Web解析のためのKPI大全

平均注文額

平均注文額

ECサイトにとって、平均注文額(AOV:Average Order Value)こそ、「最重要」評価指標の1つである。1人あたりや1訪問あたりの平均収入、または注文コンバージョン率と並んで、サイトの状況を最も表す指標といえる。

  • 定義

    平均注文額は、たいていの場合、アクセス解析ツールが自動計算してくれるが、図7に示すような、追加の取引コードが必要になることも多い。基本の算出式は、

    {総収入}÷{オーダー総数}={平均注文額}

    である。

    図7 Visionalistで進入理由別の売上金額を一覧表示した(開発中画面)。この売上金額を訪問回数で割れば、1訪問あたりのAOVを算出できる。
    図7 Visionalistで進入理由別の売上金額を一覧表示した(開発中画面)。この売上金額を訪問回数で割れば、1訪問あたりのAOVを算出できる。

    オンラインビジネスを最適化するための継続的な取り組みのために、収益力を測る2つのKPIを用いる。平均注文額と、注文コンバージョン率である。賢い経営者は、これら両方の改善に向けた地道な努力をしつつ、訪問者とマーケティング・キャンペーンをそれぞれ「平均注文額 大」「平均注文額 中」「平均注文額 小」のグループに分けて、その中で「ベストな」(=平均注文額 大の)訪問者群がどこからやってきたのかを見極める。

    この指標を、新規訪問者とリピート訪問者それぞれについて計算し、リピート訪問率と合わせて使うのも良い。多くのアクセス解析ツールとeコマースレポートツールでは、この程度のセグメンテーションは標準機能として持っている。

  • 表現形式

    この指標もドル、円といった金額単位なので、表現はきわめて明瞭である。この指標と、コンバージョンあたり平均コスト注文コンバージョン率及び1人あたり平均収入をあわせてレポートに盛り込むのは有効である。

    Webサイトで平均注文額を向上させるためには、アップセル(上位商品販売)とクロスセル(関連商品販売)の仕組みを改善し、購入者が精算をする前に、1つでも多くの商品をカートに入れてくれるようにしよう。この際、1カートあたり平均商品数の指標をあわせて参照すると良い。

  • 想定される結果

    マーケティングキャンペーンの比較のために平均注文額を使うには、すべての購入者に対するベースライン(基準値)を設定する必要がある。たとえば、「Webサイト全体」「ターゲティングメール広告」「メール広告」「検索」などの切り口でデータを集めることは有効である。購入者獲得のための取り組みに対して、コンバージョン率が一定だと仮定すると(稀な状況ではあるが)、最も平均注文額の高いキャンペーンに集中するのが得策であることに気がつくだろう。

    サイト全体のAOVメール広告のAOVキーワード広告のAOVバナー広告のAOV
    $100.10$95.50$120.15$101.25

    この表の例の場合、キーワード広告で獲得した購入者の平均注文額(AOV)は、その他のキャンペーンに比べて20%も高い。

  • 行動

    平均注文額が減少した場合、注文コンバージョン率との比較が必要になる。平均注文額は減少しているのに注文コンバージョン率が上昇していれば、1人あたり平均収入はほぼ横ばいになる。平均注文額と注文コンバージョン率がともに減少していれば、1人あたり収入は大きく落ち込むと予想される。結果はどうあれ、平均注文額を注意深く観察し、何かしらの変化が見受けられれば、精算のプロセスやマーケティング・キャンペーンに問題がないか確認しよう。

    [注意]このKPIは「緊急停止ボタン」になりうる。何か問題が起こったとき、その問題の原因が明確になるまで、全員が急ブレーキをかける必要がある。特に、1訪問あたり平均コストなど、獲得マーケティングに関係するKPIと比較するとき、コンバージョン1回の価値は極めて重要である。

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

robots.txt
ロボット型の検索エンジンが自分のページを登録しないようにするためにサイト管理者が ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]