マキコミの技術
ブロガーとのつながりを育ててきたサントリーのソーシャルメディア施策 | マキコミの技術 #5

サントリーでは広報ブログを開設するなど、会社をあげてソーシャルメディアにコミットしています
マキコミの技術

ブログ、ツイッターの達人が説くネットマーケティング
達人としてソーシャルメディアの最前線で活躍を続けるコグレマサト氏といしたにまさき氏が説く、ソーシャルメディア・マーケティングの指南書。

※この記事は、書籍 『マキコミの技術』 の内容の一部を、Web担の読者向けに特別に公開しているものです。
今回は、第3章 “つながりを育てる「ギブ&ギブ」の精神” のなかから、“[インタビュー] ブロガーとのつながりを育ててきたサントリーのソーシャルメディア施策” の内容を一部抜粋してお届けします。

現場主義がサントリーのモットー

坂井康文氏
サントリーホールディングス株式会社
広報部Eコミュニケーショングループ
課長 坂井康文氏

サントリーでは広報ブログ「サントリートピックス」を開設するなど、会社をあげてソーシャルメディアにコミットしています。そうした中で真っ先に思い起こされるのは、二〇〇九年のハイボールのブレイクです。

ハイボールがブレイクする過程には、ブロガーとサントリーとのつながりがあり、ブログが一定の役割を果たしていたようです。ソーシャルメディアに寄り添う大企業の姿とは、どのようなものなのか、広報部でソーシャルメディアに携わる坂井さん(広報部Eコミュニケーショングループ 課長)、小林さん(広報部Eコミュニケーショングループ)にお話を伺いました。

――そもそもブログを開設するに至った経緯をお聞かせください。

坂井:サントリーのブログとしては、二〇〇六年三月に開設した「サントリー山崎蒸溜所ブログ」がはしりです。その後、二〇〇七年五月に参加した「クチコミの技術」のセミナーに触発され、もっと活用していこうと、さらに言えば広報部としてブログを持っていたほうがソーシャルメディアに取り組む上でよいだろうと考え、広報ブログの運営を検討し始めました。さまざまな調整ののち、二〇〇八年二月に広報ブログ「サントリートピックス」を立ち上げています。

――坂井さん、小林さんは、以前から積極的にブロガーが集まるイベントに参加されていましたね。どのような理由からだったのでしょうか。

坂井:サントリーのモットーとして「現場に行ってまず体感しよう」というものがあります。本だけ、理屈だけではだめという考えで、ブロガーの皆さんともお付き合いをし、いろいろ学びたいと考えました。実際にブログを書くということはどういうことなのか体感しよう、首を突っ込んでみよう、という気持ちでした。

ソーシャルメディア――当時はブログですが――に関心を抱いたのは、お客様の、情報との接点が変わっていると感じたからです。これは二〇〇五年ぐらいからのことですが、具体的には、書籍やテレビ、新聞などの報道に加えて、ブログがよく読まれているなということを感じました。

思いがけず盛りあがった「すごいハイボール」

――「ハイボール」におけるブログ、ブロガーが果たした役割は、どういったものだったのでしょうか?

坂井:そもそも、ウイスキーの売り上げ拡大のためになにか可能性はないのか、全社的に常に探し続けている状況でした。では広報でなにができるのか、と考えた中で、白州蒸溜所見学で実施したシングルモルトセミナーのブロガーイベント(二〇〇八年三月)のときに、ちょっとしたおまけとして「『すごいハイボール』の作りかた」のレクチャーをさせていただきました。

それが皆さんの琴線に触れたようで、参加いただいた方々の多くのブログで「すごいハイボール」について言及していただき、非常に盛りあがりました。これはまったく予想もしていなかったことでしたが、チャンスをいただいたと思って、盛りあがりについていったという感覚です。

当時、営業は営業でハイボールの提案活動を行なっていましたが、ハイボールがうまい、飲みたい、といったお客様の声があることが、ブログによってより一層顕在化されました。その後も、マーケティング部門が司令塔となり、各部署からのフィードバックを交換しながら、ハイボールの販促を進めていくことになります。

ONEDARI BOYSとの共催でハイボールのブロガーイベント「ハイボールナイト(二〇〇八年五月)」を開催しましたが、これについては、社内でもどのような効果があるのかと議論がありました。ただ、「なんとかウイスキーを復権したい」という思いがあって、最終的には「やってみましょう」となりました。ハイボールナイトの開催にあたっては、広報だけでなく社内の各部門を巻き込んだ、社内挙げてのイベントとなりました。お店の選定などは、マーケティング部門や営業が動いてくれた結果です。

サントリートピックスに掲載されたハイボールナイトの様子
サントリートピックスに掲載されたハイボールナイトの様子
http://topics.blog.suntory.co.jp/000849.html

――他の部門のかたの反応はいかがでしたか?

小林:「こういう活動の積み重ねが大事なんだろうな」という声を、参加した社員の何人かから聞きました。イベントの結果ですぐにどうこうなることはないけれど、積み重ねが効いてくるに違いない、という感触を持ってくれたようです。

ブログを読むだけでなく、イベントの現場に行くことで、ネットの向こうに生身の人間がいることを実感できたと感じています。また、ブロガーという存在やブロガーイベントの具体的なイメージを社内で共有でき、社内でも話しやすくなりましたね。

――ブログやブロガーイベントについて、定量的な評価はどのように行なっていますか?

坂井:ソーシャルメディアでの施策は数値での効果測定が難しいということは、会社には理解してもらっています……と思っています(笑)。マーケティングでは費用対効果が求められがちですが、われわれ広報部としては、報道や工場でのPR活動と共に、ブログの活動も長期的な視点で取り組んでいこうと考えています。

各部門の取り組みとの相乗効果でハイボールがブレイク

――その後、ハイボールは大きなブームになりますが、そうした流れの中で、ブログはなにか明確な貢献をしたのでしょうか?

小林:「サントリートピックス」では二〇〇九年に入ってからもハイボールに関する記事を書き続けました。それによって外向きだけでなく、社内にも効果があることを実感しました。調査データでこうですよ、と説明するよりも、現場でハイボールを体験していただいているリアルな写真を見せたほうが説得力があって、それによってハイボールナイトを他のエリアでもやりたいという声も出ました。

坂井:感覚的には、二〇〇九年の五月、六月に潮目が変わったと考えています。実際の売り上げの歩調とは少しずれているのですが、そのころ、自然発生的にハイボールに関する報道(テレビや雑誌など)が急増し、ネット上ではブログの記事数が増えました。同時にウイスキーの売り上げも、ハイボールが飲める店も増えてきました。

二〇〇八年九月に角ハイボールタワー(ハイボール専用のサーバー)の記事をサントリートピックスに書いてから数カ月後に、フジテレビの「めざましテレビ」でご紹介いただきました。マスメディアに取りあげていただいたときにはネットにハイボールタワーの情報がすでにあって、検索の受け皿が用意されているという状態でしたね。

小林:そのころ、「ハイボール」で検索すると、検索結果の上位がサントリーの「角ハイボール」に関して書いていただいたブログの記事で占められていました。結果的に、ネットで見ると「ハイボール=サントリー」のような状態になっているのですね。これによって営業や宣伝の活動と、よい相乗効果が生まれたと感じています。

マスメディアで知ったユーザーの受け皿がネットにできていた

――二〇〇八年からまいてきた種が、実を結んでいるのですね。

小林:広報部のネットチームとしては「最終的に商品を体験していただかないと意味がない」と考えています。そういう意味では、営業がハイボールを飲めるお店を早急に開拓し、興味を持ってくださったお客様にすぐ体験していただける環境が整ったことが大きかったですね。マーケティング、営業、宣伝、広報と、それぞれの活動がうまく連携し、リンクできたということだと思います。

二〇一〇年三月には「森香るハイボールナイト」を開催しました。その後「森香るハイボール」のブランドサイトでのキャンペーンも開始しましたが、やはり、検索した際にはブログの記事が見つかるようになっています。これには感動しました。

[コグレマサト]

(イベントは終了しました)マキコミセミナー3/28開催

『マキコミの技術』の筆者2人が登壇するセミナー「ソーシャルメディア時代に見直すブログ術 &一歩踏み出すマキコミ術」が3月28日(月)にお茶の水で開催されます(参加無料)。

詳しい情報&申し込み → http://fansfans.jp/campaigns/detail/303

マキコミの技術
  • マキコミの技術
  • コグレマサト・いしたにまさき 著
  • ISBNコード:
    978-4-8443-2958-9
  • 定価:本体1,500円+税
  • 電子書籍版:1,050円(税込)
  • インプレス

この記事は、書籍『マキコミの技術』の内容の一部を、Web担の読者向けにオンラインで特別に公開しているものです。

ブログ、ツイッターの達人が説く
ネットマーケティング

2007年3月に「クチコミの技術(日経BP)」を出版し、ブログやツイッターの達人としてソーシャルメディアの最前線で活躍を続ける2人の著者が説く、ソーシャルメディア・マーケティングの指南書。

ツイッターの流行などによってネットとリアル(現実社会)が近づいた現在、ネット上でのコミュニケーションが、リアルでの行動にもダイレクトに影響を及ぼすようになっています。そうした時代に、企業とユーザーが「巻き込み」「巻き込まれ」てよい関係を築くための技術について、著者の経験を元に解説。

「マーケティング」「ブランディング」の枠に留まらない、ネット活動の総合的な指南書です。

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