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コンテンツは作るだけでなく、きちんと伝えることが大事

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コンテンツは作るだけでなく、きちんと伝えることが大事

ANAの旅のクチコミ情報サイト旅達空間

全日空では、ANA SKY WEB以外にも、客室乗務員による情報提供サイト「ANA Latte」、旅のクチコミサイト「旅達空間(たびだちくうかん)」など多くのサイトを運営しています。これらのコンテンツの制作や運営体制はどうなっているのでしょうか?

ウェブの制作のチームにはフロントラインの経験者が多いです。実際にコンテンツを作るチームはANA内とANAテレマートというコールセンターで担当しています。

ウェブの基本はコンテンツです。とはいえPDCAを回しながら、関連会社に運用を委託したり、コールセンターと一緒に作っていったりするなど、コンテンツは常に整理していっています。

空港や機内でのサービス全般に関することを、きちんとお客様にお伝えしなければいけないので、フロントラインの経験者が制作側には多いですね」(高柳氏)

運賃のチェックやご案内画面、メールの文面……これらを、すべて確認するのは、コールセンターのスタッフだそうです。最初はコールセンターでウェブのコンテンツを制作しているということに驚いたのですが、「コンテンツを作るだけでなく、お客様にきちんとご案内しなければいけない」(高柳氏)という視点で考えると納得できますね。「書かれている言葉には、一つひとつ重みがある」ということにウェブの担当になって気がついたという高柳さんの言葉が響きます。

北米で蓄積したノウハウを背景に、日本語版のFacebookページを開設

ANAのFacebook日本語公式ファンページ(Facebook未登録でも閲覧可)

全日空では、2011年1月に日本語でのFacebookページ(当時は「ファンページ」)を開設しました。

実は、2009年1月から英語公式ファンページを展開しています。Facebookはコミュニケーションのインフラとして、(北米では)どこの航空会社もやっていたので、必然的に開設する流れになりました。環境がそうさせたのです。

北米でFacebookがあそこまで成長しているのだから、日本でも早めにやっておかなければいけないという思いから開設しました。“ここは力を入れていかなきゃいけないな”という気持ちです。北米でのFacebook運用から、ファン層を獲得する、広がる、お客さんとつながるというのは重要だということがわかったので、日本語版でもそういう組み立てをするということを考えています」(高柳氏)

北米では、Facebook上でコミュニケーションをして、書き込みも多い。日本に対する印象がいいということもありますが、そこでコンテンツや写真が広がっていくのを実感しました」という高柳さん。2年に渡る英語版Facebookの運用経験が、これからの日本語版で活かされていくようです。

ファンが集まるFacebookページは“あたたかい場”
既存サイトの情報をただ流すだけではダメ

企業がソーシャルメディアに取り組むときの大きなハードルの1つが、一度開けたドアは閉められないということ。英語圏向けに続き、日本向けにもFacebookページを開設し、そのドアを開けた全日空では、どのような運営体制を考えているのでしょうか?

(Facebookなどの)ソーシャルが入ってくると、情報発信の幅が広がってきます。単なる運賃のお知らせを公式に発表するだけでなく、どんな情報をどう発信していくか、どうお客さまと対応していくかを都度決めていかなければいけません。ですから、広報、商品、CSRなど関連部署すべてで会議体を定めています。

実際に、“Facebookに出す情報”と“ホームページで出す情報”が変わってきています。ANAのホームページの役割は、公式な場として情報を伝えたり商品を購入していただいたりすること。それに対して、Facebookの役割は、ファンを作って、ファンの人たちと交流していくこと。役割をそうして分けて考えてみると、ホームページでは大きく扱えないような情報や興味を持ってもらえないような情報でも、実はFacebookでは求められるのだということが明らかになりました。ですから、今ではそういった情報も編集会議で積極的に集めるようにしています」(高柳氏)

そうした情報には、たとえば「“すべらない砂”入りのお守り」のようなものがあります。空港で整備の人が使うスリップ止めの砂を使ってスタッフ手作りした受験生用のお守りを2月1日から4日間、1日1,000個ずつプレゼントするというもの。ANA SKY WEBで航空券を直接購入するタイプの人には訴求しにくいこうした情報も、Facebookで掲載すると好意的な反応があり、「いいね!」が200件も付くなどしたとのこと。

ソーシャルメディアというとネガティブ意見やクレーム対応が大変だと思われるかもしれませんが、実はそんなことはないんですよ。Facebookページはファンの方がいらっしゃる場ですから、あたたかい場になっているのです」(高柳氏)

Facebookにいる人たちは、航空券を買うという直接的な目的をもったお客様ではなく、企業のファンなのです。従来の販売をゴールにしたアプローチとはまったく違うコミュニケーションが必要だということは容易に想像できます。ファンとの関係を育てていくために「今まで出せなかった情報を、一つひとつ試しながら出している」(高柳氏)という段階だそうです。

これからFacebookを使う方や普段は飛行機に乗ってない人にファンになってもらうというのも大切。企画会議や編集会議でアイデアを出しています」(高柳氏)

一方で、Facebookページの活用においては、「システム開発のコストはかかりません。でも、コンテンツを考えるのは楽しいのですが、大変です」と指摘をする高柳さん。

(既存のウェブサイトにすでにある)ありものの情報を毎週出しているだけだと、ファンの気持ちを掴むことはできない。いかにオリジナルコンテンツ、喜んでもらえるものを出していけるかが大事です」(高柳氏)

マスではできないターゲットへのマーケ施策もソーシャルならできる

当然ですが航空会社のビジネスは海外での展開も重要です。新興のアジア各国における認知向上は、インターネットを活用した売上に直接結びついてきます。

全日空の考えている海外戦略についてお伺いしました。

グローバルでは多言語多通貨対応も積極的に推進しています。海外のサイトでも現地の言語や通貨で航空券を買えるようになったことで、売上もアクセスも大きく伸びています。中国のサイトだと銀聯(ギンレン)カードで決裁ができるようになっているし、ベトナムのオンライン販売のシェアはとても高いんですよ」(高柳氏)

東京-マニラ線の就航にあわせて、北米からの乗り継ぎの顧客開拓のために、すでにインフラとなっているFacebookを活用したキャンペーンを北米で展開するそうです。

この企画は、フィリピンではマクドナルドを凌ぐ人気のファーストフード店『ジョリービー』の米国にある20数店舗で展開します。ANAのクチコミをしてもらったら、5ドルのギフト券をプレゼント。店頭で告知をしたら、抽選で航空券があたるというもの。主な利用客はフィリピン人のため、ターゲットを絞り、設計をして、コミュニケーションをすることが可能です」(高柳氏)

北米ではまだANAの認知は高くないので、マスマーケティングをしても砂漠に水を撒くようなもの。マスでは無理だがソーシャルならできる」(高柳氏)と、将来、ANAを利用してくれるファンを獲得する施策としてソーシャルメディア活用への期待は大きいようです。

◇◇◇

重要な販売チャネルとしての公式サイト(ANA SKY WEB)と、ファンを獲得するためのソーシャルメディアでのコミュニケーション(Facebookページ)。チャネルの拡大のためのスマートフォンなどにはいち早く対応している全日空ですが、実はTwitterの活用は採用情報やANAマイレージモールなど、ごく一部での利用にとどまっています。その点を高柳さんに聞いたところ、「ソーシャルというのは、運用のノウハウを蓄積しながら、じっくりやっていく」という考え方だそうです。

新しいツールだから飛びつくのではなく、顧客との関係、コンテンツ戦略、運営体制も含めて、しっかり検討したうえで、取り組むという考え方は、人々のインフラである公共機関を運営している企業の基本的な姿勢なのかもしれません。

インターネットとソーシャルメディアの活用による海外でのビジネスやマーケティングの可能性の大きさを感じた取材でした。いち早くソーシャルという扉を開けて、世界とつながっている全日空での今後のチャレンジに注目したいと思います。

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