの広告枠に広告配信する場合を見てみよう(図1)。

純広告枠とアドネットワーク広告枠
図1 純広告とアドネットワーク広告枠

AとBだけであれば、第三者配信アドサーバーを使わなくとも(使ったほうがよいが)何とか広告主や代理店は管理および改善できた。ところが、アドエクエスチェンジが登場してくると何が起こるか。1つのアドネットワークは複数の媒体をかかえ、アドエクエスチェンジは、複数のアドネットワークを抱える。ようは、アドエクスチェンジ経由で広告を購入するとは、「ありとあらゆる媒体社に掲載される可能性が増大する」ということだ。A(純広告)とB(アドネットワーク)に加えて、これを管理改善するのは非常に大変だ。

また、大手のDSPは大手の第三者配信アドサーバーとAPIでつながっている場合が多い。つまり、DSPは得意の入札に集中し、広告配信と改善と効果測定は第三者配信アドサーバーがやる、といった具合になってきている。第三者配信アドサーバーで一括管理したほうがよい理由がわかると思う。DSPとアドエクスチェンジが出てくると、何でも解決というわけではないのだ。純広告枠もセットで改革していかないと、本当の市場活性化はできない。

日本では第三者配信アドサーバーの普及よりも先に、アドエクスチェンジやDSPが登場しようとしている。確かに、アドエクスチェンジやDSPで単価が上がるのはロジック上大いにありえることである。しかしながら、真の意味で広告の価値を上げるには、配信コントロールや効果測定が得意な第三者配信アドサーバーがなければならないと考えている。

米国では媒体社がエコシステムを作っている

それでは、第三者配信アドサーバーの活用で先を行く米国の対応状況を見ていきたい。前提として、GoogleのDoubleClickだからYahoo!では使えない、とか、マイクロソフトのAtlasだからGoogleでは利用できない、といったことはない。Googleの「このスペースのこれから」のコンテンツにあるように、第三者に広告枠を積極的に開放し、エコシステムを作って全体価値を上げていこう、となっている。これは面白い。媒体社同士は競争しながらも、第三者配信アドサーバーは相互利用して協力しているのだ。

AdSenceの管理画面にあるGoogle認定の広告ネットワーク

Googleの第三者配信アドサーバーへの対応状況はAdSenceのヘルプページにある。米国では32の第三者アドサーバー事業者、リッチメディアは15社が認められている。DSPやアドネットワークは認められていないのかというとそうではない。Googleが許可した第三者のアドネットワーク事業者、または代理店のトレーディングデスク、DSPのリストへは、先ほどのページの「Goole認定ネットワークで利用可能なその他の事業者」を参照するか、Googleアドセンスアカウントがあれば、「広告の許可とブロック」タブの、広告ネットワークのページから見ることができる。これによれば、250以上の広告ネットワーク第三者の事業者が認められている。先ほども申し上げた通り、Googleが多くの第三者の事業者と共存共栄のエコシステムを作ろうとしているのがわかる。間もなく日本も開放されるのではないかと私は大いに期待している。

Yahoo! の対応状況は「Yahoo! Advertising Ad Specs」にある。DSPやモバイル、リッチメディア別に検索指定できるのでとても見やすい。米国では第三者の事業者96社に開放している。Yahoo! も、Googleと同様、開放によって共存共栄のエコシステム構築に動いており、第三者への開放プログラムについては、「Ad Technology Program」にかなり詳細なプレゼンテーションがある。これを見ると、サーバーのモニタリングからクオリティコントロールまで、かなり細かく支援と審査を行っていることがわかる。

米国市場は、非常にダイナミックに動くため、日本がこの状況になるのかはまだ不明だ。だが、しだいに変わっていくのだと思っている。

我々の挑戦。なぜ第三者アドサーバー事業をやるか

最後に、なぜ我々が十数年前から米国で開発が続けられてきた第三者配信アドサーバー事業に進出しようという、無謀に見えることをやろうと思ったのかをお話しておきたい。

それは、チープ革命により、第三者配信アドサーバーもコスト競争力があるものになってきたからだ。我々は媒体社向けに、Twitter連動広告である「Tweetbanner」や、「iogous」を投入してきた。今後は、第三者配信アドサーバーを用いて、媒体社と共同商品をどんどん開発していきたいと考えている。そして、そもそも革命を起こしたい。今こそ媒体社のためになる第三者配信アドサーバーを開発して、日本のインターネット広告業界を何倍にもしたいと考えている。

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