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Googleマップがいかに間違いが多くダメかの実例とその改善案(前編)

Googleマップがいかに「正しい情報の提供」に失敗してきているか
この記事はもともとSEOmozのYOUmozセクションに掲載したものですが、われわれのコミュニティにとって非常に興味深く、大きな価値をもたらしてくれるのでこちらのブログに格上げしました。筆者の意見は筆者独自のものであり、SEOmozの考え方を示すものではありません

私はマリオットホテルの社内SEO担当者を6年間務めてきたことから、これまでSEOmozブログの熱心な読者だったが、投稿するのは今回が初めてだ。初投稿のテーマには、私にとって身近でとても大切なもの、つまりGoogleマップを選んだ。Googleマップの精度や信頼性について書いたブログや記事は山ほどあるが、グーグルが顧客に正しい情報を提供してくれるものと頼りにしているビジネスコミュニティの一員として、私にもひとこと言わせてもらいたい。

簡潔に言うなら、グーグルの検索がうまくいっていないことによって、マリオットのビジネス(ウェブ上のEコマースサイトで十指に入る!)に非常に好ましくない影響が出るので、SEOコミュニティとグーグルに直接物申すしかないという思いでいる。

Googleマップはこれまで派手に、かつ公然と失敗を重ねてきた。これらの失敗は、次のように、事細かく文書化されて残っている。

この記事は、その手の話をさらに付け加えようとするものではなく、行動を呼びかけようとするものだ。グーグルには地域データが正確であることを保証する責任がある。なぜなら、地域データは検索と現実世界をつなぐ架け橋であり、地域に関する情報が間違っていると、現実世界での大きな問題にもつながるからだ。

オーガニック検索 VS ローカル検索

私は切に訴える。オーガニック検索の結果とローカル検索の結果は、別物として扱ってほしい。ユーザーがそうしているのだから。

オーガニック検索の結果は、世界中からの情報が含まれているものであり、グーグルのアルゴリズムによってインデックス化されランク付けされている。

ここで見つかる情報は、質の高いものから低いものまで、正確なものから不正確なものまであると理解されている。New York Timesの記事から非論理的な主張のブログまでなんでもありで、人々は、こうしたデジタルデータをありのままに受け止めるのではなく、各自が批判的に考えて、良いものと悪いものをより分けている。

地域データやローカル検索の結果は、これに対して、ユーザーが100%正確だと信じている情報だ。ひょっとしたら、みんなは小さい頃から「地図は正確だ」と教えられてきたかもしれない。地図帳や百科事典(若い人は知らないかもしれないけど)を使って、地勢図の細かい特徴や、距離を測定するために正確な縮尺を分析したときのことを思い出してほしい。

こうしたデータの多くがまったくの間違いかもしれない、などとは考えたこともないはずだ。デジタル化の進んだ昨今においてさえ、カーナビに住所を打ち込むとき、時には間違った結果が出ることもあるなどとは思わない。

おそらくグーグルは、「これまで探索の手が及んでいない地域に検索の力をもたらし」、自社製品をスケールアップする過程で、ある程度の不正確さを許容しているのだろうが、ローカル検索ではそれは通らないと私は考える。

人は、地図のデータは完全だと思っている。とても単純なことだ。

マリオットがグーグルで行ったキャンペーン

このことがマリオットとどう関係するのか?

マリオットのビジネスは、他の従来型ビジネスと同様に、世界中に3500以上あるマリオットホテルについての情報をグーグルが正確に表示するかどうかに左右される。

情報源からグーグルに正確な情報が提供されることを期して、われわれは「Googleプレイス」を本社レベルで一元管理し、毎月大量のフィードを送っているが、多くの場合、これだけでは正確さを保証するには足りない。下で詳述するような、思いつく限りのありとあらゆる間違いを目にしてきた。誰もがこれと同じものを何度も見てきたはずだ。

Googleマップの不正確さ

問題点1: 地図上の位置表示が間違っている

結果顧客は、物理的に間違った場所、ときには何キロも離れたと場所にマリオットホテルがあると思って行ってしまう。場合によっては、競合のホテルや、無関係の会社に行き着くことも。また、街の中で犯罪発生率が高い地域に表示されることもある。結局マリオットは、顧客を怒らせ、ビジネスチャンスを失い、顧客を危険な地域に行かせた責任を負うことになる。

ピッツバーグ空港近辺、コラオポリスにあるResidence Inn

実際の位置とGoogleマップの表示位置

問題点2: 電話番号が間違っている

結果ホテルの総支配人の個人用携帯電話や自宅、競合ホテル、旅行会社、無関係の会社の電話番号が表示される。最悪の例では、一般人の自宅の電話番号が適当に表示されていたこともあった。

実例として、ある個人の自宅につながる番号が表示されているところを紹介したかったのだが、マリオット関連の電話がこれ以上そのお宅にかかるのは忍びないので、代わりに、Boston Marriott Copley Place(ホテル)の番号として表示されるものが実際にはDollar Car Rental(レンタカー会社)の番号になっている例を示す。

間違った電話番号

問題点3: 2つの別々のホテルのプレイスページを、グーグルがごっちゃにして「まぜこぜのリスティング」を作ってしまったために、際限のない混乱が生じている

結果あるホテルの情報を探している顧客に、別のホテルの情報が与えられる。あるいは、探しているホテル自体がまったく見つからない。その結果、間違った電話番号、探している実際のホテルとは関係のない内容のレビュー、間違ったオンラインコンテンツへのリンクが表示されたり、顧客が別のホテルに実際に行ってしまったりする。

Cologne MarriottとCologne Renaissanceの情報がまぜこぜになっている。

いい加減なまぜこぜのリスティング

問題点4: プレイスページが対応していない国にリスティングが表示される

結果マリオットグループのホテルが存在していても、プレイスページが対応していない国がたくさんある。その場合、われわれがグーグルに提供するホテルのデータは受け付けてもらえず、正式なプレイスページは作成されない。

非対応の国には正式なプレイスページが存在しないのに、Googleマップではホテルのリスティングが表示されるケースが多い。そしてそれは、自動的に生成されたものなのだ。

自動生成されたリスティングは、データが間違っていたり、リンク先が競合ホテルや無関係な会社のサイトになっていたり、実際にホテルがある所から何キロも離れた場所が表示されていたりすることが多い。さらにひどいことに、こうしたリスティングを当事者側では編集管理が一切できず、とにかく改訂も削除もできない。

プレイスページが対応していない国があっても構わない。だが、マリオットが提供するデータを受け付けてくれないくせに間違いだらけのリスティングを自動生成するなど、真っ当な感覚に反していると思うし、ユーザー体験の低下をもたらすだけだ。

コスタリカのJW Marriottの場合

非対応の国:コスタリカ

問題5: 消えたリスティング:Google Placesに正しいホテル情報を提供しているのに、何らかの理由でリスティングがない、あるいは、理由も分からず「保留」状態のまま忘れられてしまう

結果顧客はホテルを探しても見つけられず、フラストレーションを一層募らせる。

表示されないものの例を表示するのは難しい!

◇◇◇

この記事は前後編の2回に分けてお届けする。次回は、ユニバーサル検索における問題点と、筆者が考える改善案を見ていこう。

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