有名サイト、かってに解析!

前回+今回のまとめ&アクセス解析の視点からどこに着目するか?

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前回+今回のまとめ&アクセス解析の視点からどこに着目するか?

それでは最後に、データ解析的にはどういうところに着目して数字を見たらよいかについて述べる。自動車メーカーのサイトなどでは、資料請求や販売店への送客につながるようなアクションを起こしてもらうということが重要だが、純粋なブランド(商品紹介)サイトでは、直接的なコンバージョンに近いものを計測するのは難しい

「カシオ」のデジタルカメラサイトでは、実は買い物をすることができる。トップページの右側のバナー群の下に、「ショッピング」というリンクがある。しかし、「カシオ」としてはそれを目的とはしていないだろうということで、今回は対象から外すことにした。またその下に、サポート情報系のコンテンツへのリンク群もあるのだが、ここでは「ブランドサイト」としての評価軸だけに絞って考えていくことにする。

  1. 全体の集客ボリューム

    今回は少し見るデータの範囲を広げてみる。具体的には「デジタルカメラ」というキーワードへの関心度の変化という点と、キーワードのバリエーションという点の2つだ。自分のサイトだけでなく、世の中全体の動きを知っておくということも、分析では重要になる。

    1つ目はツールとして「Google Insights for Search」を利用してみる。ここで「デジタルカメラ」と入力して[検索]ボタンを押す。その出力結果は図11の通りだ。マーケットの関心としては長期トレンドで下降気味であることがわかる。

    図10:「Google Insights for Search」の検索画面
    図10:「Google Insights for Search」の検索画面
    図11:「Google Insights for Search」で「デジタルカメラ」を検索した画面
    図11:「Google Insights for Search」で「デジタルカメラ」を検索した画面

    そんななかで、自分のサイトのボリュームの変化は中長期的にどう推移しているのかは確認しておきたい点だ。

    もう1つのツールは「Google AdWords」の「キーワードツール」(図12)だ。これはGoogleにおける検索回数のデータをもとにしているので、日本全体を代表するようなデータではないが、こういったもので、競合他社との関心度合いの違いなどを見ておくというのも手だ。図13は「デジタルカメラ」を検索した結果画面である。

    図12:「Google AdWords」の「キーワードツール」
    図12:「Google AdWords」の「キーワードツール
    図13:「Google AdWords」の「キーワードツール」で「デジタルカメラ」を検索した結果画面
    図13:「Google AdWords」の「キーワードツール」で「デジタルカメラ」を検索した結果画面
  2. トップページの見られ方

    「カシオ」も「パナソニック」もデジタルカメラのトップページは縦に長いページとなっている。どのくらいスクロールして下の方まで見られているのか、どの部分や機能へのリンクがクリックされているのかを把握しておきたい。

    例えば、どちらのサイトも全製品のラインナップが、製品比較よりも上あるいは左にリンクが配置されているので、製品比較をする機能よりも利用されているのだろうと推測できるが、確認しておきたいポイントだ。またそれぞれ3から4つの製品カテゴリーに分類してあるのだが、この表示順もこれでよいのかデータから検討してみたい。また筆者のように結局PDFで全部を確認しなければ気が済まないユーザーがどのくらいいるのかも確認してみたい。

  3. ラインナップページの見られ方

    こちらも縦長のページなのでスクロール度合いが1つと、あとは各機種のページへの移動率をチェックしておきたい。

  4. 製品比較ページの使われ方

    「カシオ」の方は、「デジタルカメラ製品比較」のページで、「かんたんモデル比較」が使われるのか、「製品仕様比較」が使われるのかというのが1つ。あとは比較する際にチェックされる機種は何かという点。関心度と実際の売れ行きのあいだに違いがあるのかどうかというのも面白い視点だろう。「パナソニック」の方は、選択されている機能は何かを計測してみるのもいいだろう。

    あとは、実際に数人に同様のタスクを行ってもらうユーザーテストをやってみるのがよいと思う。どのような順番で閲覧して納得して帰ってくれているのかは、閲覧ページの遷移分析ではなかなか捉えにくい。迷っているのか系統立てて順番に見ているのかはデータだけからでは推測しにくいからだ。人によって見るルートが違うと思うが、ユーザーテストをすれば、ユーザーがどこで迷うのかを明らかにすることが容易にできるだろう。

◇◇◇

今回のデジタルカメラサイト比較はいかがだっただろうか? 同じ閲覧シチュエーションで複数のサイトを比較してみることで、1つのサイトだけからは見えてこないよい点、悪い点が、いろいろあぶり出せたように思う。比較を行う場合、ただ漫然と使い勝手やデザインを比較しただけでは、Web担当者にとって有益な知見というのは得られない。ふだん何気なく情報を調べているときでも、情報内容だけでなく、訪れたサイトの情報構造やレイアウト、導線についても、比較してみるのもいいのではないだろうか。

さてこの連載では、

  • Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
  • 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論

などを随時募集している。希望者は、(web-tan@impressrd.jp)までお寄せいただきたい。

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