企業ホームページ運営の心得
デマの封じ込めはソーシャルメディア時代の必須リテラシー

ソーシャルメディア上ではデマが拡散しやすいという特性をWeb担当者として理解しなくてはいけません
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の弐百十弐

ソーシャルメディアの拡散力

東日本大震災で「ソーシャルメディア」が大活躍しました。TwitterやFacebook、そしてmixiが、被災者の安否や被災地の生の声を伝えてくれました。分散型のネット回線は災害時でも一極集中による通信障害を回避でき、特にTwitterは「140文字」という情報量の少なさが、通信インフラに過度な負担をかけることなく、情報伝達できたことは特筆すべきでしょう。

一方、ソーシャルメディアは「デマ」と親和性が高いことも証明されました。誰でも気軽に発信できる反面、発信者の真意や発言の背景を読み取ることが難しく、情報の精査や事実確認が疎かになり、デマを否定する正しい情報が流れたとしても、デマが「拡散」した後では、すべてを否定することは現実的には不可能だからです。

デマはいち早く「封じ込め」しなければなりません。それはソーシャルメディア時代のWeb担当者には必要なリテラシーです。

三陸マッドマックス

まず、ソーシャルメディアにおける「デマ」の広がるメカニズムを見てみます。さらなる風評被害を避けるために具体的な地名は避けますが、三陸のある都市では震災直後から次のような状態にあるとTwitterで広まりました。

略奪が相次ぎ、食糧を持っているとバールで襲われ奪われる

映画「マッドマックス」のような世界が展開されている…という「デマ」です。一部窃盗はあったようですが、火事場泥棒はどの世界にもいますし、被災し空腹を抱えて無人のコンビニで食糧を見つけた人に「食べるな」と私はいえません。しかし、バールで人間を襲うとは飛躍しすぎです。このデマは中日新聞が「略奪相次ぐ」とセンセーショナルに報じた記事がリツイートされて拡散しました。ただし、記事には「(地元警察は)被害地域の警戒態勢を通常の3倍に強化した」ともあるのですが、ここまで報じたツイートはわずか。ショッキングな文言だけがチョイスされ「デマ」の素地となります。

善意から生まれる間違い

「友人」や「親戚」の証言によって「デマ」が補強されていきます。ある「略奪デマ」をたどると、大学病院に勤務する「勤務医の友人からのメール」と紹介されたのが初出でしたが、数日後、ツイートは削除され、以後このことには一切触れられていません。

ネタ元が友人や親戚の場合に「ガセ」が多いのは昭和時代からのお約束です。第三者には事実を確認しにくく、また善良な市民は友人や親戚を疑うことに罪悪感を覚えます。嘘つきは本能レベルでこれを利用します。また、Twitterにおけるフォローやフォロワーのように「薄い」人間関係でも「友人」と記述する人は多く、それを善意の第三者が見れば「友人からの情報なら間違いない。助けてあげよう」と誤った情報が拡散していく様子は、「つながり」を重視するソーシャルメディアが内包するリスクです。「デマ」は「善意の第三者」が火をつけ油を注ぎます。善意に基づいた行動がいつも正しいとは限りません。

現地情報のない現地住民情報

現地在住と名乗り「略奪が横行」というツイートもありましたが、体験談どころか目撃談もなく、具体的な被害への言及どころか、そもそも「在住」を証明する記述もありません。私なら「東京都足立区の舎人三丁目のコンビニに強盗がはいった」と具体的な地名や名称を織り交ぜてツイートすることでしょう。しかし、リツイートする前に「ネットで検索」してください。「舎人三丁目」にコンビニはないことがわかります。ネットを活用すれば「愉快犯」を排除することは可能です。ちなみに「略奪」と拡散された地域名で、別ツイートを探すと少ない物資をあつめて「炊き出し」で分け合い助け合っているとあり、デマへの怒りを強くしました。

あるいは「デマや物資不足から徐々に略奪行為がではじめている」という警告を発するツイートもありました。このポイントは「デマ」により略奪がはじまる可能性です。安易なリツイートが被災者をより傷つけることもあるということです。

デマはグーグルの「リアルタイム検索」で追います。略奪デマなら「地名 略奪」で検索すると、キーワードの含まれたツイートが時系列に棒グラフで表示され、時間を遡り発言が少なくなったあたりに「発信元」をみつけることでしょう。

企業トラブルを小火で抑える

ツイートの内容は、拡散するにつれ伝言ゲームのように変化していくので、キーワードは適時調整が必要です。先ほどの「略奪デマ」をたどると、「略奪行為がではじめいている」というツイートが「略奪がおこっている」に変換され、「バール」の記述は自動販売機をバールで壊して飲み物を得ている人の話が、人を襲うに変化していました。

企業のデマや誹謗中傷、あるいはクレームの拡散には「発信源」を割りだし、非があれば謝罪し、誤解なら説明をつくし収束を計ります。当該ツイートの削除についてはケースバイケースですが、封じ込めに成功すれば自社サイトやツイッターで事情を説明するぐらいで十分です。理由は最後に述べますが、放置しておくことが次の被害を生むので「1秒」を争って対応します。

そして一般論として、他者の利益や名誉をいちじるしく損ねる活動は、公共性が認められなければ、たとえ事実であっても名誉棄損や業務妨害に当たります。そして応じない相手がいれば「警視庁サイバー犯罪対策」に相談してみるのも1つの方法です。

一次情報の発信は必須

地震による千葉県の製油所火災に関連して広まった「有害物質が雨などといっしょに降る」という誤情報メールに対して、コスモ石油は人体に影響はないと地震翌日の3月12日に発表しています。

デマが拡散した後ですべてを否定することは不可能だとしましたが、企業として正しい一次情報を発信することは必須です。東日本大震災の後、多くの企業が被災地支援や被害情報などの緊急情報をサイトに掲載しましたが、サイトに行けば何か情報がある、と思うのが当たり前の時代です。

総務省が東日本大震災に関連した、チェーンメール、掲示板、ミニブログなどの語情報に注意を発したように、何かが起きればデマが流れるものです。今回の震災では連絡困難な時間が続きましたが、ソーシャルメディアが普及したいま、クレームや問い合わせがなくても、企業のデマやいわれのない誹謗中傷が拡散している可能性があります。Web担当者であれば、こうした現代のネットの特性を理解しなくてはなりません。そこに、自社でソーシャルメディアを使っているかどうかは関係ありません。

デマが記録されるネット

ネットがいまほど普及していなかった、阪神大震災でも流言が飛び交い、一部はいまでもネットに記録されています。Twitterならクリック1つで「リツイート」できます。ブログすらなかった時代と拡散力が違います。そして「マッドマックス」の舞台とされた地域が再建に踏み出したときに、ネガティブなイメージが風評被害となり、被災者にさらに辛い思いをさせることを「リツイート」ボタンをクリックする前に考えてみてください。ソーシャルメディア時代とは誰でも加害者になる時代でもあるのです。

もっとも、インターネットが普及し「一億総表現社会」といわれたころから15年以上も放置されている懸案事項ではあるのですが。

今回のポイント

グーグルリアルタイムでデマの発生源を見つける

デマの拡散は未来への「負の遺産」となる

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