Web解析のためのKPI大全

1人あたり平均訪問回数

1人あたり平均訪問回数

一定期間における訪問者1人あたり平均訪問回数から、「平均的な訪問者」のサイトに対する関心の高さや熱意がわかる。

  • 定義

    一定期間における総訪問回数を総訪問者数で割った訪問回数

    {総訪問回数}/{総訪問者数}={1人あたり平均訪問回数}

    異なる訪問者セグメントごとにこの指標を計算すると、より高度な解析ができる。特に、「新規/リピート訪問者」「購入者/非購入者」(ECサイトの場合)のセグメント別に見ることは重要だ。訪問回数、訪問者数のデータはどの解析ツールからでも得られる。

    図6 訪問者数とリピート訪問率のグラフ
    図6 訪問者数とリピート訪問率のグラフ
  • 表現形式

    このKPIを用いる際、「期間」の設定は非常に重要である。期間は「日別」から「年別」まで幅があり、ビジネスモデルによって変わる。GoogleやYahoo! のような検索サイトでは、日別、週別、月別で平均訪問回数をみていくことは十分意味がある。しかし、セールスサイクルがきわめて長いビジネスを対象とするマーケティングサイトの場合、月次よりも細かい単位で解析してもほとんど意味はないだろう。

    指標の名称には、「1人あたり日次平均訪問回数」「1人あたり月次平均訪問回数」のように、期間の長さをつけ加えるべきである。

  • 想定される結果

    1人当たり訪問回数はビジネスモデルによって異なる。

    • ECサイト ―― 単価の高い商品を売るECサイトでは、購入の敷居が低いと想定されるので1人あたり平均訪問回数は少ないほうが望ましい。逆に単価の安い商品の場合は、何度も繰り返し買いに来てほしいので、1人あたり平均訪問回数が多いほうが良い。ECサイトでは、購入行動による「購入者/非購入者」でのセグメンテーションと、購入行動によらない「新規/リピート購入者」のセグメンテーションの両方の指標を把握することを勧める。
    • メディア、コンテンツサイト、マーケティングサイト ―― これらのサイトでは、1人あたり平均訪問回数が多いほど、ロイヤリティが高く、関心が高いといえる。
    • サポートサイト ―― サポートサイトでは、商品の満足度が高い、もしくは問題を容易に解決できている場合は、1人あたり平均訪問回数は少なくなる。サポートサイトで1人あたり平均訪問回数が多い場合は、1訪問あたり平均ページビュー、サイト滞在時間(図5)と、コールセンターの対応量を入念に調べたほうがよい。1人あたり平均訪問回数が下降傾向にあるときは特にそうである。
  • 行動

    すべてのWebサイトの目的は、訪問者と何かしらの継続的な関係を持つことである。異なるのは、訪問者との関係性のあり方と、関係の続く期間である。サポートサイトでは、顧客が問題を抱えたときに「いつでも」サイトを訪れてほしいと考えるが、高い「1人あたり平均訪問回数」を長期的に生み出す原因、すなわち問題の発生自体を望んでいるわけではない。ECサイト、マーケティングサイト、コンテンツサイトは、訪問者が頻繁にサイトに戻り、商品を買い、コンテンツを見ることを望む。サイト運営者が考えるべきことは、この「リピート訪問・リピート購入」をどのように作り出すか、そしてその試みがうまくいかないとき、どうすべきか、を理解することである。

    基本的に、この指標がよくない傾向を見せているときは「何かあるのでは」と問うことが必要だ。サイトが存在して半年以上経っていて、サイトもリテンションに関するマーケティング戦略も特に変更していないという状況ならば、1人あたり平均訪問回数の値は比較的安定しているはずだ。言い換えると、もしサイトやリテンション戦略を変更した場合、このKPIの週別・月別の値には、何かしら変化があることが想定される。変化がない場合は、何かがうまくいっていないということであり、もしこの指標が著しく改善されていれば、大成功だということになる。どの変化が良い結果につながるかを理解し、それを可能な限り繰り返そう。

    この指標が突然悪化していたら、原因を探ろう。よくある原因は、サイトリニューアルをしたことでブックマークが機能しなくなったことや、新たな競合の出現、あるいはオフラインの目に見えない雰囲気、たとえば、自分で思っているほどはサイトはセンスが良くないということである。パニックに陥る前に、落ち着いて考えよう。訪問者がまた戻ってくるまでの時間は、ビジネスモデルによってさまざまなのだ。

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